パロロワ版スパイラル~ひよのの電脳開拓史~

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パロロワ版スパイラル~ひよのの電脳開拓史~ ◆9L.gxDzakI



「ははぁ、キリエさんが殺られてしまいましたか……」
 博物館の従業員室に、1人の少女の声が響き渡る。
 結崎ひよの
 私立月臣学園高等部二年生。同学園新聞部部長。
 それが彼女の演じているキャラクターだ。
 そして学園を抜け出した学生もどきはというと、相も変わらず博物館に留まり、パソコンの置かれたデスクに腰掛けていた。
 人を探すという方針を取っておきながら、恐らく今はもう無人であろうこの場所で、放送の時間を迎えていたのだ。
「お悔やみ申し上げます」
 両手を胸元へと運び、ぱんと合わせて礼をする。
 巻きついたカーテンの端からは、二房の果実の生み出す谷間――それを作るくらいのサイズはある――が覗いていた。
 死者への悼みを口にした割には、随分と平然とした声音だ。
 そしてその声色通りに、早々と葬式ムードを打ち切り、デイパックから名簿を取り出す。
「鳴海さん、浅月さん、高町さん、竹内さんにカノンさん……そして既に亡くなられた、火澄さんとキリエさん。
 何人か足りませんが、概ねいつものメンバーが集まっていますね」
 やはりこれも鳴海清隆の企みだろうか。
 そう感じさせるには十分すぎる顔ぶれだ。
 この神の名の下に繰り広げられているというゲームには、自分達を取り巻くほぼ全ての駒が勢揃いしている。
 各地からバラバラにかき集めた割には、異常なまでのコンプリート率。
 もっとも、アイズ・ラザフォードや鳴海まどかなど、一部足りない顔がいるのは、少々清隆らしくないとも思えたが。
 そしてカノン・ヒルベルトの蘇生にも、特にひよのは驚かなかった。
「私の身で実証されてしまいましたし」 
 ぎゅ、と我が身を抱きしめる。
 この身は一度死んだ身だ。
 恐らくは例の白スーツの男によるものであろう奇襲を受け、結崎ひよのは一度死亡した。
 しかしあらかじめ持ち合わせていた支給品によって、こうして見事に蘇ったのだ。
 信じられない話だということも、そうそう信じてはいけない話だということも分かっている。
 だが実例を体感してしまったからには、認めざるを得ないだろう。
 故にカノンの復活にしても、同じようなものだと判断する。
「……と、そうでした。そろそろ頃合ですね」
 と、そこで我に返ったように呟くと、細くなめらかな指先を、慣れた手つきでF5キーへと運んだ。
 ディスプレイに映っていたのは、例の「探偵日記」なるブログだ。
 この博物館にずっと引きこもり続けたのは、このウェブサイトに書き込んだコメントの返事を待つためである。
 市街地に移動した後で、適当な家屋から見ればいいだろうと思うかもしれないが、生憎とこの場所は相当な郊外。
 再びネットを見られるような環境に移動するには、何マス分も移動しなければならないのだ。
 その辺りを考えると、やはり移動する前に返事を見た方が、今後の対策も立てやすいだろう。
 古いパソコンの作業が完了。
 表示中のウェブサイトを、最新の状態へと更新。
 携帯電話からも更新できるブログ形式を選んだのだから、向こうのアクションも早いはずだ。
 その読み通り、「探偵日記」には、新たな1ページが開かれていた。
 2番目となる記事を読み始める。
 日本人にとっては冗長でしかない、日本の観光案内を読み飛ばす。
 たっぷり13行の前置きを終えて、ようやく自分の書き込みが確認できた。
 先方の発言通り、内容に手は加えられていない。
「……やはり、駄目ですか」
 もっとも、だからと言って収穫が得られたというわけでもなかった。
 コメント欄を公開してくれ、という言い分は、あっさりと蹴られてしまったのだ。
 自分とほぼ同時期にコメントを書いた者がもう1人いるようだが、その人も似たように落胆しているのだろう。
 いわく、このブログは“確度の高い情報”の発信場所として位置づけたいとのこと。
 いわく、確度の低い情報でも教えてほしいというのなら、メールで問い合わせてほしいとのこと。
 上手いこと言い回しの考え込まれた、もっともらしい言い分だ。
 頭の悪い人間なら、これでも仕方ないと言って妥協するだろう。

