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無頼17「蒼穹の猟犬劇場」 - (2008/04/30 (水) 22:00:18) のソース
"蒼穹の猟犬" 某都市にあるベットタウン「アオゾラ町」を活動拠点とする、ある神姫の事である。 その装甲はホワイトとブルーで彩られ、"瞳孔"を持つ珍しいハウリンとの事。 総合ランクはファースト下位、だがその実力は未だ未知数である。 そして、ここに無謀な男が一人、"猟犬"に勝負を申し込もうとしていた。 ---- *「"蒼穹の猟犬"!! 居るかッ!?」 いきなりの大声と共に、一同は騒然となる。 声の主に視線が集中する。 コテコテの赤ジャージ姿(腕まくり)に"必殺"のハチマキ、スポーツ刈りの頭。 『スポーツをやっている若者のステレオタイプ』と言った風貌であった。 って、いつの話だ。 「もう一度言う!、"蒼穹の猟犬"は居るかッ!?」 「君ぃ、他のお客さんの迷惑だよ。…今からしょっぴかれるかい?」 係員が後ろから警告するが、この男は全く聞いていない。 「あの、零牙でしたら今対戦中なのですが…」 恐る恐る言ってきたのは、零牙のオーナーである聖憐であった。 「なんだ!? アンタが"猟犬"のオーナーかッ!?」 「はい。…そうですが?」 言葉では恐る恐るだが、表情はいつも通り笑顔である。 「だったら話は早い! わしと勝負しろぃ!!」 「形人ぉ、あれって…」「言うな。僕も一人称が"わし"の人は初めて見た…」 ぼやく無頼コンビ。だが今回は脇役なのであしからず。 ちなみに、著者も見たことが無い。 「黙れぃ鳥頭!! 人が気にしてる事をっ…!!」 「と、鳥頭ァ!?」 精神コマンド「挑発」を使用してくる男。 ちなみに"鳥頭"とは、髪型から某キツツキを連想したのだろう。 「主、どなたでありましょう? この変人は。」 「おおおおおおっ!? 来たな"猟犬"!!」 零牙の登場、そして聖大に反応する男。 「わs…ぢゃなくて俺と勝負しろ!! "蒼穹の猟犬"!」 「相手とペースを合わせずに一人で喋ってると、嫌われるぞ?」 「じゃかあしい!! つべこべ言わずに勝負しろ!!」 「先輩…あんなの相手にしてたらキリがないですよ?」 耳元で形人が忠告する。 しかし逆に聖憐は口元をニヤリと笑いを浮かべつつ 「いいでしょう」 と答えた。 「本気ですあの変人とバトルするんですか?」 困惑する形人に対し 「誰であろうとも平等に、公平に対戦するのが私のスタイルです」 「ああ。まぁ今回はゆっくり見物でもしておれ、ヒカル?」 自信満々に答える二人。 「うーん…、わたしとしては主人公(笑)になりたくないんだけど…?」 「よーし言ったな!? 後でベソかいても知らんからな!!」 コイツ、小学生か。 内心でポツリと形人。 「ところで、貴方のお名前は?」 「張也金次(はりや きんじ)だ。冥土の土産に覚えとけ! センターNo1の座から引きずり落としてくれる!!」 「張也さん。……後悔しても私は責任をとれませんよ?」 聞こえないように、ボソッと呟く聖憐であった。 ---- 『状況開始』 『SA☆GA☆SE!! 探すんだ!!』 「了解」 今回のステージは荒野、それはともかく濃い霧で包まれている。 しかもレーダー機能が麻痺する設定になっている、これは最早先に見つけた者勝ちに近い。 張也の神姫―天使型アーンヴァル―の装備はかなりゴチャゴチャしていた。 彼女はゴテゴテした追加装甲に加え得意とする遠距離砲撃戦武装を多数搭載している。 まるで某鶴畑妹の騎士型である。 余談ながら、アーンヴァルのバリエーションにはああいうタイプも存在しているらしい。 と、唐突に左足の装甲がひしゃげ、続いて後方で爆発が起きた。 『なんだ!?』 「11時の方向より攻撃、徹甲焼夷弾か」 自立機動型ミサイルを放出し、砲撃のあった方向へと飛ばす。 続けて三時の方向から砲撃。 『撃って撃って撃ちまくれ!!』 「無策な……」 といいつつも次々とミサイルを放出してゆく、空になったポッドは即座に排除した。 「おかしい。奴は一体どこに隠れているんだ?」 『おお、霧が晴れてきたぞ』 だんだんと薄くなってくる霧。 やがて霧は晴れたが、そこに零牙の姿はない。 『どこだ! どこだ!』 「後ろだ。」 声が聞こえた瞬間、もの凄い力で蹴り飛ばされアーンヴァル―ラリー―は転倒した。 この装備の難点として、一度倒れたら自力では起き上がれないという致命的な点が存在した。 