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いやよいやよも好きのうち(2)
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soh1
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※「銀魂」の2次創作オリジナル小説です。読む前に、かならず注意事項を確認してください!
「……てめえと関わると、ロクなことがねえ」
総悟がつぶやくと、神楽は目尻に涙をためた眼でにらみつけてきた。
「それはこっちの台詞ネ! おまえなんかと遊んでやるんじゃなかったネ、全部台無しね! カブトムシはぜんぶ奪られちゃうし、定春28号は死んじゃうし、おまけに銀ちゃんにまで叱られたアル!」
「何度もいうが、“定春なんとか”ってのは、てめぇが自分で殺ったんだろうが」
「おまえのせいネ! おまえ、アタシを悪の道に誘ったろ! 催眠術とか、黒魔術とか、降霊術とか、なんかそういう汚い手を使ったに違いないアル!」
怒りにまかせて理不尽な言葉でかみついてくる神楽を、総悟は一蹴した。
「おまえのせいネ! おまえ、アタシを悪の道に誘ったろ! 催眠術とか、黒魔術とか、降霊術とか、なんかそういう汚い手を使ったに違いないアル!」
怒りにまかせて理不尽な言葉でかみついてくる神楽を、総悟は一蹴した。
「バカいってんじゃねえ。こっちだって、負けた腹いせにてめえが汚れた手でオレの着物をさわったもんだから、被害甚大だったんだぜ。屯所に戻って、みんなに汚物扱いされたオレの気持ちを考えてみろ。青少年の心はガラス細工なんだぞ」
「いい気味ネ! ドSのくせにガラス細工の心なんて、片腹痛いアル!」
「いい気味ネ! ドSのくせにガラス細工の心なんて、片腹痛いアル!」
下卑た、せせら笑うような神楽の嗤いが、癇に障った。
たかだか小娘の言うことなどいちいち真に受けることもないのだが、どうにもこの娘の言動だけは無視できない。
自分の飼っていた昆虫の敵を討ちたいがために、カブトムシを獲りに森に来たと知ったときもそうだった。
確かにリベンジならいつでも受けて立つと言ったのは自分だったが、まさか本気で敵討ちをしかけてこようとは。
自分の飼っていた昆虫の敵を討ちたいがために、カブトムシを獲りに森に来たと知ったときもそうだった。
確かにリベンジならいつでも受けて立つと言ったのは自分だったが、まさか本気で敵討ちをしかけてこようとは。
神楽がまったく懲りていないことを知った総悟は、神楽を完膚無きまでにたたきのめして、くだらない遊びに熱中している馬鹿さ加減を思い知らせてやりたいと思わずにはいられなかった。
「上等じゃねえか。リベンジの決着は、次でつけてやるぜ、覚えてろよ、チャイナ」
売られたケンカを間髪入れずに買うかと思いきや、神楽は意外な言葉を吐いた。
「……もう、いいネ」
少女は目をそらし、うつむいていた。
さっきまでの威勢のいい言葉はどこへいったのか。
売られたケンカを間髪入れずに買うかと思いきや、神楽は意外な言葉を吐いた。
「……もう、いいネ」
少女は目をそらし、うつむいていた。
さっきまでの威勢のいい言葉はどこへいったのか。
「どういうことでィ。負けを認めるつもりか」
予想外の成り行きに総悟が問いただすと、神楽は少しも顔を上げようとせず、ぼそりとつぶやいた。
「もう、カブト相撲はやらないアル」
総悟は驚かずにはいられなかった。
さっきまであれほどカブト相撲にこだわって罵詈雑言を吐いていたその口から、あっさりと万事屋の主の命に恭順する言葉がこぼれ出ようとは。
予想外の成り行きに総悟が問いただすと、神楽は少しも顔を上げようとせず、ぼそりとつぶやいた。