「でもこれ、検閲の可能性の否定にはなってないんですよね……」
 だが、ひよのレベルの人間ともなると話は別だ。
 寄せられた情報をそのまま見たいという要求に、先方はその個人にのみメールで送ると言った。
 一見すると信用してよさそうにも見えるが、メール送信とコメント欄公開はイコールではない。
 むしろ、ブログ更新とのイコールと捉えて大差ない。
 いくら媒体を変えたと言えど、そこに何らかの改訂が加わる可能性は、相変わらず否定できないのだ。
 原文が見えないので真贋の判断がつけられない、という点も、実は何ら変わっていない。
 これではやはり信用は難しいか。
 ふぅ、とため息をつく。
 情報戦の有用性が分かるほどの人間にしては、信用を得ることへの執着が薄い気もしたが、ぼやいていても仕方がない。
 一応まだ記事が続いているので、画面をスクロールしていく。
 と。
 そこで。
「……螺旋、楽譜……?」
 1つの別サイトへと行き当たった。
 何でも、3番目にコメントをした何者かが、同じくブログを開設したのだという。
 二番煎じをしたところで、メリットは薄いと思うのだが。
 だがこの螺旋楽譜というサイト名、どうにも引っかかる。
 どことなく、自分の知る誰かを喚起させるキーワードの羅列。
 その奇妙なサイトのURLをクリックするのに、さほど時間はかからなかった。
 「螺旋楽譜」。
 展開される新天地。
 管理人のハンドルネームは――水濁。
 火、ではなく、水。
 澄、ではなく、濁。
 悪魔の弟・ミズシロ火澄の名を構成する漢字二文字を、それぞれ対になる字に置き換えた言葉遊び。
 そして、何より。
「……!」
 その文体そのものが、ひよのの両目を見開かせる。
 それは見間違えようもない、自分の知る1人の少年の言葉。
 限りなく神に近いが故に。
 幾度となく神に負け絶望し。
 されど神とは違うが故に。
 唯一神を超える可能性を持ち。
 そして全てを勝ち得る資質を持ちながら。
 誰よりも孤独に戦い続ける男。
 私立月臣学園在籍の一年生。
 かつて天使の指先と呼ばれたピアニスト。
 名探偵・鳴海清隆の弟。
「ようやく動いたようですね――鳴海さん」
 鳴海歩
 その名を小さく呟いた瞬間。
 ふっ、と。
 穏やかな笑みが、彼女の顔に浮かんでいた。



 鳴海歩という男は、今や誰よりも神に近い男へと成長した、類稀なる才知の持ち主である。
 しかしその輝かしい能力の割に、その発言は信じられないほどに謙虚かつ後ろ向きだ。
 それもそのはずだろう。
 彼は何も信じられない暗闇の中、最初から何も信じず戦うという道を選んだ。
 与えられた情報の全てを疑い、差し伸べられた手全てを勘ぐり。
 されど絶望すらも信じず、独り運命へと抗うことを選んだ少年。
 この水濁という人物の記したブログの文章は、間違いなくその歩によって書かれたそれだ。
 たとえひよのでないとしても、浅月達ブレード・チルドレンでも、一目で彼だと分かるだろう。
 なるほど、coin_tossがコメント欄の開示を拒んだのは、このブログが設立されたからか、と納得する。
 歩の運営する「螺旋楽譜」は、彼の「探偵日記」と異なり、常時コメント欄がオープンになっている。
 自分のブログで満足できないのなら、歩のブログに行け、というわけだ。
 後ろ向きな発言で固められた、使ってほしいのかほしくないのかよく分からないブログの文章を読みながら、ひよのはそう判断する。
 自分を信じるなとまで言い切った、情報発信する気があるのかと言わんばかりの内容。
 ぶっきらぼうな文体で書かれた、愛想も何もない言葉の羅列。
 なのに、何故だろう。
 一文字ずつ読み進めていくたびに、少しずつ胸が暖かくなっていくのは。
 彼の言葉を追うたびに、こんなにも頼もしい気持ちになっていくのは。
「きっと、愛、ですね」
 鳴海歩。
 兄・清隆の命令によって、最後に彼を打ち負かすために、ずっと騙してきた相手。
 されどいつしか本心から、彼になら運命を変えられるかもしれないと、強く慕うようになった相手。
 特別な戦闘力なんてなくても。死者を蘇らせることなんてできなくても。
 世界中の誰よりも頼もしく思える、たった1人の“鳴海さん”。
「っと」
 と、その時。
 ようやく記事を読み切った後に、何やら追伸のような文章が加えられている。
 この追伸を読んだ者のうち、心当たりのある者に、掲示板を作ってほしい、と要求したものだ。
 人に物を頼む態度とは思えない、誠意も温かみもないぞんざいな口ぶり。
「……やれやれ。やっぱりしょうがない人ですね、鳴海さんは」
 肩を竦めて苦笑こそすれど。
 されど彼女の表情には、怒りの色は浮かばなかった。
 いつだって、こんな感じだからだ。
 鳴海歩はいつだって、こんな風に物事を頼む。
 そしてそんな風だからこそ、鳴海さんは鳴海さんらしいのだ。
 この“あんた”というのが自分であることも、ひよのには一目で分かっている。
 自分をあんたと呼んで頼み事をする人など、歩を置いて他にはいない。
 そして歩が弱味を見せようとする相手も、姉か自分を置いて他にはいないのだ。
「本当、大変な人に恋してしまったものです」
 言いながらもひよのの手先はマウスを操り、目の前のパソコンを操作する。
 どんなに強がってみせていても、彼は自分がいないと駄目なのだ。
 どんなに憎まれ口を叩いても、結局彼は自分を頼ってくるのだ。
 そしてその願いに応えたとしても、その先に輝かしい未来はない。
 持たざる強さを振りかざす歩に、結崎ひよのという依り辺は邪魔になる。
 不死の秘法を手土産にしても、彼は受け入れようとしてくれないだろう。
 全てに決着をつけた時が、きっと別れの時になるだろう。
 残された彼の短い生涯を、共に延ばしていくことはできない。
 来たるべき彼の最期の日まで、傍に居続けることは願えない。


