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神の座を探す君の名を、誰もが心に刻むまで

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神の座を探す君の名を、誰もが心に刻むまで ◆1ZVBRFqxEM



小学校の教室の中で、私は意識を取り戻した。
もう一度、精神を元の場所に戻そうとしてもそれは叶わなかった。
そもそもあそこが精神世界だったのかすら、今となってはわからない。
ただ、理不尽な今の状況に、教室の壁を、力の限り叩く。
無駄な行動だと知りつつ、そうでもしなければ感情が抑えきれなかった。


「あのやろう、ふざけるな。デウスはもういない?」
この雨流みねね様を、コケにしてくれた。
その怒りを、どうして殺すことができようか。


「ムルムル、今回のおふざけは許しがたいよ」
12名の日記所有者によるバトルロワイアルはどうした。
もう残り人数も半分切ってるんだぞ?
先に死んだ日記所有者たちはとんだマヌケだ。
そして、今生き残ってる日記所有者も救いようが無いほどマヌケだ。
弱くてニューゲーム? 第二部から異世界物に方向転換? 打ち切りでテロリスト坂でも登るか?


「流石に勝手がすぎるんじゃないか、デウス? 始めたゲームくらい、ちゃんと終わらせろ!」
「――それは無理な御話ねぇん☆ 神にとって、人間なんて玩具以下なのよん?」
その声に、私は振り返る。
だがそこには、誰もいない。声のした方角には影も形も存在しない。


「はっ……それで、何のようだよ。そのまま、「背中」を一突きにでもするにしちゃ行動が遅すぎるんじゃない?」
「うふん☆ 額に汗して口にする言葉じゃないわねぇん」
いつ回ったのか、振り向いた私の背後にいる女は私の顔……というか眼帯をぺたぺた触ってくる。
「あらん、残念ねぇん♪ せっかくの美貌も、片目が取れてちゃ半減よん?」
「興味ないね。それに、普通の人間様が神に挑むには、これくらい無茶しないと死んでいたのよ」


その言葉に、女は興味ありげに笑いかける。
「あはん☆ わらわ、あの場所とムルムルちゃんのこと知りたいのん。教えてくれるかしら?」
「……奇特だねぇ、自分から私の不満の捌け口になってくれるなんて、お優しいことで」


「当然よん☆ わらわはジャンプ不滅のゴージャスヒロイン、妲己ちゃんだものん☆」
……何を言ってんだ、こいつは?


「ふぅん、なるほど。簡単に言えば、あんたもデウス同様人間じゃないと」
「同様なんてわらわ照れちゃうん☆ ほんの千年ちょっと生きてるだけの妖怪仙人よん♪」
文句を聞かせると言いながら、結局情報交換になってしまった。
あの大聖堂に戻る方法を聞かれたが、私自身お手上げだ。
あそこが現実の世界ではない、空想、妄想の世界かもしれないこと伝えると、妲己は考え込むように黙ってしまった。
他にも、デウスとムルムルのこと、参加しているだろう現存未来日記所有者の情報を妲己に話す。


すると、気を良くしたのか妲己は自身のゴージャス人生とやらを語りだした。
先ほどまで頭の両端にまとめていた髪を解き、足まで届く長髪を晒す。
女の私から見ても美人だ。今までどれだけの男を騙してきたか、見当もつかない。
妖怪というくらいなのだから、いろんな意味で食い物にしてきたんだろう。


妲己はやはり人間じゃあなく仙人……人間の仙人もいるそうだが、更に妲己は妖怪だという。
神とは違うそうだが、人間様からすればどっちも変わらない。
あの時、雷を出して女を殺した申公豹って奴と、それと話していた太公望って奴も仙人らしい。
神と違って、宝貝なんて魔法の道具を使える以外は、人間と大差ないと妲己は言う。
目の前の妲己を見ていると、実にうそ臭いが死なないわけではないんだろう。


話によると、周という三国志なんかより古い時代の中国から来たそうだ。
タイムスリップというやつか……どうでもいいや。
わけのわからない力なんて、みねね様の知ったことじゃない。


