「白骨洞殺人事件」は少女探偵島都シリーズの事件の1つ。シリーズでも最悪レベルの大量殺人、そしてグロとホラー回でも知られる。
あらすじ
村役場の女性職員与野典子が「爬虫類型人間」という言葉を残して消えた。
彼女のゲーム仲間の千尋に付き添う形で福島県南阿武隈村にやってきた探検部と長川警部。
だが典子の失踪を村の人々はなぜか隠そうとしている。
彼女のゲーム仲間の千尋に付き添う形で福島県南阿武隈村にやってきた探検部と長川警部。
だが典子の失踪を村の人々はなぜか隠そうとしている。
村では典子の前にも村長の栗原三郎に反対する人間が次々と消され、なぜか赤ちゃんも2人姿を消しているとか。
さらに村には大量殺人鬼岩本承平がやってくることを予測しているハンターが待機している。
そして大雨の中、連続殺人の幕が上がる。
そして大雨の中、連続殺人の幕が上がる。
登場人物
容疑者
- 井上弥子(28)
村の女性。無職。生気のない顔でいつも白いワンピースを着て歩き回っている。
笑い方は「ケケケケケ」。
笑い方は「ケケケケケ」。
- 栗原三郎(47)
村長。人材派遣会社の元社長で村の経済を立て直し、村人から崇拝に近い尊敬を受けている。
だが実際は外国人技能実習生や発達障碍者の奴隷を村に斡旋していた。
ちなみに被害者のうち多数が虐待死して、白骨洞と呼ばれる洞窟で粉骨改葬の骨に見せかける形で放置されている。
また近年は怪しげなQ系反ワクチン運動を村をあげて行っている。
だが実際は外国人技能実習生や発達障碍者の奴隷を村に斡旋していた。
ちなみに被害者のうち多数が虐待死して、白骨洞と呼ばれる洞窟で粉骨改葬の骨に見せかける形で放置されている。
また近年は怪しげなQ系反ワクチン運動を村をあげて行っている。
議会で村長席に座った状態で首のない死体で発見される。
典子に議会で村の有力者に「爬虫類人間」を披露していたのを目撃されている。
典子に議会で村の有力者に「爬虫類人間」を披露していたのを目撃されている。
- 作間智信(51)
役場職員。
赤ら顔のデブ。
穏やかな中間管理職と言った感じで殺されそうなイメージはなかったが、村の外に停車していた役場の業務車両の運転席で死体で発見される。
赤ら顔のデブ。
穏やかな中間管理職と言った感じで殺されそうなイメージはなかったが、村の外に停車していた役場の業務車両の運転席で死体で発見される。
- 黒木勇(31)
医師。
イケメン眼鏡だがどことなく冷徹な印象。
栗原を崇拝している。
自分のクリニックで殺害されているところを発見される。
死体はベッドで宇宙人解剖フィルムのようにグロく腑分けされていた。
イケメン眼鏡だがどことなく冷徹な印象。
栗原を崇拝している。
自分のクリニックで殺害されているところを発見される。
死体はベッドで宇宙人解剖フィルムのようにグロく腑分けされていた。
- 岩木成喜(49)
農園社長。
ヤクザのような風貌で暴力的な印象の社長。
しかし都と初めて出会ったときは、既に農場のオフィスで頭に斧が刺さった状態で死亡。
ヤクザのような風貌で暴力的な印象の社長。
しかし都と初めて出会ったときは、既に農場のオフィスで頭に斧が刺さった状態で死亡。
- 佐藤守(28)
農園幹部。
さわやか背広姿を装っているが、本質的には半グレ。
奴隷にされていた外国人実習生と村長に言われて監禁していた典子を村の外の貸倉庫に監禁、見張っていたが、鈴木刑事らに逮捕される。
さわやか背広姿を装っているが、本質的には半グレ。
奴隷にされていた外国人実習生と村長に言われて監禁していた典子を村の外の貸倉庫に監禁、見張っていたが、鈴木刑事らに逮捕される。
- 松本猛(29)
農園幹部。
サングラスを着用したチンピラ。脳禁。
佐藤と行動を共にしており、一緒に逮捕される。
サングラスを着用したチンピラ。脳禁。
佐藤と行動を共にしており、一緒に逮捕される。
- 与野典子(19)
役場職員。千尋のゲーム仲間。かわいい。
議会で爬虫類型人間を目撃し、村長の命令で何者かに拉致され、村長と通じていた岩木の命令で佐藤らに監禁されていたところを、物語の終盤で鈴木刑事らに保護されている。
議会で爬虫類型人間を目撃し、村長の命令で何者かに拉致され、村長と通じていた岩木の命令で佐藤らに監禁されていたところを、物語の終盤で鈴木刑事らに保護されている。
- 本田鮎奈(21)
役場職員。典子の先輩。
実は典子よりも前に失踪。技能実習生を奴隷のように扱う村の方針に反対、告発をしようとしていた。
