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鈴子の法則

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鈴子の法則 ◆7pf62HiyTE


もし、貴方が突然
『御主等にはこれから最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう』
と言われたらどうなるだろうか? 恐らく幾つかのケースが考えられるだろう
恐らく只普通に(多少普通では無い所はあるかもしれないが)平穏な日々を過ごしている人達ならばパニックに陥る人が数多いだろう。
日夜死と隣り合わせである過酷な環境に身を置いている人達ならば多少の動揺こそあってもすぐさま冷静にどう行動するかを考え、早々に行動に移せるだろう。
では、仮に既に似た様な状況に置かれている人であればどうだろうか?ここで、最初の空間でのある言葉を思いだして欲しい。
『新しい神が新しくゲームを開いただけじゃ。
人数は大幅に増えてしまったがな。やる事は今までと大して変わらんよ。』
これは既に前に似たゲームを行っている事を意味している。そしてそれだけで説明を済ませるという事はそれ以上の説明は不用。つまり、似たゲームの参加者がいる事を示していると言えよう。
となれば、そう言った人物達はどうするだろうか? やる事は大して変わらない以上、そのままゲームを続ける者もいるだろう。だが果たして本当にそれでいいのだろうか?
本当にこのゲームは自分が行っていたゲームの延長線上にあるものなのだろうか? その前提は果たして正しいといえるのだろうか?


   ▲   ▲   ▲   ▲   ▲


「ふぅ……」
島の北東部B-10にある灯台展望室に長い髪を両側で束ねている1人の少女がいた。彼女の名は鈴子・ジェラード
「どう考えても妙ですわね」
彼女はこの状況に違和感を覚えていた。彼女はこの場に連れて来られている前、同じ様な戦いに参加しているのだ。
その戦いは天界の神様が新しい神を決める為に、神候補の天界人が自分の選んだ中学生に能力を与え、他の神候補が選んだ中学生その合計100人で戦うというものだ。
そして最後に勝ち残った中学生の神候補が新たな神となり中学生は自分の好きな才能を手に入れられる『空白の才』を手に入れる事が出来るのである。
もっとも、先程鈴子も参加していると書いたが、彼女は『空白の才』を手に入れる為にこの戦いに参加しているわけではない。
彼女は参加者の1人ロベルト・ハイドンを優勝させる為に彼の統率する10人の強大な能力者団ロベルト十団の一人として戦っている。
ロベルト十団の仕事は他の全ての能力者を撃破して最後に自分達が自滅する事でロベルトを優勝させる事である。

さて、あの場での最初の言葉に従うならば鈴子のすべき事は決まっている。これまで通りロベルトを優勝させる為に他の参加者を撃破して最後に自滅すれば良く何も迷う事はない。だが……
「本当にこのゲームは同じなのかしら?」
鈴子にはこのゲームがこれまで自分が参加させられていた戦いが同じ物だとは思えなかった。
そもそも前提自体がおかしいのだ。新しい神が新しくゲームを開いたと言っていた。
自分達はその新しい神を決める為に戦っていたはずではないのか? 何故新しい神が既に決まっているのだ? そして新しい神が神になって間も無いのにすぐにまた新しい神を決める為に戦うのはどう考えても妙だろう。
百歩譲って理由については置いておくとしよう。だが、それ以外にもあからさまに奇妙な点が多い。
まずは根本的なルールの変更だろう。元々の戦いでは気絶させるだけで良かったが、今回は相手を殺さなければならない。(ちなみに、鈴子達の能力の中には気絶どころか相手を殺しかねない能力もあるがそれについては考えない)
他にもあの場での説明では力に制限をかけている事をほのめかされていた。だが、元々の戦いと同じルールならばわざわざそんな事をする必要は無い。何故制限をかける必要があるのか?
ちなみに鈴子自身はまだその制限がどうなっているのかは把握していない……というよりは出来ないでいた。今現在ある理由から鈴子は能力を使う事が出来ないでいる。
となれば、今現在の手持ちの道具で戦うしかないわけだが、それでは元々の戦いとルールが違ってしまう。何しろ元々の戦いでは能力を駆使して戦うものだったからだ。(中には能力を使わないで戦う能力者もいるにはいるが)
さらに、24時間死亡者が出なければ全員死亡というのも奇妙なルールだろう。全員が失格になったら全ての神候補が神になる事が出来ずゲームの意味が無くなってしまう。
そして何よりこれだけの違和感があるにも拘わらず殆ど質問も許さず、納得のいく説明が行われなかった事だ。放送までは誰が参加させられているのかわからないのも含めてあまりにも不親切過ぎるだろう。
「……もしかしたら、私達の戦いとは違う戦いかもしれませんわね」
鈴子はこのゲームが自分達の行っていた新しい神を決める戦いとは別である可能性を考えた。そう考えるならば先程までに感じた違和感がある程度払拭される。下手に説明すれば別のものである事を露呈してしまう可能性があるのだから。

