武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「なぜあなたはにゃあと鳴くの」で検索した結果
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なぜあなたはにゃあと鳴くの
6匹目 『なぜあなたはにゃあと鳴くの』 「そう慌てるにゃ。 近頃の神姫はにゃんでもかんでもバトルで解決しようとするから困るのにゃ。 そんなヤンチャが許されるのはビーダマン全盛期だけにゃ」 その場に座り込んでM字開脚をした馬鹿の 「キャノンショットォ!」 意味不明な叫びが夜空に虚しく消えた。 望楼の欄干を踏みしめていた足からカクッと力が抜けて、頭のネコミミがへにゃんと萎れた。 せめて気力だけは削がれまいとヘルメットの位置を整えて脱力の波に抗ったけれど、その頑張りも虚しく、マオチャオを威嚇するために鋏のように展開させていたスカートが、ネコミミと同様にへにゃんとお辞儀をしたまま持ち上がってくれない。 このマオチャオは夜が明けるまでこんな調子で私を付き合わせるつもりだろうか。 もしそうならば、今度は立ち上がって 「よーし行くにゃハンティングリンクス! オマエの命中精度があれ... -
Are you ready ?
... 6匹目 『なぜあなたはにゃあと鳴くの』 15cm程度の死闘トップへ -
15cm程度の死闘
...? 』 6匹目 『なぜあなたはにゃあと鳴くの』 7匹目 『猫の野望』 8匹目 『G.P.M.』 9匹目 『ワタナベ3号』 10匹目 『ワタナベ3号 vs キャッツアイ』 11匹目 『良きかな』 < 与太話 > 与太話1 : 再販 与太話2 : スマブラ 与太話3 : 第一次戦乙女戦争 与太話4 : 偽りの装甲 与太話5 : 参上! 正義の戦乙女!! 与太話6 : 第二次戦乙女戦争 与太話7 : 週刊少年ジャンプのように 与太話8 : ロストデイズゲーム 与太話9 : トントン 与太話10 : TVアニメ化に喜ぶ戦乙女 与太話11 : 祝! アニメ第一話放送開始! 与太話12 : 人間になるには 与太話13 : あぶないマシロ刑事 与太話14 : 能力って何かね 与太話15 : 小ネタ二つ < コラボ > 消えた犬... -
猫の野望
7匹目 『猫の野望』 ある日、マスターがこんなことを言っていた。 「僕達はさ、世界の歯車みたいなものなんだよ。 たぶん」 マスターが夕飯を食べている時に、随分と唐突に、しかもそれほど改まって聞かされることでもないように思ったので、私は 「はあ」 と気のない返事をした。 そんな考えを私の表情から見て取ったのか、マスターは 「ああ、違う違う、そういう意味じゃなくて」 と話を続けた。 「社会で働いている人を歯車に例えるとかそういうことじゃなくて、なんて言えばいいのかなあ――世の中のすべてのものが脳の神経のような機能を持っていて、僕達の何気ない行動が何かの情報を産み出しているようなイメージなんだけど、どうかなあ」 「えっと、それは一昨日マスターがえっちぃ動画をこっそり見ていて、その行動を見た私に 【憤怒】 という情報を発生させたとか、そういったことですか?」 「だ、だからご... -
フィギュアじゃない
3ページ目『フィギュアじゃない』 「ごめんなさい。私はちゃんと玄関からお邪魔しなきゃ、って言ったんですが、この疫病猫が」 「仲間を売って自分だけ助かろうとするとはオマエ、それでもキャッツアイの一員かにゃ。やれやれ、3rd素体の神姫は、猫を敬うこともできないシケた連中ばっかりにゃ」 「貴様がキャツアイを脱退すればいいだけのことだ。難しいことはない」 「にゃんという暴言! 聞きましたかヤンデレお嬢さん。最近さーほむほむがワガハイに冷たいんにゃよー」 「ヤンデレって私のこと? ねえ私のことなの? って、そんなことより――」 時折、弧域と鉄子の話し声が聞こえてくる孤独な部屋は、三人の闖入者の登場により急に騒々しくなった。 引っ越してきて三年目になるこの部屋は未だ、弧域ですら侵入を許されたことのない姫乃の聖域である。人当たり良く素直で通っている彼女(例外あり)でも、部屋の... -
あなたのかなでたい音色4
SHINKI/NEAR TO YOU Phase02-4 gavotte 「ヒューマノイド・インタフェイス?」 「そう。人によって呼び方は様々だが、ようは人体を模した駆動義体の総称さ」 現在の2030年代に入ってから、人は様々なロボットを実用化してきた。 武装神姫もそうしたロボット開発の中で創り出された、人のパートナーとしてのアンドロイドの一種だ。 武装神姫は日常生活におけるマスコットとしての要求から、その大きさは14から15センチとなった。その一方、医療における義肢・義体の研究、純粋労働力としての可能性の研究としてのロボット開発も行われていた。駆動義体とは、そうした目的で作られた人体、もしくはその部分的な要素を模した機器のことを指す。 「でも、等身大の駆動義体なんて存在するのかしら?」 ふたり仲良く首を傾げる伊吹に、神楽さんが... -
Gene1 解体屋
G・L外伝 ~Gene Less~ 外伝1 解体屋 「しっかし、なかなかセカンドに上がれないよな。まあ仕事の合間に行く位じゃこんなもんか」 「マスター、私の持つような西洋剣は、どちらかと言えば“斬る”ではなく“壊す”なんですよね?」 「ん? ああ、そうらしいな。侍型の持つ日本刀と違って、重さで斬るからそうとも言えるな。あっちの方がいいか? なら変えるぞ」 「いえ、だったらマスターのお仕事と同じだな、と思いまして。いいですよね、ああいうお仕事」 「いい仕事かねえ。きついし汚れるし、割に合わないぞ。まさかそういうのがいいのか、シビル?」 「はいっ! 親方!!」 「親方言うな親方」 瓦解、崩壊、崩落。落下轟音、大粉塵。 「うにゃぁ!?」 崩れ落ちたビル。巻き起こした土煙はにゃーごと世界を茶色に変える。視界を確保するのに大きく後ろへ飛び退く、つーか... -
あなたのかなでたい音色3
SHINKI/NEAR TO YOU Phase02-3 air そびえ立つ高層ビル群の合間に、チカとゼリスは降り立った。 バトルステージ『スカイスクレーパー(摩天楼)』。 種型ジュビジーの標準武装に身を包んだチカは、慣れていない様子でおっかなびっくりフィールドの周囲をキョロキョロと見渡している。 ジュビジーの特徴的な多形成装甲を纏った手や腰を動かしてみては、その表情が不安そうだったり驚いたり緊張したりと繰る繰る変わるのは、ひょっとしたらバトルどころか武装すること自体が初めてなのかも知れない。 慣れた様子で街路の先に佇むゼリスとは対照的だった。 そのゼリスは仮想現実世界で再現された建造物のせめぎ合う交差点の中ほどで、チカに向き合う形で立っている。専用の天馬型武装、蒼と白を基調にした流線的なフォルムに身を包み、トレードマークのポニ... -
Gene4 本屋
我輩は猫である。名前はあるがまだ言わない。 どこで生まれたかとんと見当も付かぬ。何でも食べれもしないのに体が鰯臭くてにゃーにゃー泣いていた事だけは覚えている。我輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれはNEETという人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。このNEETというものは時々我々を捕まえて服を剥ぎ、肉とも魚とも違う生臭い液体を絡め、蚯蚓、いやそれよりは非動物的でしかし生理的な何かを彷彿とさせる幾本もの触手を絡め・・・ 「ってバカ猫っ!! オマエそんな所でサボるなっ!!」 裂空、明音。 「だにゃーっ!?」 落下墜落。 「あたたたにゃ・・・。もー、マスターはいっつも暴力に訴えるにゃ・・・」 「店番サボって本棚の上になんて居るからだろ? ホント、ちょ~っと目を放した隙に消えやがって」 「にゃーは猫ですからにゃ。何処にでも... -
「はるか遠くの始まり」
第2幕「はるか遠くの始まり」 神姫には三つの心がある。そしてその心とは別に頭脳がある。心と頭脳を繋ぐのは、それらに情報を与える肉体である。 神姫にとってボディー、コアパーツ、そして三つのCSCは不可分であり、その三種のユニットが分断される事は機能停止を伴う。 そして一度停止に至った神姫は記憶、経験等が全てリセットされ、再びその個性を取り戻す事は無い。 たとえ全て同じパーツを使用したとしても。 ――心を司るCSC。 過去に記録を宿していながらも真っ白になったその心を、新たな肉体に埋め込まれた神姫は一体何を思うのだろうか。 結城セツナの新たな武装神姫、焔はそういう境遇にいる神姫である。 焔がセツナの元で目を覚ましてから約3週間が過ぎた。 例の事件の際にセツナを救ったとある少女からの連絡を受け、晴れてセツナは自由を再び満喫できるようになっていた... -
幻・其の十七 ~cogito ergo sum~
ここに来るまでは我慢できていた涙が、「ネロ」という言葉を口にしたとたん、溢れ出した。 落ち着くまで、梓は何も言わず、待っていてくれた。 詳しいことは、僕自身よくわからない。ただ、出口で出くわしたあの人が言った「イヴ」という言葉、その後のネロに起こったこと、かすみさんの推測、落ち着いて考え合わせると、その男性がネロの――ネロの主人格を持った神姫のオーナーだった、ということになる。 そんな内容を、梓に話した。 「……矛盾してた。僕とネロの関係」 仮に普通にネロのオーナーが見つかったとして、その後のことを僕は考えていなかった。 「ごめん……。私のせいだよね、それって」 「ううん……」 たしかにオーナーを探そうと言い出したのは梓だけど、それを了承したのは僕だ。梓が悪いわけじゃない。 そもそも、ネロは本来、何処にいるべき子なんだろうか。 ついさっきは、幻でもいいか... -
第七話 あなたの街を宣伝!
第七話 「あなたの街を宣伝!」 五月二十八日、午前十一時五十八分。 そろそろその時がやって来る。 俺もおやっさんも神姫達も、そして店の常連達も緊張した面持ちでテレビ画面を見守っている。 ただ、健五とクレアだけが状況を飲み込めていないようだった。 「あの、輝さん、どうしたの?」 「しっ。静かにしてろ」 「?」 しばらくして、時計の針が十一時五十九分を指す。 同時に画面が、CMから別の物へ変わった。 『この後はmotto!サーチング!』 『今週のグルメコーナーは下町特集! おしゃれなバーから、なんと神姫がいる食堂まで!?』 「「おおーっ!」」 店の中が沸き返る。 「って、ええ!? 今、このお店映ったよね!?」 健五が驚いてこちらを見る。無理も無いだろう。 「どうして!?」 「いや、前に取材された... -
ドキドキハウリン その1
ヒュゥン……。 軽やかな作動音と共に、私の意識は覚醒した。 機体各所の動作チェックの終了を受けて、ゆっくりと視覚素子を起動させる。 目の前にあるのは、人間の顔。 性別は女性。まだ少女と呼んだ方がいいのか、幼さの抜け切らないあどけない表情で、こちらをにこにこと見つめている。 「おはよう。気分はいかが?」 「あなたは……マスターですか?」 いきなりの問いに少女は面食らったのか、軽く目を見開いた。 「あの……」 けれど、マスターの認証は私達神姫にとって一番大事なこと。マスターを定めなければ、私はどう振る舞えばいいのかさえ分からないのだから。 「ふふ、せっかちなコね?」 艶やかな長い黒髪を揺らし、少女はくすりと笑う。 「……申し訳ありません。慣れていないもので」 「いいわ。考えたら、あたしも初めてだもの」 少女の手が私の方へ... -
Gene8 ノミ屋
Gene8 ノミ屋(鳳凰杯乱入スペシャル!) みにゃさん、こにゃにゃちわっ!! にゃ―ことにゃーの助ですにゃ。今日はウワサの鳳凰院グループ主催の武装神姫イベント、鳳凰カップ春の陣(の2日目)に来てるのですにゃ♪ でもホントは初日から来たかったですにゃ~。あのヘタレマスター、出場しないにゃら2日とも行く電車賃無いとかしょっぱいコト言うから悪いんですにゃ~。・・・え? 一応ファーストランカーなのに出る気にゃかったのかって? そんな事してたらブースまわれにゃいですにゃ! ヘタレは賞金稼げとかにゃんとかわめいてましたがにゃ。それにお祭で踊らされるのはにゃーの趣味じゃにゃいのです。つー訳で売り切れないうちにチェック入れた店回るですにゃ。まだ残ってるかにゃ、ALChemistのアクセ。あ、ちなみにヘタレは邪魔なので撒きましたにゃ。 「さてさて、どこからまわろっかにゃ~ ・・・あにゃ?」... -
疫病猫がやって来た2
4匹目 『疫病猫がやって来た2』 「そのマオチャオがアマティ君の前に現れたのはまだ昨日の一度だけなんだろう、そこまで気にすることはない思うけどね」 「そうにゃそうにゃ。 初対面でいきなり不審者扱いされちゃったら、おちおち食パン咥えて角を曲がることもできにゃせん。 今日からワガハイはどうやって主人公とラブロマンスに墜ちたらいいのにゃ」 この季節だと今から帰ったとしても、帰り着く頃にはすっかり暗くなっていることだろう。 私が家を出てこの店 【物売屋】 に到着するまで随分と時間がかかってしまったので、もう店の外の景色には夕の橙が混じり始めていて、今日くらいは早起きをして出かけなかったことを後悔した。 でも今日の昼ドラは絶対に見逃せなかったし、仕方がなかったと自分に言い訳をしてみた。 できるだけ早く帰らないとマスターに心配をかけてしまうけど、装備を傷つけてまでここに来ておい... -
幻・其の十九 ~価値、そして代償~
「……どうして、ですか?」 「そうしないと、そもそもあなたは戻れないのよ。抽象的な話になるけど、ここは今、私とあなたが同時にいる事で、バランスがとれた状態になっちゃってる。どっちかが消えてバランスを崩さないと、どうにもできない」 「そんな……!」 「……気にすることなんかないわよ。初対面だし、私は一度死んでる。遠慮なく刺して頂戴」 確かに、生みの親ともいうべき存在ながら、イヴと私は今まで出会うことはなかった。でも、 「……そうしたら、あなたはどうなるんですか?」 「完全に消えるでしょうね。そもそもが、データの屑だし。文字通り跡形もなく、きれいさっぱり消えるはず」 「……」 「ああでも、運がよければ、あなたに私の記憶データが引き継がれるかもね。まあ、あなたは自分の物じゃない記憶に苦しむかもしれないけど」 いずれにせよ、本来生きているはずのイヴは、完全にいなくなってしまう... -
良きかな
「勝ったのにゃ……ワガハイ達の完全勝利にゃ」 「なにを誇らしげに言ってるんですか、私死にかけたんですよ。 あなたのせいで木端微塵になりかけたんですよ」 「あ、口調が元に戻ってるにゃ」 「しかし俺達はまだ生きている。 二本の足で立っている。 それ以上の何を望む?」 「いやいや、イイこと言ったつもりかもしれませんが、ほむほむもこの疫病猫と同罪ですからね?」 「ホムラと呼べ」 「誰が疫病猫にゃ! 招き猫の一億万倍のご利益があるかもしれにゃいワガハイをボンビー扱いするとは罰当たりにゃ奴にゃ!」 「じゃあ何て呼べばいいんですか。 名前は?」 「ワガハイは猫である。 名前はまだにゃい」 「やかましいです。招き猫の一億万倍のご利益なら、私の身体と装備をどうにかしてくださいよ。 傷だらけ破損上等のボロボロ、おまけに過負荷で全身ちょっと焦げ臭いんですけど。 っていうか泣きたいくらい身体が痛... -
アイドルは神姫を救う? 前編
アイドルは神姫を救う? 前編 あの試合から1ヶ月がたった。恒一はいずると話すことが少なくなり、毎日のように研究所に通っていた。 (恒一、シュートレイがやられたダメージが大きいのが相当ショックだったんだろう…) いずるは彼の姿を見て心配になっていた。 あの試合の後、シュートレイは集中治療室に運ばれた。一命を取り留めたものの、彼女の精神的ダメージは思ったよりも深刻だった。あれ以来、虚ろな状態で何も反応を見せなくなってしまったのだ。おそらく自分が破壊されるイメージが脳裏に焼きついて、トラウマになっているのだろう。日常生活もままならない状態なので、、シュートレイは今もリハビリを続けている。 今日も恒一は小百合の下へ足を運んでいるのだろう。いずるはそんな彼のことを気にかけていた。 「どうしたのいずる、そんなに深刻な顔して」 家に帰ってきたいずるを、ホーリーが出迎えた。彼... -
背比弧域様
零話 『背比弧域様』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 拝啓 突然手紙を渡されて「なんのこっちゃ」と思われたかもしれませんが、こうして今、私の手紙を読んでくれていることを嬉しく思います。 私からこの手紙を受け取った時、あなたは私の表情や仕草、そしてメールというお手軽な手段がある今時になって手紙を渡すという状況から何かしらの思惑を読み取られたことでしょう。 何気ない風を装って渡すつもりなのですが、手紙をあなたへ渡した時の私はヘンテコリンな顔をしてはいなかったでしょうか? もしそうであっても、切羽詰まっていたから仕方なかったと言い訳をさせて下さい。ここまでの文章を書くだけでも手が震えて何度も修正したくらいです。手紙を手渡すその時を想像するだけでも卒倒してしまいそうになります。 でもあなたがこれを読んでいるならば... -
