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prophecy


 身体は既にまともには動かなかった。腕は枯れ枝のように細くなり、目は既にぼんやりと光を捉える程度だった。
 長年に渡り見続けた未来の光景はもはや見えなくなっている。
 破滅が近いのか、または見る必要が無い世界へと生まれ変わるのか――
 その老人には解らなかった。どちらにせよ、あまりもう長くは無い。
 それだけはビジョンを用いずとも理解していた。

 チェンジリングデイの後、彼が最初にビジョンで見たのは少年と老人の戦い。
 そしてそれぞれを支持する人間達の戦争。

 少年と老人の戦いは恐らく、いままでのどんな人類でも遠く及ばぬ次元で繰り広げられるだろう。
 そして人類は「ソドムの火」とサイキックを持って殺し合う。
 今起きている小競り合いなど比較にならない、文字通り世界を二分する戦い。

 導かねばならない。
 いずれここへ訪れるであろう、史上唯一の救世主を。人類最後の預言者として。

 同時に楽観もしている。
 彼は見たのだ。いや、正確には「会った」のだ。
 その姿は目に焼き付いている。その言葉はかつてモーセに語った事を、キリストへと伝えた事を、ムハンマドが感じた事のさらに先を彼に伝えた。

「新エルサレムは間もなく現れる」
 彼は譫言のように言う。
「人類は新たな地平へと到達する」
「救世主は東から来る」
「そして真の誓いと契約を人々と私は結ぶだろう」
「そして私はあらゆる可能性を認め、時空を超えた先の世界に行く事を私は許可する」

 彼のビジョンはもう見えない。この世界の未来は確定されたのだろうか。
 そして彼は別の世界に行く事はもう無いだろう。

 平行する別の世界。
 神はその存在を認めたのだ。

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最終更新:2010年07月11日 08:36
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