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閉塞は解放のはじまり

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閉塞は解放のはじまり ◆LQx8BgACjE



デウスがいないだって……?
確かにムルムルはそう言った
そして、このゲームは新たな神が開いたとも。
新たな神――すなわちデウスの後継者。


……おかしい。デウスの後継者はあの日記を使った殺し合いの優勝者に与えられる褒美だったはず。
僕や由乃はまだ脱落してないし、残りは僕らを含めて6人。ちょうど半分だ。
とてもゲームが終わったとは言えやしない。
それなのに新たな神っていうのはどういうこと何だ?
ムルムルの話からするとデウスはどこかにいくなってしまったのだろう。
それで残りから急遽新たな神が選出された、ということならば話は繋がる。
だが、それなら何故この様な殺し合いをする必要があるんだ?
ゲームの生き残りが邪魔ならこんな回りくどいことをしないで、直接殺せばいいのに。神ならば簡単なはずだ。
新たな神も含めて分からないことだらけだ。


「由乃なら何か知ってるのかな……?」
僕は思わず呟いていた
我妻由乃――僕の協力者であり、超ストーカーでもある。
僕は彼女もこのゲームに参加させられていることは知っていた。
黒みがかっていても気配で分かる。何せ大聖堂で僕の隣にいて、ルール説明の時もずっと視線をこちらに送っていたのだから。
「……!!そうだ、由乃だよ!早く由乃を捜さないと!」
僕は状況に流される余り、大切なことを忘れていた。
我妻由乃がいるということの意味に。
由乃はほぼ間違いなく暴走し、人殺しをするだろう。賭けたっていい。
あいつは今までも僕のためといって何人も殺してきたし、殺そうともしたからだ。
この前だって秋瀬君達を殺そうとしたばかりだ。
そんな奴がこんなゲームに放り込まれたらどうなる?
答えは分かりきっている。今までと同じだ。
それを止めるためにも僕は由乃に会わなくちゃいけないんだ。


そうと決まればボヤボヤしてられない。今もどこかで由乃に襲われている人がいるかもしれないのだ。
僕は傍らに置かれていたバックを肩にかけ出発しようとしたが、それは叶わなかった。



「振り向かんで手を挙げてくれへん?あ、それと変な気は起こさん方が身のためやで」
後頭部に冷たい感触が走ると同時に真後ろから女の子の声が聞こえる。
考えに熱中し過ぎて周りに気を配り忘れていた。
おそらく頭には銃が突き付けられている。ここは大人しく従うしかない。
「これでいい?」
僕は素直に両手を空に向ける。
「その声!自分、あのちっこいのに1stって呼ばれとった奴やろ?」
「……うん」
「こりゃ運がええな。じゃあ、ちっこいのについて知ってるだけ話してもらおか」



僕は話した。デウスのこと、ムルムルのこと、そして未来日記のゲームのこと。
もちろん全部ではないが。
デウスという神がいて、後継者を決めるための未来日記を使ったゲームを開き、僕も参加させられたということを簡潔に伝える。
色々と不味い部分があるのでゲームの進行に関してはあまり話してない。
まさか御目方教信者の集団自殺の真犯人が由乃だなんて言える訳がないよ。


女の子は終始黙って話を聞いていた。
「つまり、デウスっつう神さんがおって、あんたら日記所有者12人から新しい神さんを選ぶはずやった。
 けど、どういう訳かゲーム半ばでデウスはいなくなって、いつの間にか新たな神も決まっとった。
 そんであのちっこいのはムルムルゆうてデウスの小間使い、か」
そこまで言って彼女は一旦言葉を区切り、ハァと大きくため息をつく。
「神様とか未来日記とか、自分、ヤバい薬でも吸ってるんとちゃう?」
「そ、そんなことないよ!全部本当のことなんだ!信じてよ!」
もし、嘘だと判断されたら殺されてしまうかもしれない。
だから僕は力の限り訴えかける。この話は本当だと。


「……けど、信じるしかあらへんな。
普段やったら自分を病院にでも放り込んどくとこやけど、状況が状況や。
 雷にワープなんてモンを目の当たりにしたらそら流石のウチでも信じる気になるわ」
どうやら信じてくれたようだ。思わず口から安堵のため息が出る。
だが、安心するにはまだ早かった。
「じゃ、次の質問や。ぶっちゃけ自分はこのゲームをどうしたいん?」
えらくストレートな質問だ。
普通ならゲームに乗ってないと答えるべきだろうし、僕も人殺しをしようとは思わない。
だから正直に自分の気持ちを伝える。
「僕は……ゲームに乗るつもりなんて……ない!」