さて、今現在能力を使う事が出来ないと書いたが、その理由はあるものが無いからだ。
鈴子の能力は“ビーズ”を“爆弾”に変える能力……つまり、自分が一度手で触れたビーズならば爆発させる事が出来るという事だ。なお1m以内ならば遠隔操作での爆破も可能である。
だが、今現在没収された為かビーズは手元には無い。これでは能力を使う事は不可能だ。一応、デイパックの中を捜したがビーズは何処にも見当たらない。市街地の店まで行けば入手は可能だろうが現在位置からは遠い為、すぐにというわけにはいかない。
となれば手持ちの道具で戦わなければならないわけだが……
「やっぱり妙ですわね……」
デイパックに入っていた道具を見て、先程の違和感を更に強めた。
見付けた道具の1つは妖精の鱗粉と呼ばれる物、説明書に寄れば傷を治療する為の薬らしい。もう1つはスパスパの実と呼ばれる悪魔の実、説明書に寄れば食したらカナヅチになる代わりに全身刃物人間となるらしい。
勿論、説明書を信じるならばどちらも十分に使える物だ。だが、
「こんな物聞いた事ありませんわ……」
これらの物は鈴子にとって未知の道具であった。それは、この状況が異質であると推測させるのには十分過ぎる物だった。
「もし仮にこのゲームが私達の戦いと違う物だとしたら……」
この戦いが自分達の戦いの延長にあるものならばロベルトを優勝させる為に戦えばいい、だがそうでないならば下手に動くわけにはいかない。鈴子は名簿を確認する。しかし、そこには最初の説明通り何も書かれていない。
「確か『知り合いがおらんことを祈っておれ』と言っていましたわね……知り合いがいるとは限らないという事なのかしら……もし、ロベルトがいないとしたら……」
仮にこのゲームが、先程までの戦いの延長にあるならば当然ロベルトも参加しており名簿にはロベルトの名前があるはずである。だが、ロベルトの名前が無いならばロベルトは参加していないという事になり関係が無いという証明になる。
いや、極端な話ロベルトでなくても良い、未だ失格になっていない能力者の名前が1つでも無ければこのゲームが自分達の戦いとは関係ないと判断する事が出来る。だが、今現在は名簿が使えない以上それを確かめる術はない。
「ここは最初の放送までは迂闊に行動しない方が良さそうですわね」
鈴子は方針を決めるのを放送後まで待つ事にした。このゲームが自分達と関係在るのかわからない以上、迂闊な行動を取るわけにはいかない。
勿論、ロベルトが参加していて最初の6時間の内にロベルトが殺される可能性もあるだろう。しかし、ロベルトは最強の能力者、並の参加者相手に負ける事はまず無いはずだ。
だが、絶対に大丈夫という保証はない。何しろロベルトには能力を使い過ぎるわけにはいかない理由があるのだ。ロベルトは能力を使う度に寿命を1年削っているからだ。使いすぎればロベルトが死ぬのは言うまでもない。
とはいえ、その事自体はロベルトもわかっているから、無茶はしないと鈴子は考えていた。
いや、本音を言えばロベルトを守る為にすぐにでも動きたいとは思っている。しかし、得体の知れない道具が支給され、元々持っている道具が奪われ、情報も少ない現状では下手に動くのは得策ではない。
こういう状況だからこそ時間をかけて慎重に考えてから行動に移さなければならないと鈴子は考えていた。
そう、鈴子がこの状況に違和感を覚え下手に行動に移さなかったのは彼女があまりにも慎重な性格だったからだ。故にこのゲームが自分達の戦いと関係のない可能性に気付いたのだ。
では、仮にこのゲームが自分達の戦いの延長線上にあるものならばどうするか? それならば前述の通りロベルトを優勝させる為、他の参加者を撃破すればいいだろうが……
「……」
口には出さないものの、鈴子の表情には迷いの色があった。
鈴子はジェラード財団の令嬢であったが故に友人達から金づる扱いされた過去があり、そういう自分勝手な連中を見ていた為、仲間という物に不信感を持っていた。
そこでロベルトから自分勝手で腐った世界を消す為に一緒に来ないかと誘われ鈴子は十団に入ったのだ。
だが、その一方で鈴子は内心では仲間に対する情景を持っている。そう、仲間同士が戦う事には内心で抵抗があったのだ。だが、ロベルトを優勝させる為には他の十団同士で戦う必要が出てくる。
元の戦いならば気絶で済む為何の問題も無い。だが、今のルールだと相手を殺さなければならない。仲間を自分の手で殺さなければならない……その事が鈴子を迷わせる……。
とはいえ、延長線上にあるかは断定されたわけではない。そうではない可能性は十分にある。
では、逆に自分達の戦いと関係が無いならばどうなるだろうか? この場合はロベルトが参加させられているかどうかで状況は若干変わってくる。
ロベルトが参加させられているならば先程同様ロベルトを守る必要がある。但し、今度はロベルトを優勝させる為に戦う必要はない。
勿論、一番重要なのはロベルトの生還ではあるが、関係が無いならこのゲームの後には自分達の戦いが待つ可能性はある。それならば出来る限り自分を含めた(参加させられているなら)十団の団員も帰還しておいた方が良い。
但し、敵の能力者がいるならばこの場で倒しておいた方が良いだろう。そうする事で自分達の戦いに戻った後の脅威が減るのだから。
ロベルトがいないのならば、(やはり参加させられている場合だが)他の十団の団員と合流して彼等と共に脱出を狙えば良いだろう。但し、やはりこちらも敵の能力者の減少を狙っていくのはいうまでもない。
最悪敵の能力者を仕留める事が出来なくても自分が生き残り続けさえいれば24時間死亡者が出なかった場合のルールで全員死亡となり、相手を巻き込む事が出来る。そうすればロベルトにかかる負担を軽減させる事が出来る。