「それでも……見返りを求めないのが、愛ですから」
 だが、それだけだ。
 ただ一緒にいられないだけ。見返りが得られないだけだ。
 彼を大切に想うこの心に、決して嘘は存在しない。
 たとえ作られた偽りの協力関係でも、この信頼だけは本物だから。
 それが確かなものならば、ただそれさえあれば十分だから。
 ブラウザのボタンをクリックし、表示されたのはホームのページ。
 元の世界では見覚えのないデザインだ。恐らくはこのゲームのために用意された、会場内オリジナルのものだろう。
 レンタルサーバーにメール機能、天気予報なんてものもあった。
 その他使いようによっては役立ちそうに見えなくも無い機能から、本当にどうでもいいものまでごった煮状態になっている。
 しかし情報サイトでありながら、検索エンジンと思しきものがない。
 これは恐らく、検索するほど多くのサイトがない、ということなのだろう。
 外界から隔絶されたこの島では、インターネットも外界とは別物ということか。
 ともあれ今は、その辺りを気にしている暇はない。
 とりあえず、後で天気予報くらいは確認しておくことにしよう。
 まずはメールアドレスを取得。
 続いてサーバーをレンタルするための手順を開始。
 これと決めたデザインを指定し、一瞬前に用意したメールアドレスを設定。そしてローカルルールを書き込んでいく。
 最後に添えたハイパーリンクは、歩とcoin_tossの2つのブログと、これまたレンタルした画像アップローダー。
「管理人名は……お姉さんの名前をお借りしちゃいましょう」
 せめてもの歩へのお返しだ、と言わんばかりに。
 悪戯っぽい笑みを浮かべて、自らのハンドルネームを入力。
 この六文字のアルファベットの名前を見れば、さしもの彼もぎょっとするに違いない。
 そんなささやかな嗜虐心と共に、設定完了の意志を示すボタンをクリック。
 そして完成したサイトに、必要だと思うスレッドを立て。
「これで完了、っと」
 かくして、運営体制は整った。


みんなのしたら場 管理人名:Madoka


 当掲示板は、水濁さんの運営されているブログ「螺旋楽譜」の公式応援サイトです☆
 この殺し合いをみんなで生き残るために、情報交換を行う場として、最大限に有効活用してくださいね〜。
 管理人はあちこち飛び回る予定なので、あまり頻繁に顔を出すことはできないかもしれませんが、
 この掲示板が皆様が生き延びる上で、その一助となってくれたなら幸いです。
 もちろん、ここに書き込まれることの全てが真実とは限らないので、情報は自己責任でしっかり吟味するようにしてくださいm(_ _)m

 なお、素早く要望に応えられる自信がないので、スレ立ては自由とさせていただきます。
 かといってあまり必要のないスレを立てちゃうと、必殺Madokaパンチが飛んじゃいますよ☆

