武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「やめとく。」で検索した結果
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やめとく。
やめとく。 やっぱり迷惑をかける事ができない。 ある意味打ち明けた方が気が楽になったかもしれないが、今の俺には丁度いいかもしれない。 俺は金を上着の内ポケットから一つの札束をカウンターに投げつけ、ブツを持って店を出て行こうとする。 「閃鎖ッ!」 「………」 オヤッさんに呼び止められ、後ろ姿を見せながら俺は立ち止まる。 いったいなんのために引き止めたのか。 「いや…なんでもない」 「………」 俺は再び足を動かしドアを開けた。 その時、カランカランと鳴るベルが鳴る。 いつも聞き慣れてる音が異様に寂しさがヒシヒシと俺の心に伝わってきた。 その時だ。 「死ぬなよ…」 「…あぁ……」 ガチャン ドアが閉まった。 アンダーグラウンドの夜中の生暖かい風が頬にあたる。 徐に煙草の箱を取り出し、煙草を口に咥え火をつける。 紫煙... -
第四章第弐節:覚悟と決断
...んに打ち明ける。 やめとく。 -
幻・其の十一
8月1日。 目が覚めて時計を見てみると、針は朝の九時を指していた。普段なら寝坊なんだけど、今日はなんとなく、起きるのが億劫だった。もう一度、ベッドに倒れこむ。 結局昨日は、ミナツキと顔を合わせるのが怖くて、彼女の電源を切りっぱなしにしてしまった。修也さんも、一日中いなかったから、家がやけに広く感じた。 寝返りをうつと、机の上のクレイドルが目に入った。慌てて体ごと向きを変え、目をそらす。 ……自業自得なのに。こっちに越してきて、寂しいからって入学祝いに買ってもらって、それで、これ。 やっぱり私、最低だ。 家にいても落ち込むだけな気がしてきた。部屋を出てみると、今日も修也さんはいないらしい。 身支度をして、私は外に出た。 住宅街から駅前へ出て、特に当てもなく、商店街をぶらつく。そうしたら、 「あれ? 梓、一人で何してるの?」 聞き覚えのある声。振り... -
Nagi the combat princess 第1話『ナギのごとく!』1
前へ 神姫とは。 ある世界においては、全稼働型の美少女アクションフィギュアのことである。 神姫とは。 またある世界においては超高性能AIを搭載した、主人に従う心と感情を持つフィギュアロボットのことである。 神姫とは。 古今東西あらゆる属性を取りそろえ、抜群の容姿と戦闘力を兼ね備える完璧超人(?)である。 神姫とは。 主人の好機に槍となり、なにより生活に潤いを与えてくれる存在である。 そして鷹峰家の神姫とは…… 『ハーヤーテー!!』 別に東京の朝空に響き渡ってはいないが、ハヤテは少女の声を聞き即座に自分のベッドから飛び起きた。 鷹峰ハヤテは十五歳。職業は高校生……予定。 予定というのは、今は中学校卒業後の高校への準備期間であり、まだ高校生ではないからである。 「……どうしたの、ナギ」 眠たげな... -
第壱章第二節:武装神姫についてと俺について>
{武装神姫についてと俺について} あの事件(俺の後頭部が机に炸裂)から一週間が経った。 アンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカは色々な事をはじめた。 アンジェラスとパルカは料理や掃除がやりたいと言い、俺は武装神姫用の包丁や掃除機とかを作り渡した。 クリナーレは何か運動するものが欲しいと言い、俺は武装神姫用のダンベルとか作り渡した。 ルーナはパソコンがやりたいと言い、俺のパソコンを貸した。 まぁ、人それぞれに趣味があるのは当然な事。 だから俺は、こいつ等が何が欲しいとか何が必要とか言われれば作ったり準備してやった。 とても良い事だと思う。 だが、やる分には構わないが余計な事はしないで欲しかった。 アンジェラスとパルカは料理にしろ掃除にしろ全然使い方が酷かったために台所は地獄と化し滅茶苦茶になるし、クリナーレはダンベルをグルグルと回し俺が『危ないぞ』と言った瞬間にク... -
第壱章第二節:武装神姫についてと俺について
{武装神姫についてと俺について} あの事件(俺の後頭部が机に炸裂)してから一週間が経った。 それからというものの、アンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカは色々な事をしはじめた。 アンジェラスとパルカは料理や掃除がやりたいと言い、俺は武装神姫用の包丁や掃除機とかを作り渡した。 クリナーレは何か運動するものが欲しいと言い、武装神姫用のダンベルとか作り渡した。 ルーナはパソコンがやりたいと言い、俺のパソコンを貸した。 まぁ、人それぞれに趣味があるのは当然な事。 だから俺は、こいつ等が何が欲しいとか何が必要とか言われれば作ったり準備してやった。 だが、やる分には構わないが余計な事はしないで欲しかった。 アンジェラスとパルカは料理にしろ掃除にしろ全然道具の使い方が酷かったために台所は地獄と化し滅茶苦茶になる、クリナーレはダンベルをグルグルと回し俺が『危ないぞ』と言った瞬間に... -
ねここの飼い方、そのじゅう(にかいめ
ねここは笑っていた それが私たちに心配をかけない為だという事は、痛いほどわかっていて でも私が慰めても何にもならない ねここ自身が自分の気持ちに決着を付けないと ねここの飼い方、そのじゅう にかいめ 「あ~、疲れたねぇ。さて、ご飯の支度にしますかっ」 「はぁ~い☆ ねここエビフライがいいの~♪」 私たちはエルゴでの大会から帰宅。ねここはその大会で3位と、大健闘だったと思う。 思うのだけど、今のねここは見ていて少し痛々しい。 カラ元気も元気のうちとは言うけれど、それすら空回りしている気がして。 今も私の上で元気にはしゃいでいるけども、どことなく無理して声を上げているのが私には見え見えで。 でも、ねここが決めたことだから。 甘えても良いよって言ってるのに甘えてこないのは、ねここの成長を促すものだと思うから。 子猫は何時までも子猫... -
