アットウィキロゴ
新漫画バトルロワイアル
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

カタハネ -クロハネ-

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

カタハネ -クロハネ- ◆JvezCBil8U


――――夢。

夢を、見ている。

過ぎ去ったいつか、遠い遠い、取り戻せない日々。

俺から道を違える前の、夢を見ていた過去――。

全てを終わらせようとして、全てが終わる時に見る、最後の夢。
たった一人の弟以外、蔑んだ存在からも、救わんとした同胞からも見放された男の見る夢。
結末のその果てにある、泡沫―うたかた―の終焉。

背中の羽はただの一枚。
飛ぶ機会は既になく、必要な存在を必要なところへと届けきった。
末期にヒトに頼った意思を誇ることも卑下することもせず、未来と過去の自分に許しも乞わない。
共に歩むべきはそれに相応しい弟に任せ、自分は音もなく消え往こう。
弟に手を汚させるのではなく、自分の意志で往こう。

**********

広大な外宇宙、星の海を往く銀の船。
眠り人に包まれたゆたう揺りかごの中で、3つの影が一つの卓を囲んでいる。
母親と呼ぶにはいささか若く、力強く、しかし確かにその役割を果たしていた女性。
そして、金の髪を持つ双子の兄弟。
たった1年という時間の、その一区切りを祝う食卓。

神の目でその光景を見ている。
俺はとうに祝賀会の当事者だった少年ではなくなっているのだ。
混ざることもなく、立ち去ることもなく。
繰り返される1年目のその時間だけを延々と見つめ続けている。

……いずれ、いずれきっと、透明な莢の中で夢を見続ける人とも手を取り合えるのだと願い信じていたあの頃。
彼らの殆どは既にない。
俺のこの手でもたらした墜落で死んだか、寿命を使い切ったか。
今もなお眠り続けるごく一部だけが、生き延びている。

思い返せば、共に歩んでいられたのはそれ程までに短い間だったのか。
その期間を百度繰り返しなお余る時の流れの上、自分は違う道を歩き続けてきたのだ。

始まりの分水嶺の名は、忘れたことなどない。
今も克明に思い出すことができる。

……テスラ。

『彼女』と対面した時こそがその瞬間だったのだ。
生まれが違っても、おなじこころを持つと信じていた存在と袂を分かったのは。

この祝賀の食卓が終われば、俺は彼女と対面することになる。
だからなのだろうか。
繰り返し繰り返し、この場面だけが再生されているのは。

――この後、弟は人を信じ続け、俺は人を憎み殺した。
奴が人に怯え、人に丸め込まれたのか。
俺が人に怯え、人を排除しようとしたのか。
それは最早問うまい。
確かなのは俺が彼らの下を自分の意志で離れていったことだけだ。
母の様な存在が俺を抱きしめた時にも、弟が不安そうに後ろを追って来た時にも。
共に料理や遊戯、勉強をしていたどの時ですら踏み止まらず、大墜落を引き起こした。
機会はいくらでもあったのにもかかわらず、だ。

搾取された同胞達の怒りと怯えを束ねた全てが俺の選択であり、その悉くを俺は顕示しよう。
たとえ俺が弟に下された事実があっても、否定などしてたまるものか。
俺はお前と道を分かった後、あまりに遠くまで来てしまったのだから。

そして俺達は、終わりの終わりを終わらせた。

……ヴァッシュ。
それでもお前は、俺を殺さなかった。
数え切れないモノを俺に背負わされて、その体に傷ばかりを刻んできたというのに。
背中の羽を広げ、お前は俺を助けた。
羽は満足に羽ばたくこともなく、対の片方が崩れてしまう程に限界を迎えていたというのに。

……ああ。
そして俺も、お前を助けた。
足りない片方の羽を補い、二人で空を飛んだ。

思い返す事は、もう少ない。
俺は人間にヴァッシュを託し、ヴァッシュに人間を託した。
同胞が、弟が人と共に歩む道を選んだのならば、その正逆を掲げた俺の道は言葉にするまでもない。

