狂った飢餓妖怪 ◆40jGqg6Boc
昔、促影(そくえい)という一人の盗人が居た。
中国の三国時代と呼ばれる頃。
様々な妖(バケモノ)が蔓延った、何千年も前の事だ。
中国の三国時代と呼ばれる頃。
様々な妖(バケモノ)が蔓延った、何千年も前の事だ。
その男は元は農夫であった。
しかし、戦争に駆り出されている内に戦いを覚えた。
更に覚えた事は、戦場で死体から金目のものを剥ぐことであった。
しかし、戦争に駆り出されている内に戦いを覚えた。
更に覚えた事は、戦場で死体から金目のものを剥ぐことであった。
金目のものならなんでも良かった。
己の手に入るのであれば、人を殺す事も厭わなかった。
命からがら助けを願ってきた者でも関係ない。
一兵卒として戦場に出陣した男だろうとも。
未だ年端もいかなかった少年兵だろうとも。
そして幼子の命だけは、と懇願した女性であろうとも。
目当てのものだけを剥ぎ取り――殺した。
己の手に入るのであれば、人を殺す事も厭わなかった。
命からがら助けを願ってきた者でも関係ない。
一兵卒として戦場に出陣した男だろうとも。
未だ年端もいかなかった少年兵だろうとも。
そして幼子の命だけは、と懇願した女性であろうとも。
目当てのものだけを剥ぎ取り――殺した。
殺した。
殺してやった。
笑いながら殺してやった。
殺して殺して殺して殺して殺して殺して――殺しまくった。
殺してやった。
笑いながら殺してやった。
殺して殺して殺して殺して殺して殺して――殺しまくった。
罪悪感はこれっぽちもない。ある筈がない。
男が抱いた感情は、胸が張り裂けそうな程の喜びのみ。
返り血を浴びながら、只、心の底から笑っていた。
何故なら男には人の心がなかった。
金品と同じくらいに好きであったものは血液。
人間の身体に流れる、赤々しい液体に男は心を奪われた。
返り血を浴び、自分が“こしらえた”死体から流れ出るそれを見るのはなんとも楽しかった。
男が抱いた感情は、胸が張り裂けそうな程の喜びのみ。
返り血を浴びながら、只、心の底から笑っていた。
何故なら男には人の心がなかった。
金品と同じくらいに好きであったものは血液。
人間の身体に流れる、赤々しい液体に男は心を奪われた。
返り血を浴び、自分が“こしらえた”死体から流れ出るそれを見るのはなんとも楽しかった。
そうして数々の戦場を、己の欲求のままに男は渡り歩いた。
その歪んだ性格の故なのか、はたまた生きることへの強い執着のせいか。
男は生き延び、確実に己の富を増やしていった。
最早誰から取ったのかすらも判らない程に。
数十、数百以上の命を蹴落として、男は彼なりに人生を存分に謳歌した。
その歪んだ性格の故なのか、はたまた生きることへの強い執着のせいか。
男は生き延び、確実に己の富を増やしていった。
最早誰から取ったのかすらも判らない程に。
数十、数百以上の命を蹴落として、男は彼なりに人生を存分に謳歌した。
しかし、その生活にも変化が生じ始める。
年を重ねるたびに男の悪行は各地に知れ渡った。
官吏――現代の日本で言うならば役人のようなもの――に追われ始めた。
男の本分は死体荒らしや強奪。
多少腕に覚えがあっても、いつまでも逃げ切れる事は叶わなかった。
遂には山奥に逃げ込み、今までの罪を償う時が来た。
そう。男が“アレ”を手にする事がなければ、確実に来る筈であった。
官吏――現代の日本で言うならば役人のようなもの――に追われ始めた。
男の本分は死体荒らしや強奪。
多少腕に覚えがあっても、いつまでも逃げ切れる事は叶わなかった。
遂には山奥に逃げ込み、今までの罪を償う時が来た。
そう。男が“アレ”を手にする事がなければ、確実に来る筈であった。
“アレ”とは――この世に二つはない、一本の槍。
それは更には昔、一人の鍛冶師により打ちつけられたもの。
その製造に用いられた、極めて特徴的なものは強大な復讐の念。
家族全員を皆殺しにした、一匹の妖への憎悪が鍛冶師を駆り立てた。
全てをかなぐり捨てて、只、耐え切れない怒りと悲しみ
その製造に用いられた、極めて特徴的なものは強大な復讐の念。
家族全員を皆殺しにした、一匹の妖への憎悪が鍛冶師を駆り立てた。