無頼6「第二の神姫、起動」
今日の授業も、MMSを使った犯罪がテーマとなった。 社会問題となっているMMSによる犯罪。 MMSはそのサイズと価格から、犯罪に使われやすいようだ。 そんなことはどうでもいい。それよか今の僕は懸案事項を抱えているのだ。 「形人、弁当食わないなら俺が頂いちゃうぞ?」 見た時、風間はすでにダシ巻き卵をつまんでた。 「おいこら! 人の楽しみを盗るな!」 僕は風間の手を叩いた。 懸案事項とは、この間の大会で入手した武装神姫一式を指す。 それのセットアップをしなければならない。 ちなみに風間の賞品はグレースと同じVulcan Lab製のイルカ型神姫「ヴァッフェドルフィン」だとか。 このパターンでいくと、僕の賞品はヒカルと同じMagic Market製のマーメイド型神姫「イーアネイラ」のはずなんだが…。 目の前にあるのは、武装神姫の有... -
あなたのかなでたい音色1
SHINKI/NEAR TO YOU Phase02-1 ouverture アナタノネイロヲ、キカセテ ♪♪♪ 六月といえば梅雨だ。ところであれだけ雨が降る月の呼び名が「水無月」というのはどういうことだろう? そんなことを思った有馬駿(アリマ シュン)がゼリスにふと尋ねてみると、彼女は手にした大判の書籍を抱えたまま返事を返してきた。 「旧暦では水無月は現在でいう7月に相当しますから、梅雨明けというところから『水の無くなる月』という呼称がつけられたそうですね。また、その由来から外れることとなった現在においては、降水によって天の水が無くなるという解釈が適用されると言われます」 すらすら答える彼女――背丈14cmほどの小さな自動人形(オート・マタ)の少女はシュンの武装神姫、ゼリスだ。 「けどさ、今年なんかはホントに水... -
作戦03「店の守護者」
「ねえおじいちゃん、この店って地下室あるよね?」 「ん? 倉庫に自家発電室に物置部屋が二つな」 ふと聞いてみたの。 「物置っても、片方鍵かかってるの変だよ」 「フム、その内な」 「けちー、今でもいいのー」 どうして教えてくれないの? わたしなにかまずい事言った? ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 夜、閉店後。 「……スィーマァ」 「みゅ…どうしたんですか? ますたー」 「名目上第二物置になってる地下室を偵察してきてなの」 「ふぇっ!?」 夜の地下室は不気味だというのに、すすみはあろう事かスィーマァに頼んだ。 「い…いってきますぅ…」 明らかに足がガクガクしてるが、すすみは黙って見送った。 …… 自分サイズの懐中電灯(フラッシュライト)を手に、スィーマァは神姫にとっては少し大きい段差を降りて行った。... -
Nagi the combat princess 第1話『ナギのごとく!』5
前へ 「……それじゃあ今日はこれまで。 明日から授業だから、今日配った教科書を忘れないように。 それでは、起立」 その声でクラス全員が立ち上がる。 「礼」 先生の号令に合わせて、クラス全員がさようならと言う。 「あぁそうそう、図書室も開いてるから興味のある人は行ってみたらどう? それじゃあ私は行くわね、さようなら」 先生はそれだけ言うと、荷物をまとめてすぐに教室を出て行ってしまった。 登校初日はこれにて終了、ハヤテの周りはざわざわとしており、皆は高校での新しい友人層の開拓をしているようだ。 「……さて」 だがハヤテは荷物をまとめ、すぐに教室を出た。 階段の所の広間に行き、周りに誰もいないことを確認するとバッグを開き、ナギと対面する。 『終わったのか?』 「うん。 さあ、帰ろう」 『友達とかは作... -
Nagi the combat princess 第1話『ナギのごとく!』2
前へ 『ハヤテーーーーーーーーーーーーっ!!!』 「……ん……」 『ハヤテーーーーーーーーーーーーっ!!!』 「もう朝……?」 『ハヤテーーーーーーーーーーーーっ!!!』 ハヤテの朝は携帯電話から鳴り響くナギの声で目が覚める。 『ハヤテーーーーーーーーーーーーっ!!!』 「んん……」 『ハヤテーーーーーーーーーーーーっ!!!』 ちなみにこの声は神姫の「ナギ」の声ではなく、ハヤテのごとく!の携帯サイトで買った「三千院ナギ」の着ボイスをアラーム設定したものである。 『ハヤt「はい、ストップ」 スマホから延々ループするボイスをストップさせ、ハヤテは眼をこすりながら起きあがった。 「太陽って…… なんで毎日登るのかなぁ」 『それは私のセリフだぞ』 「……ナギ」 ナギはすでに起きて... -
末路
注意:この話はエロ・グロ・神姫破壊が含まれた打ちっ放し短編です。それでもいいよとおっしゃられる方はどうぞ。 連続神姫ラジオ 浸食機械 ~ファタモルガナ~ 1:末路 「そーれ」 少女の軽快なかけ声と共に空を切る音が響く。続いてグチュっと言う音と 「ひぎゃぁう」 奇妙な叫び声があがった。 「大命中、やっぱり私はすごいね、マスター」 先ほどかけ声をあげた少女が振り返り僕に語りかける。少女と言っても彼女はニンゲンでは無かった。全長16センチの機械仕掛け、武装神姫と呼ばれるロボットである。彼女はカブトムシをモチーフにしたランサメント型と呼ばれるタイプだ。しかし彼女は製品版とはカラーリングが異なっている。武装はシルクのような光沢のある白に塗られている。素体も白をを基調として所々... -