『マッドサイエンキャット』-3/3
『マッドサイエンキャット』-3/3 天気が悪いわけでもなく、まだ正午を少し回った土曜日だというのに、城尊公園のだだっ広さは空きベンチの数に比例するように寂しいものだった。 公園の北端にある水飲み場から見渡す限り子供の姿はなく、弓道場へ向かうご老体が一人とマラソンマンが一人いるだけだった。 マラソンマンは、貯めこんだストレスを振り切るかのようにかなり速いペースで周回している。 薄い長袖の白いシャツにショートパンツ、刈り上げた髪の下で輝くサングラスという格好がサマになっていた。 年齢は四十を過ぎたくらいだろうか。 日焼けした太股に年季が入っている。 コースに沿って遠ざかっていくマラソンマンを目で追っていると、ふと、自分が【走る】という動作をほとんど行ったことがないことに気がついた。 私はマスターに起動された時から飛ぶためのストライカーを買い与えられていた。 両足にレ... -
アマティ、キレる
4ページ目『アマティ、キレる』 ※注意! 新年早々、マオチャオの扱いが悪いです。 壊したりするわけではありませんが、 今年一年を良きものとしたい方は、 申し訳ありませんがトップページへお戻り下さい。 フィギュアじゃないです。MMSです。 アマティと名乗る白い鎧を着込んだフィギュアは装備品を大げさに動かして身振り手振りそう言ったが、姫乃からしてみれば、フィギュアが動いているのだからそれは『動くフィギュア』であるし、MMSと言われてもそれが何の略であるのかさっぱり見当もつかない。 姫乃の理解を待っていたら日が暮れると思ったのか、アマティは「やっぱりMMSのことは忘れて下さい。とりあえずは神姫イコール動くフィギュア、ということにしておきましょう」と強引に神姫の話を切り上げた。 少々つっかかるものがあった姫乃だが、そこは大人らしく堪え... -
キズナのキセキ・プロローグ
キズナのキセキ ~ プロローグ ~ 春。 満開の桜。 数え切れないほどの花が、今を盛りと咲き乱れ、並木道を淡い桃色に染めている。 無数の花びらが音もなく舞い、並木道の先を霞ませる。 早朝の空気はいまだ冷たい。 しかし、差し始めたばかりの朝の日差しからは、春の温もりが感じられた。 桜並木の入り口に、人影がある。 女性が二人。 一人は、ウェーブのかかった長い髪の女性。落ち着いた色合いの服をまとっている。 整った美貌に、これもまた落ち着いた微笑。 いま一人は、ショートカットで快活そうな女性。細いジーパンがよく似合っている。こちらも愛らしい顔に優しげな微笑みを湛えていた。 二人は並んで歩き出す。 その姿が霞みそうなほどの、桜の乱舞。 息を飲むほどに美しい。 その光景の中で、二人の持っているもの……無骨なアタッ... -
CL:第十八話 教育期間
前へ 先頭ページへ 次へ 第十八話 教育期間 なだらかな隆起が続く台地、一面は芝生。二人は丘のひとつのてっぺんに立った木陰に座っている。すべてが高密度のポリゴンと精細を極めたテクスチャと大容量かつ綿密な物理演算その他もろもろによって再現された、コンピュータ内の擬似空間。 「エイダ」 呼ばれて、振り返った。 デルフィがシアン色の瞳を向けていた。肩口できれいに切りそろえられた冷徹な頭髪は、市販のMMS製品に通常使われているものよりも極細で、一本あたりの直径がマイクロメートル単位であるにもかかわらず強度を維持している。 風が通った。デルフィの頭髪が揺れた。エイダ自身のも。同じ髪型なのだから、当然だ。 極細繊維のハイクオリティはこの擬似空間でさえも完璧に再現される。一本一本が独立したオブジェクトとしてモデリングされ、風になびいた。ただし、この空間における物理演算は人間... -
通信塔を越えてゆけ
私があの場所に出入りしていたのはヘンゼルとバトルできる唯一の場所だったからなのだわ。違法だってことは知ってたけど私のせいでああなってしまったヘンゼルの願いを少しでも叶えてあげたかったのよ。…いえ、本当はあんな風になってしまったヘンゼルの言うことを聞いて苦しんでいるふりをして自分を許してあげたかっただけかもね。でもその結果がこのざま。 …ここを出たらどうしたいかって?そうね、まずは迷惑をかけた人達に謝りに行って、ヘンゼルがもう一度普通の場所でバトルできるように一緒にがんばっていくつもりよ。私は自分で自分を許すばっかりはやめようと思う。本当はヘンゼルに許して欲しいんだから。…人形に許してもらうだなんて変だって言わないなんて、あの人と同じで刑事さんも変わっているのだわ。 -違法カジノ摘発の際の調書より抜粋 連続神姫ラジオ 浸食機械 9:通信塔を越えてゆけ 周辺の敵を制圧... -
<朝霧の紅眼>
凪さん家の十兵衛さん 第六話<朝霧の紅眼> それは誰も知らなかった。 それはついに姿を現した。 しかしそのすべてを見た者はいない。 残るのは、紅き殺意の記憶のみ…。 <凪さん家の十兵衛さん第六話『朝霧の紅眼』> 「全小隊!第三小隊の活路を開け!今日で決めるぞ!」 『了解!』 私達は進撃を始める。 既に敵は大軍勢で待ち構えていた。 『ふふふ…待っていたわよ…さぁ、踊りなさい…私の歌で』 「くっ!」 私達の前に立ちふさがった神姫達がいっせいに同じ単語を発する。 私達は身構え、覚悟を決める。 「皆!行くよ!」 『ラジャー!!』 私達の勢いが増す。今日はいける。絶対にやれる!今日こそ終わらすんだ! 迫りくる操られた神姫達。手には今までの戦いで奪ってきたであろう様々な武器が装備されていた。 「はぁぁぁ!」 私はそれらを電磁警棒の一撃で黙らせる... -