今更、人と共にいる事などできないのだから。

――――夢が、終わる。

俺達が二人で、人と暮らしていた時間が遠ざかっていく。
俺と、ヴァッシュと、レムとで語らいあった食卓が霞み、揺りかごは星の海に溶けていく。

それを見届ける俺の視点だけがゆっくりとあの砂の星へと墜ちてゆき、移民船は墜落する事無く新天地に向かって加速する。
果たして、その場所では俺達はどんな暮らしをしていたのだろう。
あるいは本当に、人間が俺達を受け入れてくれたのかもしれない。
だがそれを夢想することに価値はない。俺自身が否定し、壊したIFに意味はない。

俺は、最後まで俺の道を全うしよう。

全てが熱砂の向こうに消え、浮上する意識の中で、最後に一つの光景を見る。
林檎の木が荒野の一軒家、その傍らで実りをもたらしていた。

……ああ。
俺が、あの人間の子供に林檎の木を残したのは――――

**********

声が、聞こえた。
真砂を散らす風に包まれ白く塗り潰されていく視界の中で。
他に何一つ音のしない、静寂に満ちた蜃気楼の中で。
夢と現の境界へと、誰かが呼びかけている声――。

「……夫!? 死……ゃって……よね? まだ、生……るよね?」

畏敬や怖れのない、心配をするような声色。
忠義を誓う存在は漏らす事のない、久々に聞く音。

「……きて。起きなよ。こんな……で眠っちゃ……だってば」

俺を起こそうとする更なる遠くから、奇妙な台詞が飛んでくる。
会話なのだろうか、近くの声はその方に向かい何かを告げた。

「そ、そう……れないけど……。やっぱり放っておけ……し」

誰かの名前を口ずさみ、呼びかける声が一時止まる。

「困ったな、どうしよ……こんな時……がいてくれ……なぁ」

――何故か。
まったく似ていないのにもかかわらず、その声が誰かと重なった。
静かにその名を呟くと同時、意識が在るべき世界へと引き戻されていく。
覚醒する。

**********

「……レ、ム?」

「う、うわわわわわわわわわわわ、わわっ!」

――騒がしい。
耳障りな悲鳴を上げるな。

目頭を押さえ、静かに上半身を起き上がらせる。
エンジェル・アームをいつでも起動可能な様に待機させて辺りを窺う。
殺気や敵意は、少なくとも感じない。

目の前には女がいた。レムのそれと聞き違えたのは、この女の声か。
……だが、それはどうでもいい。
瑣末な存在に構うより先に気にしなければならない事がある。

何処だ、ここは?
見飽きた砂漠にあるはずのない、新緑に満ち満ちた森という空間。
これは何だと再度問うより早く生温い夢に浸かる前に見た光景が蘇る。
首に手を伸ばしてみれば、そこにはご丁寧に冷たい首輪がしっかりと嵌め込まれていた。

神だと? 
巫山戯るなよ、道化ども。
この俺を貴様らの遊戯盤の駒にでもしたつもりか。

……確かに俺はかつてに比して見る影もない。
黒髪化は進行し、あと何度“力”を行使できるかも定かではない。
同胞を纏め上げ、人間の希望の悉くを打ち砕いてきた融合体の頃からはかけ離れた、敗北者の末路だ。
成程、確かにお前たちに捕らえられるなどという失態を犯すほどに落ちぶれたのは事実だろう。

だが。
それで、それだけで俺を飼い慣らしたつもりか。
俺がただ一人敗北を認めるのは血を分けた弟だけだ。
救いがたい思い上がりを抱く貴様らに、俺を舐めた事への後悔と絶望を刻み込んでやる。
たとえ朽ちるのを待つ体でも、俺の在り方は俺が決める。
神などという道化の慰み者として唯々諾々と従いなどはせん。

――そして。
何より、俺の身体が共鳴している。
この場所の何処かから、嘆きに満ちた同胞達の声がする。
この低俗な遊びを開く為に同胞の命を搾取したのならば、地獄すら生温い所へ送ってやる。

