幻の黒い鉄騎兵 - (2009/10/31 (土) 21:59:29) の編集履歴(バックアップ)
幻の黒い鉄騎兵
ある日の休日、美由紀は真神よろず本舗に足を運んでいた。
「おはようございます、店長さん」
「やあ、今日はどうしたんだい?パーツの予約かな、それとも、練習試合しにきたのかい?」
美由紀がここに足を運んだのには理由があった。ひとつはここの常連である翔に会うこと、そしてもう一つは、あることを聞くためであった。
「翔くんは来ていませんでしょうか?」
「ああ、翔くんなら今日は来ないよ。学校で準備があるとかで、いけないって言ってたんで」
真野店長のひとことで、美由紀は少し残念そうな顔をした。
「そうですか、ありがとうございます」
美由紀は頭を下げ、会釈した後、真野店長に質問をした。
「あの、店長さんにお聞きしたいことがあるのですが」
「ん、どうしたんだい?」
「『黒い鉄騎兵』って知っています?」
その名前を聞いた真野店長は、少し驚いた表情になった。
「美由紀ちゃん、よくこんなこと知ってるね。でも、どうしてそんなことを聞いたんだい?」
「…数年前、突如神姫バトルに現れて、連戦連勝したといわれている神姫なのですが、どのような神姫なのか気になりまして…、ネットで調べても、そのことについてほとんどわかりませんでした。ロボットバトルに詳しい店長さんなら知っているのでは、と思って聞きましたのですが…」
真野店長はネットを開きながら答えた。
「僕もそれほど知ってるわけじゃないけど、知る限りでは非公式の試合に出て連勝し、賞金を稼いでいる…といわれているそうだ」
真野店長はあるサイトから保存したページを開き、美由紀にこれを見せた。
「これは…」
「ある記者が偶然撮った写真さ。多少ブレがあるけど、黒いカラーの神姫が移ってるだろう。これが鉄騎兵と言われてるんだ」
そこには対戦相手をビーム剣で切り裂いている黒い神姫の姿があった。
「…これではどのタイプの神姫かわかりにくいですね」
「何しろ高速戦闘時だったからね、この写真では識別しにくい。ただ、この形だと、オリジナルの可能性が高いと思う」
美由紀は記事を隅々まで見たが、鉄騎兵の情報量は少なく、これだけではほとんどないものと同じと判断した。しかしブレているとはいえ、鉄騎兵の姿を見ることができただけでも収穫があったと確信していた。
「ほかの記事はありませんか?鉄騎兵はほかの試合にも出ているはずです」
しかし真野店長は首を横に振った。
「残念ながら僕が保存した鉄騎兵の記事はこれだけなんだ。鉄騎兵の存在自体ほとんど表に出ていないからね、これでも記事を探すのに苦労したんだ」
「そうですか…、でも、鉄騎兵の情報が少しだけ解っただけでもありがたいです。真野店長、ありがとうございます」
真野店長に礼を言った美由紀は、店を後にしようとした。しかし店長は引き止めた。
「美由紀ちゃん、もしよかったら試合していかないかい?数日前にバトル用のステージを設置したんだ」
いきなりこんなことを言われた美由紀は、少し驚いていた。
「ここにもバトルステージを設置したのですか。でも、このお店の大きさではステージなんて置けないでしょう」
「それなら心配ない、裏庭にステージを用意してある。こう見えても、うちの庭は広いんだ」
店長のお願いを断るわけにいかない美由紀は、半ばなし崩しに試合を引き受けることになった。
「おはようございます、店長さん」
「やあ、今日はどうしたんだい?パーツの予約かな、それとも、練習試合しにきたのかい?」
美由紀がここに足を運んだのには理由があった。ひとつはここの常連である翔に会うこと、そしてもう一つは、あることを聞くためであった。
「翔くんは来ていませんでしょうか?」
「ああ、翔くんなら今日は来ないよ。学校で準備があるとかで、いけないって言ってたんで」
真野店長のひとことで、美由紀は少し残念そうな顔をした。
「そうですか、ありがとうございます」
美由紀は頭を下げ、会釈した後、真野店長に質問をした。
「あの、店長さんにお聞きしたいことがあるのですが」
「ん、どうしたんだい?」
「『黒い鉄騎兵』って知っています?」
その名前を聞いた真野店長は、少し驚いた表情になった。
「美由紀ちゃん、よくこんなこと知ってるね。でも、どうしてそんなことを聞いたんだい?」
「…数年前、突如神姫バトルに現れて、連戦連勝したといわれている神姫なのですが、どのような神姫なのか気になりまして…、ネットで調べても、そのことについてほとんどわかりませんでした。ロボットバトルに詳しい店長さんなら知っているのでは、と思って聞きましたのですが…」
真野店長はネットを開きながら答えた。
「僕もそれほど知ってるわけじゃないけど、知る限りでは非公式の試合に出て連勝し、賞金を稼いでいる…といわれているそうだ」
真野店長はあるサイトから保存したページを開き、美由紀にこれを見せた。
「これは…」
「ある記者が偶然撮った写真さ。多少ブレがあるけど、黒いカラーの神姫が移ってるだろう。これが鉄騎兵と言われてるんだ」
そこには対戦相手をビーム剣で切り裂いている黒い神姫の姿があった。
「…これではどのタイプの神姫かわかりにくいですね」
「何しろ高速戦闘時だったからね、この写真では識別しにくい。ただ、この形だと、オリジナルの可能性が高いと思う」