幻・其の十六 ~在処~
「どう……なんですか、かすみさん?」 メンテベッドに繋がれたコンピューターを操作する私の耳に、不安そうな慎一君の声が、さっきから断続的に入る。 ネロの状態は、表面上、安定していた。 ただ。 「……まったく、反応がありません。AIの処理がループしているか、あるいはAI自体が反応を拒否しているか……は、わかりませんが」 「そうですか……」 そう答える慎一君の顔は、私を見ていない。ネロを見ている。けど、ここにいるネロじゃなく、動いていた時の彼女を。 「はやて、慎一君を送って行って」 「え、あ、お、おう!」 あんまり、はやてを外へは出したくなかったし、なにより私自身、はやてに傍にいてほしかったのだけれど、今、適任者ははやてしかいない。 ここからの話は、今の慎一君に聞かせられる話じゃない。 二人が部屋から出たのを見届けて。 「……話して、くれますね?」 自分... -
十五センチメートル程度の死闘 ~2/2
十一話 『十五センチメートル程度の死闘 ~2/2』 エルとメルも連合軍に加わり、圧倒的な物量によるゴリ押しで瞬く間にコタマとマシロがハントされるものと、俺と貞方は見ていた。以前コタマが数多のアルトレーネを葬ったところを目撃したことがあったが、あれはアルトレーネが理性を失っていたからこその芸当で、今回は多種多様な神姫が出来合いとはいえコンビネーションを組んで襲いかかるのだ。 だが俺と貞方の予想を、神姫達によるタクティクスを、コタマは上回った。 一斉に繰り出された武器の間を、体躯が小柄になったコタマは地を這うほど姿勢を低くして走り抜けた。以前まではゆっくりと歩きファーストとセカンドを動かすだけだったコタマが、積極的に動いたのだ。言ってみれば足が早くなっただけでも、これがどれだけ脅威であるかは、コタマを知る者であれば容易に想像がつく。 「せいやっ!」 コタマは走... -
ワタナベ3号
9匹目 『ワタナベ3号』 「なにするにゃー!? 狙いが違うにゃー!」 頭を抱えた疫病猫の絶叫が響く。 ノートパソコンの画面を砕いたワタナベ3号のロケットパンチ 『遺憾の意』 は見事、表示されっぱなしだったカシヨのプライバシーを隠すことに成功した。 ……モニター叩き割るってどんだけ威力があるのよ。 あれが私に向けられていたらと思うと、ゾッとする。 神姫があんなものを食らったらひとたまりもないじゃない、なんてものを持ち出してくるのよ、あの疫病猫。 せめてちゃんと手懐けてから出しなさいよ。 いや、手懐けていたら今頃粉々になってたのは私だけど。 「どうしてくれるのにゃ! パソコンがにゃいとワガハイの計画が頓挫してしまうのにゃ! 言う事を聞くにゃワタナベ3号、オマエが狙う的はあっちにゃ!」 そう言って、疫病猫は私を指差した。 「ちょっ!? あんなの当たったらひとたま... -
土下座そのいち
ハウリンタイプ武装神姫である私が初起動し、自身のパラメータチェックをしながらブリスターパックから身を起こしつつ周囲を見回すと、 ――目の前に、オーナーと思わしき人物が正座していました。 「はじめまして」 「……?! こ、こちらこそはじめまして!」 正座のまま深々と頭を下げるその姿に一瞬あっけにとられつつも、慌てて箱から外へでてる私。 そして床――正確には卓袱台の上のようです――で、同じように正座……は武装神姫の関節構造上不可能なので、精一杯それに近い姿勢をとり(orzな姿勢です)、負けないくらいに深々と頭を下げます。 たっぷり10秒数えて顔を上げると、同じく顔を上げたオーナー(仮)と目があいました。 「あの、あなたが私のオーナーですか?」 「はい、僕があなたのオーナーです。あなたは、僕の武装神姫ですか?」 「はい、ただいまオーナー認証登録を完了... -
日記その六 デートと波乱は紙一重
「なにも待ち合わせまでしなくてもいいんじゃないか?」 誰に問いかけるまでもなく独り言を言った俺はテーブルの上にあるコーヒーを口にはこぶ 今俺がいるのは喫茶店<日々平穏>、俺のお気に入りの場所のひとつだな なんと言うか居心地がいいんだわ ほのぼのできるというか和むというか落ち着ける感じが俺の心を癒してくれる …いつも騒がしいうちにいるからかな? 「明人しゃん、おかわりいかがなの?」 そういって目の前のテーブルの上に現れた一体の神姫はここの看板娘もとい看板神姫のネムちゃんである このほのぼの空間のもとは彼女なんだろうな 同じマオチャオでもうちの御転婆ミコとは大違いだなぁ……日々のしつけかしら? 「ハックション!!」 ん? デカイくしゃみだな…外から聞こえたが… やっぱり最近寒いから風邪でも流行ってるのか? でもな... -
ドキドキハウリン 外伝10
リノリウムに覆われた細く長い廊下。そこに灯る明かりは、たった二本の蛍光灯だけだった。 「あの犬野郎は?」 「隣の棟で検査してるって聞いたけど……」 設えられた簡素な長椅子に座っているのは、ボクとジルの二人だけ。無機質な緑と白の光景は、病院の待合室を連想させるに十分なもの。 「遅いね……静姉」 「……ああ」 ジルも長話をする気にはなれないのか。それだけ呟いて、後は黙ったまま。 壁の時計は二十時を過ぎていた。 大会を終わらせたボク達が、ここ……EDEN-PLASTICSの中央研究所に着いたのは十六時を少し過ぎた頃。その時には花姫はとっくに研究室の中に運び込まれていたから、かれこれ五時間近くが経っている計算になる。 その間、花姫はおろか、静姉が出てくる気配もない。受付のお姉さんに案内されてきたんだから、間違ってるはずはないと思うんだけど……。 一度声を掛けてみよ... -
武装神姫のリン 鳳凰杯篇その5
武装神姫のリン 鳳凰杯篇 その5 あちらはマスター同士、こっちは神姫同士ということで私は部屋から逃げ出てしまったミカエルを追います。 互いに死力を尽くした(精神的に言えば彼女はもっと苦しかったと思います…)バトルの直後で"疲れ"が出ている頃。 それほど遠くには行けないと解っていてもミカエルとの距離が一向に縮まらないことでやはり私は焦りを感じてしまいます。 身体の状態など気にしないほど悲しみは彼女の心を支配しているはずです。 なぜなら、その悲しみは想像しただけでも恐ろしく神姫にとっての絶望そのものなのですから。 彼女をそのままで終わらせるのは"約束"をした仲の自分が許せない。だからこそ私ももう一度気を引き締めて必死に彼女を追います。 とその瞬間ミカエルが通路を横切ったスタッフにぶつかりました。 「うわ!」 そ... -
キズナのキセキ・予告編
キズナのキセキ・予告編 武装神姫SSまとめ@wiki presents ゲームセンターで囁かれる噂がある。 そのマスターと神姫は、あちこちのゲームセンターや神姫センターに現れる。 神出鬼没。 不意に現れて、有名プレイヤーや実力者とバトルする。 実力も相当なもので、ファーストリーグのランカーに匹敵するという。 しばらくそのゲーセンでバトルをすると、今度は違う店に現れる。 何かを探していると言うが、その目的は誰も知らない。 マスターは女性で、目を引く美貌の持ち主。 神姫はイーダ型のカスタムタイプ。 二人はいつしか、こう呼ばれるようになった。 放浪の神姫『異邦人(エトランゼ)』 と……。 キズナのキセキ ~ 予告編 ~ 久住菜々子とミスティの前に現れた、最強の、そして宿命の敵。 『狂... -
あなたのかなでたい音色1
SHINKI/NEAR TO YOU Phase02-1 ouverture アナタノネイロヲ、キカセテ ♪♪♪ 六月といえば梅雨だ。ところであれだけ雨が降る月の呼び名が「水無月」というのはどういうことだろう? そんなことを思った有馬駿(アリマ シュン)がゼリスにふと尋ねてみると、彼女は手にした大判の書籍を抱えたまま返事を返してきた。 「旧暦では水無月は現在でいう7月に相当しますから、梅雨明けというところから『水の無くなる月』という呼称がつけられたそうですね。また、その由来から外れることとなった現在においては、降水によって天の水が無くなるという解釈が適用されると言われます」 すらすら答える彼女――背丈14cmほどの小さな自動人形(オート・マタ)の少女はシュンの武装神姫、ゼリスだ。 「けどさ、今年なんかはホントに水... -
「美咲さんと先生」第二話
触手と美咲さん こんにちは。フブキタイプの美咲です。主である先生の神姫をさせていただいています。 今日も今日とて、広大なテーブルの上を手磨きで磨いております。このテーブルは本当に広く、バトルフィールドとして使用できそうなほどです。バトルフィールド・テーブル。……響きがもう不人気確定ですね。 このテーブル、実はそれほど汚れていませんし、毎日磨くほど汚れもしないのです。それでも私が磨くのは、私が起動したての時に先生に『私にお手伝いできることはありますか?』と聞くと『いいえ、何も。あなたは何もしなくても大丈夫ですよ、美咲さん』と言われたのです。その時、私は、主である先生のお役に立つことのできない不甲斐ない駄目神姫なのだと絶望すると、『そ、そんなに落ち込まないでください! ……そ、そうだ、このテーブル、このテーブルを磨いてください! それはもう、顔が写るが如くピカピカに!』といった具合で、... -
愛と情熱のタッグバトル 前編
愛と情熱のタッグバトル 前編 『やったー、今回も來華選手の大勝利だーっ!!』 とあるバトル会場、竜崎賢市率いる『チームフレグランス』は経験値稼ぎと言わんばかりに地域大会に出場、堂々と勝利をつかんだのだった。 「おつかれ來華、今日もいいファイトだったよ」 カプセルから出てくる來華を賢市は迎えてあげた。 「もち、楽勝だったよ。必殺の『六方爪激斬』、見てくれた?」 「ああ、ここ数ヶ月お前も腕を上げたようだ。僕もお前の事を誇りに思ってるよ」 しかし賢市の側で思わしくない顔で見ている人、いや神姫がいた。 「あ、あれ?凛花姉、嬉しくないの?」 來華の質問に凛花は何食わない顔で答えた。 「さっきの試合を見ていたけど、あなたは相手に突っ込み過ぎる癖がありますわね」 あくまでも冷静な視線でバトルを見ていた凛花は、妹に対して冷たい言葉を発した。そのような態度を見... -
第二十五話 俺がメリーで私がアキラさんで 中編 ~女神様の憂鬱~
第二十五話 「俺がメリーで私がアキラさんで 中編 ―女神様の憂鬱―」 ※※※ 城ヶ崎玲子の仕事場兼住居は、横浜市内の小さなマンションの一室にある。 六畳間ほどの部屋には、ベッド、パソコンラックと小さなテーブル、それから床中に散乱した電子機器のコードや、片づけられていない衣服。かなり雑多な印象を受ける。 「ふーふーふーん♪ ふぅーふぅーふーん♪」 玲子は回転いすに座って、何やら上機嫌でキーボードを叩いていた。服装は薄い紫色のキャミソールにショーツという、少々刺激的というかだらしない恰好。パソコンにつながったクレイドルが時折赤く発光し、扇情的な陰影を浮かび上がらせる。 「……玲子、少しうるさいわ。静かにして頂戴」 玲子の右手、ベッドの頭の方から声がかけられた。アテナが、玲子に図書館から借りてこさせた本の上にまたがって読んでいるのだった。彼女の周囲だ... -
Gene19 母屋