全てをかなぐり捨てて、只、耐え切れない怒りと悲しみ
その槍は“獣の槍”と言った。
◇ ◇ ◇
「殺し合いか、いいねぇ……!」
男の低い声が響く。
憂いといった感情は見られない。
この状況を心から楽しんでいる様子だ。
確かに、気がつかぬ間にこんな場所へ送られた事は甚だしい。
だが、なにやら長々と話をしていた二人組の言っていた事はそう不快な事ではない。
殺し合いは望むところだ。寧ろ彼にとっては一種の好物とも言えるだろう。
憂いといった感情は見られない。
この状況を心から楽しんでいる様子だ。
確かに、気がつかぬ間にこんな場所へ送られた事は甚だしい。
だが、なにやら長々と話をしていた二人組の言っていた事はそう不快な事ではない。
殺し合いは望むところだ。寧ろ彼にとっては一種の好物とも言えるだろう。
男――いや、人ではない。
真っ黒な体色に覆われた、まるで虎と人間を足して割った風貌が闇夜に浮かぶ。
これまた漆黒の毛髪は四方へ自由気ままに伸び、鋭利な刃物にすらも見えてしまう。
髪だけではない。分厚い皮と肉に覆われた両腕の先には、鋭く研ぎ澄まされた五本の爪が伸びていた。
体色に勝るとも劣らない程にどす黒い色に染まったそれらは、思わず息を呑んでしまう程の凶悪さを秘めている。
心なしかどこか朱色が混じっているのは、きっと数多の返り血によるものだろう。
次に目を引かれるものは、顎元から天に向かって貫いている三本の刃だ。
それら三本は零刀と呼ばれ、彼に多くの血を見せた。
燃えるように、全てを焼き尽くすかのような赤を纏った、虎の両眼を持つ彼は正真正銘の化けものと言える。
しかし、彼もまた以前は人間であった。
何千年も昔、彼にも人間の名前があった。
真っ黒な体色に覆われた、まるで虎と人間を足して割った風貌が闇夜に浮かぶ。
これまた漆黒の毛髪は四方へ自由気ままに伸び、鋭利な刃物にすらも見えてしまう。
髪だけではない。分厚い皮と肉に覆われた両腕の先には、鋭く研ぎ澄まされた五本の爪が伸びていた。
体色に勝るとも劣らない程にどす黒い色に染まったそれらは、思わず息を呑んでしまう程の凶悪さを秘めている。
心なしかどこか朱色が混じっているのは、きっと数多の返り血によるものだろう。
次に目を引かれるものは、顎元から天に向かって貫いている三本の刃だ。
それら三本は零刀と呼ばれ、彼に多くの血を見せた。
燃えるように、全てを焼き尽くすかのような赤を纏った、虎の両眼を持つ彼は正真正銘の化けものと言える。
しかし、彼もまた以前は人間であった。
何千年も昔、彼にも人間の名前があった。
その名は――促影と言った。
「オレを楽しませてくれるヤツが居ればおもしれぇんだがな。
まあ、ガキ共を喰っちまうのもいいんだけどよぉ。
そうだな、親切心で言ってやらぁ――」
まあ、ガキ共を喰っちまうのもいいんだけどよぉ。
そうだな、親切心で言ってやらぁ――」
獣の槍を手に入れた促影は、妖共との闘いに明け暮れた。
当時、妖は人里に降り、人間達に災いを齎す事が度々あった。
故に促影はそこにつけ込む。
強大な力を誇り、易々と妖共を殺すことが出来る獣の槍を持つ、己の力を村人に売りつけた。
必要以上に多い要求であったが、彼らも身の危険は顧みる事が出来ない。
そして村人からの報酬は魅力的であり、促影は取り敢えずは盗みを止めた。
だが、次第に促影の目的は変わっていった。
報酬を目当てにするのではなく、只、単純に殺すことを。
人間よりもよっぽど手ごたえのある妖怪を己の力で殺す事に。
当時、妖は人里に降り、人間達に災いを齎す事が度々あった。
故に促影はそこにつけ込む。
強大な力を誇り、易々と妖共を殺すことが出来る獣の槍を持つ、己の力を村人に売りつけた。
必要以上に多い要求であったが、彼らも身の危険は顧みる事が出来ない。
そして村人からの報酬は魅力的であり、促影は取り敢えずは盗みを止めた。
だが、次第に促影の目的は変わっていった。
報酬を目当てにするのではなく、只、単純に殺すことを。
人間よりもよっぽど手ごたえのある妖怪を己の力で殺す事に。
快感だった。
人間を殺すのもいいが、それ以上の喜びがそこにあった。