「それじゃあ貴女は、遠い未来から来たということでいいのかしらん?」
「それでいいよ。未来とか過去とか、神からすりゃ遊びの一環なんだろうよ」
その回答に、妲己はそれなりに満足を得たらしい。
「それで、貴女はそんな神様をどう思うのん?」
「気に喰わないね。私は、神を殺すために神の座を目指してたんだ」


だが、それも振り出しに戻った。
片目を犠牲にしてまで守った未来日記「逃亡日記」までない以上マイナスか。
それでも私は諦めない。このゲームでも勝ち抜いて、私は、
「私は神になるん☆ とか思ってるわね?」
この場を、なんとか乗り切らなければならない。
妲己はふざけた表情のまま、強烈な威圧感を私に放つ。
支給品の確認なんてまだしてない。怒りに我を忘れたツケってわけだ。
どうやってでも、こいつを殺すか逃走するかしなきゃならなかったってのに、隙をつけなかった以上、もはや逃げることもできない。


「でも、それは妙ねぇん? このゲームで優勝した御褒美なんて、わらわは聞いてないわん☆」
………あれ?
「何か勘違いしてるのねぇん☆ あの子とムルムルちゃんの会話のせいかしらん?」
待て、思い出せ。
たしか1stとの会話は……


「ムルムルッ!」
「1stか」
「どうなってるんだよこれは? 日記は? デウスは!?」
「――デウスはもういない」
「なっ!?」
「そして新しい神が新しくゲームを開いただけじゃ。
人数は大幅に増えてしまったがな。やる事は今までと大して変わらんよ。
悪いが1st、お前一人に長々と説明する時間は無いんじゃ。
最後まで生き残った時に改めて説明してやるから頑張ってみせよ」


「……そうだ。「やること」は変わらないってだけだ。一言も、優勝者が神になるなんて言ってないな」
とんだ思い違いだ。
この雨流みねね様ともあろう者が、こんな初歩的なミスか。
いや、ただ認めたくなかったんだろう。
神を殺す道が、断たれた事実を。


「あらん、つまらない顔ねぇん☆ そんなに嘆くことかしらん?」
「ククク……言いたいことはわかるさ。嘆くな、恨め、神を殺せ……そんなことは言われるまでも無い」
一瞬きょとんとした表情を妲己はしてみせ、再び私に問う。
「わかってるんじゃないのん。だったらどうして嘆くのん?」
「同時にわかることもあるのさ。……私の火力じゃ、神は殺せない」
デウスの座を争ったときでさえ、私が神を殺すには神になるしかないと理解していた。
神を殺すには神になるしかない。矛盾な気もするが、それ以外にはなかった。


「TNT爆弾で死んでくれるってんなら話は別だけどね」
「あはん、神様が人間の武器で死んでくれるなら、簡単よねぇん?」
それくらい知っている。
だから困ってるってのに、妲己の口調はまるで世間話のように、


「……だったら、私と手を組んでみないん?」
同盟を結ぼう、なんて言ってきやがった。


「……ハッ、この雨流みねね様がバケモノのあんたと?」
「構わないはずよん♪ わらわは妖怪だけど、神じゃないものん。それに貴女に損はさせないわん」
ああ、そうさ。力で劣る私に損はない。
こいつの力があれば、あるいは神を殺せるかもしれない。
だが、妲己は何の目的で?


「私に損はなくても、あんたに何の得がある?」
「……みねね。人の力は、それぞれが大したことが無くても、集まれば脅威になるわん」
「知ってるわ」
人が集まれば逃げることも立ち向かうこともうまくいかない。
警察にしろ宗教にしろ、集団の力は厄介だ。


「いつもなら、わらわの奴隷や兵を湯水のように使うわん。だけど、今は手駒が限られてるじゃないん☆」
「私はあんたの奴隷にはならないわ」
「知っているわん。貴女の自由を縛るつもりは無いのよん。ただ、誰かに会う度、こう言って欲しいのん♪
『妲己という人物が、このゲームから脱出するため仲間を集めている』ってねぇん」
仲間を集める広報活動をしろってことか?