 Link
 螺旋楽譜(水濁さんの運営されているブログです)
 探偵日記(coin_tossさんの運営されているブログです)
 画像アップローダー(画像を掲載したい場合は、こちらをご利用ください)


1:【厨スペック】支給品情報まとめスレ【官能小説】 / 2:殺人ゲーム参加中の俺が名有り施設を巡ってみた / 3:気のいい兄ちゃんに
協力求めたら肺をブチ抜かれたんだけど / 4:【生きている人】尋ね人・待ち合わせ総合スレ【いますか】 / 5:【けんぜんなたたかい】お色
気担当にハァハァするスレ【zipでくれ】 / 6:雑談スレだけど何か話題ある? / 7:本当に暇すぎたので管理人が更新報告してみた

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1:【厨スペック】支給品情報まとめスレ【官能小説】(Res:1)
 1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
 ここは皆さんに支給された支給品の情報を書き込むスレです。
 書き込みからお求めのあの品やこの品を探したり、欲しい物を問い合わせたりする時に使用してください♪

2:殺人ゲーム参加中の俺が名有り施設を巡ってみた(Res:1)
 1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
 マップ上に名前を記された、特殊な施設に関する情報を書き込むスレです。
 何か気が付いたことがありましたら、じゃんじゃん書き込んじゃってくださいね〜

3:気のいい兄ちゃんに協力求めたら肺をブチ抜かれたんだけど(Res:1)
 1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
 殺し合いのゲームに巻き込まれたのなら、危険な人に襲われたり、裏切られたりすることも多々あります。
 ここはそんな危険人物に関することを書き込み、注意を促すためのスレです。
 もちろん、扱う話題が話題なので、書き込まれたこと全てを鵜呑みにせず、
 詳しいことを質問するなどして、特に慎重に真偽を判断するようにしてくださいね。

4:【生きている人】尋ね人・待ち合わせ総合スレ【いますか】(Res:1)
 1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
 スレタイ通り、人探しや待ち合わせの呼びかけをするためのスレです。
 どこで敵の目が光っているか分からないので、利用する際にはくれぐれも気をつけて!

5:【けんぜんなたたかい】お色気担当にハァハァするスレ【zipでくれ】(Res:1)
 1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
 読んで字のごとく、お色気スレです。
 殺し合いの中で味わったちょっとエッチな体験や、女性陣のあられもない服装について語りましょう。
 生き残るためには全く必要ないかもしれませんが、たまには生き抜きも必要ですよね?☆

6:雑談スレだけど何か話題ある?(Res:1)
 1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
 わざわざスレ立てするまでの話じゃないけれど、該当するスレがどこにもない!
 そんな話題を扱うためのフリートークの場です。

7:本当に暇すぎたので管理人が更新報告してみた(Res:1)
 1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
 管理人である私Madokaが、更新報告を行うためのスレです。
 何か当サイトについて要望がありましたら、それもこちらにどうぞ。


[00000001]



「いやぁ〜、適度なサブカル感と遊び心に満ちた、我ながら惚れ惚れする出来栄えですねぇ」
 うっとりとした表情で、自画自賛の言葉を口にする。
 やや悪ノリが過ぎたような気もするが、こんな殺伐とした状況だからこそ、柔らかい精神を保つことが大事なのだと自己解決。
 必要なコンテンツは、これで大体揃ったはずだ。
 新規スレッドの作成も許可してある。他に必要なものがあるなら、必要と思った人が立ててくれるだろう。
 かくしてこの島のまっさらなネット環境に、静かに、だが着実に、巨大なコミュニティが形成されつつあった。
 そう、謎の美少女結崎ひよのは、さながら西部時代の開拓者のごとく、広大な電脳世界を切り拓いていったのである。
 ……というのは、やや言いすぎかもしれないが。
「ちょっと注意の促し方が足りなかったかもしれませんが、みんな鳴海さんのブログを先に見るわけですし、大丈夫でしょう」
 不安がないとは言えない。
 元々この掲示板の目的は、ブログを運営するほど情報戦に明るくない人間でも、気軽に自らの情報を発信できるような場を作ることだ。
 ということは、情報を扱うことに不慣れな人間も、ここを利用することになる。
 くどいくらいに釘を刺さなければ、迂闊に情報を公開し、結果殺人者に身元がばれてしまうかもしれない。
 更には殺人者による虚偽の情報を鵜呑みにし、騙され利用され踊らされてしまうかもしれない。
 だが、それでも大丈夫だろうと思う。
 そもそもこのサイトを訪れる人間は、皆必ず例の「螺旋楽譜」を先に見ているはずなのだ。
 あれほどしつこく疑いを持てと言っているのだから、こちらで書き込みを行う時も、慎重になってくれるに違いない。
「さて、後は鳴海さんへのご報告ですね」
 かち、と。
 自分の掲示板のリンクから、歩のブログへと再アクセス。
 記事が増えていないので、コメントを書き込む先は最初の記事だ。
 投稿フォームへとカーソルを持っていき、かたかたと簡潔なメッセージを打ち込んでいく。
 最後に掲示板のURLをペーストして、投稿ボタンを押そうとして――
「………」
 ふと、その手を止めた。
 一瞬の沈黙。
 かたかたとタイピング音が鳴り響いていた部屋に、再び静けさが戻ってくる。
 何を考えているのか。
 何を想っているのか。
 ややあって、ふっと浮かぶ柔和な笑み。
 誰かを利用するあくどい笑顔でも、誰かを騙す作り笑いでもなく。
「どうか希望を」
 慈しむような。
 背中を押すような。
 呟きと共に浮かんだ笑みは、それだけは確かに真実と呼べるものであった。
 最後に短い一文を追加すると、改めて投稿のボタンを押した。