人間達が恐れる妖を自分が殺す。
一思いに殺すのではなく、散々痛めつけ、恐怖を焼きつかせながら殺す。
強い力を持っている筈の妖が自分に助けを請う。
その情けない顔を眺めながら、殺してやるのがどうしようもない程に楽しかった。
獣の槍を妖怪の肉に突き刺す度に確信が強まった。
自分は何者にも負けない。自分を殺せる奴など居ない。
自信が深まる程に、喜びで頭がどうにかなってしまいそうだった。
人間を殺すのもいいが、それ以上の喜びがそこにあった。
人間達が恐れる妖を自分が殺す。
一思いに殺すのではなく、散々痛めつけ、恐怖を焼きつかせながら殺す。
強い力を持っている筈の妖が自分に助けを請う。
その情けない顔を眺めながら、殺してやるのがどうしようもない程に楽しかった。
獣の槍を妖怪の肉に突き刺す度に確信が強まった。
自分は何者にも負けない。自分を殺せる奴など居ない。
自信が深まる程に、喜びで頭がどうにかなってしまいそうだった。
しかし、獣の槍は特殊な槍であった。
強大な陰の気から生まれた妖――白面の者を殺す為だけに造られた獣の槍は使用者を蝕む。
使い続ければ字伏と呼ばれる、虎の妖に変貌させ、やがてその人間を石すらにも変えてしまう。
当然、促影の場合も同じであった。
段々と獣の槍の力に取りつかれ、徐々に促影の身体は変貌を遂げていった。
獣の槍の力が手放せずに、促影は身も心も完全に妖へと成り果てた。
黒く、どす黒い黒色の妖に――今楽しそうに口を開いている、そいつと同じ姿に。
そう。現在の促影はとびきり凶暴な字伏。
強大な陰の気から生まれた妖――白面の者を殺す為だけに造られた獣の槍は使用者を蝕む。
使い続ければ字伏と呼ばれる、虎の妖に変貌させ、やがてその人間を石すらにも変えてしまう。
当然、促影の場合も同じであった。
段々と獣の槍の力に取りつかれ、徐々に促影の身体は変貌を遂げていった。
獣の槍の力が手放せずに、促影は身も心も完全に妖へと成り果てた。
黒く、どす黒い黒色の妖に――今楽しそうに口を開いている、そいつと同じ姿に。
そう。現在の促影はとびきり凶暴な字伏。
彼の新しい名前は――紅煉(ぐれん)。
「死にたくなけりゃ精々逃げ回れや、人間ども! この紅煉からなぁッ!!」
そして石化現象までも進んだ彼は、その邪悪な心を買われて白面の者の配下となった。
白面の者を倒す事だけを目的とした獣の槍を使っていたが、そんな事は関係ない。
紅煉は只、妖を殺せるために獣の槍を使っていただけに過ぎない。
石のまま動けない状態であった自分を、五体満足のまま蘇らせる。
代わりに人間共や白面を倒すために復活する字伏達を殺せ。
更には三本の零刀、新たな力すらも与えると言った。
乗らないわけがない。
紅煉は喜んで白面の者に協力し、多くの人間と字伏を殺しまわった。
白面の者を倒す事だけを目的とした獣の槍を使っていたが、そんな事は関係ない。
紅煉は只、妖を殺せるために獣の槍を使っていただけに過ぎない。
石のまま動けない状態であった自分を、五体満足のまま蘇らせる。
代わりに人間共や白面を倒すために復活する字伏達を殺せ。
更には三本の零刀、新たな力すらも与えると言った。
乗らないわけがない。
紅煉は喜んで白面の者に協力し、多くの人間と字伏を殺しまわった。
その道中で一人の中国人の妻子を喰らった事は実に愉快だった。
あの時故意に逃がしてやった男は初めの場所に確かに居た。
碌に顔が見えずとも判る。奴は――特別だ。
確か名前はひょうといった男。
人間のくせに、自分に手傷を喰らわせてくれたあいつは面白い。
あの時故意に逃がしてやった男は初めの場所に確かに居た。
碌に顔が見えずとも判る。奴は――特別だ。
確か名前はひょうといった男。
人間のくせに、自分に手傷を喰らわせてくれたあいつは面白い。
どうせなら自分の手で殺してやりたいものだ。
思わず舌舐めずりをし、何処かに居る獲物を脳裏に浮かべ、同時に思う。
どうせならこの状況を楽しんでやろう――と。
一つだけ気がかりな事があったが、それもどうやら問題はないようだ。
思わず舌舐めずりをし、何処かに居る獲物を脳裏に浮かべ、同時に思う。
どうせならこの状況を楽しんでやろう――と。
一つだけ気がかりな事があったが、それもどうやら問題はないようだ。
この殺し合いとやらに呼ばれる前、紅煉は白面とは別行動を取っていた。
未だに白面の者からの呼び出しがない事を考えると、今は自分の力は必要ないらしい。
どちらにしろ此処をどうやって抜け出すかは紅煉には判らず、そもそもそんな気もない。
しかし、白面のお陰で蘇る事が出来たという事もあり、指示に従うことはそれ程苦行と言うわけでもない。
自分が必要な時は、自分の力を貸す必要だだと同じ事。
即ち、思う存分に人間や他の妖を喰らい殺すことが出来るのだ。
要は自由気ままに殺すことさえ出来れば、紅煉の欲求は満たされる。
未だに白面の者からの呼び出しがない事を考えると、今は自分の力は必要ないらしい。
どちらにしろ此処をどうやって抜け出すかは紅煉には判らず、そもそもそんな気もない。
しかし、白面のお陰で蘇る事が出来たという事もあり、指示に従うことはそれ程苦行と言うわけでもない。
自分が必要な時は、自分の力を貸す必要だだと同じ事。
即ち、思う存分に人間や他の妖を喰らい殺すことが出来るのだ。
要は自由気ままに殺すことさえ出来れば、紅煉の欲求は満たされる。
だが、きっとあの白面の事だ。
何かあれば、先程の二人を喰い殺してでも、迎えに来るに違いない。
まあ、どうせなら十分に楽しみ終えた後が良いのだが。
そう呑気に思えるのは、自分の力に絶大な自信を持っている所以によるもの。
両腕の爪を愛おしそうに舐め回す紅煉には、なんとも言えぬ恐ろしさがあった。
何かあれば、先程の二人を喰い殺してでも、迎えに来るに違いない。
まあ、どうせなら十分に楽しみ終えた後が良いのだが。
そう呑気に思えるのは、自分の力に絶大な自信を持っている所以によるもの。
両腕の爪を愛おしそうに舐め回す紅煉には、なんとも言えぬ恐ろしさがあった。
「さぁーて……そろそろ行くか」
やがて紅煉は動く。
ゴキゴキと、関節を鳴らしながら、自分の欲望を存分に満たす為に。
特に目的地は定めず、手頃な得物が居ないか。
只、それだけを求めるために――紅煉は大空を飛ぶ。
ゴキゴキと、関節を鳴らしながら、自分の欲望を存分に満たす為に。
特に目的地は定めず、手頃な得物が居ないか。
只、それだけを求めるために――紅煉は大空を飛ぶ。
「殺して殺して殺して殺して殺して――殺しまくってやるぜ!!」
狂っているとしか思えない言葉の羅列が木霊する。
少しも隠そうともしない悪意が周囲へ満ちる。
他の参加者へ、恐怖に塗れた死を突きつけてやるためにも。
少しも隠そうともしない悪意が周囲へ満ちる。
他の参加者へ、恐怖に塗れた死を突きつけてやるためにも。
「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
紅煉は意気揚揚と殺し合いに乗り出した。
【C-3/中心部/深夜】
【紅煉@うしおととら】
[状態]: 健康
[服装]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~2個(未確認)
[思考]
1: 他の参加者を皆殺しに、殺し合いとやらを楽しむ。
2: ひょうは自分の手で殺したい
[備考]
※参戦時期は原作32巻、?との最終決戦以前の時期。
※ひょうの存在はOPの場所で確認しました。うしおやとらなどは未だ未確認です。
※何処へ向かうかは次の方にお任せします。
【紅煉@うしおととら】
[状態]: 健康
[服装]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~2個(未確認)
[思考]
1: 他の参加者を皆殺しに、殺し合いとやらを楽しむ。
2: ひょうは自分の手で殺したい
[備考]
※参戦時期は原作32巻、?との最終決戦以前の時期。
※ひょうの存在はOPの場所で確認しました。うしおやとらなどは未だ未確認です。
※何処へ向かうかは次の方にお任せします。
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