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無頼6「第二の神姫、起動」 - (2008/02/28 (木) 07:54:31) のソース
***無頼7「第二の神姫、起動」 今日の授業にて、神姫を使った犯罪がテーマとなった。 社会問題となっているMMSによる犯罪。 「神姫」はそのサイズと価格から、犯罪に使われやすいようだ。 そんなこと、僕にはどうでも良かった。 それよりも、今の僕は懸案事項を抱えているのだ。 「形人、弁当食わないなら俺が頂いちゃうぞ?」 見た時、風間はすでにダシ巻き卵をつまんでた。 「おいこら! 人の楽しみを盗るな!」 僕は風間の手を叩いた。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 懸案事項とは、この間の大会で入手した武装神姫一式を指す。 それのセットアップをしなければならない。 ちなみに風間の賞品はグレースと同じVulcan Lab製のイルカ型神姫「ヴァッフェドルフィン」だとか。 このパターンでいくと、僕の賞品はヒカルと同じMagic Market製のマーメイド型神姫「イーアネイラ」のはずなんだが…。 目の前にあるのは、武装神姫の有力メーカーの一つである「Kemotech(ケモテック)」の武装神姫。 猫型神姫の「マオチャオ(漢字で『猫爪』と書くらしい)」であり、 受注生産モデルの、リペイントバージョンでもある。 ……… くぅぅぅぅぅぅぅぅうっ! 欲しかったんだよなぁ…これ! 「武装神姫2036」というタイトルの漫画がある。 それの主役神姫、マオチャオの「まお」が海のエピソードで披露した水着リペイントを再現した物である。 これと、ハウリンの「凛」を再現したリペイントモデルの人気は、尋常じゃない物がある。 何しろKemotechのサーバがダウンするほどの予約が来たのだ。 限定の予定だったにもかかわらず、受注生産となり、なおかつ現在も入手できなくて泣きを見る武装紳士もいるとか。 個人的には凛の方が良かったが、実質どっちでもいい。 クラスでも持ってる奴はいない、自慢できるしなお且つ通常のマオチャオより「萌える」! *「形人!!」 はっ!? しまった、嬉しさのあまり別の世界に逝ってたようだ。 「すまん、ヒカル」 「もう…!」 えっ…と。 もしかしてヤキモチ妬いてますか? ヒカルさん。 …んな訳ないか。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ … …… ……… 大きな目を開き、欠伸をかく「まお」。 そしてこちらを見つつ一言。 「あなたがぼくのマスター…ですか?」 …… うそっ!? 「まお」の口調じゃないだろ! これって! つーかボクっ娘!? 「うわはぁ…」 ヒカルも「2036」を読んでいるので、呆気にとられている。 確かに、これじゃ「ステキバグ」で中身が「凛」と入れ替わった時と同じデハナイデスカッ!? 「あ…あの、「個体差」がありますから…」 「つっても正反対ってどうよっ!?」 「そんな事言われてもぉ…」 …… 落ち着け、僕。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 「あ、あのっ! ペットネームはどうしましょうか!?」 パニックが収まると、洞察力が戻ってくる。 こんなに素直で、なおかつ凛々しくて、ついでに高確率でオドオドしちゃうまおって… 萌える! …自重しろ、僕。 ペットネーム(実質その個体の名前)か…。 外見まおだけど中身は凛ぽくって、それでいて……。 「あの…」 「そうだなぁ…」 ちょっと深く考え、「まお」にビシッと人差し指を向け 「ジーナス、でどうだ?」 ジーナス、とは。 英語で「天才」を指す単語らしい。 ついでに、「超時空要塞マクロス」の登場人物の姓でもある。 天才そうな印象と、少し天然ボケだとゆう電波を受信し&bold(){「形人!」} …はうっ!? また少し向こうに逝ってたようだ、自重せねば。 単純に、ヒカルと元ネタを合わせただけだから、安心して欲しい。 「『ジーナス』、ですね?。ペットネームとして登録しても宜しいでしょうか?」 「オーケーだ」 登録完了、今からこの「まお」は「ジーナス」だ 「それでは、よろしくお願いします。&bold(){隊長}」 「へっ?」 ちょっと待て。 そう言えばオーナー呼称を決めていない。 「我がKemotechの神姫は、名前の元ネタ…もといその名前に合わせた呼称を、自動で決定します」 はぁ…? 「『ジーナス』と言う単語は『隊長』に分類されるので、この呼称に決定しました。ご了承を、隊長」 …さすがKemotech、ネタ仕込みを忘れない企業だ…。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 「あら、新しい神姫(こ)?」 「そ。この前の賞品」 買い物に行っていた母が帰ってきたので、顔通ししとく。 「ジーナスといいます」 「ご丁寧にどうも。私は彩聞令佳(さいもん れいか)。形人のお母さんよ」 「あ、こちらこそ。どうぞよろしくお願いします、お母さん」 どっちも丁寧同士だ。 この二人って、何か息が合いそうだ…。 「んー。ところで…、ジーナスちゃんに夕飯のお手伝いをさせていいかな?」 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ その後の話を一つ。 その日の夕食は煮込みハンバーグだったのだが 「中身の玉ねぎ、刻んでくれたのジーナスちゃんなのよ」 機械にでも掛けたかのごとく均等に切り刻まれた玉ねぎ。 言っとくが、うちには包丁しかないぞ。 ていうか待て、危なっかしい発言をしないでくれお母さん。 「ついでに、味を決めたのもジーナスちゃんで…」 皿に乗ってるハンバーグを見る。 「悔しいけど、私より美味しいわぁ…」 ハンバーグを咀嚼しながら、母が言う。 主婦歴22年のお母さんが、起動後数時間のジーナスに負けるとは思えないのだが。 しかし、ここである事に気付く。 「お母さん、肝心ジーナスは何所に?」 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 「め、目がぁぁぁ…」 目を赤くし、ポロポロ涙を流すジーナス。 玉ねぎが目にしみるって…、無駄に精巧だ。 「治りません…、痛いです…」 安心しろジーナス、明日には治ってると思うぞ。 ジーナスが料理の天才だと言う事は判ったが、新たな懸案事項を抱える事になった。 ジーナス用のゴーグルを買ってやらんといかんなぁ…。 まあ、明日という事で。 ---- [[流れ流れて神姫無頼]]に戻る [[トップページ]]