「少女探偵24時」は「少女探偵島都」シリーズの1つの事件。全6話。
物語の大半がビデオカメラの撮影映像として描写されている異色作。
そしてビデオの中では都と結城、長川警部などのレギュラーキャラの顔にモザイクがかかり、声も変声期で変えられ、字幕がつけられている。
物語の大半がビデオカメラの撮影映像として描写されている異色作。
そしてビデオの中では都と結城、長川警部などのレギュラーキャラの顔にモザイクがかかり、声も変声期で変えられ、字幕がつけられている。
あらすじ
映像部の広瀬舞子が探検部に「少女探偵島都が事件を解決するところを撮影させてほしい」という依頼をする。
丁度その時結城のスマホに電話が。
南茨城市の市営住宅で殺人事件が発生、その不可解な状況に疑問を持った長川警部が都を呼んだのだ。
市営住宅の現場の前で長川警部と待ち合わせる都と結城。
(そしてここからビデオ映像に切り替わる)。
果たして少女探偵島都はどのような推理をビデオカメラの前でするのか。
丁度その時結城のスマホに電話が。
南茨城市の市営住宅で殺人事件が発生、その不可解な状況に疑問を持った長川警部が都を呼んだのだ。
市営住宅の現場の前で長川警部と待ち合わせる都と結城。
(そしてここからビデオ映像に切り替わる)。
果たして少女探偵島都はどのような推理をビデオカメラの前でするのか。
登場人物
ゲストキャラクター
- 広瀬舞子
17歳の映像部部長。眼鏡っ子。明るい性格で思い立ったら一直線の少女。
映像作品のコンセプトを考えている最中に島都の噂を聞き、その足で探検部部室に直行した。
映像作品のコンセプトを考えている最中に島都の噂を聞き、その足で探検部部室に直行した。
- 桜民子
53歳の女性。発達障害で働けず生活保護を受けている。
2年前に一人娘がバイト先で店長に刺されて死亡。その後誹謗中傷を受け引きこもっていた。
冒頭のシーンでは娘に誤り続けている場面があるが、次のシーンでは包丁で自分の腹を刺して死亡している。
現場は市営住宅の室内で完全な密室だった。
2年前に一人娘がバイト先で店長に刺されて死亡。その後誹謗中傷を受け引きこもっていた。
冒頭のシーンでは娘に誤り続けている場面があるが、次のシーンでは包丁で自分の腹を刺して死亡している。
現場は市営住宅の室内で完全な密室だった。
- 浦安ヒデヨ
81歳の老婆で管理人。気難しい性格で警察や一緒に同行してきた島都も胡散臭そうに邪険に扱う。
- 人吉薫
会社員。爽やかな好青年。27歳。都や長川警部にも協力的。
桜の娘とは高校時代同級生だった。彼女について「印象になかった」と答えている。
桜の娘とは高校時代同級生だった。彼女について「印象になかった」と答えている。
- 元木照弘
会社員。眼鏡をかけた温和そうな好青年。28歳。人吉の同僚で事件当時酒を飲んでいた。
- 勅使河原英次
35歳公務員。生活保護関係の課に勤めており、被害者の桜に生活指導をしていた。
長身で馬面。かなり尊大な性格で被害者の桜を団地の前に立たせてビンタをしているところが目撃されている。
長身で馬面。かなり尊大な性格で被害者の桜を団地の前に立たせてビンタをしているところが目撃されている。
- 平山チンドリーナ
ブラジル人女性。40歳。主婦。日本語はあまり話すことが出来ない。
桜については「とてもいいひと」と言っている。
現場から被害者以外の女性の声が聞こえたと述べている。
桜については「とてもいいひと」と言っている。
現場から被害者以外の女性の声が聞こえたと述べている。
- 平山満男
77歳。見た目は安西先生。チンドリーナの夫。耳が遠い上にボケている。
チンドリーナを溺愛している。
チンドリーナを溺愛している。
- 桜の娘
2年前に26歳でバイト先の店長に仕事覚えの悪さから激昂され、包丁で刺されて殺害されている。
その店長は懲役8年の実刑判決を受けて服役中。