今現在の状況は、まさにその状態である。 『そんな馬鹿な!? 何時の間に後ろに回り込んだ!?』 「この脚甲は特別製でな、足音が立ちにくいんだ。しかもそんな駆動音が大きいものを身に着けながらミサイルなんて撃っていたら、気づくはずがない。」 「なんという早業。……というかずっと後ろで待ってたのか?」 「主の指示でな、向こうが痺れを切らすまで手を出すなと言われている。」 「どうやって攻撃を………まさか」 直後、爆発音。 ミサイルが目標に命中したらしい。 「察した通り、武装強化したプチマスィーンズを使わせてもらった。……本来我はプチマを使わないのだがな、これも主の指示。」 ゆっくりと近づき、更に重アーマーごとラリーを蹴り飛ばした。今度は仰向けに倒れる。 「出ろ。そして剣を抜け。」 「剣など、あの馬鹿なHQが持たせるわけがない」 「……そうか。ならばこれを使え。」 そう言って、零牙は背中に提げていたビームセイバーをラリーに投げ渡した。 重すぎる装備を外し、最小限の装甲がお度越された状態になったラリーはそれをキャッチした。そして 「お前の武器はどうするんだ?」 と聞いた。 今の零牙はまさに丸腰、徒手徒拳で戦う気なのだろうか。 「そんな事は気にしないでいい。」 胸甲・腕甲を排除し、右手で抜刀の構えを取る。 「我にはこれがある。」 柄を握る形で止まった手から光が溢れる。 それはやがて刀の形を取り、零牙はそれを引き抜いた。 「&italic(){"蒼光刀・栄佐久間"}……!」 眩しすぎる光が治まると、ひと振りの日本刀らしき刀が握られていた。左手にはもちろん鞘が握られている。 「聞いたことのない銘柄だ」 「特別製だ。」 戦闘が再開された。 &bold(){~・~・~・~・~・~・~} 「先輩、お茶です」 「あら。ありがとうございます」 一方、オーナー席は完全にまったりムード。それに対し 「おいコラお前ら!! やる気あんのか!?」 「そんな事言われましても……。現に張也さん自身も一切指示を出していませんよ?」 「……」 「そろそろ決着がつきそうだね」 &bold(){~・~・~・~・~・~・~} 某人型機動兵器アニメの設定なら、一瞬で切断されているであろう。 だが、"栄佐久間"はビームセイバーと鍔迫り合いをしている。 「何という刀だ……」 「細かい理屈などは不要だ、そうなっている以上それでしかない。」 刃をそのまま横に滑らせ、ビーム刃を切り裂いた。 「!?」 「&bold(){零牙流刀剣技・型ノ零式"磁光真空・真っ向両断"!!}」 縦・横斬り。 十文字に切り裂かれたラリーは、七色の光に包まれ消滅した。 そっと、"栄佐久間"を鞘に納めた。 【Win. 零牙】 ---- 「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ、なんてこったぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 「あの光……磁雷矢か……?」 むんず 「やいこのアマっ!! あんなのインチキだ!! デタラメだ!!」 「そんな事言われましても、ジャッジシステムは係員の監視の下正常作動していましたよ?」 聖憐の襟首を掴み、食ってかかる張也。 「それに、このセンターの自作武器に対する制限の多さは貴方も受付時に知っているはずですよ?」 「じゃかしいわa………あれっ?」 言いかけた直後、張也の体は宙を舞った。 聖憐が巴投をかましたのだ。 尚、一部のギャラリーはとても嬉しい光景を見る事となったが零牙に睨み付けられて押し黙った。 ちなみに、ガーター付きの紺である(何 すごく吹っ飛ばされた張也はそのまま通りかかった長瀬が片手で受け止めた。一体何なんだこのセンターの人達。 「さぁ、騒ぎの元凶はバックヤードに行こうか。……一回負けたぐらいで手を、しかも女の子になんてそんなの子供のやる事だ」 「うがぁぁぁぁぁっ!! HA☆NA☆SEeeeee!!」 合唱。 「本当に最低だ、私のオーナー」 「気にするな。次は流石にこういう事もないであろう。」 「わたしの出番、全然なかったねぇ……orz」 「ふふふふ……。写真撮影した人は消去しないと後が怖いですよ? ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……」 ---- [[流れ流れて神姫無頼]]に戻る [[トップページ]]