ここからは出番の無い我輩が解説をするとしよう。
素振りの成果が出ているのか、エストの槍は以前よりも的確に相手を狙うのだが、相手は両手のトンファーを使う事すらなく全て回避している。
『無駄ですからやめませんか?』
半ば哀れむような表情で問いかけている。
『泣かす、絶対に泣かせてやる~!』
相手の提案に対し怒りが倍率ドン、更に倍といった感じで攻撃が雑になってきておる。
この様子だと目的成就までにどれ程の時間を費やすのやら。
ふと相手のマスターの様子を見てみると、師匠と同じく何の指示をするでもなく、3本目のお汁粉を飲み干したところだ。
対抗意識を燃やしてコーヒーからコーンポタージュに飲む物を変えているあたり、エストの事をどうこう言えないと思うのは我輩だけだろうか。
素振りの成果が出ているのか、エストの槍は以前よりも的確に相手を狙うのだが、相手は両手のトンファーを使う事すらなく全て回避している。
『無駄ですからやめませんか?』
半ば哀れむような表情で問いかけている。
『泣かす、絶対に泣かせてやる~!』
相手の提案に対し怒りが倍率ドン、更に倍といった感じで攻撃が雑になってきておる。
この様子だと目的成就までにどれ程の時間を費やすのやら。
ふと相手のマスターの様子を見てみると、師匠と同じく何の指示をするでもなく、3本目のお汁粉を飲み干したところだ。
対抗意識を燃やしてコーヒーからコーンポタージュに飲む物を変えているあたり、エストの事をどうこう言えないと思うのは我輩だけだろうか。
かれこれ数十分も避け続けている技量には正直感服する。流水の動きとかいうやつだろうか。
『もう私の負けで結構ですので、この辺でそろそろ終わりにしたいのですが。』
流石にトンファーも併用しての回避となってはいるが、倒そうと思えばいくらでも機会があった筈である。
エスト自身、一番その事を理解しているのであろう。もう限界と言わんばかりに言葉を紡ぐ。
『師匠、いつもの長槍を下さい。あれさえあれば、もっと上手く戦えます。』
「却下だ。ちょっと普段と得物が違うぐらいでガタガタ言うな。それにエレガントはどうした、エレガントは。」
『ええい、やれば良いんでしょ!!』
刀身を地面に刺したまま前方へと駆け出し、熱に染まった槍をそのまま相手に向かって振り上げる。
ずっと様子を見ていただけの相手のマスターが初めて指示を出す。
「スイ、得る物も無さそうだし終わらせろ。」
『承知致しました。これで決めさせていただきます…神姫流古武術壱(逸)式”対刃”』
色々とツッコミを入れたい箇所はあるのだが今回は無視するとして、スイと呼ばれた相手の神姫が技名らしき名称を告げたと同時、折られた槍とエストが横たわりジャッジAIによる判定が下されていた。
我輩の解析能力を以ってしても何が起きたのかが不明である。
『もう私の負けで結構ですので、この辺でそろそろ終わりにしたいのですが。』
流石にトンファーも併用しての回避となってはいるが、倒そうと思えばいくらでも機会があった筈である。
エスト自身、一番その事を理解しているのであろう。もう限界と言わんばかりに言葉を紡ぐ。
『師匠、いつもの長槍を下さい。あれさえあれば、もっと上手く戦えます。』
「却下だ。ちょっと普段と得物が違うぐらいでガタガタ言うな。それにエレガントはどうした、エレガントは。」
『ええい、やれば良いんでしょ!!』
刀身を地面に刺したまま前方へと駆け出し、熱に染まった槍をそのまま相手に向かって振り上げる。
ずっと様子を見ていただけの相手のマスターが初めて指示を出す。
「スイ、得る物も無さそうだし終わらせろ。」
『承知致しました。これで決めさせていただきます…神姫流古武術壱(逸)式”対刃”』