ぎり、と手を握り締める。
待っていろ。
如何なる手を使ってでも辿り着き、貴様らを嬲り殺してやろう。

その為には――、

それを考えようとした時に、唐突に思考に割り込んでくる声。

「よ、良かったあ……。目覚めたみたいだね。
 私が言えた義理じゃないけど、こんな状況でずっと寝てたら危ないって、うんうん」

「……人間か」

……年若い人間の女。特に特徴らしい特徴もない。
殺そうと思えば、いつでも殺せるだろう。
それくらい相手は脆弱な存在であり、取るに足りなかった。

「へ? あぁ、うん。見ての通りわたしは普通の人間だけど……、な、何かマズかった!?
 ナギちゃんみたいなお金持ちとか、ヒナさんみたいな完璧超人とかじゃないといけなかったのかな!?」

「…………」

何を訳の分からないことを言っている。
こんな女も例の殺し合いとやらに放り込むとは、あの道化どもは何を考えているのだ。
この程度の存在と殺し合えというのか、この俺が。
――いい扱いだな、腸が煮えくり返る程度に。

「えっと……。あなたも多分巻き込まれたクチなんだろうけど、お互い気をつけようよ。
 とりあえず生き延びるために協力できる事は協力しないかな」

「…………」

ああ、成程。
そう言えば、俺を起こしたのはこいつの声だったか。
……五月蝿いから始末しようかと思ったが、正直な話そんな事で力を使うのは無駄使いが過ぎる。
今の俺にはその程度の力すら限りがあるのだから。
眠る間に命を絶たれる事を防いだ礼などではないが、見逃してやろう。

――元より、俺は一度人間に請い願う事さえしているのだ。
弟を助ける為だったとはいえ、俺があれ程忌み嫌った人間を頼った事実はもう覆すことなどできない。
だから、だろうか。
最早、かつての様な殺意を全ての人間に抱くことがなくなっている。

「その、み、見ての通り私はごくフツーの人間で、誰一人傷つけることなんて出来ない一般人だから。
 あなたにそんな事するつもりだってモチロンないから、お互い助け合わないかなー、なんて……」

「…………」

だろうな。
眠る俺を殺すことすら出来なかったのだ。
わざわざ俺が手を下すまでもなく、殺し合いなどすれば野たれ死ぬに違いない。

「で、できればでいいんだけどね! できればで!
 えぇと、えぇと……、その……、き、気に障ったらごめんなさいっ!」

「…………」

協力、か。
馬鹿馬鹿しい話だ。
弟は兎も角、今更俺自身が人に媚びる事などありえん。
そもそもが俺には何の利もありはしない。

何一つ言葉に出す事無く、目線だけで女を射抜く。
――早く立ち去れ。
いずれにせよ、お互いに構っている意味はない。

その意を受けて、女が困惑の表情で諦める。
女は何故か申し訳なさそうに、別れの言葉を切り出す。

「あぅ……、じゃ、じゃあ私、行くから! そ、その、お互い無事で生き延びられたらいいですね!
 ……い、生き延びられ……た、ら……」

「…………」

切り出すも――、言い終わる事無く、肩を震わせた。
自分で自分を抱きしめ、幾人かの名前を呟く。
……自分で言っていた通り、あまりにも弱過ぎる。

「ひ、ぁ……。ゃだよぉ、お父さん、お母さん……。
 一樹……、は、ハヤテ、くん……」

「…………」

家族の名を口にして今にも泣きそうな姿に、また誰かの姿を見た。
それでも女は、決して泣く事はない。
……それが何だというのだ?
わざわざ殺すまでもない相手が怯えて縮こまっているだけの話だ。
これ以上関わっても時間の無駄でしかない。
立ち上がり、背を向けようとあらぬ方角に顔を向けた瞬間。

「モウイイダロウ、ソコマデニシテモラオウカ」

――人間は、本当に俺を疲れさせる。

「う、ぅ……ふぁ? ひ、平坂……さん?」
「違ウ! 私ハ12thブラック!」
「は、ははは、はいっ?」

「…………」

馬鹿げた格好でお遊戯をしたいのなら勝手にしていろ。
あまり俺を苛立たせるな、折角拾った命を捨てることになるぞ?