1:
管理人さんへ。
掲示板の件、了解しました。ご覧の通り、早速立ち上げてきましたよ!
メールもレンタルサーバーを利用したので、インターネットが繋がっていれば、どこの端末からでも受付可能です。
そちらも更新頑張ってくださいね。

Link:みんなのしたら場

私はいつでも、管理人さんを信じてますよ☆




【B-8/博物館/1日目 朝】

【結崎ひよの@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:健康、絶好調
[服装]:カーテン一枚、髪紐の喪失によりストレートのロングヘア
[装備]:
[道具]:支給品一式×3、手作りの人物表、若の成長記録@銀魂、綾崎ハヤテの携帯電話(動作不良)@ハヤテのごとく!
    ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム、太極符印@封神演義、秋葉流のモンタージュ入りファックス
[思考]
基本:『結崎ひよの』として、鳴海歩を信頼しサポートする。蘇生に関する情報を得る。
0:まともな服を調達する。
1:鳴海歩と合流したい。
2:まずは市街地へと向かう。
3:あらゆる情報を得る為に多くの人と会う。出来れば危険人物とは関わらない。
4:安全な保障があるならば妲己ほか封神計画関係者に接触。
5:三千院ナギに注意。ヴァッシュ・ザ・スタンピードと柳生九兵衛に留意。
6:襲撃者は先ほど出会った男(ミッドバレイ)ではないか?
7:機が熟したらもう一度博物館に戻ってくる。
8:復活の玉ほか、クローン体の治療の可能性について調査。
9:太公望達の冥福を祈る。
10:探偵日記を利用する。
[備考]
※清隆にピアスを渡してから、歩に真実を語るまでのどこかから参戦。
※手作りの人物表には、今のところミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク、太公望の外見、会話から読み取れた簡単な性格が記されています。
※太公望と情報交換をしました。
 殷王朝滅亡時点で太公望の知る封神計画や、それに関わる人々の情報を大まかに知っています。
 ハヤテが太公望に話した情報も又聞きしています。
※超常現象の存在を認めました。封神計画が今ロワに関係しているのではないかと推測しています。
※太公望の考察を知りました。
※ 太極符印@封神演義にはミッドバレイの攻撃パターン(エンフィールドとイガラッパ)が記録されており、これらを自動迎撃します。
 また、太公望が何らかの条件により発動するプログラムを組み込みました。詳細は不明です。
 結崎ひよのには太極符印@封神演義を任意で使用することはできません。
※探偵日記と螺旋楽譜に書かれた情報を得ました。
※フィールド内のインターネットは、外界から隔絶されたローカルネットワークであると思っています。

[全体の備考]
※各パソコンのインターネットブラウザのホームページには、フィールド内限定のオリジナルの情報サイトが登録されています。
 正確なコンテンツの内容は後続の書き手さんにお任せしますが、
 少なくとも、レンタルサーバー、レンタルメールアドレス、レンタル画像アップローダー、天気予報が利用可能です。
 また、検索エンジンは用意されていません。


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073:情報遊戯 結崎ひよの 114:白壁の緑の扉

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