この事件では「仕事でへまをした娘が悪い」という誹謗中傷が母親の所にも来たらしい。
その店長は懲役8年の実刑判決を受けて服役中。
この事件では「仕事でへまをした娘が悪い」という誹謗中傷が母親の所にも来たらしい。
レギュラー
冒頭ではドキュメンタリーを撮ると言われて「食い倒れ旅行に連れて行ってもらえる」と勘違いしていた。
長川警部に呼び出されて探検部から市営団地にタクシーで到着。
そのシーンからビデオが回るが、ビデオの中では顔にモザイクがかけられている。
長川警部に呼び出されて探検部から市営団地にタクシーで到着。
そのシーンからビデオが回るが、ビデオの中では顔にモザイクがかけられている。
都にくっついて推理をサポート。やっぱりビデオの中ではモザイク。
- 長川警部
御存じ女刑事。やっぱりビデオではモザイク。
事件捜査で被害者の部屋から被害者を許せないという女の声を聞いたという複数の情報を得ており、状況的に自殺で間違いはないが、一応都に相談するために現場に呼んだ。
事件捜査で被害者の部屋から被害者を許せないという女の声を聞いたという複数の情報を得ており、状況的に自殺で間違いはないが、一応都に相談するために現場に呼んだ。
- 高野瑠奈
- 薮原千尋
- 北谷勝馬
冒頭の探検部のシーンのみ登場。千尋は撮影と聞いて結城と勝馬を脱がせようとしていた。
以下事件の真相
- 桜民子
都は状況から見て事件自体は民子の自殺であろうと推理する。
だが都は民子が受けていた壮絶な誹謗中傷に注目した。
それは「発達障害者なのになぜ子供を産んだ」という投稿。
簡単に言えば「発達障害は遺伝しやすく、今の社会状況では発達障害を持って生まれた子供は周りに迷惑をかけるし、本人も辛い人生を歩む」。
つまり「バイト先で娘が刺されたのは自業自得だし、その娘が死んだのは生んだ母親のせい」という中傷。
これに傷つき、自分を責め苦しんでいた桜民子。
勅使河原にハラスメントをされても無抵抗だったのは自己肯定感が低下し、抑鬱状態だったのではないかと考える。
そして最後のダメ押しとなったのは・・・・。
だが都は民子が受けていた壮絶な誹謗中傷に注目した。
それは「発達障害者なのになぜ子供を産んだ」という投稿。
簡単に言えば「発達障害は遺伝しやすく、今の社会状況では発達障害を持って生まれた子供は周りに迷惑をかけるし、本人も辛い人生を歩む」。
つまり「バイト先で娘が刺されたのは自業自得だし、その娘が死んだのは生んだ母親のせい」という中傷。
これに傷つき、自分を責め苦しんでいた桜民子。
勅使河原にハラスメントをされても無抵抗だったのは自己肯定感が低下し、抑鬱状態だったのではないかと考える。
そして最後のダメ押しとなったのは・・・・。
- 浦安ヒデヨ
- 元木照弘
- 人吉薫
元木は浦安に息子のようにかわいがられており、人吉と3人で食事をしていた時、ふとこの団地に桜が住んでいる話になる。
ネットで中傷を受けていた桜民子。だが3人は元々非定型発達者に差別意識を持っており、悍ましい悪戯を桜に仕掛ける。
ネットで中傷を受けていた桜民子。だが3人は元々非定型発達者に差別意識を持っており、悍ましい悪戯を桜に仕掛ける。
それは人吉が高校時代に撮影した桜の娘に対するいじめ動画。
その動画の音声を加工して、民子が自分を生んだせいで自分は苦しんだ、お前も死ねと言っているようにし、それを民子の部屋に聞こえるように連日流し続けたのだ。
その音声に苦しみ悲鳴をあげる桜民子の声を聞いて、3人は笑っていた。
その動画の音声を加工して、民子が自分を生んだせいで自分は苦しんだ、お前も死ねと言っているようにし、それを民子の部屋に聞こえるように連日流し続けたのだ。
その音声に苦しみ悲鳴をあげる桜民子の声を聞いて、3人は笑っていた。
3人はこの事実を隠していたが、元木が「女の声」とうっかり口を漏らした事をきっかけに都にその悍ましい悪戯を暴かれた。