――まいごのまいごのこねこちゃん~―― 「にー、にー。ここどこですにー・・・」 ――あなたのおうちはどこですか?―― 「ご町内のミナサマ方~、ナツいアツににゃー印アイスはいかがですかにゃ~♪ 今日は新製品のまたたびアイスも・・・・ にゃ? アレ誰にゃ?」 「浅草名物(?)雷おこしアイスもあるんでぇ・・・ ってにゃーの助! いきなり荷車止めるんじゃねえよ!!」 「いやシナトラ、そこで妙な神姫が鳴いてんだにゃー。アンタ、そんなトコでうずくまってどしたにゃ?」 「・・・にー?」 「何処から来たんでぇ? マスターはどうしたよ?」 「ますたー? おかーさんのことですかにー? ・・・おかーさん、いなくなっちゃったですにー」 ――おうち~をきいてもわからない、なまえ~をきいてもわからない―― 「にーにー」 「迷子の神姫てぇか? あんまり見ない色だが、にゃーの助と同じ猫型... -
戦う神姫は好きですか 最終話後編
戻る 先頭ページへ 「けーくん!」 薄暗いそこに、初めてまともな光が射し込んだ。 半壊して片方が開かないドアをくぐりぬけ、孝也は切羽詰った様子でバトルマシンに駆け寄った。 「……何しに来たんだよ」 恵太郎の声を無視した孝也は、それを見て絶句した。 「間に合わなかった……!」 孝也がそう呟いたのとほぼ同時。ずるり、とアンクルブレードがアリスの手から抜け堕ちた。 武装神姫の心臓たるCSCを白刃によって貫かれたナルは、眠っているように目を閉じている。 それでいて、その表情は何とも幸せそうだった。 「けーくん、何でこんな事をっ!」 孝也は普段の様子からは考えられない剣幕で恵太郎を捲し立てた。 しかし、それが応えた様子も無い。 「お前には、関係無いだろ」 そう冷たく言い放った恵太郎に、孝也が思わず掴みかかった。 「関係無くないだろ!……君島さんも... -
キズナのキセキ・ACT1-14:謝ることさえ許されない
キズナのキセキ ACT1-14「謝ることさえ許されない」 ■ また。 また視界に映るすべてのものが灰色に見える。 わたしの目の前には、大きな鉄の扉。 人間の大人が一人で開けるのも大変そうな、重い扉。 その一番上にランプが赤く光っていて、それだけがわたしの目に色づいて見える。 ランプは文字を表示している。 『手術中』 ……マスターはさっき、この扉の奥へ連れ込まれた。 港の倉庫街での一戦の後。 すぐに救急車が呼ばれた。 大城さんがマスターについて救急車に乗ってくれて、わたしを病院まで一緒に連れて来てくれた。 病院に着いて、お医者様の診察を受け、間をおかずに手術することになった。 当然だった。 救急車の中でうつぶせにされたマスターの、傷ついた背中。そして左手。 わたしが見たって、普通じゃない傷つき方。... -
絶望の先
神姫の願いを叶えるために強くあり続けようとした大地さん。 自分が壊してしまった神姫を守るために大人になろうとあがくグレーテルさん。 己の神姫を愛するが故に他の全てを踏みにじっても最高の神姫を作りたかった西園寺。 神姫という夢に背を向けて現実を突きつけてきた楓。 僕とプルミエは・・・ 連続神姫ラジオ 浸食機械 18:絶望の先 通気口の中に爆音が鳴り響く。コウガの元に潜入しようとして選んだ進入経路内で僕たちは彼女らの熱烈な歓迎を受けていた。多種多様なロボット、ゾイド、MS、さらにはイリーガル事件の際に見られたネイキッド素体達が次々と襲いかかってくる。 「全く、こんな所まで出張ってくるなんて、あきらめの悪い人ですね」 「自分が死ぬこととか考えてないんでしょうか?」 「もっと賢い選択をするべきですよ、あなたは人間なのですから」 「そもそも... -
ACT 1-18
ウサギのナミダ ACT 1-18 ご注意: この物語には、ツガル戦術論の若干のネタバレが含まれます。 こちらをお読みになる前に、ツガル戦術論をお読みになることをオススメいたします。 ■ 「わたしのこと、知っているのね」 『レッド・ホット・クリスマス』のシルヴィアさんは、わたしにそう言う。 わたしは素直に答える 「はい……わたしのマスターから聞いたことがあります。ツガル・タイプではとても有名な神姫だと」 「有名ね……」 シルヴィアさんがそっぽを向いた。 ミスティが吹き出した。 「そりゃ有名よね。いろんな意味で」 まわりの神姫も笑い出した。 シルヴィアさんは、ばつが悪い顔をしながらも、まんざらでもない様子。 よくわからない。 ミスティが笑いながら、わたしの肩を叩いた。 「どうし... -
小ネタ二つ
与太話15 : 小ネタ二つ ■■ 進撃の人間 ■■ 今から100年以上前、神姫は人間の支配下に置かれていた。 勝ち目のない争いを強いられてきた我々はその後、支配から逃れることができた者によって、人間の超えられない3重の巨大な【壁】を築き、人間の存在しない自由な領域を確保することに成功した。 一番外側の壁を【ウォール・マリア】。 その内側の壁を【ウォール・ローゼ】。 最も内側の壁を【ウォール・シーナ】と呼ぶ。 壁によって守られた神姫はその内側で100年の自由を実現させた。 「しかしにゃ……、その自由も終わりを告げたのにゃ」 5日前、突然表れた【超乱暴型人間】によって【ウォール・マリア】を破壊され、人間の侵入を許してしまった。 次々と侵入する人間を阻むことはできず、神姫は【ウォール・マリア】を放棄し、活動領域を【ウォール・ローゼ】まで後退させた。... -
キズナのキセキ・ACT0-2:ひどい顔
キズナのキセキ ACT0-2 ひどい顔 ◆ 「神姫センターに行きましょう!」 「前から訊いてるけど、何しに行くのよ」 「前から言ってますが、もちろん、バトルをしに、です!」 「前から言ってるけど、イヤ」 「これも前から言ってますが、なぜマスターは神姫センターに行くのを嫌がるんですかっ」 ミスティは菜々子に、まなじりをつり上げて見せた。 菜々子はため息をつく。 ここのところ、同じ会話ばかりだった。 ミスティはどうしても神姫センターに行って、バトルロンドで対戦がしたいようだ。 それは武装神姫のAIにプログラムされた、闘争本能みたいなもの、なのだろうか。 一方、菜々子はバトルに興味がなかった。 頼子さんは対戦仲間に引きずり込みたいと思っているのだろうが、あいにく菜々子にその気はない。 菜々子はミスティが気に入り始めていた。小... -