「誰かに会う度……つまり危ない奴でも『無差別』に、か?
妲己、あんた死ぬ気? そんな真似すればどうなるかわかるだろ?」
「そうねぇん。わらわを求めて甘い人も危ない人も集まってくるのん☆ わらわ怖いん♪」
「わかっててなんで……」
まさかとは思うが、こいつの目的はそれなのか?
ともかく裏はあるわけだ。その方が、下手な偽善よりは信頼できる。


「……いいぜ、協力しよう。で、あんたと行動する必要はないんだな?」
「もちろんよん。あ、でも別れる前に支給品の交換でもしないん?」
「そうだな……どっちかの荷物に逃亡日記が入ってるかもしれない」
未来予測できるってことは大きなアドバンテージだ。
こんな場所じゃ『DEADEND』が何度も表示されそうだが、奇跡でも何でも起こして乗り越えてみせる。


「チッ、無いか。妲己、そっちは?」
「こっちにも入ってなかったわん☆」
未来予測が可能なんてアイテムは、やっぱり支給されてないのか。
それとも、どこかの誰かに支給されてるのか。


「(くそっ、支給されてたらなんとしてでも取り返さないとな)」
「ねぇん? 何かわらわの気に入る支給品はあったのん?」
人が考えてる間に、勝手に妲己は人の荷物をあさろうとしていた。
その前にあんたの支給品を見せろよ、と言おうとしたその時だった。


私の荷物から「勝手に」支給品が飛び出し、妲己を攻撃したのは。


「なっ!?」
「……あはん☆」
妲己の頬を、血が伝う。
それを舐めつつ、妲己は何がおかしいのか笑みを浮かべている。
その僅かな間に、頬の傷は完全に塞がっていた。


「まさか、支給品に命を狙われるとは思わなかったわん♪」
「ただの、槍じゃないのか?」
そう、妲己を傷つけたのは私の支給品の槍だった。


それが、まるで妲己を狙い済ますかのように飛び出したのだ。
「あん♪ わらわ、どうしたのかしらん。この槍を見てると、胸のドキドキが止まらないのん☆
これってもしかして……恋!?」
「何か違うんじゃないのか?」
もう襲ってくる様子はないらしく、妲己は槍を満足そうに見ている。


「みねね、これをわらわに献上してん☆ とても気に入ったわん♪」
「ちょ、ちょっと待てよ! 私の好みの得物じゃないけど、こっちだって武器はいるのよ」
「んもォ、しょうがないわねぇ。なら、わらわも大奮発してこれをあげるわん」


何やら円形のものを投げて寄こす妲己。
「(なんだ、パイナップルみたいな……まさか手榴弾か♪)」
思わず受け取ってしまったソレは、ずっしりと重みがあった。
予想はハズレ、それは手榴弾ではなかった。
「なんだ、本当のパイナップル……でもないな、なんだこれ?」


それは実に奇妙な実だった。
美味そうには見えないし、こんなもので槍と交換なんてふざけているとしか思えない。
「たしかに食料は大事だけどね。これと槍じゃ割に合わないだろ?」
「そうねぇん☆ それがただの実ならねぇん♪」
妲己は風に乗せて、紙を一枚こちらに飛ばしてくる。
それには、なにやら説明らしき文章で埋め尽くされていた。


「悪魔の実……ボムボムの実、だと?」
「そうよん☆ 永遠にカナズチになる呪いと引き換えに、お手軽肉体改造が可能な呪われた実なのん☆」
話によると妲己自身も、水に溶かせば酒になる桃とやらを知っているらしい。
そういった不思議な食べ物はありえない話じゃないそうだ。


「永遠にカナズチか……海外への移動中に事故にあったらアウトじゃないか」
テロリストである以上、どんな方法でも海は通るし海上でのテロも行う。
それを考えれば、海に落ちれば溺れ死ぬしかないリスクは高すぎる。
「いや……そんなもの、神を殺せるチャンスのためなら小さいね」


それに、ボムボムの実なんて名前も能力も私好みだ。
全身爆弾人間……雨流みねね様にこそ相応しい呼び名じゃあないか。
私はボムボムの実にかぶりつく。


「ぐっ……マッズ……!」


日々の空腹生活で多少まずくても気にしない私だが、それでも毒みたいな味だ。
実は本当に毒で騙されたんじゃないだろうか。


「あらん、見た目の変化はないわねぇん。わらわ、ちょっと残念」
「……見た目だけじゃなくて、私も変わった感じがしないんだけどね」
とにかく試してみれば手っ取り早い。
私は目の前の机を蹴り上げる。
聞きなれた、ドンッという爆発音。
机は爆発に巻き込まれ、煙を上げながら砕け散った。


「クッハハハ! いいね、雨流みねねらしい能力じゃないか!」
お手製TNT爆弾に比べれば微々たる火力だが、対人だと考えれば十分な威力だ。
「あはん、汚い花火ねぇん♪」
対『人』ならな。こいつには効くんだろうか。


「いいぜ、槍はあんたにやるよ。……で、これからどうする?」
できればこいつと同じ方向は避けたい。
協力はともかく、いっしょに行動すると不安で仕方がない。
「わらわは当然デパートに向かうわん☆ 綺麗な服があるかもしれないでしょん♪」
「ならここでお別れね。私はそっちには向かわない」
「ならここでお別れねぇん☆ また会うときは仲間を増やしておいてねぇん」
妲己はそういうと、窓から飛び出しスキップしながら離れていく。


「おい、妲己」
「あらん、何かしらん?」
こいつほどの化物に必要ないかもしれないが、一応忠告しておく。
「2nd……我妻由乃には気をつけろ。あれはお前らの域に達する『異常』だ」
「ヤンデレの未来日記の所持者ねぇん。わかったわん」


「……読めない奴だ」
信用するのは危険だが、一筋縄じゃいかない。
神を殺すためなら、危険な爆弾を背負い込むのも一つの手だ。
「自分が吹っ飛ばされないように気をつけないとね」
まずは、準備といこうか。


私に必要なものは何か。もちろん爆弾だ。
理科室へと足を運び、爆弾を調合する。
少ない材料で出来たのは、衝撃で発動する簡易な閃光弾と煙幕弾。
もう少し作りたかったが、あまり一箇所に留まっても危険が伴う。


「さて、どこに向かおうか」
選択肢としては病院、警察署か研究所、工場という所だろう。
病院には薬品があるし、警察署には武器があるかもしれない。
研究所、工場には機材や火薬があるだろう。


爆弾人間なんてのになってしまったが、この首輪を外すにも、敵の排除にも武器や道具は必要だ。
「今は、高みの見物でも洒落込んでいるといい」


今度こそ殺してやるわ、神よ。


【H-3/小学校理科室/一日目深夜】
【雨流みねね@未来日記】
[状態]:健康、爆弾人間
[装備]:手製閃光弾、手製煙幕弾
[道具]:支給品一式、不明支給品(0〜1(日記ではない))
[思考]
基本方針:神を殺す
1: 病院方面、もしくは研究所方面に向かう。
2: 出会った人物に、妲己が主催に反抗する仲間を集めていると伝える。
3: 首輪を外すため、神を殺すためならなんでも利用する。
※ボムボムの実を食べて全身爆弾人間になりました。
※単行本5巻以降からの参戦です。
※未来日記所持者は全員参加していると思っています。死んだ12thが参戦しているとは思っていません。
※妲己と情報交換をしました。封神演義の知識と申公豹、太公望について知りました。


【ボムボムの実@ONE PIECE】
バロックワークスのMr.5が食べた悪魔の実。
食べた人間は全身起爆の爆弾人間となる。
体液などの分泌物も爆弾に変えられ、銃に吐息を吹き込めば、見えない爆弾を射撃できる。
爆撃でのダメージがなくなるが、能力が制限対象のため、高威力の爆撃を完全無効とは出来ない。




デパート方面への道を歩く妲己。
その表情は先ほどまでとは異なり、神妙なものだった。


「(この会場の文明水準は、殷と周の時代より遥かに上よねん)」
警察署、デパートなどは妲己のいた時代には存在しない建築物だ。
それは、数千年先に存在すると「決められている」建物。
『歴史の道標』によって定められている事象である。


「(やっぱりここは、未来ということなのん? でも、ありえないわん)」
そう、ありえないのだ。
妲己は『歴史の道標』―――女?の配下である。
「最初の人」である女?は、歴史をあらかじめ決定している。
夏の時代が終わり、殷の時代が終われば、周の時代が来る。
それはすべて女?に決められていることなのだ。


「最初の人」は滅んだ惑星からやってきた異星人であり、女?は故郷と同じ星を作ろうとしている。
失敗すれば、また壊してやり直す。
何百万年も世界を滅ぼし、繰り返してきたその作業。
その過程を知っているからこそ、妲己はありえないと言うしかないのだ。


「(女?様ですら、世界をわざわざ壊さなければいけなかった。それなのに、未来に生きるみねねとわらわが同時に存在しているなんて……)」
女?ほどの力があっても、時間移動はできなかった。
僅かな失敗を修正することができなければ、すべてリセットする他になかったのだ。


「(新たな神とは、何者なのかしらん。女?様なのん? それとも違う誰かなのん?)」
このゲームを開いた神とやらが女?である可能性は低いと妲己は見た。
地球を歴史通りに作りたい女?が、こんなことをするとは思えなかった。
女?だとしても、おそらくは単独での行いではないだろう。
何度も言ったように彼女には時間移動の力は無いのだから。


「(女カ様である可能性が低いから対主催なんて言っちゃったけどん。女カ様だったら困るわねぇん)」
妲己は女カの手足となって動いているが、彼女には大きな目的があった。


―――地球と同化して、地球の真の支配者……『大母(マザー)』になること。
風となり、大地となり、草木となり、生物の一部となり……永遠に世界を見守る。
野心家である妲己がたどり着いた究極の世界支配の方法。


そのためには妲己の力では足りない。
女カの体を乗っ取り、世界と同化する必要があった。
それを女カに知られれば、妲己など一瞬で魂魄ごと消されるだろう。


「(とはいっても、わらわに何の指令もないってことは女カ様が主催だとしても見捨てられたのよねん)」
たとえば、自分に殺し合いを活発化させるためのジョーカーの役割を指令することも可能だ。
そもそも、ムルムルか申公豹のポジションってわらわじゃないのん? と不思議に思う。


「(申公豹はどうして従ってるのかしらね。絶対に誰かの言いなりになるタイプじゃないのに)」
申公豹は最強クラスの仙人であり、けして誰にも組しない男だ。
彼の美学に反することを許さない彼は、この殺し合いを美しいと思っているのだろうか。
「わらわなら、もっと残虐で美しい殺し合いを考えるのにん☆」
この人、やはり真性の外道である。


「(しょうがない。どう考えてもわらわの計画はオジャン。一から練り直すしかないわん)」
なんとしてでも神の元にたどり着き、その力を手に入れる。
それが女カ以上ならば更に彼女の力を取り込み地球と同化する。
女カに劣る力の持ち主ならば、それを足がかりに女カに取り入り、やはり地球と同化するのだ。
女カが主催ならば……隙を突いて体を奪ってみせる。


神がいるという場所は妄想世界の可能性があるというみねねの言葉を思い出す。
魂魄が飛ばされた可能性、良く似せた現実の世界である可能性。
「(いくらでも可能性はあるけど、まずは下品な首輪を外さないとねぇん♪)」
自らの首輪を指でなぞる妲己。


「(そのために、わらわも頑張って太公望ちゃん方式で頑張ってみるわん♪)」
妲己の言う、太公望方式とはつまり、彼が妲己を倒すためにとった手段である。
スーパー宝貝「傾世元禳」が無い以上、テンプーテーションによる誘惑は難しい。
そのためにとった策は、敵の良作を模倣することであった。


「(強い仲間を囲って、楽して主催者撃破戦法よん☆)」
少し曲解されているが、意外と間違いでもない。
旗印に人は集まる。
誰かが反抗しているという事実は、それだけで他の主催打倒を目指す者を集わせる。
戦っているのは自分だけではないという、連帯感は力を強くする。


「でも、わらわ……実力の無い者は嫌いなのん♪」
戦闘力だけではなく、運も実力のうちという。
無差別に情報をばら撒かれれば、対主催である妲己を気に入らない者も妲己を目指すだろう。
そして、それは妲己の仲間になろうと近づく者との争いを多くするだろう。
誰かに出会ったにしろ出会わなかったにしろ、妲己の前までたどり着けなかった運の悪い者に、妲己は用は無かった。


「これは、役に立つのかしらん?」
荷物から取り出した木札。
それが、妲己の二つ目の支給品だった。
札の表面には、マジックで書いたような4文字があるだけのそれからは、不思議な力を感じる。