「……さよか」
そう聞こえると同時に頭から冷たい感触が消える。
どうやら助かったみたいだ。
今度こそ本当の安堵の息が漏れる。
「窮屈な思いをさせてスマンかったな。もう手を下してええで」
僕は両手を下げ、相手を確認するために背後を振り返る。
そこにいたのはちょっと小柄の女の子だった。
歳は僕と同じといったところか。そして、予想通りに手には銃が握られている。


銃も気になるけど、それより先に確認しておくことがあった。
「僕を自由にしたってことは君もゲームに乗ってないってことでいいんだよね?」
「当たり前やろ。そりゃ『殺しあって下さい』『いいですよ』ってなる訳ないややないか」
……もっともだ。今回のゲームには神の後継者という褒美がない。
褒美がないとなれば来須さんや6thの様にゲームに乗ってしまう人は少ないはず。
「それもそうか。ええと……」
そういえばまだ名前を聞いていなかった。
相手もそれを察してくれたのか、笑いながら自己紹介をしてくれる。
「まだ、名乗っとってなかったな。ウチは愛沢咲夜や。よろしくな、天野」
「うん」
思わず僕も笑顔で答えていた。




……!!
その時、背後からゾクッと気配を感じる。
慌てて背後を振り返るがそこには誰もいない。
「どしたん?そない慌てて」
愛沢さんが心配そうに僕を見つめる。
また僕は忘れかけていた。そうだ、ここには由乃もいるのだ。
「愛沢さん、僕から離れた方がいい……!」
「どういう意味や?」


僕は愛沢さんに語った、我妻由乃という超ストーカーのことを。
もちろんデウスの時の様に所々は誤魔化してだが。
愛沢さんはさっきまでの様に大人しく聞いてくれている。
「ふ~ん、つまりその我妻由乃ゆうんはヤンデレってことやな」
「ヤンデレ?」
聞きなれない言葉に僕は首をかしげる
「あ~、気にせんといて、ウチもナギから聞いただけでよう分からんから。
 ま、話しを戻すとやな、ウチが自分とおると我妻由乃の怒りを買うから一緒にいない方がええってことやな?」
「うん、だから由乃に見つかる前に早くどこかに隠れた方がいいよ」
「……逆やな」
「えっ?」
「だから逆言うてるんや」
そこから愛沢さんによる説明が始まった


彼女の話しをまとめると、
•彼女一人で由乃に出くわすとほぼ100%襲われる
•僕といれば恨みは買うが、即座に殺されるということはないはず
•だから、一人でいるのは逆に危険
•それに、ヤンデレと呼ばれる人種は刃物を持つと動きが早くなるらしい(これは愛沢さんの友人からの情報だが)
言われてみれば確かにそうだ。由乃は度々暴走したが、一応は僕の言うことをきいてはくれている。


「ちゅーわけで、自分はウチと同行してもらうで。エエな?
 それにこそこそ隠れるんは性に合わん」
僕には断る理由がなかった。
出会いは最悪だったけど、話してみて分かった。愛沢さんは信頼できる人だ。
来須さんみたいに裏切りはしないだろう。
それに、ゲームを進めていく上での協力者の大切さを僕は嫌ってほど分かっている。


心強いかは分からないが仲間ができた。
とりあえずは愛沢さんと協力して由乃を捜すのが先決だ。
きっと今もどこかで暴走してるに決まってるのだから。



「ああ、大事なこと言い忘れとったわ」
決意を胸に秘めた僕に向かって愛沢さんが唐突に口を開いた。
「ウチはおもろいのが大好きやから。そこんとこは忘れんといてな」
そう言う愛沢さんの手にはいつの間にか銃ではなく、ハリセンが握られていた。


ここで僕は理解した。ああ、この子は由乃とは違う意味で持て余しそうだと。



【E-4/1日目 深夜】


天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1~2
[思考]
基本:ムルムルに事の真相を聞きだす
1:我妻由乃を捜す


【愛沢咲夜@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[装備]:違法改造エアガン@スパイラル~推理の絆~、鉛弾20発、ハリセン
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:人を殺す気はない
1:我妻由乃を捜す


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