「罪モナキ女性ヲ泣カセ、家族ヲ人質ニ取ル不届キ千万!
 貴様ノ悪事ハ我々正義ノ味方ガ裁イテクレル!」

「…………」

女は巫山戯た連れに呆けた顔を向けたまま、動く様子はない。
役立たずめ、世話くらい見ておけ。

「ソウダ、私ノコノ千倍ノ聴覚ニ聞コエルゾ。
 貴様ノ殺メテキタ計リ知レナイ犠牲者ノ怨念ガ!
 私ノ正義ノ勘ガ、貴様ガ悪ダト叫ンデイルノダ!」

「…………」

……悪、な。
確かに俺は貴様ら人間どもを何十何百でない単位で殺してきたな。
それは確かだ。否定などせず、むしろ俺はそれを誇ろう。
だが。
貴様が喉奥で喚く耳障りなノイズを聞く度に苛立ちが込み上げてくるのは、どうしようもあるまい?

「私ノ『正義日記』ノ告ゲル未来ニ間違イハナイ!
 今カラ貴様ヲ倒ス我々コソガ勝者デアリ、正義ナラバ。
 我々ニ倒サレル敗北者ノ貴様は間違イナク、悪ッ!
 引導ヲ渡シテクレルッ!」

「……くく」

笑い声がどうしても漏れる。
負けた者が悪、か。
ならばあいつに負けた俺はまごうことなき悪だな。
ヴァッシュ。……お前が、正義だ。

地には平和を、そして慈しみを。

なんとまあ、素敵な正義じゃないか。

……くくくく、ははははは。

――ああ、それでいい。
世の中の誰が俺を悪と断じようと構うものか。
所詮は人と歩むことを選んだ同胞から見放された身だ。
だがな。
俺は、貴様如きの手で死んでやる程惨めな存在になったつもりはない。
勝った者が正義であるというならば、少なくともこの場での正義は俺だ。

消えろ。

肉一片と言わず微塵すら残す事無く、刻み尽くしてやる。
現世の何もかもを斬り飛ばす天使の刃を見せてやろう。

腕に静かに、かつ高速に力を込める。

「や、止めてぇ――――!」

「…………」

……しゃしゃり出てきたか、女。
一歩も動けず、立つ事も覚束ないのに声だけは騒々しいな。

「ムッ、ドウシタ。何故止メル、レッド!」
「な、何故止める、じゃないよ!
 わ、分かってるの? 人を殺すってことなんだよ!?
 いきなり何もしてない人にそんな事するのはそれこそ悪じゃないかな!」
「レッド、コノ男ハ先程カラ私ノ言葉ヲ否定シテイナイゾ?
 返事モセズ、言ワレルガママトイウ事ハ認メルノト同ジ事ダ。
 ナラバ! 私ハ正義トシテコノ男ヲ野放シニハデキン!」
「た、確かにその人はさっきからずっとだんまりだけど、そんな事で決め付けるなんてどうかしてるよ。
 負けたから悪ってのもなんか納得いかないし……。
 そんな事言ったら私だって周りの人に比べて勝ってる所なんか全然ないから、やっぱり悪って事になっちゃうって。
 それに……」

「…………」

……何かほざきあっているが、どうでもいい。
興が削がれた。
確かなのはこの女の行動の結果、力を無駄使いする必要がなくなったという事だろう。
それだけの話だ。
俺が貴様ら人間を滅ぼそうとしていた以上、悪と断じられることに異議はないというのに何を必死になっている。

「たとえ本当に道を踏み外して悪いことをしちゃったとしても、それを償う事ってできるんじゃないかな……?」

「…………」

――――償う、か。
別に何一つ償うことなどない。
俺は、俺の選択を翻すつもりなどないのだから。
今更貴様らと共に歩む為に媚びる事など、俺自身が許さん。
在り得ない事とはいえ、他の誰に許されても俺が許さないのだ。
その役目は弟が果たせばいい。