CL:第十七話 憧憬
前へ 先頭ページへ 次へ 第十七話 憧憬 『クエンティン、よろしいですか』 「えっ?」 シャフト内を降下するクエンティン。罠や待ち伏せがないか索敵しつつ降りるため、速度が出せない。目的地に着くまでには七分少々かかる。デルフィには動きはない。まるで到着するのを待っているようだった。そして、依然としてノウマンの反応も変わらない。 緊張を保ったままのときに、久々にエイダから呼びかけられたので、クエンティンはびっくりした。 こばむ理由はなかった。エイダとおしゃべりができることもあり、嬉しくもあった。 「なあに?」 『夢卵理音様のことをお伺いしたいのです』 「お姉さまのこと? いいわよ」 『大変失礼なことも訊いてしまうかもしれません』 「かまわないわよ。なんでも言っちゃう」 数秒の間。 『まずは、理音様のお名前です』 「ん? うん」 『ギヴンネームはともか... -
Nagi the combat princess 第2話『生徒会役員になる者共』2
前へ 「手間を掛けさせたな、ここが生徒会室だ」 「おー……」 社交辞令としてとりあえず驚きの言葉を言ってみるハヤテ。 『教室と違って引き戸ではなく扉なのだな』 「ああそうだ」 そう言って杏子は扉を開けた、扉の間からもなかなかの内装であることが伺える。 「入っていいぞ」 「お、お邪魔します」 杏子の言う肝心の生徒会室はと言うと、広さは普通の授業をする教室一つ分に加え、となりには小さな給湯室がついていた。 十分な広さであり、生徒会室の水準としては高い方だろう。 「普通生徒会室ってどこかの教室を借りるものだと思ってたんだけど……音楽室とか。 なんだか、生徒会のために作られたような部屋だね?」 『流石に生徒会室が時計塔の最上階に、と言うことはないようだがな』 「うちの学校は特別なのだよ」 杏子は得意げに言う。 ハヤ... -
「さあ反撃の狼煙を上げろ・5――風輝纏いし猫戦姫――」
そのじゅうご・いつつめ「さあ反撃の狼煙を上げろ・5――風輝纏いし猫戦姫――」 「完全に寝過ごした! ティキ、ごめん!!」 日曜日は午後4時。すでに日は傾き、沈まんとするところ。 僕はクレイドルからティキを引き剥がすと、開口一番に誤り倒した。 普段ならタイマーをセットし、チャージが終わった後、時間になったらティキの意識が覚醒するようにしてあるんだけど、いつもセットしている時間にはチャージが完了してなかったみたいで、ティキが覚醒しなかった。 そこまでは寝る前の頭でもしっかり認識できていたのに、肝心の目覚ましセットすんの忘れてたよ…… 「ううぅ、仕方ないのですよぉ~。マスタ、最近寝不足続きだったですからぁ~」 とは言ってくれているが、それでもそわそわと落ち着きなく、僕が着替えているときすら「急ぐですよぉ♪」とせっつく。ちゃっかりと自身は外出着に着替えてたりする。 「慌... -
第十六話『それぞれの思い』
会場内は静まり返っていた。 ファーストランカーであるジャンヌとルシフェル。その二人が揃って無名の二人に倒された・・・・その事実も充分にその原因であるとも言える。しかしそれは決定的な原因ではない。 つい先程のビルの屋上からのダイブ。そして側面を走りつつ抜刀し両断。そんな神業を披露されてはもはや黙るしかない。 「・・・・クッ」 都は微かに笑う。 本当なら大声を上げて笑いたいところだが今はそんな空気ではない。 凄い。やっぱり彩女は凄い。もう一度戦って・・・今度は勝ちたい。都はそう考えていた。 「・・・・・・・・・・すご・・・」 都の隣にいた春奈が呟く。 それが静まり返った空気に波紋を起こし、すぐに割れんばかりの歓声がセンターに鳴り響く。 都はそんな様子を心底楽しそうに見ながら、煙草に火をつけた。 ホワイトファング・ハウリングソウル 第十六話 『そ... -
ACT 1-11
ウサギのナミダ ACT 1-11 ◆ 久住菜々子は大学生である。 東京にある大学からの帰り、あのゲームセンターに寄るのは、一度最寄り駅を行き過ぎなくてはならない。 また、武装神姫を常に持ち歩いているわけではない。 だから、あのゲームセンターに行くのは、週末にしていた。 だが、今日は違う。 朝からミスティを連れ、装備の入ったアタッシュケースを持って、大学に行った。 はやる気持ちを抑えて、大学の授業をみっちりと受け、講義が終わったらダッシュで駅まで。 それでもゲームセンターにたどり着いたのは、夕方も遅くなってからだった。 今日は金曜日。 繁華街は、翌日休みの気楽さで、週末の夜を楽しもうと、すでに多くの人が繰り出している。 浮ついた世間の雰囲気とは逆に、菜々子の心は緊張していた。 ゲームセンターにつくと、すぐに武... -
ドキハウBirth その3前編
……system memory check......ok ……core unit check......ok ……body unit check......ok ……CSC #1 check......ok ……CSC #2 check......ok ……CSC #3 check......ok ……type FORT BRAGG......loading......ok ……operation system boot...... プラスチックの箱の中。 彼女の意識は、闇の中から浮かび上がった。 「システムの起動を確認しました」 半身を起こせば、目の前にいるのは一人の少年だ。 まだ体が命令に付いてこない。機械の少女はテーブルの上、ぎこちない動きで立ち上がり、マスターであろう彼をゆっくりと見上げる。 小さな唇が動いて、システムから送られてきた言葉... -
Phase01-5
