+と-、二人の考え方 ◆VxAX.uhVsM
00
まず話しておかなくちゃいけない事がある。
この話はごく簡単な話だ。
俺と戦場ヶ原さんが診療所に向かって、その後の行動方針を決める話。
そんな話だ。
だが、こんな簡単な話は、たった一つのイレギュラー、いや
たった一つの『過負荷』により少し変わった話になる。
つまるところ、この話は、一人で狂った物語…だ。
01
B-4にある西東診療所。
今のところここを目指して歩いている。
場所的にいえばB-4だろう。
西東診療所まであと少し、といったところだ。
「そういえば…人吉君」
「なんですか、戦場ヶ原さん」
「先ほど聞けなかったことなのだけれども、貴方は何がしたいの?」
戦場ヶ原先輩は言う。
ああ、そういえばさっきはこっちが一方的に質問を聞いて、一方的に毒舌の餌食になったんだったな。
しかし、急に言われても何がしたいか、ねぇ。
「何?答えられないの?眼球潰すわよ?」
「ちょっと考えてただけで五感のうちの一つを潰されるのか!?」
「当たり前じゃない、私を待たせなら、しかるべき罰よ」
「こんな罰受けて、大丈夫な奴なんかいるのかよ…」
「きっと、阿良々木君なら大丈夫でしょうね」
一旦どんな人なんだよ阿良々木さん。
こんな危険な人を抑えれて、眼球潰されても大丈夫って…。
「今度は阿良々木君の悪口ね…心の中でしか言わないなんて、最低な男ね」
「もうノーコメントだよ」
だからなんで心を読めるんだよ。
絶対この人何か『異常』持ってるだろ。
少なくとも、読心術みたいなの。
「……まあ、でも本当に何がやりたいかねぇ」
やはり、不知火理事長を止めることだろう。
『完全な人間』の創造……。
俺たちが『十三組の十三人』と戦って、その計画は凍結したはずだ。
それでも不知火理事長は諦めなかったのであろう。
ならば、再び生徒会として止めるほかないだろう。
「とりあえず、目的は不知火理事長を止めることだな」
「あら、小さい男が大きく出たものね」
「悪かったな」
「あら、いつ悪いだなんて言ったかしら?」
「……」
ああ、やっぱりあれだな…阿良々木さんとやらと合流したい。
阿良々木さんがいれば少しくらい何とかしてくれるだろうからな。
「あら……あれが診療所なのかしら?」
「ああ、多分そうじゃないのか?」
「多分だなんて、間違えていた時の責任逃れなのかしら?」
「そんな考え持ってねぇよ!」
ああ、やっぱり疲れるぜ…全く。
02
俺と戦場ヶ原さんはここを目標にして着いたわけだ。
着いてから、彼女は右足に対する処置を始めようとしていたので、俺は戦場ヶ原さんに手伝う事はないか、と聞いたんだが。
「あらあら、治療すると行ってイロイロとするつもり?彼女を持ってないからって、そこまでするつもりなのね…」
などと言われたので勢いに任せて出て行ってしまった。
つまり、今俺は外に出ていた。
「……阿久根先輩」
自分がこの殺し合いで初めて会った知り合い。
そして、変わってしまっていた。
あの後どうなったのかは分からないが、死んでほしくはない。
許すつもりはないけれど、それでもだ。
たとえ、破壊臣だろうとも殺人鬼だろうとも、仲間なのだ。
同じ生徒会の…な。
「……クソッ」
思わず言ってしまう。気分が落ち着かない。
不知火理事長が実験なんてものを始めて、三時間くらいが経つ。
自分の中では、誰かが死んでしまっている…という考えが出てきている。
「……」
少しづつ、時間が進んでいく。
この少しづつの時間が焦りを誘う。
もし、この瞬間にも人が死んでいたら?
