時、虚刀、学園にて ◆xzYb/YHTdI
「これをやっと食べられるのが私なの……」
支給品の食糧、りすかの場合は「乾パン」だった。
缶詰に詰まっていたが、これは手で開けられたタイプだったので、そこは問題なかった。
――――さて、比較的どうでもいい設定だったのだが、りすかは乾いたものは食べれないという設定がある。
しかしお腹はサイレンを鳴らす。
所詮小学生。
そういった根本的な身体の作りは弱い。
別にりすかにはその食の欲を禁欲する必要はあまりないので、食べようと努力した。
その結果、りすかは、
「それにしても大きいのが、箱庭学園なの」
そう箱庭学園に訪れていた。
理由としては、最低条件である、水を確保できる可能性が大きいこと。
もちろん支給品としての水もあるが、それをただ乾パンのために使うのはさすがにもったいないだろう、という考えもあった。
なので、どこか水を手に入れる場所があるか確認してみた。
まず先ほどの、クラッシュクラシックが頭をよぎるが、さすがに戻るにしては歩みを進めすぎたし、
こういったおそらく序盤であろう時間に来た道を戻るというのもどうかと考え、次を見て見た。
次にぱっと目に入ったのは海だった。―――が、さすがにそれは最終手段と考え、またしても次に進む。
そして、一戸建てやら、喫茶店やらがあったが自らの位置関係の中で、
一番近くにあり、水も手に入りそうな、もっと言うとキズタカもいそうな場所な箱庭学園にりすかは進んでいった。
今度は道に迷うこともなく。
そして今、ここにいる。
そこで、虚刀流と出遭うこととなった。
◇
この者はりすかが箱庭学園に到着する大分前には目的通り箱庭学園に到着していた。
「――――しかし面倒だ」
相変わらずその口癖を発するはやはり鑢七花である。
縛られない。
叱られない。
絞られない。
ただただ優勝を目指し動き、殺す。
そんな彼は今、学校中を探しまわり終わったというところにまでいた。
校舎、植物園、やけに冷えた倉庫、鉄骨造りの何か、時計台前、剣道場、
変に荒された更衣室(七花にはやましい考えは無かったけど)などを訪れない。
ただ一年間旅をしてきた彼も、見たことのない物質があり、戸惑った。ということもあったが。
そして最後に訪れているのは、体育館だった。
その道中、誰とも出会うことは無かった。
だから改めて、もう一度地図を見る。
優勝するため。殺すため。
やはり目に入るのは、
一、 クラッシュクラシック
一、 豪華客船
今度はこの二つに絞られた。
ただ、そこで迷っていても仕方ないので、距離が近いクラッシュクラシックに行こうと決意する。
そんな時だった。
「あなたに聞きたいのが、私なの」
なんて奇抜な言語に、奇妙な姿に、奇禍な出遭いをしたカッターを手に持つ水倉りすかがそこにいた。
ただ、別に出遭って直ぐに七花もりすかも戦うほど、血に飢えている訳でもない。
ちゃんと七花の場合は剣士としての作法に則り、りすかの場合は人間としての常識に則り、
順序を整えて戦闘にシフトする。
「それでキズタカを見つけたのが、あなたなの?」
「――――?えーと……それで……俺がキズタカを見つけたのか聞いえてるのか?―――なら、しらねぇな」
「ならいいのが、私なの」
「おいおい……。まぁいいか、ツッコムのも面倒だ」
と。
ここで七花は構える。
一の構え『鈴蘭』。応用が一番効く構えである。
そこで一回七花は一瞬だけ目を閉じて、
見開いた!!
「虚刀流七代目当主、鑢七花。推して参る!!」
「――――――へ?」
間抜けな声を挙げたりすか。
次の瞬間には、既に懐にいた。
「虚刀流奥義一の奥義。『鏡花水げ……つ』?」
しかし、七花の攻撃が当たることは無かった。
そこに、りすかの姿は無かったのだから。
◇
解説という名の語り口からの説明不足の謝罪のコーナー
さて、
りすかは『赤き時の魔女』という異名を持つ。
魔法は『属性』水、『種類』時間、『顕現』操作。
その名の通り、彼女は時を操る魔法を駆使して戦うのだが。
例を挙げるとするならば、
先ほど―――というには時間は経ち過ぎたが、
零崎曲識との戦いで見せた、大人りすかが代表格である。
次に、『省略』という、魔法を使える。
これは、傷の完治までの時間を『省略』したり、目標の座標に行くまでの時間を『省略』したりできる。
もうお気づきの方もいるかとは思うが、説明させてもらおう。
あの七花が懐に入った瞬間には、りすかは『省略』を行ったのだ。
病院での一戦、ツナギの時とは違う。
ツナギは彼女にとって、天敵だったから、怯え、恐怖し、戸惑い、混乱したのだ。
だから、『省略』が通常通り行うことができずに、詠唱しざる負えなかった。
しかし今回は違う。
傍から、少なくてもりすかから見たらただの徒手空拳に怯える必要がなかった。
あの素早い動きには驚いたが、ただ、それだけだった。
『魔法使い』もしくは『魔法』使いであろうが、少なくてもりすかとは違い、詠唱が必要となる。
その間に逃げることは簡単であった。
さて、ならば次に出てくる疑問は、何故逃げたのだろう、という疑問であるが。
それは簡単。
あまりに殺し過ぎたら、もしかたらここにいるかもしれないキズタカに怒られてしまうかもしれないから。
使えない。なんて言われたくないから。嫌われたくないから。
―――まぁ、今の七花はどうみても害を成す人間にも見えたのだが、それならそれで、また殺せばいい。
少し、甘い考えかもしれないが、今、りすかの身体は少しおかしいのに彼女自身は気づいていた。
やはり先ほどというには遠い過去のことだが、曲識との一戦で大人から子供に戻ったときに気づいたのだ。
ならば、危険を冒してまで『死ぬ』こともないだろう。という考えの下に彼女はそのような行動をとったのだった。
◇
りすかは再び「クラッシュクラシック」に訪れていた。というか跳んだ。
りすかはそれほどまだ、色々な場所に訪れていないせいか頭に情景が思い浮かぶことができなかった。
なので渋々というわけでもないが、そこに訪れざる追えなかった訳である。
ここで、りすかは少し疑問に思う。
(いじられたのが、ここなの?)
そう、少し変わっていた。
どこが?と聞かれると困ってしまうほどの差異だが、感覚的な物がそう、訴える。
しかし、それを知ったからといってりすかはどうすることもできない。
だから、りすかは再び、歩みを進めたのだった。
【一日目/深夜/C-3クラッシュクラシック】
【水倉りすか@りすかシリーズ】
[状態]健康 、腹八分目、出血(小)
[装備]カッターナイフ
[道具]支給品一式×2(片一方の食糧、乾パンは食べました)、ランダム支給品(0~2)
[思考]
1、まずは、相棒の
供犠創貴を探す。
2、この戦いの基本方針は供犠創貴が見つかってから決める。
[備考]
※新本格魔法少女りすか2からの参戦です。
※治癒時間、移動時間の『省略』の魔法は1時間のインターバルが必要なようです。(残り60分)
なお、移動時間魔法を使用する場合は、その場所の光景を思い浮かべなければいけません。
※大人りすかについての制限はこれ以降の書き手にお任せします。
◇
手には血。
りすかの手首から放たれた血が『鏡花水月』を放った手に着いてしまったのだ。
しかし彼はそれを軽く拭うだけで、それ以上何もしなかった。
というかまず蛇口の使い方など知る由もないのだから。
むしろ彼はある単純にして難解な疑問を頭の中でいっぱいだった。
そして、それを口にする。
「何だったんだろう……」
ただただ呆然するだけだった。
何せ、目の前にいた人が、目の前で消え去ったのだから。
絶対折れない刀を見た彼でも。
何でも切れる刀を見た彼でも。
数多を感じる刀を見た彼でも。
薄くて美しい刀を見た彼でも。
何でも防御す刀を見た彼でも。
重くて無骨な刀を見た彼でも。
電流が流れる刀を見た彼でも。
思い人を模す刀を見た彼でも。
心を清浄する刀を見た彼でも。
自分すら計る刀を見た彼でも。
毒が体に廻る刀を見た彼でも。
遠方から刺す刀を見た彼でも。
どんな『異常』なことを見た彼でも驚かざる負えなかった。
忍者とも。
所有者でも。
『不忍』のあいつでも。
おそらくできなかった芸当を目の当たりにしたのだから。
――――しかし。
そんな彼だから、こういった事態の対応は簡単に、柔軟にすんなりと済まして行く。
「まぁ―――何者でも、いいか」
そして再び歩みを進める。
りすかのいる、「クラッシュクラシック」へと――――。
【1日目/黎明/D-4 箱庭学園 体育館】
【鑢七花@刀語】
[状態]健康 、りすかの血が手、服に付いています
[装備]
[道具]食糧二人分、水、筆記用具、地図
[思考]
基本:優勝し、願いを叶える
1:「クラッシュクラシック」に向かう。
[備考]
※時系列は本編終了後です。
※りすかの血に魔力が残っているかは不明です。
最終更新:2012年10月02日 08:33