SHINKI/NEAR TO YOU Phase01-5 電子の闘技場、その中央で迷彩武装を纏った神姫が仁王立ちしていた。地には倒れ伏したアーンヴァルモデル。その武装は砕け散り、ぼろぼろの状態だ。健気にも身を起こそうと片手をつくが、そんな彼女を対戦相手は無情にも踏み潰した。 完全に機能を停止したアーンヴァルの回りに「LOST THE GAME」の文字が表示され、迷彩の神姫の頭上には「YOU’ER WINNER」の文字と共に勝利のスポットライトが降り注いだ。 「……ひどいな」 アーンヴァルのオーナーだろうか。バトル終了と同時にひとり男の子が筐体に駆け寄り倒れた神姫に呼びかける。嗚咽交じりの男の子の声に、倒れたアーンヴァルタイプがか細い声で何事か苦しそうに答えている。 大きな損傷(ケガ)でなければいいけれど。シュンの頭の上でゼリスも押し黙ったままその光... -
第6話 『どきどき☆だぶる?でーと』
「……暑い」 まだ梅雨前だというのに、初夏のように蒸し暑い日曜日。 そんな中、ジリジリと刺す様な日差しを浴びながら、駅前のベンチで1人、ぽつんと立ち尽くす周防。 「……何で、こんな事に」 恨み節とも、自重ともつかない呟きが漏れる。 デートの待ち合わせだというのに、今の彼には高揚感や期待感といったものが一切なかった。 「2人とも……遅いな」 手持ち無沙汰になり、上着のポケットから、くしゃくしゃの煙草を取り出して吹かす。彼女の前で吸うと色々と文句を言われる為に、最近ではめっきり吸う本数も減っていた。 そう。仕事に出かける以外、彼の傍を離れようとしないスミレも、今はいない。 『だって、デートなんですよ。 デートと言えば、待ち合わせが基本じゃないですかっ。 そういう訳ですから、10時に駅前で待ち合わせですよ兄さま。遅刻したらダメですからねっ』 などと言い出... -
第1話 ヴァイザード・リリィ
剣と剣がぶつかり合う音が、廃墟に響き渡る。 片刃の長剣、エアロヴァジュラでと長槍の破邪顕正をはじきあげ、HMT型イーダ・ストラダーレ――個体名ヒルデガルドは距離をとった。 対する侍型紅緒――個体名藤代は地面を蹴り、こちらに一気に距離を詰め、長槍を突き出してくる。体勢を立て直す暇を与えないつもりのようだ。 『エアロチャクラムで受け流せ』 「はいですわ!」 マスターからの指示を受け、ヒルデガルドは左側のエアロチャクラムを瞬時に操作する。 パンチを打つように突き出したエアロチャクラムの表面装甲を破邪顕正が薄く削りながら流れていった。 ――西暦2036年。 第三次世界大戦もなく、宇宙人の襲来もなかった、現在からつながる当たり前の未来。 その世界ではロボットが日常的に存在し、様々な場面で活躍していた。 「そこっ!」 藤代... -
第九話『紫色の警告』
「・・・・引き分け・・・か」 都は筐体に設置された椅子に深く腰をかけて呟いた。 「驚いたな・・・まさか刀一本の相手にやられるとは。まぁ引き分けだし。負けたわけじゃないですよね?」 そういって筐体の向こうにいる記四季を見る。 記四季は憮然とした表情で座っていた。 そう、確かに負けではない。この試合、結果は勝者も敗者もいないのだ。 「・・・確かに負けたわけじゃねぇが」 「それじゃ、キャンペーンの詳細はメールで送っておきます。当日は神姫を二人連れて来てくださいな。お小遣いは諦めますので。じゃ行くぞノワール」 都は早口にそうまくし立てるとノワールと共にさっさとその場を去ってしまった。 ・・・その顔は、一つ仕事をやり遂げた顔だったと言う。 * ホワイトファング・ハウリングソウル * 第九話 『紫色の警告』 「作戦会議を始める。... -
ウサギのナミダ・番外編 「少女と神姫と初恋と」その4
ウサギのナミダ・番外編 少女と神姫と初恋と その4 ◆ 金曜日の放課後のことだ。 ノーザンクロスのバトルロンドコーナーで、美緒たち四人と安藤は対戦にいそしんでいる。 オルフェはまだ実戦というレベルでの対戦をしていない。 LAシスターズの神姫たちを相手に、いろいろと試している段階だ。 対戦用筐体を一台占拠しているが、常連たちは何も言わなかった。 LAシスターズはここでは顔が通っているし、話題の神姫・アルトレーネ・タイプの動きがじっくり見られるとあって、好きなようにさせていた。 そんな状況をありがたく思いながら、安藤とオルフェの戦い方について話している。 そのとき。 「よう、安藤。女にバトロン教わってるなんて、ずいぶん情けねーな」 「蜂須……」 筐体から顔を上げると、酷薄そうな笑みを浮かべた小男が、三人ほどの取... -
武装神姫のリン インタールード1 「煉獄」
注意 この話は相当過激な内容が含まれています。 たぶんのwikiに掲載されるSSのの中でも1番非道であろう人間が登場します。 なので下記の注意を熟読し、覚悟を置いてからご覧ください。 その1、神姫に対する第12話以上の暴力描写が出ます。 その2、ある地域の集団の姿が描かれますがこれは実在の団体、組織は関係なく全くのフィクションです。 その3、ある意味究極に近い残虐、犯罪表現があるので自分的に18禁レーティングでも掲載してよいものか?と考えさせられました。でもあえてのせます。 倫理的問題があれば即刻削除しますので厳しい目でコメント等での連絡お願いします。 その4、今回の話は読まなくても本編の話の筋に支障はありません。 なのでこういった表現のお嫌いな方、呼んでいる途中で気分を悪くされた方は即刻ブラウザの戻るボタンを押してください。 その5(... -
Nagi the combat princess プロローグ『悪夢の楽園より』