どちらにしろ現状ではこのゲームと自分達の戦いの因果関係がどうなっているのか不明瞭である為下手に動く事は出来ない。当面は情報集めを優先した方が良いだろう。
情報を集める為には他の参加者と接触する必要が出てくるがそれは慎重に行うべきだろう。この戦いの真意がどうあれ相手が殺し合いに乗っているならば自身が危機に晒される。下手を打てば武器のない鈴子はすぐに殺されてしまうだろう。
なお、支給品であるスパスパの実を食べるつもりは今の所無い。説明書通りならば下手に食べれば一生カナヅチになるというリスクを負う為迂闊には食べられない。
さらに、仮に他にも実が存在するのであれば、それを見付けた方が良いという考えもある。何しろ説明書に寄れば複数の実を食べたら死亡するらしいからだ。慌てて実を食べる必要はない。
いや、それ以前に迂闊に得体の知れない物を食べる事など慎重な鈴子に出来るはずがないだろう。
話を戻そう、普通に考えれば参加者の中には殺し合いを良しとしない者、他人を守る為に戦う者がいると考えるだろう。だが、鈴子はそういう人物がいるとは思えなかった。
何故なら、前述の通り鈴子自身自分勝手な人達の姿を見ていたからだ。故に鈴子は誰もが自分の事しか考えない人ばかりだと考えていた。だからこそ、十団の仲間以外の人物の事を信用する事は出来ないでいる。
だが……鈴子自身は内心では自分の事しか考えない人ばかりという現実に嘆いていた……本当の所、彼女は……

さて、鈴子はこれからどうするべきだろうか?
「まずはビーズの確保ですわね」
ビーズの確保を優先する事にした。鈴子自身の能力を使う為にはビーズが必要不可欠だからだ。一応灯台の中も調べるつもりだが、常識的に考えて灯台にビーズがあるわけがないだろう。
近くには博物館や教会もあるがやはりビーズがありそうな所だとはとても思えない。となれば灯台より東の市街地か南の市街地に向かわなければならないだろう。だが、
「どちらに向かうべきか……慎重に考えなければなりませんわ」
どちらに向かうべきかの結論はまだ出ていなかった。それもその筈、灯台からの距離はどちらもさほど変わらず、ビーズがありそうな店の場所は書かれていないのだ。どちらに向かうべきかを断定は出来ない。
何にせよビーズがなければまともに戦う事は出来ないのだから、ビーズは手に入れなければならない。その一方、
「もし、この戦いが私達の戦いと関係が無いとしたら……私達が不利になりますわね……」
鈴子達の戦いには重要なルールが存在する。それは能力で能力者以外の他人を傷付けた場合自身の才を1つ失うというルールだ。そして才が0になった者は消滅してしまうのだ。
勿論、能力者同士の戦いならば何ら問題はないわけだが、この場ではそうはいかない。例え凶悪な殺人鬼が現れた迎撃したとしても能力者で無ければ才を失う事に変わりはない。
十団メンバーは(例外はあるが)基本的に400以上の才がある為、多少減少しても問題は無いだろう(勿論避けたい所ではある)。だが、使いすぎれば自身の消滅を招く可能性がある。
「逆にそのルールを無効にしている可能性はありますけど……」
鈴子は制限をかけているという情報から、そのルールも無効になっている可能性を考えた。そうでなければ自分達能力者が能力を使う事は難しくなるからだ。とはいえ、これは仮説に過ぎず信じる事は全く出来ない。
何にせよビーズが手に入ればある程度行動に幅は広がるものの戦いで優位に立てるとは言い切れないだろう。
「食べろ……という事なのかしら」
鈴子は自分に与えられたスパスパの実を見た。説明書通りならば全身刃物人間となるが、一体どんな人間だというのだろうか? 考えれば考えるほど喰う気など無くなってしまう。