もしも、もしもだ…。
そんなことはあり得ないが……。
いや、あり得ない…。
そんな事があってたまるかよ。
めだかちゃんが死ぬなんて、絶対にない。
彼女が、殺されるなんて…あり得ない。
「…過信しすぎてるのかな」
いつ殺されるかも分からない、恐怖。
誰かが死ぬかもしれないという、不安。
押しつぶされそうになる。
「落ち着こう……」
心を落ち着かせる。
きっとめだかちゃんは死んでない。
阿久根先輩も、無事だ。
俺も、死んでしまうわけにはいかない。
めだかちゃんが、悲しんでしまうからな。
03
落ち着いて数分後…。
「……!」
背中に悪寒が走るった。
冷たい風が吹いたからか? 違う。
風邪にでもなったのか? 違う。
死を予感したからか? 違う。
目の前に死体が出てきたから? 違う。
ただ、たった一つの事である。
絶対に会いたくなかった。
自分たちの絶対的敵であり、最悪の『過負荷』である。
『やあ、善吉ちゃん…元気だった?』
「よう、球磨川……俺は出来ればお前には会いたく無かったよ」
『おいおい、善吉ちゃん…僕は先輩だぜ?敬語使えよ』
「それについては考えておいてやるよ」
最悪だ、考えているケースの中で一番最悪だった。
球磨川に会うなんて、なんて運がないんだ。
神を恨むぜ…。
『ん?警戒してるの?善吉ちゃん』
「お前と会って警戒しないとでも思ったか?」
『僕からしたら、こんな所に棒立ちしている君の方が怪しいんだけどね』
「……何だっていいだろ」
『おいおい、僕がそう言って引くとでも思ってるの?』
「自分が言っても大丈夫だと思われてる人間じゃないのくらい、知ってんだろ」
『全く、人を疑うなんて…善吉ちゃんってば最低だね☆』
「お前にだけは言われたく無かったよ…」
しかもさっき現在進行形で疑ってたくせに…。
まあ、こいつに言っても無駄だろうが。
『ふーん…じゃあ、そんな悪い子には』
「?」
『お仕置きしなきゃね』
球磨川は大螺子を俺の腹に突き刺してきた。
一瞬痛みが体に回り、倒れてしまった。
しかし、痛みが引いたとともに怪我が無くなってしまった。
『君の怪我を無かった事にしてあげたよ…あと、所々の疲れも…ね』
「……」
『どうしたの善吉ちゃん、いきなり黙りこんで』
「…………」
『ふーん……まあいいや、じゃあ僕は行こうかな…』
「……待て球磨川」
『んー、なんだい?』
「お前は一体何がしたいんだ…!」
聞きたくなんてなかった。
それでも聞いてしまう。
球磨川はこっちを向いて満面の笑みを見せてこう言った。
『不知火理事長をぶっ殺す…だよ☆』
04
球磨川が居なくなって少し経ったところで、戦場ヶ原さんが帰ってきた。
「あら、ただ立って空を見て…どうしたのかしら、空を見ている自分が格好いいとでも思っているのかしら」
「………………………」
「無視だなんて、万死に値するわよ」
「…………………………なあ、戦場ヶ原さん」
「なに?人吉君」
俺は少しだけ考え、戦場ヶ原さんに言う。
「俺は、何をすべきなんだろう。」
俺は最低だ。
球磨川に対し攻撃されて、腰が抜けてしまって。
それで自分が考えてきた事を、他人に押し付けるなんて。
そんな質問を聞いて、戦場ヶ原先輩は少し笑って俺にこう返した。
「それは、貴方が決める事よ……人に聞く事ではないわ」
「…だよな」
「で、愚問はおしまい?人吉君」
「ああ、ありがとうな…戦場ヶ原さん」
球磨川の考えているのは不知火理事長の抹殺だ。
対抗しようというスタンスは、似ているがまるっきり俺と違う。
球磨川がマイナスの道を行くなら、俺はプラスの道を行く。
「で、人吉君…主人公っぽくまとめようとしてるのはいいのだけれども、これからどこに行くのかしら?」
「……本当、なんで心が読めるんだよ」
もう怖くて隠し事ができねぇよ。
さっきあんな目に会ったけど、球磨川と同じくらい恐ろしいかもしれないな、この人は。
「なあ、とりあえず俺は箱庭学園に向かいたいんだが…」
「あら、私は西側に向かいたいと思っているのだけれども」
「……意見が違ったな」
「人吉君…私を信じなさい」
「なんでだよ…」
「女の勘よ」
勘ってなんだよ…。
まあ、俺も人が集まる場所に行きたいってだけで選んだんだけど。
それに、めだかちゃんならきっとここに向かうだろう…という判断だ。
しかし、ここで無駄に逆らうと、俺の心が持たない。
仕方ないが、ここは折れるとしよう。
「分かったよ、西側に行こう」
「そうときまれば…行くわよ人吉君」
「了解…だ」
【1日目/黎明/B-4西東診療所前】
【
人吉善吉@めだかボックス】
[状態]球磨川に対する恐怖(抑えている)
[装備]
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:不知火理事長を止める。
1:戦場ヶ原とともに行動。
2:西側に向かう。
3:めだかちゃんがいるのなら合流したい。
4:殺し合いに乗った奴はそれなりに対処する。
5:箱庭学園にも行ってみたい。
6:もしまた球磨川に会ったら…?
【
戦場ヶ原ひたぎ@物語シリーズ】
[状態]右足に包帯を巻いている
[装備]
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:とりあえず殺し合いには乗らない。
1:人吉君と行動。
2:西側に向かう。
3:阿良々木くんがいるなら合流したい。
4:万が一阿良々木くんが殺されるようなことがあれば、
殺した奴を殺す。
05
『さて、今回の後日談というか、オチだね』
『だって、後日でも何でもないからね』
『ん?なんで僕がしゃべってるのかって?』
『まあ、最初が善吉ちゃんだっただけに善吉ちゃんだと思ったんだろうね』
『さて…僕はあの後南に向かう事にしたんだ』
『そう、箱庭学園だね』
『さて、僕はここら辺で切っておこう』
【1日目/黎明/B-4】
【球磨川禊@めだかボックス】
[状態]『健康だよ』
[装備]『大螺子が2個あるね』
[道具]『支給品一式とランダム支給品が3個あるよ』
[思考]
『基本は疑似13組を作って理事長を抹殺しよう♪』
『1番はやっぱメンバー集めだよね』
『2番は箱庭学園に向かおう!』
[備考]
※『大嘘憑き』に規制があります。
存在、能力をなかった事には出来ない。
自分の生命にかかわる『大嘘憑き』:残り2回。
他人の生命にかかわる『大嘘憑き』:残り3回。
怪我を消す能力は再使用のために1時間のインターバルが必要。
物質全般を消すための『大嘘憑き』はこれ以降の書き手さんにお任せします。
最終更新:2012年10月02日 08:27