中学を卒業し、春休み兼高校への準備期間といったところの3月。 卒業後の3月というのは夏休み並に長い休みとなり、宿題もないため基本的に卒業生は皆遊び呆ける期間ということになる。 「ユーリ、今日は負けないから……ねっ!」 「フン、甘いな!」 『行けマスター! そこだぁ!』 もうあらかた準備を終えている彼は、同じく準備を終えている「ユーリ」と呼ばれる友人の家に遊びに来ていた。 もっとももう3月の26日であり、入学式も近づいてくる頃。 のびのび遊ぶ余裕もなくなってくる頃であるのだが。 「……あっ」 (また負けた……) 『やったなマスター! またマスターの勝ちだぜ!』 「まあ俺のゲームだからな、俺が勝たずしてどうする」 (今日は自信があったんだけどな) 「しかしまあ飽きてきたな、そろそろやめるか」 「え、うん……そうだね」 ... -
第11話 探索の果てに
「ここか」 俺達がビーコンの信号を頼りに電車とバスを乗り継いでたどり着いたのは、港湾地域の貸倉庫街だ。 この一帯は神姫ユーザーには【貧民街】(スラム)、ないし【無法地帯】(ロウレス)などと呼ばれている。 由来は読んで字のごとく。無法バトルが行われる温床となっているのだ。 とはいえ、無法と言ってもそれは日本の法律ではなく、飽くまでMMS管理機構の提示するオフィシャルルールに依るものでない、というだけもの。そのため警察は何かしらの被害届でもない限り動くことはできず、大体の被害者は裏バトルであることをわかっていて参加しているため、泣き寝入りすることになる。結果誰の手出しもできない状況が出来上がったわけだ。 ――しかし、十二月ごろに、このあたりで違法神姫バトルをつぶしまくった謎のシスター型神姫がいたらしく、最近は最盛期ほど危険ではないらしい。もちろん、油断ができるほどでは... -
<その名はG>
凪さん家の十兵衛さん 第十話<その名はG> さて、実は「G」と出合ったのはこれが初めてではないのは前回の流れから分かっていただろうが、そういえば初対面した話を言っていなかったので丁度良いから今言っておこうと思う。 それは対セイレーン戦が過ぎて間もないある日のことであった。 「ネット上の神姫が狙われている?」 「うん、最近なんだけどね」 今、俺の部屋には本部直属の違法神姫ハンターで、ファーストランカーの黒淵創とその神姫、天使型のミーシャが来ている。 珍しいとは思ったがなるほど、そういうことね。 「で、なんで俺にそれを?」 一応聞いてみる。まぁ答えは分かってはいるのだが…。 「力を貸して欲しい」 ほらね?やっぱりか…まぁこの前の対セイレーン戦の決定打となった十兵衛の力は強大だ。 しかしまた危険な目にあわせるのか…。 「お前らの戦力じゃ無理なのか?」 ... -
Nagi the combat princess プロローグ『悪夢の楽園より』(修正版)
中学を卒業し、春休み兼高校への準備期間といったところの3月。 卒業後の3月というのは夏休み並に長い休みとなり、宿題もないため基本的に卒業生は皆遊び呆ける期間ということになる。 「ゲーム『グラディウス』でプレイヤーが操る……ビックバイパー、と……」 そしてその時期にこの少年は学校の準備など忘れ、ゲームセンターでクイズゲームにかまけていた。 「……あっ」 『残念だけどここでお別れだー、また会おう!』 画面の中の先生から告げられる予選敗退の言葉。 『こんな時だってあるさ! さあもう一度!』 「……悔しいけど仕方ないか」 荷物を纏め、ゲームセンターから退店しようとする。 が、そこで少年はある人だかりを目にする。 「……?」 人間、人だかりがあると寄ってみたくなるものである。 少年もその例にもれず、その人だかりの方へ行く。 ... -
Nagi the combat princess 第1話『ナギのごとく!』3
前へ 「……あれかな、学校」 電車に揺られる事一時間、ハヤテは終点の御丘(みおか)駅で下車した。 ハヤテが通う学校である、天陵(てんりょう)高校は小高い山の上にあり、そしてその山一つが学校の敷地である。 例えるならばドラ○もんの学校の裏山くらいの小さな山であろうか、それの頂上近くに学校がある。 駅から学校は近いので、駅を出れば山の上にある事も相まってかなり目立つ。 あれだけ目立ってると迷う心配がないという声もあるとか。 「駅前は結構賑わってるんだな」 山までは周りが田んぼで囲まれた道を直進するだけである。 このあたりは山の周りに限り自然は豊富であり一見田舎にも見えるが、山の裏側にはレジャー施設なども多く、それほど田舎というわけではない。 「……そして、山までついたけど」 山の上に学校があるということは、当然の如く学校に行くためには... -
ドキドキハウリン 外伝3
だいだい色の穏やかな光の中。 きぃ、と鳴るのは金具の軋み。 長い影をゆっくりと揺らしながら。一定のリズムで繰り返されるそれは、今はもう取り壊された公園の風景だ。 軽く砂を蹴る音が一つ。 ブランコの揺れが、停止する。 「そうだ、じゅーき。あたしの事はしずかおねーちゃんって呼びなさい」 揺れていた影の傍ら。すべり台とジャングルジムを超え、まっすぐ立つ女の子の影は長く長く伸びている。 「えー」 不満げな声と共に、ブランコに揺られていた男の子の影が立ち上がった。 伸びる影は、すべり台を超え、ジャングルジムに掛かる辺りで止まっている。悲しいかな、ジャングルジムを超えるまでには至らない。 「だってしずかちゃん、ボクより誕生日あとじゃない」 そう。 男の子は四月生まれ。 女の子は六月生まれ。 二ヶ月だけ、男の子がお兄さんだ。 「う……」 これ以上... -
戦うことを忘れた武装神姫-41