とりあえず鈴子は思考を切り替える。それは自身が合流すべき仲間やこの場で倒して起きたい敵の事だ。このゲームが自分達の戦いの延長なら当然の事だが、そうでなくても連れて来られている可能性は高い。
ロベルト十団の実力はほぼ互角ではある。しかし自分同様道具を没収されている為に能力が使えない仲間がいる可能性は高い。
「例えば佐野君とかは……」
十団最強の天才ともいうべき佐野清一郎が挙げられる。彼の能力は“手ぬぐい”を“鉄”に変える力だ。能力自体は他の十団に比べて攻撃力が高いとは言えないが、彼はズバ抜けたバトルセンスで多くの能力者を倒してきている。
しかし、幾らバトルセンスに秀でていても手ぬぐいが無ければ能力は使えないのでマトモに戦うのは厳しいだろう。そういう道具を奪われた仲間達とは早々に合流しておいた方が良いだろう。
問題はこの場で倒しておきたい敵だ。自分達の戦いと関係があるなら勿論の事、関係ない場合でも終わった後で戦う可能性がある以上、倒せる相手は確実に倒しておいた方が良い。
元々のルール上は気絶させれば済む話ではあるが、才のルールと同様弄られている可能性は高い。そうなったら最悪殺す事も視野に入れなければならないだろう。さて、鈴子から見てそういった倒しておきたい能力者は数人いる。
「十団の噂で聞いた宗屋ヒデヨシ……」
宗屋ヒデヨシ……鈴子自身も実際に会った事はないが、彼と戦った人は皆『二度と彼とは戦いたくない』と漏らしている以上、その実力は相当なものであると言えよう。そして何より肝心な人物がいる……
植木耕助……」
植木耕助……彼はロベルト十団の黒木影男とカムイ=ロッソを倒し、その後ロベルトを倒す為に十団に入り十団メンバーであるアレッシオ・ユリアーノやドンを倒した能力者だ。
才数こそ10強と少ないものの超重量の岩を背負ったまま3日間飲まず食わずで立ち続けていた(十団の妨害付き)ことからも警戒すべき相手なのは明らかだ。仮に植木が参加しているならばこの場で確実に倒しておかなければならない。
鈴子はこの場に来る前の事を思い出す。ロベルトにドン敗北の事を報告した時の事だ。ロベルトは植木に敗れたドン達を役立たずと斬り捨て、鈴子にこう言ったのだ。

『鈴子……キミはあんな奴らとはちがうよね。

僕は君を、最も信頼している。』

そう言われた鈴子は……

『私は……ロベルトが好きなんですわ! それが例え片思いでも……
あの人の信頼を得つづけていれば……私はずっとあの人のそばにいられるんですわ!!!』

ロベルトの信頼に応える為、植木の所に向かったのだ……先に植木の所に向かったマルコ・マルディーニと共に植木を倒す為に……だが、植木の所に向かう途中で突然最初のあの場所に連れて来られたのだ。

鈴子はロベルトの信頼に応える為、この場にいるかもしれないロベルトや十団の仲間と合流し植木を含めたロベルトに敵対する能力者を倒そうと考えていた……。
「ロベルト……」

その時、真夜中の静寂を打ち破るかの様に音が響いた。
「銃声!?」
それは紛れもない銃声だった。さほど大きくは無い事から少なくとも灯台の中からでは無さそうだが近くなのは間違いない。
つまり、近くに銃器を使った参加者がいるという事だ。当然この状況下ならばその人物は殺し合いに乗っているという事になる。その人物がここに来ないとは限らない。
「今襲われたら確実に……」
鈴子は警戒を強め、ここに来るかも知れない襲撃者に備える事にした。