「……殺シテ償ウ機会ヲ奪ッテハナラナイト、ソウイウコトカ?」
「う、うん? そうなのかな……。私、あんまり頭良くないし……。
 と、とにかく! 殺すなんてダメ! 絶対ダメ!」

「甘スギルゾレッドッ!」

びく、と女の肩が震えた。
どうしてか、体が少しだけ前のめりになる。

「……ト、言イタイトコロダガ、私ハオ前ニ負ケタ身……。ナラバ正義ハオ前ニアル。仕方ナイ」

道化は肩を竦め、不快な挙動で俺を指差す。
……やはり、今ここで殺しておくべきか。

「今ハ見逃シテヤル! ダガ、次ニ貴様ガ悪事ヲ働イタソノ時コソ容赦ナク鉄槌ヲ下シテクレル!
 レッドノ優シサニ感謝シテ、サッサト立チ去リタマエ!」

「…………」

……いや、この程度の相手にこの限界の近い体を行使する必要はないと今しがた確認したばかりだろう。
無言で立ち上がり、何処へともなく歩き出す。
別れも言わず、背を向けて。
仮に背中から撃たれたのならば、今度こそその躯を断ち割るまでだ。

「あ……あの! ま、待ってくれないかな!」

「…………」

俺の意に反して、なお女の声が俺を引き止める。
顔も向ける事無く、……しかしどうしてか、俺の足は歩みを止めた。

「えぇっと、その、私行くってさっき言ったけど、やっぱりついていっていいかな?
 あなたを一人にするのも心配だし、私も人数が多い方が心強いし!
 ……そ、それに、この人と二人っきりってのもなんかすっごく不安だし」
「ナニッ!? レッド、私ハ正義ヲ心掛ケテイルノダ、不埒ナコトナド決シテシナイ!」

――ああ。成程、この道化は確かに鬱陶しい。
貴様の様な非力な女や、弟の様な馬鹿でもなければとうに殺している事だろう。

「で、できればでいいんだけど……。
 ハヤテくん、って男の子と会えるまででもいいから、助けてくれないかな?」

「…………」

助力を請うと言うのか?
人間が、この俺に?

……誰に対して下らない口を聞いている。

「思イ留マレレッド! コンナ得体ノ知レナイ男ト行動スルナド、正気ノ沙汰デハナイゾ!」
「か、鏡見てその台詞は言った方がいいんじゃないかな……?」
「私ニ『見ル』事ハデキナイ。ダガ、コノスタイルガ正義ノ味方トシテ相応シイモノデアルコトニ疑イハナイ!
 変身~♪ ベルト! 変身~♪ タイツ! 変身~♪ グローブ! 変身~♪ マスク!
 ドウダイレッド、カッコ良イダロウ……」

「あ、あははははははは……」

力ない笑いが鼓膜に届く。顔も見るつもりはないが、きっと青ざめている事だろう。
それも、俺の気にすることなどではない。

「えっと、勝手な思い込みなんだけどね、多分大丈夫なんじゃないかなって。
 ……起きた時、この人は別に襲い掛かったりしなかったでしょ?
 だから、殺し合いをするつもりはないんじゃないかなって思ったんだ」

「…………」

浅慮にも程のある考えだ。やはり人間は愚昧な衆合だとしか言えん。
少し取り入られればいくらでも信用し、裏切られる事は間違いないというのに。

「え、えっと……」

「…………」

続く沈黙に、それでも言葉を紡ごうとする。
……会話の意思もないということすら分からないのか?