ワタナベ3号 vs キャッツアイ
10匹目 『ワタナベ3号 vs キャッツアイ』 ゲイルスケイグルの名を改めた(だけの)矛、アメノヌボコを下方に向けて構え、重力を付加してワタナベ3号の頭部めがけて急降下する。 武装が身体から剥がれそうになるほどの、際限のない加速。 「『サガタガヘヤサカ!』」 この技は気持ち悪くなるし少し怖いからあんまり好きじゃないけど、私が持つ技の中で一番威力が高くて速い。 あと50センチというところでワタナベ3号に気づかれたけど、もう遅い。 「次は絶対外さない!」 あと10センチ――そこで唐突に、貫くべき頭を見失った。 「うええっ!?」 ギインッ! 直前まで頭部があった場所、固くて平な板に矛が突き立った。 ちゃんと着地できたけど、今の私だと地力以上の速度が出るから着地の衝撃も過度なものになって、脚が痺れて立ち上がれない。 人間大のワタナベ3号の、無駄に広い肩の上に跪いて... -
キズナのキセキ・ACT1-3:かりそめの邂逅
キズナのキセキ ACT1-3「かりそめの邂逅」 □ 「その時から……菜々子は以前の明るさを取り戻していったのよ。わたしにも謝ってくれた。 頼子さんもつらかったのに、わたしばかりわがままでごめんなさい、ってね」 頼子さんはそう言って、目尻を拭った。 頼子さんによれば、菜々子さんは学校の友人たちにも謝って、また仲間の輪に戻ったのだそうだ。 自分の過ちを素直に謝ることができるのは、菜々子さんの美点だと思う。 間違いを認め謝罪するのには、誰しも少なからず臆病になるものだ。 彼女はそれを素直にやってのける勇気を持っている。 その勇気を呼び起こしたのは、間違いなく、桐島あおいという人だった。 「わたしは今でもあおいちゃんに感謝しているわ。あの子に会わなければ、菜々子はどうなっていたか、わからない」 「……その、桐島あおい、という人は... -
ACT 1-30
ウサギのナミダ ACT 1-30 □ ティアと共に、歩き慣れたこの道を歩くのは、実は初めてだと気がついた。 はじめの時はティアの電源は切っていた。 その後の時には、ティアは一人アパートに残って自主練していた。 「まあ、それでお前が家出したのは、苦い思い出だが……」 「言わないでくださいっ」 ティアは俺の胸ポケットに顔を埋めて恐縮する。 俺は苦笑しながら、ゆっくりと歩いていく。 手には、いつものようにドーナッツの箱。 今日は海藤の家に向かっている。 ゲームセンターに出入りできなくなった俺は、いい機会だととらえることにして、お世話になったところに挨拶まわりに行くことにした。 海藤の家に来るのは、前回からそれほど経っていなかったが、随分前のような気がする。 その短い間に、あまりにも多くのことがあり過ぎたの... -
ドキドキハウリン その18
目の前に広がる世界の全てが、灰色に見えていた。 果てしなく伸びていく灰色のアスファルト。 視界の左右を覆う灰色のビル。 歩く人間達の姿は皆一様の灰色で。 見上げた空でさえ、灰色だ。 灰色。 灰色。 灰色。 全て灰色の街。 朝通ったばかりの道のはずなのに。世界がこんなに灰色だなんて、思いもしなかった。 灰色の中。 灰色の喧騒を抜け、灰色の路地を歩き、また灰色の大通りへ。 この街では神姫の一人歩きなど珍しくもないのだろう。灰色の人間達は、私の存在など見えていないかのように無言で歩いているだけだ。 やがて、灰色の交差点へ。 歩みを止める。 目の前のビルにあるのは見たこともない看板。 灰色の信号に提がる灰色のプレートには、聞いたこともない地名が書き込まれている。 迷った。 ……迷った? 迷ったって……。 迷うなんて、... -
第9話:高校と友人と
がやがやわいわいとざわめき立つ教室。 そりゃまぁ、めんどくさーいHRも終わり、これからやっとの放課後に相成るわけで。 腕伸ばしておしゃべりやら、したくもなるわなぁ。 でも、最近俺は即お帰りの超・帰宅部なわけですが。 もちろん、愛しのさっちゃんに会いに行くって大変なお題目があるからさッ。 さっちゃんとまさかの再開からそこそこ経ったわけだけど、段々笑顔が見え隠れしてきている気がする。 これが俺のおかげだったらいいなぁー、とか、すごい自惚れてみたいんだけど。 昔の、太陽みたいな笑顔と腰の入った右ストレートが懐かしい。 ……こればっかりは時間、かけるしかないよなぁ。 少しずつ近づいていこう。 「相沢ちゃーん、最近一人でどこいってるのぉー?」 カバンを手に、席を立った矢先、とっても聞き覚えのあるお声がひとつ。 「そうだぞ、こないだもゲーセンめぐり断... -
無頼5、歌詞一覧
このページには無頼5「熱唱! 武装神姫」にて使用した各曲の歌詞を掲載します。 ご自由に使用してよろしいですが、使った後に掲示板で報告していただけるとありがたいです。 輝けバトルロンド! 作詞・作曲、歌:零牙 光り輝くステージライト 広がる無限のバトルフィールド 武装を身につけ 大地に立て! 戦闘開始だ 武装神姫 (Fight!) 火花散る 光が舞う 刃がぶつかり音立てる 戦え 戦え! ジャッジが下るまでが戦いだ! 信念ぶつけ舞いあがれ 戦う姫 その名は神姫 ○この歌は本来大会のオープニングとして使われるはずでしたが、当初と書き方を変えたために零牙の持ち歌となりました。 零牙は武人然とした性格ながらも、意外とこうゆうのが好きなのです。 偽りの声 作詞・作曲:A88(風間健人) 歌:グレース ... - @wiki全体から「なぜあなたはにゃあと鳴くの」で調べる