アットウィキロゴ
新漫画バトルロワイアル
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

二人の黒い疵男

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

二人の黒い疵男 ◆AO7VTfSi26



「……ふざけたマネをしやがって……!!」


人気がまるで感じられぬ、静かな競技場の一室。
隻眼隻腕の黒い剣士―――ガッツは、自らに殺し合えと告げた者達へと怒りを露にした。
強敵ガニシュカを退け、目的地たる妖精郷へと船を出せると思っていた矢先の拉致。
ようやく見えた光明を潰され、挙句の果てには殺しあえと告げられ……これで怒りを抑えろというのが無理な話だろう。


「何が目的かは知らねぇが……覚悟は出来てんだろうな……!!」


相手が何者であるか、何が目的であるか。
そんな至極当然の疑問も、今のガッツにとってはどうでもいいことであった。
あるのはただ一つ。
例えどの様な事があろうと、主催者をこの手で完全に叩き潰す。
そして、待っている仲間達の下へと帰る。
その強い一念のみであった。


(とりあえず……まずは、武器をどうにかしないとな)


自らの方針を固めたガッツがまず最初に取った行動は、支給品の確認であった。
彼はこの場に立たされた時、これまで身に着けていた武具の全てを奪われていた。
愛剣のドラゴンころしは勿論、左手の義手に仕込んだ矢や火砲、更には狂戦士の甲冑までもだ。
いかに超人的な身体能力を持つガッツといえど、丸腰では流石に戦うことは出来ない。
傍らに置かれているデイパックを開け、中を覗き込んでみる。


(水と食料、ランタンに地図……こいつは名簿か?
もしかすると知っている奴がいるかもしれねぇし、後で確認する必要があるな……ん?)


基本的な支給品の下に、黒光りする何かが埋もれているのを見つける。
ガッツはもしやと思い、それに手を伸ばして引っ張り出し……その全体像を見て、微かな笑みを浮かべる。


(……面白ぇもんが入ってるじゃねぇか)


ガッツが手にしたのは、ドラゴンころしにも匹敵するであろう全長を誇る、巨大なノコギリ刀であった。
同伴されていた説明書によると、その名は『キリバチ』……アーロンという海賊が用いていた得物との事だ。
よくもまあ、こんなものがデイパックの中に納まっていたものだ。
そう思いつつ、ガッツは柄を握り締めて軽く素振りをしてみようとする。



――――――その時だった。



「誰か、そこにいるのか?」
「――――ッ!!」


突然、部屋の外から己を呼ぶ声が聞こえてきた。
ガッツはとっさに扉の方へと向き直り、声の主を警戒。
いつでも跳びかかれるよう、僅かに距離を離して相手の出方を伺う。


「……誰だ?」
「そう警戒しなくてもいい……と言うのは、流石にこの状況じゃ無理な話だな。
 私はこの殺し合いには乗っていないが、君はどうなんだ?」
「生憎、俺もあんな連中の思い通りになるつもりはねぇが……
 あんたが、本当に乗っていないって証拠はあんのか?」
「それはお互い様じゃないか?」
「ハッ……確かにな」


ドア越しに、互いの事を苦笑し合う。
この状況で相手を疑うのは、そのまま自分を疑ってくれと言っているようなものだ。
そしてそれが正しいと判断する材料も無ければ、その逆もまた然り。
ならば、こうして姿も見ずに問答を続けるのは馬鹿げた話だろう。


「いいぜ、入りな。
 お互いにおかしなマネをすれば、その時は遠慮なく切り倒すって条件付だがよ」
「ああ、それじゃあ失礼しようか」


返事と共に、声の主はドアを開いた。
ガッツは相変わらずキリバチを構えたまま、その人物を出迎えた。


「私はブラック・ジャックという者だ。
 疑う様なマネをしてすまなかったな」
「気にするな、寧ろあれは当然の行動だ。
 俺はガッツだ、宜しく頼む」


その男―――ブラック・ジャックは挨拶をすると共に、左手に握り締めていた投げナイフをコートの内ポケットにしまい込む。
そして、無手となった左手をガッツへと差し出してきた。
友好の握手というわけだろう、ガッツもキリバチを置いてそれに応えようとするが、ふと寸前で手を引っ込めてしまった。


「どうした、まだ疑っているのか?」
「いや、そうじゃねぇ。
 悪いが俺の左手は義手なんでな、それじゃあ失礼だろ?」
「ああ、そういう事か。
 それはすまないな」


ガッツの気持ちを察し、ブラック・ジャックも左手を引いて代わりに右手を差し出す。
これにはガッツも素直に応じ、その手を握り締めた。
互いに空いている手で何かを仕掛けようという様子も無く、どうやら殺し合いに乗っていないというのは信じてもいいと判断する。
ようやく緊張が解け、ここで二人は軽い溜息を着いた。


「しかし、隻腕に隻眼か……顔や手の疵からして、体の方も結構な様子らしいな?」
「ああ、そうだが……よく分かったな。
 同じ身の上だからってとこか?」


二人がお互いの姿を見て最初に思ったのは、『自分達はよく似ている』という事だった。
身に纏う衣服は、共通して黒。
同じく黒いその頭髪には、正反対の白髪が混じっている。
そして何よりも、互いの肉体だ。
ガッツは隻眼隻腕という重傷に加え、体中の至る所に癒えぬ傷痕が残されている。
襲い来る数多くの使徒や、自らが扱う狂戦士の甲冑により付けられた、今日まで生きてこれたのが不思議な程の重傷だ。
一方ブラック・ジャックはというと、ガッツの様なハンデキャップこそ無いものの、その全身はやはり同様だった。
幼少時に遭遇した不発弾事故が原因による、無数の手術跡が彼の肉体にはある。
その最たるものと言えるのが、左右で色が違う顔面の皮膚だろう。



――――――こうも共通点が多い相手に、よく出会えたものだ。



二人とも、この事実には苦笑せざるを得なかった。


「それもあるが、私は医者なのでね。
 職業柄というものさ」
「へぇ、医者か……そいつは頼もしい相手に出会えたもんだな」


ブラック・ジャックが医師であるという事に、ガッツは少々の安心を覚えた。
この舞台では、いつどの様な傷を負うかは分からない。
故に、もしもの時に治療が行えるか否かでは、身の振り方が大きく違ってくる。
その為、ブラック・ジャックと行動を共にできれば、それは大きなアベレージとなる。



――――――しかしこの時、ガッツはある重要な事実を失念していた。



「……いや。
 残念ながら今の私では、大した事は出来ないだろう」
「何……?」


確かに医師であるブラック・ジャックには治療行為が出来る。
しかし『今の』彼には、それをするのには致命的に足りないものがあるのだ。
ガッツはそんな彼の言葉について、しばし考え、そして数秒程して答えに辿り着く。


「そうか……薬も道具もないんじゃ、どうしようもねぇな」
「ああ……今の私にあるのといえば、この投げナイフぐらいだよ」


ブラック・ジャックは、常備している全ての医療道具を没収されていたのだ。
メスやハサミは言うまでもなく、薬も使い方次第では毒になりうる。
殺し合いに利用させる為、他の誰かへと支給させたのだろう。
そして、ブラック・ジャックにはその代わりとして、投げナイフが何本か支給された。
これで出来ることといえば、精々ランタンの火を利用して傷口を焼き塞ぐ事ぐらいだ。


「ガッツ、君はこれからの行動について何か定めている方針はあるか?」
「方針か……この殺し合いを開きやがった奴を叩きのめすのは当然として、これからどうするかは、特に考えてねぇな」
「そうか……それなら、すまないが少し私に付き合ってはもらえないか?
 向かいたい場所があるんだ」


ブラック・ジャックはデイパックから地図を取り出し、ある場所を指差した。
それは彼にとって、必要な物資を入手できる貴重な施設であり、ガッツもその意図をすぐに察した。


「成る程、病院か……確かにここなら、薬なり包帯なり揃っていそうだな」
「ああ、人もそれなりに集まりやすい場所だ。
 誰かと接触できれば、何かしらの情報も収集できるだろう……引き受けてはもらえるか?」


ブラック・ジャックは、病院を目指すつもりでいた。
目的は二つ、治療道具の入手並びに他の参加者との接触。
後者はこの殺し合いをどうにかする為。
そして前者は、治療行為をいつでも行えるようにする為だ。
この舞台では、誰がいつ致命的な傷を負うかは分からない。
一介の医師として、彼はそれを見逃す訳にはいかなかった。
言うなれば、これは医師としての使命感だろう。


「いいぜ、断る理由もねぇ」


ガッツはこの頼みを承諾する。
デメリットは一切無い、彼にとっても得な話だ。
これで、今後の方針は定まった。


「よし……それじゃあ、早速行くとしようか?」


行動は早い方がいい。
二人は部屋を出て、競技場の出口へと足を運ぼうとする……が。
その最中、ふとガッツが何かに気がついた。


「あ……ちょっと待ってくれねぇか?」
「構わないが、どうしたんだ?」
「いや、つい忘れていたんだがな……名簿をまだ確認してなかったんでな」
「名簿か……そういえば、私もまだだったな。
 確かあの連中は、最初の放送が終わってからやっと見えると言っていたが……」 


二人は、自分達がまだ名簿を見ていないことを思い出し、取り出してみる。
もっともゲームが始まって間もない今の時点では、名簿はただの白紙でしかない。
ならば見ても意味がないのではないか、そう言われると……答えは否である。


「最初の放送か……特殊な薬品か何かを使って、時間が経てば浮き出るような仕組みか?」
「さあな……俺には、そういうのはさっぱり分からねぇ。
 けど気になるのが、どうして最初から名前を書かねぇのかって事だよな」
「ああ、それがどうにも引っかかっているんだ」


名簿が白紙であるという事実、それ自体に何かが隠されているのではないかと二人には思えたからだ。
ブラック・ジャックは名簿を細かく見てみるが、少なくとも肉眼では、薬品等が使われている痕跡は見られない。
これに関しては、最初の放送とやらを待つ以外に確かめる方法は恐らく無いだろう。
そして、それ以上に二人にとって引っかかっていたのが、何故最初から名前を記さないのかということであった。
態々、こんな面倒な形をとる必要が何故あったのか。


「……殺し合いを促進させる為か?」
「ありえるな。
 後になって大事な連中が参加してるって分かれば、混乱しちまう奴が確実に出てきかねねぇ」


これについては、殺し合いを促進させるのが目的ではないかと推測できる。
最初から教えるよりも後になって発覚させた方が、参加者にかけられる心理的揺さぶりは大きくなる。
実に手の込んだ真似をしてくれる……二人は主催者に対し、軽い溜息を着いた。


「ブラック・ジャック、あの広場にあんたの知り合いはいたか?」
「いや、生憎ながら呆気に取られて確認が出来なかった。
 君も同じか?」
「ああ……全く、厄介な事になりそうだぜ」


二人とも、自分達の知り合いが参加できていたかどうかを、広場では確認する事ができなかった。
全ては第一放送を待つしかない……不安の残る形ではあるが、ここで悩んでいても仕方が無い。
二人は名簿をしまい、歩みを再開させた。



――――――この時、二人は思ってもみなかっただろう。



――――――黒い医師には、対極に当たる信念を持つもう一人の医師がいることを。



――――――黒い剣士には、最も憎むべき最大の宿敵がいることを。



――――――この会場には、それぞれに決して相容れぬ存在がいる事を。


【B-5/競技場内/深夜】
【ガッツ@ベルセルク】
 [状態]:健康
 [装備]:キリバチ@ワンピース
 [道具]:基本支給品一式、不明支給品1個(未確認)
 [思考]
 基本:殺し合いの主催者を叩き潰し、仲間の下へ帰る
  1:ブラック・ジャックと共に病院を目指す
 [備考]
  ※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
  ※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。


【キリバチ@ワンピース】
魚人海賊団の団長アーロンが扱っていた、巨大なノコギリ刀。
その全長はアーロンの身の丈程ある(恐らくは2メートル程度)。



【ブラック・ジャック@ブラック・ジャック】
 [状態]:健康
 [装備]:ヒューズの投げナイフ(10/10)@鋼の錬金術師
 [道具]:基本支給品一式
 [思考]
 基本:主催者を止め、会場から脱出する。
  1:ガッツと共に病院を目指し、医療器具を入手する。
 [備考]
  ※コートに仕込んでいるメス等の手術道具は、全て没収されています。


【ヒューズの投げナイフ@鋼の錬金術師】
マース・ヒューズ中佐が愛用していた投げナイフ。
掌に収まるほどの小さなサイズだが、刃には十分な鋭さがある。


時系列順で読む



投下順で読む


GAME START ガッツ 045:焔は選び、闇に消え…
GAME START ブラック・ジャック 045:焔は選び、闇に消え…




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー