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2つの想い……重ならず

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2つの想い……重ならず   ◆oUQ5ioqUes


「はぁ……これからどうしよう……」

鎧姿の少年――アルフォンス・エルリックは戸惑いながら一人街を歩いていた。
彼はこの殺し合いに乗るつもりなど元々ない。
かと言ってこのまま黙ってこの事態を見過ごせる人物でもなかった。
何故、何十人もの人の命が失われなければならないのだ。
そんなこと許されていい筈がない。
だからこそ、立ち向かわなきゃいけない。
この狂ったゲームを始めた人物達に。

(でも、兄さん達はここにいるのかな?)

アルは一人考えていた。それは、ここに自分の知り合いが本当にいるのかどうかということだ。
あの少女――ムルムルは最初の放送があるまで名簿は読めないと言っていた。
そして、それは事実であった。
アルはここに着いてからからすぐに自分のバックの中身を確認していた。
一番の理由としては自衛のための武器がないかと思ってのことだったのだが、ついでにあの少女の言葉の真意を確かめようとしたのだ。
そうして探した結果出てきたのは、一枚の何も書かれていない紙であった。
おそらくこれが名簿なのだろう。
ちなみにこのとき、武器らしいものが何一つなく落胆した記憶もあったが気にしないでおこう。
その気になれば錬金術で武器はどうにかなるはずだ。

(そういえばあの子他にも変なこと言っていたな……)

「デウス」 「1st」 「日記」
そして「新しい神」
いずれも訳が分からない単語だった。
唯一「日記」というのは分かる単語ではあったが、何故あのとき出てきたのかが分からない。
分かることがあるとすれば、「1st」という人物がこのゲームに参加していること。
そして、「デウス」というのが「新しい神」の前に神であったのだろうということだけである。
無論本当に神がいるのかどうかは微妙なところではあるが……。

話を戻そう。名簿が白紙だった。
これはつまり自分以外に誰がこのゲームに参加させられているのかがわからないことを意味していた。
もしここにいるのが自身の兄であるエドワード・エルリックや、「焔」の錬金術師であるロイ・マスタング大佐ならまだいい。
協力して一緒にこのゲームを潰してしまえばいいのだから。
だが仮に、ここにいるのがホムンクルス達だったらどうする?

(少なくとも、協力したりとかはできないだろうな……)

それだけではない。
ここにいるのがもし、何の力も持たない一般人だったらどうする。
それこそ、ウィンリィのような人物が呼ばれているとしたら……。

(……ッ!!大変だ!!)

アルはすぐさまそこから走り出した。
理由は簡単だ。いるかいないかも分からない幼馴染を探すためだ。

ウィンリィ・ロックベルはエルリック兄妹の幼馴染である。
そして同時に機械鎧整備士でもある。
だがそれ以外では、彼女は普通の少女となんら変わらない。
つまり……戦闘能力など持っていないのだ。
もしも彼女がこの殺し合いに巻き込まれていたら……。

無論ここにウィンリィ・ロックベルが来ているかどうかなんてわからない。
わかる訳がない。
が、それでも探さないで後悔するよりはマシだ。
そう思い、アルは走り出した。
いるかもわからない人物を探すために。
それが無駄になるかもしれないのに。
アルフォンス・エルリックは暗闇の中をかけて行った。

     ◇

同時刻。

「はぁ……これからどうしよう……」

頭の上に眼鏡を乗せている少女――森あいは困惑しながらも一人街を歩いていた。
彼女もこのような殺し合いの乗るような人間ではない。
そして彼女は人が死ぬのを黙って見ていられるほど非情な人間でもなかった。
だからこそ、許せるはずがないのだ。
このような殺し合いを。
ただ、止めることが出来るかどうかを聞かれたらかなり微妙なところではあるが。

「それにしても……ホントどうなってんのよ……」

森は一人考えていた。それは、この殺し合いのゲームについてであった。
あの少女――ムルムルは「新しい神」が新しくゲームを開いたと。
だが、そんなことはありえないのだ。
少なくとも、森あいにとってはありえないことなのだ。

何故なら……今自分達が「神様」を決めるために戦っているのだから。

     ◇

森あいはとある能力を持っている。
その力は神候補が神の座を巡る戦いで、選ばれた中学生だけが持っている能力である。
そして、その戦いに勝ち残った中学生には自分の好きな才能を何でも手に入れられる「空白の才」が。
その中学生の担当であった神候補には神の座が。
それぞれ手に入れることが出来るのである。

森はそんな戦いに巻き込まれた。とある少年に興味を示したことによって。
最初彼女は能力を持ってはいなかった。
だがとある事情により彼女にも能力が与えられ、結果的に彼女も途中参加という形で戦いに参加したのだ。
そしてさっきも強敵であったバロウチームを倒し、喜びに浸っていたはずなのだ。
だがその喜びも、直後に響いた少女の声によって打ち消されてしまったのだが。
とそこまで思い出して、森はやっぱり戦いは終っていないなということを再確認した。

「でも……現実にこんな状況になってるしね……」

まずは状況を確認しなければならない。そう思い、森はその場に立ち止まって考えてみた。
まず、この状況だが……今の状態では情報が少なすぎる。
分かっていることと言えば、次のことぐらいだろう。

第一に、どうやらいつの間にか戦いが終っていて「新しい神」が新たに戦いを始めたということ。
森としては認めたくはないことなのだが、この状況を見るにそう考えるしかないだろう。
何故「新しい神」が神になったばかりなのに再び戦いを始めたのかはわからない。
何か理由があってのことなのだろうが、今の時点では何も分からないので今は保留して置こう。

第二に、自分達の知っている神様の名前が「デウス」で今はいないということ。
正直あのオヤジの神様の名前なんてどうでもいいが、「いない」というのがどのような意味で言っているのかが分からない。
単純に新しい神が殺してしまったから「いない」のか。
それともこの状況に手を出すことができないから、助けは来ないという意味で「いない」と言ったのか。
いずれにしても今の状態では情報が少なすぎる。
ただ……どうやら「1st」という人物が何か知っている可能性があるようだ。
一応保留として置こう。

第三に、ルールが大幅に変わっていること。
これが森にとって一番衝撃だった。
一次選考に似たようなルールではあったが、それでも前の戦い――森にとってはついさっきまでやっていた戦いのことなのだがあえてこうして置く――の時とはルールがあまりにも違うのだ。
まず前の戦いでは相手を気絶させれば良かったのだが、この戦いでは相手を殺さなければならなくなっている。

(そりゃあ確かに相手を気絶させるどころか殺しかねない能力を持った奴とかはいたけどさ……)

それでも、ルール的にはあくまで気絶させればそれで終わりだったのである。
少なくとも前の戦いでは確かにそういうルールであったはずなのだ。

他にも、あの少女――ムルムルは力の制限をしているみたいなことを言っていた。
これも考えてみれば変な話だ。

(前の戦いの時だって、反則みたいな能力あったのに……)

それでも制限されることはなかった。
厳密に言えば“限定条件”と呼ばれるものが全ての能力にあるが、これはあくまで“条件”であって“制限”ではない。
おまけに24時間死者が出なければ全員死亡というとんでもないルールまで追加されているというのは一体どういうことなのだろうか。
そんなことをしたら全ての神候補が神になれないというのに、一体何故?

(まぁ……それもわからないんだけどねぇ……)

とても分かったこととは思えないが、これが今現在分かっていることなのだからしょうがない。

「はぁ……こんなときに佐野とかがいればね……」

と、そこまで言ってふと森はあることを思い出した。

「そうだ……。みんなは……みんなはどこ!?」

そう。あの場にいた植木チームのみんな。

植木耕助、佐野清一郎、鈴子・ジェラード、宗屋ヒデヨシ。
いずれも森の仲間であり……そしてあの場にいたメンバーでもある。

「私がこの戦いに巻き込まれているってことは……他のみんなもひょっとして巻き込まれているんじゃ!!?」

そう思い、森はその場から急に走り始めた。
言うまでもなく仲間を――植木チームのメンバーを探すためである。

佐野や鈴子ちゃんがいれば、違いはあるだろうが自分よりいい考察をしてくれるはずだ。

植木がいれば、どうしてかは分からないが勇気が沸いてくる……気がする。

ヒデヨシは…………どうなんだろう……。

とにかく仲間がいれば心強いのは間違いないだろう。

(それに……どの道私の能力じゃあゼッタイに生き残れないと思うし……)

     ◇

ここで少し彼女の能力についての説明を入れたいと思う。
彼女――森あいの能力は「相手をメガネ好きに変える能力」である。
文字通り、相手をメガネ好きに変えてしまう能力である。
ふざけた名前の能力ではあるが、その効果は非常に強力なものである。
何故なら能力をかけられた相手の目の前で眼鏡を破壊すると、相手はとてつもない悲しみに襲われそのまま自滅してまうことさえあるぐらい強力な能力なのである。

ただそんな強力な能力ではあるが、二つ弱点が存在する。
一つは相手が眼鏡をしている場合は自滅に追い込めないこと。
これは単純に自滅してしまうと自身の眼鏡にも危害が及んでしまうため自滅ができないためである。
そしてもう一つは、この能力の“限定条件”が異常に難しいことである。
そもそも“限定条件”とは能力を使う為に満たさなくてはならない条件のこと言い、全ての能力に存在しているものである。
だが、の条件は能力の強さによって厳しくなり、特に洗脳系に属されている能力は自分や相手の強さに関係なく相手を気絶させることができるので、より厳しい条件が設定されているのである。
それは、森の能力においても例外ではない。
森の能力の“限定条件”。

それは……「対象相手がぶりっ娘ポーズをすること」なのである。
より詳しく言えば、相手が両拳を顔の前に上げ、右足を後ろに上げるポーズをすることが条件なのである。

……正直なところ、この条件なのにどうやって今まで勝つことが出来たのかが不思議でしょうがないのも無理ないだろう。
実際彼女が倒した能力者も――

一人は本当に偶然条件のポーズをしてしまったから。
一人は単に(語弊があるかもしれないがあえて)馬鹿だったから簡単に条件のポーズをさせることができたから。

――といったように、完全に当たる相手が良かったから勝てただけなのである。
だが、この先もそうなるとは限らない。
というより、たぶんよっぽど馬鹿な奴がいないかぎり、そしてよっぽどの偶然がないかぎり――

森あいは自身の能力を使うことはない。

それだけは確かであろう。

     ◇

(自分の能力は頼りにできない……)

なら、探すしかないだろう。
自身のチームの仲間を。自分の手で。
無論ここに植木チームのメンバーが来ているかどうかなんてわからない。
わかる訳がない。
が、それでも探さないで後悔するよりはマシだ。

(何より……私はまだみんなと別れたくない!!)

そう思い、森は走り出した。
信じられる仲間を探すために。
絶対にいると信じながら。
森あいは暗闇の中をかけて行った。

     ◇

今同じ時、同じエリアで、同じことを思った少年少女がいた。

少年はいないかもしれない幼馴染と自分の兄、信頼できる知り合いを探すために。

少女は絶対いると思っているチームのメンバーを探すために。

もしこの二人が出会うことができれば、心強い味方が出来たかもしれない。

だが、運命とは時に残酷である。

彼らこの時出会うことはなかった。

ひょっとしたら、いずれ出会うことになるかもしれない。

ひょっとしたら、二度と出会うことはないかもしれない。

でもそんなことは、誰にも分からない。

それが例え……「神様」であっても……。

【I-6 南西/市街地/1日目 深夜】
【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:健康 焦り(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品0‾2(確認済み、武器ではない)
[思考・備考]
基本:兄や知り合いを探し、このゲームに立ち向かう。
1:ウィンリィを探す。
2:できれば「1st」も探してみる。
※ウィンリィを探しているが、いない可能性も考えています。

【I-6 北東/市街地/1日目 深夜】
【森あい@うえきの法則】
[状態]:健康 焦り(中)
[装備]:眼鏡(頭に乗っています)
[道具]:支給品一式、不明支給品0‾2
[思考・備考]
基本:植木チームのみんなを探し、この戦いを止める。
1:とりあえずみんなを探す。
2:できれば「1st」も探してみる。
3:能力を使わない(というより使えない)。
4:なんで戦い終わってるんだろ……?
※第15巻、バロウチームに勝利した直後からの参戦です。その為、他の植木チームのみんなも一緒に来ていると思っています。
※この殺し合い=自分達の戦いと考えています。
※デウス=自分達の世界にいた神様の名前と思っています。

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