「もう、カブト相撲はやらないアル」
総悟は驚かずにはいられなかった。
さっきまであれほどカブト相撲にこだわって罵詈雑言を吐いていたその口から、あっさりと万事屋の主の命に恭順する言葉がこぼれ出ようとは。
「おいおい、万事屋の旦那に怒られたのがそんなに応えたのかよ。ばかか、てめえは」
総悟が嫌み混じりにいうと、神楽の鋭い声が飛んだ。
総悟が嫌み混じりにいうと、神楽の鋭い声が飛んだ。
「銀ちゃんの悪口、いうな!」
先ほどまでの萎えた野花のような態度とは打って変わり、またもや強くまっすぐな目で総悟をにらみつけてきた。あらゆることに対して無駄と思えるほどに真剣な、強い意志を持ったまなざし。
この娘は、こうじゃなければおもしろくない。
この娘は、こうじゃなければおもしろくない。
「……じゃあ、何だってえんだ。どうやってリベンジするつもりでィ?」
総悟がにやりと笑うと、神楽もにやりと口元をゆるめた。
「……カブト相撲はやらなくても、自分の拳でやってやるネ!」
かろうじて神楽の一撃をかわした総悟は、神楽との距離を取ろうと、すばやく後ずさる。間合いが近ければ、総悟のほうが圧倒的に不利にだ。さすがに、夜兎の攻撃をまともに受けてまともに立っていられる自信はない。
かろうじて神楽の一撃をかわした総悟は、神楽との距離を取ろうと、すばやく後ずさる。間合いが近ければ、総悟のほうが圧倒的に不利にだ。さすがに、夜兎の攻撃をまともに受けてまともに立っていられる自信はない。
「不意打ちたァ、いい度胸してるじゃねえか。おもしれェ、かかってきやがれ! 自分の腕っぷしで戦うほうが、おれは遙かに強いぜ」
総悟は愛刀の柄を握ると、一気に刀身を抜き放った。相手は素手だが、慮ってやるつもりは毛頭無い。敵はその拳そのものが、得物なのだから。
総悟は愛刀の柄を握ると、一気に刀身を抜き放った。相手は素手だが、慮ってやるつもりは毛頭無い。敵はその拳そのものが、得物なのだから。
神楽は素早かった。総悟が刀を構えようとする隙をついて、開いた間合いを一気に詰めるべく飛びかかってくる。強靱な下肢を持っているだけでなく、その使い方を熟知しているからこそ可能な一手。だが、総悟も負けてはいない。幾度となく死線をかいくぐってきた経験が、総悟の太刀を閃かせた。
絶妙のタイミングだった。
右斜め上から弱い角度をつけて振り下ろされた白刃が、神楽の胸元を正確に狙う。神楽は反射的に身体を翻したが、刃は左の二の腕を掠めた。
ちっ、やり損ねたか。腕一本、いただきだと思ったのに」
「ナマ言ってんじゃねえ! おまえのそんなシャバい太刀さばきで、このあたしに勝てると思う方がどうかしてるネ!」
神楽はまたも総悟めがけて、拳を繰り出た。
「ナマ言ってんじゃねえ! おまえのそんなシャバい太刀さばきで、このあたしに勝てると思う方がどうかしてるネ!」
神楽はまたも総悟めがけて、拳を繰り出た。
神楽の攻撃は鋭く、強烈だ。小柄な身体から繰り出される拳の重さとスピードと持久力は、想像を遙かに超える。さすが、惑星を丸ごとひとつ沈黙させたという伝説の男「星海坊主」の愛娘だ。
だが、得てして、腕に自身のある者の攻撃は単調になりやすい。神楽もまた例外ではなかった。
子供の頃から剣術道場で「神童」と呼ばれ、真選組内で最も剣術に秀でる総悟は、刀長と、瞬時に空を切り裂く鋭い剣さばきを駆使して、間合いを詰めさせようとはしなかった。
子供の頃から剣術道場で「神童」と呼ばれ、真選組内で最も剣術に秀でる総悟は、刀長と、瞬時に空を切り裂く鋭い剣さばきを駆使して、間合いを詰めさせようとはしなかった。
幾度となく交わされる拳と刀。
神楽の攻撃はまったく緩むことがなかった。あくまで本気ようだ。
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