だがその直後3人は開き直り、「あいつが勝手に死んだだけ」「罪になるような事はしていない」、浦安に至っては「昔はああいう娘は産婆が〆ていた」人吉は「当然の償いをさせてやった」と言って植松聖みたいな笑いを浮かべるなど、全く反省していなかった。
だがその直後3人は開き直り、「あいつが勝手に死んだだけ」「罪になるような事はしていない」、浦安に至っては「昔はああいう娘は産婆が〆ていた」人吉は「当然の償いをさせてやった」と言って植松聖みたいな笑いを浮かべるなど、全く反省していなかった。
この3人の態度には都も結城も絶句していたが、3人の行為は罪ではないためどうする事も出来ず、これから桜が死んだ祝杯を挙げるという3人を背に都も結城も黙って部屋を出るしかなかった。
事件は非常に後味の悪いものになった。
以下事件の本当の真実
墓地で人を待つ都、結城、長川、撮影者の4人。ここで撮影者がビデオカメラを墓場に現れた別の人物に渡す。カメラに記録される会話。
そして画面はビデオ画面から正常に戻る。そこに映り込んでいたのは、背格好は似ているが、都、結城、長川とは別の人物。
そして撮影さも含めた4人と会話する謎の紳士。
そして画面はビデオ画面から正常に戻る。そこに映り込んでいたのは、背格好は似ているが、都、結城、長川とは別の人物。
そして撮影さも含めた4人と会話する謎の紳士。
- 偽島都
- 偽結城竜
- 偽長川警部
- 撮影者(20代男性モブ)
全員劇団員でコロナの中困窮しているところ、多額の報酬と「告発に力を貸して欲しい」という謎の紳士の要請で演技を引き受けた。
なお4人とも人吉たちの外道な行為には怒りを持っており、悪意がある人物たちではない。
紳士から多額の報酬を受け取り、恐縮していた。
なお4人とも人吉たちの外道な行為には怒りを持っており、悪意がある人物たちではない。
紳士から多額の報酬を受け取り、恐縮していた。
- 島都(本物)
- 結城竜(本物)
- 長川警部(本物)
実は都が映像部からの要請を受けた直後に長川警部に殺人事件の相談で市営住宅に呼び出されたのは、偽物が推理をした1週間後。
つまり、映像の場面は「全て1週間前に撮影されたビデオ」だったのである。
さらに都は「人が苦しんで傷ついている事件を見せものにしたくない」と言う理由で広瀬の要請を断っていた。
さらに偽物は明らかに証拠を偽装している事や、アパートに住んでいる平山夫妻のその後の立場を配慮していないなど都の推理にしては矛盾点があった。
つまり、映像の場面は「全て1週間前に撮影されたビデオ」だったのである。
さらに都は「人が苦しんで傷ついている事件を見せものにしたくない」と言う理由で広瀬の要請を断っていた。
さらに偽物は明らかに証拠を偽装している事や、アパートに住んでいる平山夫妻のその後の立場を配慮していないなど都の推理にしては矛盾点があった。
だが、配慮は必要なかった。何故なら…。
- 人吉薫
- 浦安ヒデヨ
- 元木照弘
都が長川に通された部屋には拷問された人吉、浦安、元木のバラバラ死体と血の海。
あまりの凄惨な現場に結城は戻しそうになっていた。
長川曰く拷問の痕跡があるとの事。
あまりの凄惨な現場に結城は戻しそうになっていた。
長川曰く拷問の痕跡があるとの事。
死体のそばには人吉のスマホがあり、彼のTwitterアカウントには礼の推理動画とともに、人吉、浦安、元木を生かすか殺すかのTwitterアンケート結果が残っていた。
(2690人が解答。2207人が処刑に賛成していた)。
(2690人が解答。2207人が処刑に賛成していた)。
かなり悲惨な殺され方をしているが、上記のような外道行為を笑いながらしている為同情の余地はない。
都は偽物を動かしていた人間は「推理者ではなく裁定者」だったのではないかと考える。
つまり今回殺された人間を生かすに値するべきか見極めるのが目的ではないかと。