   ▲   ▲   ▲   ▲   ▲


ところで、何故ロベルト十団の団員はわざわざロベルトに協力しているのだろうか? 彼等は空白の才を手に入れる為に戦っているのでは無かったのか? ロベルトが優勝したら空白の才は手に入らないのではないのか?
実は十団にも見返りはちゃんとある。ロベルトは空白の才でこの世を“無”に……まだ何も無いまっさらな世界に戻すという話だ。そして十団だけがロベルトからそれぞれ理想の地位を与えられそこで支配者になれるという話だ。
つまりだ、十団の団員は結局の所自分の為にしか戦っていないという事だ。実際、ロベルトを倒す為に十団に入った植木はその話を聞いて、
『なんだ……コイツらロベルトに忠誠誓うとか言っといて……結局は自分のためか。かっこわりい……』
 と思っていた。実際、ロベルト十団の団員の殆どはまず自分の事しか考えられない連中だと言えよう。

だが鈴子は違う、鈴子は純粋にロベルトの為に戦っているのだ。しかし、残酷な事にロベルト及び他の十団の団員は誰かの為に戦ってはいない。あくまでも自分の為に戦っているのだ。
いや……実は十団の中にも誰かの為に十団に入った人物はいる。先程話題に出た佐野がそうである。彼はある人物を助ける為に十団に入る事を強要されたのだ。

前述の通り、鈴子は自分の事しか考えない人ばかりという現実に嘆いていた。その為、他人の為に行動する人物がいるとは思えないでいた。実際問題十団の殆どの団員はそうだ。
しかし、他人の為に行動する人物はいる。先程挙げた佐野がそうである。
いや、佐野だけではない。彼女が警戒しているヒデヨシもまたそうなのだ。彼は孤児院で子供達の面倒を見ており、能力者になったのも自身の神候補の為である。そう、ヒデヨシもまた他人の為に行動する人物であるといえよう。
そして何より、鈴子が敵としてこの場で倒そうと考えている植木自身が他人を守る正義を持っているのだ。
他にも植木のクラスメイトである森あいも仲間を助けられる勇気を持っており、植木を守る為に行動している。彼等の様に他人の為に行動する人物はいるのだ。



そして―――



―――ほんの少し先の未来―――



―――植木、森、佐野、ヒデヨシは鈴子の仲間となっている―――



―――だが、その事実を今の鈴子は知らない―――



【B-10/灯台展望室/1日目 深夜】
【鈴子・ジェラード@うえきの法則】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、スパスパの実@ONE PIECE、妖精の鱗粉@ベルセルク
[思考]
基本:このゲームが自分達の戦いの延長ならロベルトを優勝させる、そうでないならロベルト及び十団の団員と合流して脱出(最悪ロベルトは脱出させる)
1:灯台の近くにいるであろう参加者の来訪に備える。
2:このゲームが自分達の戦いの延長にあるかを確かめる。
3:ビーズを手に入れたい。その為に市街地の店に向かいたいがどちらの方向に向かうかはまだ未定。
4:情報を集め今後どうするかを考える。特に他の参加者への接触は慎重に行う。
5:(この場にいるなら)ロベルト及び佐野等の十団の団員と合流。
6:(この場にいるなら)植木、ヒデヨシ他の能力者を倒す。特に植木は確実にこの場で倒しておきたい。
7:ロベルトがこの場にいない場合、倒せない能力者がいるなら誰も死ななかった時の全員死亡を狙う。

[備考]
※第50話ロベルトへの報告後、植木の所に向かう途中からの参戦です。その為、森とは面識がありません。
※このゲームが自分達の戦いとは関係ない可能性を考えています。名簿にロベルトや十団の団員及び自分の知る未だ失格になっていない能力者の名前が1つでも無ければ関係ないと判断するつもりです。
※能力者以外を能力で傷付けても才が減らない可能性を考えています。実際に才が減るかどうかは次の書き手に任せます。
※気絶させても能力を失わない可能性を考えています。気絶したらどうなるかは次の書き手に任せます。

【スパスパの実@ONE PIECE】
食べた者は全身のあらゆる箇所が刃物になる。また、鉄が耐えうる攻撃は無効となる。原作ではMr.1がその能力者。

【妖精の鱗粉@ベルセルク】
妖精の羽根から出る鱗粉で傷等何にでも効く最良の良薬。

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GAME START 鈴子・ジェラード 064:人生は選択肢の連続

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