色々とツッコミを入れたい箇所はあるのだが今回は無視するとして、スイと呼ばれた相手の神姫が技名らしき名称を告げたと同時、折られた槍とエストが横たわりジャッジAIによる判定が下されていた。
我輩の解析能力を以ってしても何が起きたのかが不明である。
試合終了後、向かい合って座る2人のオーナー。沈黙に耐えかねたのか師匠が口を開く。
「どうも初めまして、黒須修司って言います。宜しければお名前を聞かせていただけますか。」
「新津覚之進って陶芸家だ。年齢は39で現在独身で嫁は常に募集中…」
徐々に声が小さくなっていく。ちょっと顔も俯きだしたが大丈夫なのか。
「せ、先生、深く考えちゃ駄目です。」
スイが慌てて慰めるが、師匠は気にせず質問を続ける。
「何か神姫流古武術とか聞こえましたが、そんなに昔から神姫ってあったんですか?」
うわ、聞きにくい事を気にせず聞いてしまいおった。
「あー、何か古武術とかにしといた方が強そうだろ?俺様が勝手に考えて仕込んだだけだからな、細かい事は気にするんじゃねぇ。」
てっきり人間の武術の応用かとも思ったが、どうやらもっと適当な代物らしい。
「そもそもウチのやつは戦闘行為が嫌いだから護りの為の技だしな。武器が折れたのは技のせいだが、そっちの神姫を倒したのはトンファーで殴っただけだぜ。」
「戦闘が嫌いなのに火器狩りするんですね。」
「そこは俺がバトルさせてみたくてけしかけたからな。飛び道具相手なら良心も傷みにくいだろうってな。おっと、そろそろ業者が作品取りに来るんで帰るわ。」
「今日はありがとうございました。失礼しますね。」
慌ててスイが覚之進の後を追いかけて店から出て行く。待つ気ゼロだな、あの男。
「どうも初めまして、黒須修司って言います。宜しければお名前を聞かせていただけますか。」
「新津覚之進って陶芸家だ。年齢は39で現在独身で嫁は常に募集中…」
徐々に声が小さくなっていく。ちょっと顔も俯きだしたが大丈夫なのか。
「せ、先生、深く考えちゃ駄目です。」
スイが慌てて慰めるが、師匠は気にせず質問を続ける。
「何か神姫流古武術とか聞こえましたが、そんなに昔から神姫ってあったんですか?」
うわ、聞きにくい事を気にせず聞いてしまいおった。
「あー、何か古武術とかにしといた方が強そうだろ?俺様が勝手に考えて仕込んだだけだからな、細かい事は気にするんじゃねぇ。」
てっきり人間の武術の応用かとも思ったが、どうやらもっと適当な代物らしい。
「そもそもウチのやつは戦闘行為が嫌いだから護りの為の技だしな。武器が折れたのは技のせいだが、そっちの神姫を倒したのはトンファーで殴っただけだぜ。」
「戦闘が嫌いなのに火器狩りするんですね。」
「そこは俺がバトルさせてみたくてけしかけたからな。飛び道具相手なら良心も傷みにくいだろうってな。おっと、そろそろ業者が作品取りに来るんで帰るわ。」
「今日はありがとうございました。失礼しますね。」
慌ててスイが覚之進の後を追いかけて店から出て行く。待つ気ゼロだな、あの男。
「もっと強くなりたいです。もう、夏の時のような思いはしたくありません。」
HOSの事件の事だろう。最初の妨害はともかく、その後の事は仕方が無かったと思うのだが、意外にも気にしていたようであるな。
「そう、数の差など物ともせず、一撃で優雅に吹き飛ばせるほどの力を!!」
「おいアン、この馬鹿をどうにかしろ。」
「無理である。」
「やっぱり基本はパワーでごり押しか必殺技ですかね?ね?」
HOSの事件の事だろう。最初の妨害はともかく、その後の事は仕方が無かったと思うのだが、意外にも気にしていたようであるな。
「そう、数の差など物ともせず、一撃で優雅に吹き飛ばせるほどの力を!!」
「おいアン、この馬鹿をどうにかしろ。」
「無理である。」
「やっぱり基本はパワーでごり押しか必殺技ですかね?ね?」