戦うことを忘れた武装神姫 その41 係長という肩書きにより、取引先からいただく事が出来た高級ビールが、いくら探しても見当たらない。昨晩まで、たしかにこのテーブルの上にあったのに。 諦めて、麦茶にしようと冷蔵庫へ向かったそのときだった。 がたん、どす! 中身の入った飲料缶が落ちる音がした。 振り返ると、そこには小さなロボットがビールの缶に半ば押しつぶされるかのごとく倒れている。 「・・・ディーニャ・・・ お前、何してたんだ?」 マオチャオ型をベースに東杜田技研で試作されたMMS、type T-TAK「ディーニャ」。 白色に緑色のペイントが施された素体、髪はロングのアップポニー。アタマには大型のはんぺんネコミミを装着し、手にはにくきゅうグローブを装着しつつも、目と口元にはマオチャオの面影が色濃く残る。 ビールの缶をのけて、まだ目を廻しているディ... -
キズナのキセキ・ACT1-9:雨音
キズナのキセキ ACT1-9「雨音」 ◆ 三日ぶりの食事を口にして、菜々子はようやくまともに動けるようになった。 火曜日の夕方近く。 空は濃い色の雲をはらみ、今にも泣き出しそうだ。 家の中は日が落ちた後のように暗い。 菜々子は居間を出ると、自分の部屋に入った。明かりをつける。 この三日、寝っぱなしだったという。 もちろん、その記憶は菜々子にはない。 なんとか思い出せるのは、あの寒い夜、ミスティを必死で抱きしめたところまでだった。 菜々子は、せめて部屋着に着替えようと、タンスを開けようとした。 そのとき、ふと目に止まったものがある。 携帯端末だ。 着信を知らせるランプが、チカチカと瞬いていた。 菜々子はベッドの上の携帯端末を、何の気なしに手に取った。 そして、メールの着信を確認する。 「な……に……これ... -
Nagi the combat princess 第1話『ナギのごとく!』4
前へ 「……ナギ、見つからなかったかな?」 『ええい、何をするのだ!!』 そう言うとナギはポケットから身体を出し、ハヤテの眼前へ飛んだ。 『ハヤテのバカ! 乱暴に扱うとはどういうことだ!! しかも息苦しかったぞ!』 「ご、ごめんナギ……でも、見つかりたくなかったから……」 『まったく、ハヤテは本当にまったく!』 怒っているようだ、当然であるが。 「……でも、人が来ちゃったら教室じゃゆっくり話も出来ないね」 『……そうだな、私も人がいるところは好かん』 ナギは忘れられがちではあるが、人見知りという設定である。 「そうだ、学校を探索してみようか? 二人きりで話せるところがあれば、そこで時間まで話してようよ」 『ん、ん~……そうだな、それが一番暇を潰せそうだ』 「よし、それじゃあ……どこがいいかな」 今日が登校初... -
第壱章第参節:姉貴の会社に行ってみるか
{姉貴の会社に行ってみるか} 「う~ん、やっぱ姉貴の会社に行ってみるべきかなー」 「何でですか?」 リビングに俺とアンジェラスがテーブルに座りながらウーロン茶を飲んでた。 今日は日曜日、晴れの午前10時。 「いやなぁー。実際、俺は武装神姫の事を色々調べてみたんだけど、どれもこれも古い情報しか入ってこなくてなぁ。色々と困ってる訳よ」 「そうなんですかー」 「そうなんだよ。…よし、今日は日曜日で暇だし行ってみっかぁ」 「えっホントですか!?」 アンジェラスは驚き、嫌そうな顔をした。 まるで姉貴の会社に行きたくないうような表情だ。 「うん?どうした、嫌なのか??」 「…はい。あんまりあの会社には、いい思い出が無くて…」 「思い出…ねぇ~」 俺は立ち上がり煙草を銜え、火を点け換気扇のスイッチを入れる。 自分が生まれた場所を嫌うアンジ... -
第壱章第参節:姉貴の会社に行ってみるか>
{姉貴の会社に行ってみるか} 「う~ん、やっぱ姉貴の会社に行ってみるべきかなー」 「何でですか?」 リビングに俺とアンジェラスがテーブルに座りながらウーロン茶を飲んでた。 今日は日曜日、晴れの午前10時。 「いやなぁー。実際、俺は武装神姫の事を色々調べてみたんだけど、どれもこれも古い情報しか入ってこなくてなぁ。色々と困ってる訳よ」 「そうなんですかー」 「そうなんだよ。…よし、日曜日で暇だし行ってみっかぁ」 「えっホントですか!?」 アンジェラスは驚きその後、嫌な顔になった。 まるで俺の姉貴の会社に行きたくないうような表情だ。 「うん?どうした、嫌なのか??」 「…はい。あんまりあの会社にはいい思い出が無くて…」 「思い出…ねぇ~」 俺は立ち上がり煙草を口にくわえ、火を点け換気扇のスイッチを入れる。 自分が生まれた場所を嫌う... -
ドキドキハウリン その8
「ひぁ、出る、出るぅっ!」 放たれた十貴の精が、抱き合って果てる私達の黒い体を穢し、濁った白に染め上げていく。 「ふふっ。いっぱい出たね、十貴……」 十貴の背中を抱いたまま、静香がにっこりと微笑んだ気がした……。 魔女っ子神姫ドキドキハウリン その8 「静香ぁ……」 ベッドの上にぺたんと座り込んだまま。私はこぼれ落ちる涙を拭えずにいた。 手のひらを握れば、ぐぢゅ、という粘着質な音と共に、白濁した液体が指の中で潰れるのが分かる。 目元に腕を上げてみれば、絡み付いた粘液がどろりと滴り落ち、粘っこい糸を曳いていた。 「ひっく……ひどい、です……」 悲しさに涙を拭おうにも、涙よりも酷い汚れを顔中に塗り広げるだけでしかない。 もっとも、その顔もとっくに同じ濁液で汚されていたのだけれど。 「ココ……」 ベッドの上にいた静香が、そっと手を伸ばしてくれる... -
学校
学校 「み、見えた!あれが学校ね!!」 「そうね♪」 全速力で走りながら学校の正門に向かって行く。 すると視界にクリナーレ達の姿が見えた。 既に学校の敷地内に入っていて、正門近くで私達の事を待っててくれてるみたい。 そう思った時。 ガラガラ、と正門の門が自動で閉まっていくのでした。 『何で!?』と思い左腕についてる腕時計を見る。 時刻は八時半過ぎになっていました。 マズイ! 予定時刻になると門が閉まるようにプログラムされているのね! もしあの門が完全にしまったら私とシャドウは遅刻決定です! 遅刻は嫌です! しかもご主人様の神姫達の中でリーダー的な私が遅刻したら。 ★ 「アンジェラスが遅刻したー。ダッセー!」 「お姉様でも遅刻するんですね。プププッ」 「アンジェラス姉さん…遅刻は駄目だと思います」 ☆ イヤァーッ! ... -