典子と同じ場所に監禁され、物語の終盤で鈴木刑事に保護された。
実は典子よりも前に失踪。技能実習生を奴隷のように扱う村の方針に反対、告発をしようとしていた。
典子と同じ場所に監禁され、物語の終盤で鈴木刑事に保護された。
- 不破一志(27)
ルポライター、意地の悪そうな眼鏡と言う点は黒木とキャラが被っている。
技能実習生が奴隷にされており、それを告発しようとした村人が次々消えている件で取材をしている。
終始探検部と行動を共にする。
技能実習生が奴隷にされており、それを告発しようとした村人が次々消えている件で取材をしている。
終始探検部と行動を共にする。
- 坂本京(45)
ハンター。スキンヘッドの狩猟狂で、トレジャーハンター風の格好が特徴。
動物では飽き足らなくなり、マジもんの殺意の塊である岩本を狩猟するために村に来た。
本人曰く「岩本の自分を殺してくれと言う声が聞こえる」らしい。
言動は過激で狂っているが、行動自体はまともで、探検部のメンバーをさりげなく気遣っている。
動物では飽き足らなくなり、マジもんの殺意の塊である岩本を狩猟するために村に来た。
本人曰く「岩本の自分を殺してくれと言う声が聞こえる」らしい。
言動は過激で狂っているが、行動自体はまともで、探検部のメンバーをさりげなく気遣っている。
- 阿字伸介(36)
ハンター。髭で熊みたいに大きい体が特徴。
無口。
無口。
- 大森回(39)
ハンター。眼鏡と迷彩服がトレードマーク。
ヘビースモーカー。
ヘビースモーカー。
- 爬虫類人間
栗原村長が議会で村の有力者に見せた爬虫類型人間。
ドーバーデーモンみたいな姿で、典子が目撃したときには衰弱していた。
そして農場の檻の中で腐乱死体となって都、結城、長川に発見される。
ドーバーデーモンみたいな姿で、典子が目撃したときには衰弱していた。
そして農場の檻の中で腐乱死体となって都、結城、長川に発見される。
都には人間の皮を剝ぎ取って灰色に塗っただけと見抜かれたが、こんなグロテスクな事をする人間の存在は未確認生物よりも都たちを戦慄させた。
壁に自分を見せものにした村長の名前を書いていた。
壁に自分を見せものにした村長の名前を書いていた。
- 子供
村で遊んでいたモブの悪ガキ2人組。
「村の奴隷に反対している同級生の少女が消えた」事を都たちに話してくれるが、あまり心配していなさそうだった。
普通にこのままフェイドアウトするモブだと思われていたが。
「村の奴隷に反対している同級生の少女が消えた」事を都たちに話してくれるが、あまり心配していなさそうだった。
普通にこのままフェイドアウトするモブだと思われていたが。
レギュラー
ご存じ女子高校生探偵。
早くから岩本の存在を察知し、村で次々と死体、そして不気味な爬虫類人間の死体を発見するが、それは皮をはぎ取られた人間だと見破った。
早くから岩本の存在を察知し、村で次々と死体、そして不気味な爬虫類人間の死体を発見するが、それは皮をはぎ取られた人間だと見破った。
都と一緒に行動し、事件の戦慄を目撃する。
今回は非番でアッシー君として村に都たちを連れてくる。
探検部部長として、都を送り出した後、殺人者がうろつく洞窟で精神的に不安定な千尋、勝馬をまとめる。
- 北谷勝馬
岩本と肉弾戦を繰り広げ、一定のダメージを与え、さらに洞窟に入った都たちを閉じ込める事も阻止する。
実は本作のMVP。
実は本作のMVP。
- 薮原千尋
今回は友人が失踪し、村ぐるみで隠しているという状況に、気が気ではないという感じだった。
ハンターの坂本が予想した通り村に現れ、白骨洞で大量の白骨死体を発見した都たちを洞窟の扉を外から閉めて閉じ込めようとして勝馬に撃退される。
大勢の社会的弱者を奴隷にした栗原村長と農場主の岩木らを標的としていると考えられたが…。
大勢の社会的弱者を奴隷にした栗原村長と農場主の岩木らを標的としていると考えられたが…。
事件の真相
ネタバレにつき注意
- 栗原三郎
爬虫類人間の正体。
都の目の前にいたのは岩本の変装であり、本物は肉をそぎ落とされて爬虫類人間に見せかけられていた。
つまり都たちが発見した爬虫類人間の死体が残したダイイングメッセージは犯人の名前ではなく、自分自身の名前だったのである。
しかし岩木社長はそれを信じず、結果的に栗原は衰弱死する事になる。
都の目の前にいたのは岩本の変装であり、本物は肉をそぎ落とされて爬虫類人間に見せかけられていた。
つまり都たちが発見した爬虫類人間の死体が残したダイイングメッセージは犯人の名前ではなく、自分自身の名前だったのである。
しかし岩木社長はそれを信じず、結果的に栗原は衰弱死する事になる。
岩本は栗原に変装した上で、彼と長年付き合っていた村の有力者を騙すため、彼らが反ワクチンにハマっている事を利用し、彼らが信じている「爬虫類人間」を見せる事で、支持者が望む陰謀を証明した岩本変装後の村長を本物だと信じさせる刷り込みを使って、決してうまくない変装で村人を騙し切った。
つまり「変装相手を忠実に再現するのではなく、騙す相手に対して見たい事実を見せて変装を完成させる」という手法を使ったのである。
そのガジェットの為だけに栗原村長は生きたまま皮を剥がれるという残虐な方法で衰弱死した。
そのガジェットの為だけに栗原村長は生きたまま皮を剥がれるという残虐な方法で衰弱死した。
岩本の目的は「奴隷被害者で村の産業を維持して虐待死させておきながら、そこから利益を得て加担していた」村人全員の殺害。
一方で村の奴隷産業に異を唱えたり、彼らの状況を告発しようとした人々は岩本にとって殺害の対象にはなりえなかった。
村長の立場を得た岩本は「村長に逆らった」として次々彼らを「消して」いったが、それは「彼らを大量殺人に巻き込まない」為の配慮だったのである。
一方で村の奴隷産業に異を唱えたり、彼らの状況を告発しようとした人々は岩本にとって殺害の対象にはなりえなかった。
村長の立場を得た岩本は「村長に逆らった」として次々彼らを「消して」いったが、それは「彼らを大量殺人に巻き込まない」為の配慮だったのである。
なお議会にあった首のない死体は、無関係な村人(彼も奴隷で利益を得ていたが)に村長の衣服を着せた偽物。
これによって爬虫類型人間と村長は別人と言う刷り込みを行った。
これによって爬虫類型人間と村長は別人と言う刷り込みを行った。
しかしいくら岩本でも200人近い村人全員殺すのは難しい。
村長殺害のインパクトを村人に見せ、あらかじめ仕込んでおいた相互不信や心理誘導を起爆させることで村人全員に殺し合いをさせている。
犠牲者の数は190人近いと言われている。
村長殺害のインパクトを村人に見せ、あらかじめ仕込んでおいた相互不信や心理誘導を起爆させることで村人全員に殺し合いをさせている。
犠牲者の数は190人近いと言われている。
かなり悲惨な死に方をした被害者だが、奴隷労働を斡旋して村を発展させようという発想とそのために何十人も虐待死している事を考えると同情の余地はない。
- 岩木成喜
ベトナム人や知的障碍者と言った労働者を大勢虐待、死亡させ、さらに村長に反対する人間の拉致監禁の実行犯としても動いていた。
おそらく今回殺された中では一番罪が重い人間で殺されても文句は言えない外道。
また岩本に変装した村長が連れてきた「爬虫類人間」を飼育していたが、「恐竜人間が誰か」はわからないにしろ「どうやって作られたか」はわかっていた事がうかがえる。
また岩本に変装した村長が連れてきた「爬虫類人間」を飼育していたが、「恐竜人間が誰か」はわからないにしろ「どうやって作られたか」はわかっていた事がうかがえる。
栗原村長に対して心から崇拝などしておらず、実際は彼を利用しているつもりだった。
しかし実際は栗原に変装した岩本に利用されており、そのまま殺害されたのは皮肉としか言いようがない。
しかし実際は栗原に変装した岩本に利用されており、そのまま殺害されたのは皮肉としか言いようがない。
斧でぶち殺されていたが、岩本が殺したのか他の村人が殺したのかは明かされていない。
- 黒木勇
奴隷にされた人々が死亡すると医師としての立場を利用して出鱈目な死亡診断書を提出して火葬させていた、この村の奴隷制度に欠かすことができない人物。
それで報酬も得ており、確信犯であったことは間違いない。
そう考えると殺されたのは自業自得と言えるだろう。
それで報酬も得ており、確信犯であったことは間違いない。
そう考えると殺されたのは自業自得と言えるだろう。
岩木社長と違い、生きたまま解剖と言う残虐な殺され方をしており、恐らく殺したのは岩本だろうと思われる。
- 作間智信
役場職員として奴隷労働にどれだけ関与したかは不明だが、見て見ぬふりをした事は間違いなく、さらに与野や本田が消えた理由もうすうすわかっていたが上司として何もしなかった。
岩本に殺され、死体は与野らが監禁されている倉庫の前に放置され、警察が彼女たちを救出し、佐藤らを逮捕する誘導に使用された。
死体そのものがトリックにおいて無関係な人間の安全を保障するツールであるため、恐らく彼も岩本に殺されている。
死体そのものがトリックにおいて無関係な人間の安全を保障するツールであるため、恐らく彼も岩本に殺されている。
- 佐藤守
- 松本猛
奴隷労働に関わっていたが、村の外の施設で村長への敵対者の監禁、見張りを行っていたため、村での虐殺時には生存している。
だが少なくとも10人のベトナム人実習生の殺害に関与し、恐竜人間にされた村長を(村長と知らずにとはいえ)笑っているなど、外道な性格である事には変わりはない。
だが少なくとも10人のベトナム人実習生の殺害に関与し、恐竜人間にされた村長を(村長と知らずにとはいえ)笑っているなど、外道な性格である事には変わりはない。
事件後裁判所で執行猶予の判決を受け、タクシーで帰宅している最中に運転手に化けた岩本が出現し、悲鳴をあげるところで物語は終了。
殺害された事が示唆されている。
殺害された事が示唆されている。
- 坂本京
人間である岩本を狩猟するとのたまう狂人のイメージが被害者臭をまとっていたが、本編では都に対して協力的で、洞窟をきっちりと警護してくれるあたり普通にいい人だった。
そのため作中では普通に生き残っている。
岩本の標的にもなっておらず、殺そうとしていた相手に生き残る手はずを施してもらっていた事にはショックを受けていたようだった。
また目の前で繰り広げられる大虐殺にも衝撃を受け、自分は岩本に叶う相手ではないことを悟り、憔悴した様子でフェイドアウトした。
そのため作中では普通に生き残っている。
岩本の標的にもなっておらず、殺そうとしていた相手に生き残る手はずを施してもらっていた事にはショックを受けていたようだった。
また目の前で繰り広げられる大虐殺にも衝撃を受け、自分は岩本に叶う相手ではないことを悟り、憔悴した様子でフェイドアウトした。
- 井上弥子
作中最大の謎。虐殺が発生する前後に村をさ迷い歩き、しかも明らかに岩本に認識されていない。
村長が殺された役場で1人笑っていたり、虐殺の様子を役場の窓から見ていたりと、行動原理や目的がまるで謎で、その正体が一切明かされないまま物語は終わった。
ちなみに笑い方などから「こいつこそが本物の爬虫類人間では」という推察が立てられている。
村長が殺された役場で1人笑っていたり、虐殺の様子を役場の窓から見ていたりと、行動原理や目的がまるで謎で、その正体が一切明かされないまま物語は終わった。
ちなみに笑い方などから「こいつこそが本物の爬虫類人間では」という推察が立てられている。
- 子供
終盤の虐殺では泣き叫びながら火に投げ込まれて殺されるという最期が描写された。
高校生探偵が活躍する推理作品で回想でもないシーンでモブ子供の殺害場面が明確に描かれるシーンは非常に珍しく、トラウマ必至の場面である。
ただ彼らも過労で瀕死の実習生を暴行して笑うなど悪逆非道な遊びをしており、しかもその遊びをさせてくれる岩木成喜を慕っていた。
高校生探偵が活躍する推理作品で回想でもないシーンでモブ子供の殺害場面が明確に描かれるシーンは非常に珍しく、トラウマ必至の場面である。
ただ彼らも過労で瀕死の実習生を暴行して笑うなど悪逆非道な遊びをしており、しかもその遊びをさせてくれる岩木成喜を慕っていた。
作者によると「いじめというものはその場のノリで参加して後で重大な結果を招く」という意味を込めて虐殺シーンを描写したという。
子供ですら殺すときは平気で殺す岩本の冷酷なエピソード。
子供ですら殺すときは平気で殺す岩本の冷酷なエピソード。
- 島都
終盤、岩本の虐殺計画がスタートした事を悟るともう村人を救う事は不可能と判断し、探検部やハンターら無関係な人間だけでも生き残らせるために長川を諭して洞窟に戻る決断をする。
高校生探偵にあるまじき判断ともいえるが、本来岩本が弄した「無関係な人間が生き残る策略」を復活させなければ都たちが虐殺に巻き込まれていた事は間違いなく、恐らく判断は正しかった。
終盤、岩本と迎合し、彼の逮捕への決意を表明する。
高校生探偵にあるまじき判断ともいえるが、本来岩本が弄した「無関係な人間が生き残る策略」を復活させなければ都たちが虐殺に巻き込まれていた事は間違いなく、恐らく判断は正しかった。
終盤、岩本と迎合し、彼の逮捕への決意を表明する。
- 長川朋美
警察官として虐殺を止める事に拘っていたが、都に諭されると警察官として全ての責任を負う事を表明、探検部やハンターら無関係な人間だけでも守る最善を尽くした。