「その……、」

ふん。
やはり度し難い阿呆だな。
貴様らも俺も。

……喜べ、ヴァッシュ。
どうやら俺にも、少しばかりお前の馬鹿が感染った様だ。

「……好きにしろ」

力を貸す心積もりなど毛頭ない。
俺の戦いに巻き込まれ、誰に護られる事も看取られる事もなく勝手に死んでいけ。
降りかかる厄災に自ら足を進めたのは貴様なのだから。

「……あ、は、はいっ!」

声に反応する事なく、自分の道を自分の速度で歩き始める。
ぱたぱたと、背中について来る音がする。
足音は二人分。

「――仕方ナイ。貴様ヲ監視スルノダト考エレバ、納得デキナクハナイカ。
 コノ12thノ耳カラハ逃レラレルトハ思ワナイコトダ」

……結局、邪魔ならば貴様ら諸共に首を跳ね飛ばすまでだ。

「わ、私は西沢歩っていうんだけど、あなたの名前は?」

口を開きかけ、そのまま閉じた。
後ろを振り向かず、そのままにただ、進み続ける。
名前など教える必要はない。

俺は、今もまだ俺の答えを捨てたくはないのだから。

――――ふと、いつかを思い出した。
青い青い夏の空。
汚物の壺を斬り開いた陽光の下の邂逅、出会い。
あの時も人間が、俺の背後に続いて歩いていた。

無為なことだ。やはり俺はどうかしている。
……いや。お前に狂わせられたようだ、ヴァッシュ。
人間の、それも死んだ男の事など思い返すとは。

なあ、どう思うんだろうな?
……お前の殺したあの男が、今の俺を見たのならば。

――既に亡き男の行動という、答えの出るはずのない問い。


【F-04研究所付近/森/1日目 深夜】

【チーム:12-3(トゥエルブスリー)】

ミリオンズ・ナイブズ@トライガン・マキシマム】
[状態]:健康、黒髪化進行
[服装]:普段着にマント
[装備]:支給品一式、不明支給品×2
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:神を名乗る道化どもを嬲り殺す。その為に邪魔な者は排除。そうでない者は――?
0:――償う事など、何もない。
1:搾取されている同胞を解放する。
2:エンジェル・アームの使用を可能な限り抑えつつ、厄介な相手は殺す。
3:歩達がついてくるのを止めるつもりもないが、守るつもりもない。
4:レガートに対して――?
[備考]:
※原作の最終登場シーン直後の参戦です。
※会場内の何処かにいる、あるいは支給品扱いのプラントの存在を感じ取っています。
※黒髪化が進行している為、エンジェル・アームの使用はラスト・ラン(最後の大生産)を除き約5回が限界です。
 出力次第で回数は更に減少しますが、身体を再生させるアイテムや能力の効果、またはプラントとの融合で回数を増加させられる可能性があります。

【西沢歩@ハヤテのごとく】
[状態]:健康
[服装]:制服
[装備]:五光石@封神演義
[道具]:支給品一式、大量の森あいの眼鏡@うえきの法則
[思考]
基本:死にたくない。ハヤテや知り合いに会いたい。
0:な、名前くらいは教えて欲しいんだけどな……。
1:……もう、レッドでいいや。
2:殺し合いって何?
3:ハヤテくんに会いたい。
4:とりあえず、平坂と二人きりは嫌。
[備考]:
※参戦時期は明確には決めていませんがハヤテに告白はしています。

平坂黄泉@未来日記】
[状態]:健康
[服装]:烏避け用の風船の様なマスクと黒の全身タイツ、腰にはおもちゃの変身ベルト
[装備]:エレザールの鎌(量産品)@うしおととら
[道具]:支給品一式、正義日記@未来日記
[思考]
1:コノ怪シイ悪人ヲ監視スル!
2:悪ハ許サナイ!
3:弱キ物ヲ守ル!
4:シカシ、ドウシテ私ハ生キテイルノダロウ?
5:コレデメンバーガ三人揃ッタ!
[備考]:
※御目方教屋敷にて死亡直後からの参戦。

【正義日記@未来日記】
未来日記所有者12th、平坂黄泉の持つボイスレコーダー型の未来日記。
全盲の彼は己の善行を事細かに声という形で残していたため、ボイスレコーダーが未来日記となった。
道のゴミ捨てや老人の荷物持ちからカルト宗教討伐まで『正義』の内容は幅広いが、報告されるのはあくまで彼自身の解釈上での『正義』である事に留意する必要がある。
本来は90日先までの未来が記録されているが、今ロワでは見通せる未来が制限されている模様(詳細は不明)
また未来日記の例に漏れず、このボイスレコーダーを破壊した時点で平坂黄泉は死亡する。

時系列順で読む


投下順で読む


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー