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ベクターの呪縛 - (2007/06/10 (日) 17:19:44) のソース
*● 三毛猫観察日記 ● **◆ 第十六話 「ベクターの呪縛」 ◆ (オクミヤ>exe)謝罪。折角のデストーラⅡを破壊されてしまった (exe>オクミヤ)問題なし。おかげでアレがナンバー2だと確認できた (オクミヤ>exe)すると我々のターゲットは高槻の神姫の方か? (exe>オクミヤ)十中八九。ミアと言ったか、アレの正体こそナンバー1だ (オクミヤ>exe)では今すぐCEチップをえぐり取るか? (exe>オクミヤ)まだだ。あのCEチップはまだ完成していない (オクミヤ>exe)完成、発動を確認してから奪取しろと? (exe>オクミヤ)その通り。 画面から離れる。ついに……ついに手に入る。かつて研究途中で徳田に邪魔をされ、 貴重な試験体すら失ったが……まさか連中の手で完成に近づいていたとは。 3つの試験チップ。それはセットするだけで神姫を殺人兵器へと変貌させるCEチップ。 その力はクルセイド・羅刹の比ではない。偶然の産物だが、私の最高傑作。 今は徳田達に感謝をしよう。お前らは最高の協力者だったよ…… ○5月14日(水) 授業へ行く前に部室へ寄ると、想像以上に騒がしくなっていた。 思った通りマヤーが桜花と張り合っている。この二人、仲が良いのか悪いのか…… (「小春、今度は何の騒ぎなんだ?」「スイカとメロン、ドッチが美味しいか?です~」) あ、頭イタくなってきた……とにかくミアを置いて教室へ行こうとする。 (「ミアちゃんはやっぱり舌平目の猫缶がいいの!」) はいはいお嬢さま。帰りに買っていきましょうね。 ○5月15日(木) 今日は部室でロックバンドについて打ち合わせ。でも桜花の意見は全て却下。 最初はアキオが徳田グループ主催で大規模なイベントにしようとしたけど、金城さんの 「そんなんサークル活動やない!」の一言で中止。すげぇな、アキオの暴走を止めるとは… 結局、軽音部と協力して『神姫バンド+人間バンド』の共同コンサートを開催する事に。 まぁ連中とはアンプの修理とかで顔見知りだし、前からそんな話もあったからね。 さて、それぞれのパートだけど…… 【マヤー:ボーカルA】(「桜花姉ちゃんより目立つニャ!」) 【桜花:ボーカルB】(「もう好きにして…………………」) 【アルテア:エレキギター】(「当日はどうやってオーちゃんをイジろう…」) 【ミア:エレキベース】(「最後はベースでアンプを殴り壊すんだよね?」) 【レイン:キーボード】(「由奈ママと一緒に練習してるんだよぉ~!」) 【小春:ドラム】(「い、一番後ろなら全員の様子が見れる………♪」) まだ正式な日程は決まってないけど、発表は秋頃になるんじゃないかな? それまでミアには練習を頑張ってもらわないとね。 ○5月17日(土) 今日は神姫ショップにミアの長靴を買いに来た。いやぁ……今まで九州大会で 『勝ったら長靴』って約束をしてたの、すっかり忘れてたんだ…… で、黄色い長靴を買ってあげた。大喜びするミア。そんなに嬉しいモンかねぇ…… 「コタロー……なんか最近、イヤな視線を感じるの……」「ん?気のせいだろ?」 ○5月19日(月) アキオが神姫用のバンドセットを用意してきた。これ……アンプがバカみたいに 高額なんだよな。そりゃそうだ、人間用のアンプよりも高性能じゃないと、小さな楽器を ちゃんと増幅できないからね。 とりあえず全員で音楽室へ。さっそく音合わせをしてみる。 すげぇなぁ……まだ練習を始めたばかりのハズなのに、もう曲になっている。 さすが神姫、ある程度の「基礎」はデータとして簡単に習得してしまう。 「コタロー、俺はな。音楽こそ神姫に魂がある証明になる物だと思うんだ」 「アキオ……何だよ急に?」 「……ある程度のレベルには短時間で成れる。まぁ機械だからな。だがそれ以上には やっぱり修練しないと成れないんだ。それは逆を言えば心が成長してるって事だろ? もし神姫が単なる機械だったら、「音楽の心」みたいのが成長する訳がない」 ちょっと意外だ。現実主義のアキオからファンタジーな意見を聞けるとは。 でも……俺も何となくその考えを気に入ってしまう。技術屋としては失格だけどね。 ○5月19日(月) 最近、ミアの様子が変だ。 今日もみんなでバトルの訓練をしていたのだが、危うく小春に大怪我をさせる所だった。 本人は「手が滑った」みたいな事を言ってるが、実は心当たりがある。 ミアは以前から、極限状態になると冷酷になる傾向があった。 (例えば去年の事件。サンタ子を高圧電流で破壊しようとした神姫達を容赦無く破壊した) 今は……極限状態どころか、ちょっとした訓練でも「冷酷な目」をするようになっている。 確かにミアは強くなった。だがそれと共に、彼女の中で何か得体の知れないモノまで 成長しているような気がしてならない。 アキオ達と相談して、暫くミアのバトル訓練はしないように決めた。後で時間を見つけて ミアのプログラムデータを小暮君にチェックしてもらおうと思う。俺はプログラミングとか 苦手だからな……専門家に頼んだ方がいいだろう。 ○5月20日(火) 今日は大学を休んでミアとデゼニーランドへ遊びに来た。 (「どうしたのよ急に。由奈ちゃんとのデートの下見?」「ば、バカ言うな!」) 最初は急に連れてこられて戸惑っていたミアだが、次第に園内の雰囲気に溶け込んで 楽しそうに遊んでいる。やっぱりミアは元気に遊び回ってるのが一番だ。 その様子を見てホッとしてしまう。いつまでも明るいミアでいてくれよ…… (オクミヤ>exe)CEチップの成長状態を確認したい。アタックさせてくれ (exe>オクミヤ)了解。戦力としてクルセイド2体を用意する (オクミヤ>exe)引渡し方法は? (exe>オクミヤ)いつもの通り。 5月23日。金曜日。 今日は午後から工学ゼミだ。4月からこのゼミに入ったんだけど、実際には入学当時から この研究室には顔を出していたんだ。 工学なんて日常的にやってるからゼミは別のにしたかったんだけど、もう成り行きでね… 大学院の藤宮先輩も強引だったし。まぁ楽しいから良いけどね。 「高槻ぃ~!ちょっと5番レンチ取ってぇ~!」「はいはい、ドーゾ」 藤宮先輩にレンチを渡す。色気を感じさせない大柄な女性だけど、その腕は確かだ。 俺がオヤジ以外で認めている数少ない技術屋のうちの一人。 いや、技術屋と言うよりは発明家かな?バンディッツボディの基礎理論なんかも、先輩の アイディアが無ければ不可能だったろう。 「コレが例の掘削機ですか?インドネシアの海底ケーブル工事に使う」 「そうよ。コレで海底に溝を掘って、そこに船から沈めたケーブルをはめ込むんだって」 「その操作を神姫にやらせるとは……教授も良く考えますねぇ」 「発案は他の大学の助教授らしいよ。教授の論文を見てアプローチしてきたんだって」 「論文って……まさか先輩と俺が手伝った、あの建機のダウンサイジング理論ですか!?」 「そう、あの神姫を使った論文!」 半分冗談だったのに……発表する教授も教授なら、興味を持ったその人もその人だ。 まぁ……手伝った俺も俺なんだけどね。 「あ~高槻、ちょっとコンビニで弁当買ってきてくれない?」 「またメシ抜きでイジってたんですか……ちょっと待っててくださいね」 「悪いね!あとミアちゃんを連れてきてくれない?このマシンを試してもらいたいのよ」 「はいは~い!」 先輩からサイフ(すげぇ可愛いヤツ)を預かると、俺は部室に寄ってミアを連れて行った。 「オバチャンの買い物に行くの?」「……先輩の前でオバチャンとか言うなよ!」 大学前の「遅刻坂」を下りていく。今は授業中だから誰も歩いていない。 いや、いた。何故か道端に2体の神姫。 天使型と悪魔型か……どうしたんだろう、誰かの落し物とか? 「コタロー、下がって!」突然ミアが叫ぶ。 「どうしたんだ?」 「アイツ達の目を見て!アレはクルセイドだよ!!」 ギョッとなる。確かに瞳が赤く燃えている……桜花の限定解除と同じに。 「ミア、逃げるぞ!」 俺の言葉を無視して、肩から飛び降りたミアは構えた。 「何してる!2対1なんだぞ!!それに何の武装もしてないんだぞ!!」 「大丈夫……なんか、全然負ける気がしないんだもん!」 突然ミアの体を青白い光が包み込む。バーストモード?違う、これは…… 桜花(サンタ子)が誘拐された時にミアとレインが見せた「アビスブレード」の光…… それを見た2体のクルセイドは突進してきた。迎え撃つミア。 一瞬だった。気が付くと2体のクルセイドはバラバラに……みじん切りになっていた。 「み、ミア…………」 「ミッション完了しました」 「……凄いな、助かったよ!ご褒美に猫缶をあげちゃおうかな!」 「私は猫の餌なんて食べません。マスター、変な事を言わないで下さい」 作業台の上に横たわるミア。その体には検査用のケーブルが接続されている。 「小暮君、ミアに何があったんだ?」 ずっとモニターの情報をチェックしていた小暮君が話し出した。 「結論から言います。ミアちゃんに埋め込まれたCEチップが、コアユニットの 人格・記憶データを侵食しています」 「な……何だよそれ………どういう事だよ!!!!!」 「……冷静に聞いて下さい。これがこのCEチップの本来の性能らしいんです。 兵器として必要なデータ、戦闘経験、機体制御、そして人間を傷つける事を禁止してる リミッターを解除してしまうプログラム。 これらをコアユニットに上書きすることによって、装着した神姫を殺人兵器へと 変貌させてしまうチップ………僕はこれを『ベクターチップ』と名付けました」 「べ、ベクター?」 「……ガン細胞の事です」 目の前が真っ暗になった。それじゃミアの記憶回路はガンに犯されていると言うのか…… ミアの記憶は……人格は……消え去ってしまったと言うのか!!!!! 「……他にも何か特殊な力場を発生させるジェネレーターの機能も兼ねているようですけど、 それは高槻先輩の方が専門でしょう。多分あの「アビス」に関係あるかと。 ……とにかく、このベクターチップは危険です。今すぐ処分しないと」 「処分って何だよ………ミアを破棄しろとでも言うのか!!!!」 「……バックアップデータはありますよね?それを新しい神姫にコピーすれば」 「バカ言うな!!!!!!!そんなのミアじゃないだろ!!!!!」 「先輩、現実を見て下さい!!ミアちゃんは……ミアちゃんはもう居ないんです!!!」 (オクミヤ>exe)チップの発動を確認。連中は「ベクターチップ」と言っている (exe>オクミヤ)良いネーミングセンスだな。その後の連中の様子は? (オクミヤ>exe)徳田の研究所に連れて行って対策を考えるらしい (exe>オクミヤ)変に弄られたくない。襲撃の準備を頼む (オクミヤ>exe)了解。研究所を襲うなら戦力が必要だ (exe>オクミヤ)現在動けるクルセイドを全て渡す (オクミヤ>exe)これで連中も最後か。この日を待っていた (exe>オクミヤ)私もだ 第十七話 (作成中?) へ進む 第十五話 [[歌えばいいんでしょ!]] へ戻る [[三毛猫観察日記]] トップページへ戻る