SecondPlace『第四話力の差、心の差-1-』
ジルダリアのバックパックの花弁が巨大化していく。 破壊した腕のバーツも復元し、伸びてくる。 「…なんなんだよ。変形…か?」 「違うよ。正確にはハイパーモード。花型が花型としての本来の形になる事で能力が向上するんだ。」 「隆斗っねぇ!どうするの!?」 可凜が慌てて判断を仰いでいる。 「そうだ、開花しきる前に倒すんだっ」 「わかったっ」 可凜は十手で決着にかかる。 しかし ガッ! 伸びた腕バーツでたやすく弾かれた。 そして反撃、素体のままの腹部に一撃喰らう。 「ぅくっ」 思ったよりもダメージがあり、追撃を恐れ距離をとるしかなかった。 「可凜、一旦離れて吼莱を取りに行くんだっ」 「ぅ…うん。」 多少よろけながらも急いで吼莱を拾いに行く。 だがそれは叶わぬ作戦のようだ ヴンッ ザシュッ 一瞬にして回りこまれた。 「嘘だろっ何て速さだよ…!…マスィーンズ!可凜を護る... -
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -05
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -05 皆様、こんばんは。 神姫との生活、いかがお過ごしでしょうか。 キャッキャウフフも、ドキドキハラハラも。そして、夜の生活も。 それぞれに、それぞれの生活があることでしょう。 しかし。 世の中には、本当は怖い神姫との生活というものもあるのです。 今宵は、その一部をご紹介しましょう・・・。 ・ ・ ・ ・ ・ ~めざまし神姫・Phase-3:アーンヴァルの場合~ 朝。 目覚まし時計の電子音が部屋に響く。 「・・・。」 布団から手がぬっと出てきて、器用に目覚まし時計の電池を外した。 電子音が止まると、再び手はずるずると布団の中へ。 「あらまぁ・・・毎朝毎朝、実に器用ですねぇ・・・。」 ベッドサイドでふよふよと装備状態で浮かぶアーンヴァルが、しみじみとマスターの寝顔を眺... -
武装神姫のリン 鳳凰杯篇その4
武装神姫のリン 鳳凰杯篇その4 俺は"いつか"の時と同じように、だがあくまで冷静に。 リンを胸のポケットに入れてオーナーブースの扉を開けると全力疾走。 瞬く間に鶴畑大紀のオーナーブースへ。 扉を開ければ今まさにミカエルのリセットを行おうとしている鶴畑大紀の姿。 「待て、話を聞け!」 「ふん、俺のやることに口出しするな!こいつは負けたんだよ。最後のチャンスだったにもかかわらずだ。だから今ここで終わりにする。」 「待ってください!!!」 俺より大きい、そして何かすごみを感じさせるリンの声に鶴畑大紀は思わずたじろいた。 「…ええぃ」 がすぐにミカエルにつないだ端末の操作に入ろうとする、間に合わないかと思ったが急に鶴畑大紀の動きが止まった その視線の先にあるのは…ミカエルの瞳に浮かぶ大粒の涙だった。 「マスター、ごめん... -
武士娘って格好良いよね?
正直な話、私・・・武士型MMS紅緒、個体名「華墨」・・・は悶々としている 理由は多々あるが、最大のものはやはり同型である「紅緒」の不人気である 最初にその事を感じたのは、起動した翌日に、マスターに伴われて行った大型玩具店だ 品切れ中の「ストラーフ」に対して、棚の上に山と積まれた「紅緒」・・・ その時に、自分はまだ幸運な方なのだと感じると同時に、言い様の無いやるせなさに襲われた 次に、バトルに興味を持った私の為に、マスターがネットでバトルについて色々調べてくれた時だ 綺羅星の如きセカンドリーグの面々。その中には「ハウリン」「ストラーフ」「マオチャオ」「アーンヴァル」がずらずら並ぶ 単にその型が強いだけなのかと思いもしたが、近所のバトルスペースに立ち寄った時、そこに居た「紅緒」は私だけだった 因みに、対戦相手を買って出てくれた「ツガル」も同じ様な事を言っていたが... -
第五話『座頭市彩女』
そこは暗い世界だった。 音は聞こえるのだが、何も見えない。一寸先は闇、という言葉があるがまさしくこの状況はそれである。 そんな中、彩女は僅かな殺気を感じ前に向かって跳躍する。遅れて彩女が立っていた場所に6mmの白い弾丸が当たった。 着地した先にまた弾丸が迫る。彩女は目隠しをされたまま、音だけで位置を把握し抜刀、銃弾を弾くが予想外の衝撃にバランスを崩してしまう。 「あ ―――――!」 その隙を銃弾が逃す訳も無く、彩女は6mmの銃弾に弾かれた。 ホワイトファング・ハウリングソウル * 第五話 『座頭市彩女』 「・・・主、BB弾を避けるのは判っていましたが、何故目隠しをして避けるのでしょうか」 記四季が斬った岩の上で彩女はそういった。 辺りには環境に優しい生分解バイオBB弾が転がっている。 「人間は視覚情報に頼りすぎているからな。... -
Phase01-7
SHINKI/NEAR TO YOU Phase01-7 筐体を囲むギャラリーの歓声が木霊する。 シートの向こうでは番長治が嘲け笑う。 隣に立つ伊吹が叫び、ワカナが両目を覆う。 その横で戦いを見守っていた桜花とショウが目を背けた。 フィールドでは壮絶な笑みを浮かべるベガの拳が、ゼリスの眼前へと迫る。 その最中――。 シュンはスッと自分に向けられる視線に気がついた。 その目、上目使いに覗き込む、そのエメラルドの瞳に一瞬吸い込まれそうになり……彼の脳裏にある言葉が響く。 ――緊張する必要など皆無です。安心して私の戦いを見ているだけで結構。 唐突にシュンは理解した。言葉の先に隠された本当の言葉を。 ――あなたが見ていてくれるから、私は戦えるのです。 全く。こいつと来たら、本... -
すとれい・しーぷ002
すとれい・しーぷ002 “堕ちてくんだ キミの中” “居場所求めて彷徨うけれど 見えない 見えない 見えない” “キミの世界 放り出された Stray sheep” “僕は迷子” クレイドルで寝こけていたわたしの人工脳を揺さぶったのは、悲しくも美しい音色。 オーナーの声だ、そう気づくのに時間はかからなかった。 初めて聴く歌。この声を聴くと、身体が熱くなる。脳回路が焼き切れそうなくらいに。 やめて欲しいけど、もっと聴きたい。 オーナーの歌声は魔性だ。そう感じながらも聴き入ってしまう。 「なんの歌ですか?」 ひとしきり歌い終えたオーナーに純粋な疑問をぶつける。 弾かれたように振り返ったオーナーはいたく焦った様子でわたしを両手のひらで包み、小さな声で言った。 「ごめん、いまのは忘れて」 忘れるなど無理な話だ。こんな強烈な快感。 ... -
第二十九話『煉獄』
そこはまさに地獄だった。 目に映るものは何も無く、記四季の身体は動けず。感覚が無いにもかかわらず痛覚だけははっきりしている。 胸は熱く、まるで溶けた鉄を口から流し込まれたかのような感覚。 掻き毟ろうとしても身体は動かず、動かそうとするとまるでそれが罰であるかのように襲い掛かる激痛。 意識が無ければどれだけ良かったか。否、例え意識が無かろうともこの地獄は繰り返し自分を苛むだろう。ならば・・・いっその事、死ねばよかったのか。 死ぬのなら、あの時・・・“アヤメ”が死んだときに自分も死んでいればよかったのか。 そうすればこんな地獄を味わうことも無かっただろうし、なにより何の迷いも無く死ねただろう。ならば何故、自分は今生きているのか。 ――――――――――あやめ 恋でもなく、愛でもない。そんな感情は遠の昔に枯れ果てた。 ならばそれは何か。今自分が胸に... -
アタシも日記を書いてみよう
● 三毛猫観察日記 ● ◆ 第五話 「アタシも日記を書いてみよう」 ◆ ★9月9日(日) 明日から新学期が始まるってのに、今日もコタローは大学の工作室。アタシの為に例の 『ボディ』を作ってくれているんだけど、そのせいで全然遊んでくれない。つまんない。 「ただいまぁ~、ミア、やっと『ボディ』が完成したぞ!」 帰ってきたコタローが早速『ボディ』の説明をしてくれるけど、アタシは全然興味無い。 大体何よ、そのバカみたいに下品な性能は…ミアちゃん絶対使わないんだから! ★9月10日(月) 今日は神姫同好会が正式にサークルに昇格する日です。自治会から指定された空部室に みんな集まってます。 「とりあえず部長は俺、副部長は虎太郎、会計は小暮でいいかな?」 「そんな感じでいいと思うぞ」「了解です~」二人が答えました。 「あとサークルの名前だけど、各自明日までに案を... -
ねここの飼い方・その絆 ~五章~
お互いに準備も終わり、何時ものように颯爽とバトルフィールドへとログインする、ねこことネメシス。 モニタ画面をみれば、そこにいるのはぐるぐると腕を回して感触をチェックしているねここ。 「ねーねーみさにゃん?」 「なぁに、ねここ」 それら戦闘開始前の準備運動を兼ねたチェックをしながら、ほにゃっと聞いてくる。 「このコの名前、なんになるの~?」 「嗚呼、まだ決めてなかったわね、……んー。とりあえず『炎幻機』とでも名乗っておこうかしらね」 「えんげんき……了解なのっ!」 さて、この新しい装備で、私をどんな風にワクワクさせてくれる動きを見せてくれるのかなっ。 ねここの飼い方・その絆 ~五章~ 『Battle start!』 試合開始を告げる文字が、フィールド内の上空にクッキリと浮かび上がる。 舞台は前回... -
ドキドキハウリン その18
目の前に広がる世界の全てが、灰色に見えていた。 果てしなく伸びていく灰色のアスファルト。 視界の左右を覆う灰色のビル。 歩く人間達の姿は皆一様の灰色で。 見上げた空でさえ、灰色だ。 灰色。 灰色。 灰色。 全て灰色の街。 朝通ったばかりの道のはずなのに。世界がこんなに灰色だなんて、思いもしなかった。 灰色の中。 灰色の喧騒を抜け、灰色の路地を歩き、また灰色の大通りへ。 この街では神姫の一人歩きなど珍しくもないのだろう。灰色の人間達は、私の存在など見えていないかのように無言で歩いているだけだ。 やがて、灰色の交差点へ。 歩みを止める。 目の前のビルにあるのは見たこともない看板。 灰色の信号に提がる灰色のプレートには、聞いたこともない地名が書き込まれている。 迷った。 ……迷った? 迷ったって……。 迷うなんて、... -
ライドオン204X:4-1
正直手加減とかしてる余裕ない ――バトルフィールド『廃墟』 俺はビルに囲まれた路地裏で戦っていた 正面に敵、左右に廃ビル、後方に壁 どう贔屓目にみても、好ましくないこの状況 そんな中相手ジルリバース型の繰り出す剣を、剣のみを駆使していなす (マスター、その調子です!) 常に受けに回るこちらの守備的な剣さばき ようやく追い詰めた敵を倒しきれない苛立ちが、相手の剣閃に表れている 当然、意思のある神姫しかり人間しかり、剣一本でこうも軽々と捌かれては苛立ちもつのるだろう はたして相手はかなり強引な突きを繰り出してきた 流して、足を払う (フルチャージ…っと) 無防備な相手に向かって左手に持っていたLC5レーザーライフルを放つ この至近距離だ、よく狙う必要もない ギリギリで身を捻った相手はどうにかライフルの直撃を避けた かまうこと... - @wiki全体から「やめとく。」で調べる