美由紀は記事を隅々まで見たが、鉄騎兵の情報量は少なく、これだけではほとんどないものと同じと判断した。しかしブレているとはいえ、鉄騎兵の姿を見ることができただけでも収穫があったと確信していた。
「ほかの記事はありませんか?鉄騎兵はほかの試合にも出ているはずです」
しかし真野店長は首を横に振った。
「残念ながら僕が保存した鉄騎兵の記事はこれだけなんだ。鉄騎兵の存在自体ほとんど表に出ていないからね、これでも記事を探すのに苦労したんだ」
「そうですか…、でも、鉄騎兵の情報が少しだけ解っただけでもありがたいです。真野店長、ありがとうございます」
真野店長に礼を言った美由紀は、店を後にしようとした。しかし店長は引き止めた。
「美由紀ちゃん、もしよかったら試合していかないかい?数日前にバトル用のステージを設置したんだ」
いきなりこんなことを言われた美由紀は、少し驚いていた。
「ここにもバトルステージを設置したのですか。でも、このお店の大きさではステージなんて置けないでしょう」
「それなら心配ない、裏庭にステージを用意してある。こう見えても、うちの庭は広いんだ」
店長のお願いを断るわけにいかない美由紀は、半ばなし崩しに試合を引き受けることになった。
店をアルバイト店員に任せ、裏庭に移動した美由紀と真野店長は、特設ステージ前に到着した。
「これは、ステージに池を使用しているのですか」
「ああ、元々うちの池は何も棲んでいないからね、それじゃあもったいないと思って、ロボットバトル用のステージに作り変えたのさ」
よく見ると、上には雨よけとしてドームが設置されており、雨天時のバトルに対応している設置がなされている。そして両脇にはバーチャル投影機が数基設置されていた。
真野店長はさらに奥にあるプレハブらしき個室に美由紀を案内した。
「ここがメインコントロールルーム、ここでバトルステージの制御および管理をする。そして池の両端にあるのがオーナー用の司令室だ。そこから神姫をはじめとするバトルロボットをステージに送り込める」
「バーチャルとリアル、どちらでも選択可能なシステムになっているのですね」
「そうだよ、ただしリアルだとフィールドの広さに制限が出来るし、自由度が利かなくなる。だから常連さんにはバーチャルバトルを推薦しているんだ」
ステージ周辺をまじまじと見つめる美由紀。真野店長も誇らしげにしている様子。
「…で、対戦相手は誰でしょうか?」
美由紀の質問に対し、真野店長は待っていたかのように答えた。
「何せ真神よろず本舗バトルステージの体験者第1号が名うての神姫使いだからな、それにふさわしい相手と対戦しないといけないと思って、ある相手を選んでみた」
店長はシステムを起動し、画面からある相手を選択した。
「これは…」
「さっき鉄騎兵の話を元に、ある神姫を選択してみた。データのみの存在だが、仮想鉄騎兵としてはいい相手だろう」
画面には高速戦闘型の神姫が映し出されていた。このタイプは、鉄騎兵の攻撃パターンに近い能力を持つため、仮想鉄騎兵としてはまずまずの相手といえる。
「こういうことができるなんて、正直驚いています。本当にありがとうございます」
美由紀は店長に向かって深々と頭を下げた。
「おいおい、そんなにかしこまらなくても…」
店長はちょっと恥ずかしげに困惑するのだった。
「これは、ステージに池を使用しているのですか」
「ああ、元々うちの池は何も棲んでいないからね、それじゃあもったいないと思って、ロボットバトル用のステージに作り変えたのさ」
よく見ると、上には雨よけとしてドームが設置されており、雨天時のバトルに対応している設置がなされている。そして両脇にはバーチャル投影機が数基設置されていた。
真野店長はさらに奥にあるプレハブらしき個室に美由紀を案内した。
「ここがメインコントロールルーム、ここでバトルステージの制御および管理をする。そして池の両端にあるのがオーナー用の司令室だ。そこから神姫をはじめとするバトルロボットをステージに送り込める」
「バーチャルとリアル、どちらでも選択可能なシステムになっているのですね」
「そうだよ、ただしリアルだとフィールドの広さに制限が出来るし、自由度が利かなくなる。だから常連さんにはバーチャルバトルを推薦しているんだ」
ステージ周辺をまじまじと見つめる美由紀。真野店長も誇らしげにしている様子。
「…で、対戦相手は誰でしょうか?」
美由紀の質問に対し、真野店長は待っていたかのように答えた。
「何せ真神よろず本舗バトルステージの体験者第1号が名うての神姫使いだからな、それにふさわしい相手と対戦しないといけないと思って、ある相手を選んでみた」
店長はシステムを起動し、画面からある相手を選択した。
「これは…」
「さっき鉄騎兵の話を元に、ある神姫を選択してみた。データのみの存在だが、仮想鉄騎兵としてはいい相手だろう」
画面には高速戦闘型の神姫が映し出されていた。このタイプは、鉄騎兵の攻撃パターンに近い能力を持つため、仮想鉄騎兵としてはまずまずの相手といえる。
「こういうことができるなんて、正直驚いています。本当にありがとうございます」
美由紀は店長に向かって深々と頭を下げた。
「おいおい、そんなにかしこまらなくても…」
店長はちょっと恥ずかしげに困惑するのだった。
※以下執筆中