「『再会の才』ねぇ……お守りくらいにはなるかしら?」
会えるのならば、会いたい人物はいた。
妲己が呼ばれたのは、太公望チームとのトーナメント戦の最中だった。
敗北し、元の琵琶状態を晒した義妹、王貴人。そして自分以上に破天荒な義妹、胡喜媚
そしてカワイイカワイイ太公望ちゃんに、カワイイカワイイ王天ちゃん。


太公望ちゃんに会えれば御の字だろう。
札をしまい、獣の槍を片手に妲己は歩き出した。


「……この槍は、何なのかしらねぇん。あれっきり襲ってはこないみたいだけど」
まるで熱が冷めたかのように、槍はただの槍のように動かなくなってしまった。
この槍はスーパー宝貝級の力を秘めていると妲己は感じ取った。
しかし、それを自分には使いこなすことは出来ない。
それでも、並みの宝貝程度に妖怪でも倒す力はありそうだった。


「妖怪を殺すための槍みたいねぇん。わらわを殺すつもりなのん?」
獣の槍は答えない。
「まぁいいわん。持ち主が見つかるまでは役に立ってもらうわよん♪」
幸いというか、槍には銘が彫られていた。


我屬在蒼月胸中到誅白面者――我ら白面の者を倒すまで蒼月の心の内に在る、という意味の銘が。


おそらくは、蒼月という人物が槍の持ち主なのだろう。
「白面の者……ねぇん?」
その名に感じるものがあったのか、妲己は何か考え込んでいた。
しかし、すぐに歩を進めデパートへと向かっていったのだった。


獣の槍……それは、妲己を滅ぼすために作られた槍であり、そうではない。
殷を滅ぼし、周すらも滅ぼした恐るべき大妖。
それから先、3000年近く世界中に恐怖と滅びを与え続けた存在。
白面の者――それは間違いなく、妲己と等しい存在であり、未来の存在とも言えた。
しかし、白面の者と妲己は、同じでありながら、何もかもが違いすぎた。
獣の槍は、見定めるために動きを止める。
目の前の妖は、憎き宿敵と変わらぬ存在であるのか。
自らの持ち手となりうる存在を待ちつつ、獣の槍は一時、妖怪の得物となった。


【I-3/道路/一日目深夜】
【妲己@封神演義】
[状態]:健康
[装備]:獣の槍@うしおととら
[道具]:支給品一式、再会の才@うえきの法則
[思考]
基本方針:神の力を取り込む。
1: デパートに向かう。
2: 対主催思考の仲間を集める。
3: 太公望ちゃんたちと会いたい。
4: この殺し合いの主催が何者かを確かめ、力を奪う対策を練る。
5: 獣の槍と、その関係者らしい白面の者と蒼月が気になる。
※胡喜媚と同時期からの参戦です。
※みねねと情報交換をしました。未来日記の所持者(12th以外)、デウス、ムルムルについて知りました。


【獣の槍@うしおととら】
春秋・戦国時代に中国で作られた、白面の者を殺すための槍。
両親を白面の者に殺されたギリョウ、ジエメイの兄妹が命を込めて作成した。
(妹、ジエメイが溶鉱炉に身を投げ、それを材料に剣を打った兄の体が融合し槍となった)
獣の槍に選ばれた者が使うことで、使用者の魂と引き換えに身体能力、治癒能力が向上する。
ただし、魂を与えすぎると使用者は、とらや紅煉同様の字伏という妖怪に変化する。
選ばれていない者以外が使用した時、選ばれた者でも妖以外と戦う時はその変化は起きない。
妖怪のみを殺す槍であり、人間を刺してもダメージは普通の槍より少ない。
(正確には斬れないため人間を強打や無機物を切り裂くことはしていた。)
ただし、上記の性能がロワ中でなんらかの変更が加えられているかは不明。
獣の槍を封印する布は巻きついている。


【再会の才@うえきの法則】
植木耕助が神の座を争う戦いに勝利した際に、優勝者に与えられる空白の才に書き込んだ才。
文字通り、再会する才能を得ることが出来るが、あくまで才能であって絶対ではない。


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