つまり今回殺された人間を生かすに値するべきか見極めるのが目的ではないかと。
- 謎の紳士
正体は岩本承平。
桜民子を自殺に追い込んだ人間に復讐するため、緻密な調査を行っていた。
劇団員に都、結城、長川のふりをさせて人吉、浦安、元木の悪行を暴き出し、そして残虐な拷問殺人で復讐を成し遂げた。
そして作中では勅使河原英次をも地下室のような場所で追い詰め、命乞いをする勅使河原に以下の言葉を吐くところで物語は終わっている。
桜民子を自殺に追い込んだ人間に復讐するため、緻密な調査を行っていた。
劇団員に都、結城、長川のふりをさせて人吉、浦安、元木の悪行を暴き出し、そして残虐な拷問殺人で復讐を成し遂げた。
そして作中では勅使河原英次をも地下室のような場所で追い詰め、命乞いをする勅使河原に以下の言葉を吐くところで物語は終わっている。
「いじめをする人間は、死ぬべきですよ」
- 勅使河原英次
彼も桜民子を自殺に追いやった一因として最後に追い詰められ、岩本に命乞いを拒否される。
恐らく直後に殺害されたものと思われる。
恐らく直後に殺害されたものと思われる。
- 桜民子の娘
高校時代に受けたいじめ動画を本人がパワハラ上司に殺害された後に母親の自殺に使われる…という作中きっての不幸な目に遭った女性。
浮かばれなさすぎる。
正直岩本GJと言えなくもない…。
浮かばれなさすぎる。
正直岩本GJと言えなくもない…。
- 広瀬舞子
事件とは無関係でミスリード要員。そして序盤以外登場していない。
かわいいメガネっ子なのに残念。
かわいいメガネっ子なのに残念。
- 島都
主人公の女子高生探偵であるにもかかわらず、この事件では推理らしい推理を全くしていない。
目標を達成した岩本は偽装や攪乱には無頓着である事も相まって、岩本の犯行の残滓を分析したに過ぎない。
ある意味彼女の存在自体がミスリードになっているという点で、本作は異色作と言える。
目標を達成した岩本は偽装や攪乱には無頓着である事も相まって、岩本の犯行の残滓を分析したに過ぎない。
ある意味彼女の存在自体がミスリードになっているという点で、本作は異色作と言える。
すぐに次の標的が勅使河原だと悟り、それを阻止しようとするが、間に合わなかったことが示唆されている。
「人の命を勝手に決めるとか、絶対に許さない」
「人の命を勝手に決めるとか、絶対に許さない」
今回の事件では台詞は少ないが、結構重要な事を言っている。
「自分が賞賛されていると思っているんだろうな。ドン引きしている奴はそもそも絡んでこないんだけどな」
「そりゃ、見えているもんが違う人間をどこまで受け入れられるかは人に寄るけどな、殺したり傷つけたりする権利はないだろ」
何気なく発言するが、この作品のキーとなる部分だろう。
「自分が賞賛されていると思っているんだろうな。ドン引きしている奴はそもそも絡んでこないんだけどな」
「そりゃ、見えているもんが違う人間をどこまで受け入れられるかは人に寄るけどな、殺したり傷つけたりする権利はないだろ」
何気なく発言するが、この作品のキーとなる部分だろう。
余談
- 「少女探偵24時」というパロディ的なタイトルと比較し、誹謗中傷や優生思想、日本人の人権感覚の低さを批判した重い内容になっている。犯行内容も胸糞悪くグロテスクで、シリーズでも屈指の鬱回とも言われている。また前述の通り「都が推理をしない」というシリーズでも異色作。
- ここまであんまりな内容なのは、作者が実際の発達障害を持つ妊婦への誹謗中傷に激怒して構想したものであるため。浦安が植松聖笑いを浮かべる場面など、作者の憤怒が分かる場面が散見される。
- また6話中編であるにもかかわらず、名前と詳細が設定された人物が5人も死亡している。
- 都の終盤の「人の命を弄ぶなんて許さない」と言う台詞は、岩本はダークヒーローではなく殺人者であって、彼のやっている事は桜母娘への悪意の再生産でしかないという意味があるという。