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いやよいやよも好きのうち(4)
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soh1
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※「銀魂」の2次創作オリジナル小説です。読む前に、かならず注意事項を確認してください!
「……どういう意味でぃ?」
総悟が聞き返す。銀時は、深いため息をついた。
総悟が聞き返す。銀時は、深いため息をついた。
「虫で遊ぶのが楽しいのも本当だが、そもそもは、みんなで遊ぶことそのものが楽しいんだ、っていってんだよ。てめえの拳使おうが、カブトムシ使おうが、どっちも同じようなもんだ」
みんなで遊ぶことが楽しい?
カブトムシを使おうが拳を使おうが同じだ?
カブトムシを使おうが拳を使おうが同じだ?
総悟は、銀時の言葉をにわかに理解することができなかった。
だが、肝の奥底は冷たく凍りつく。
「……なんでぃ、そんなばかげたこと…」
銀時の言葉を否定しながらも、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
銀時の言葉を否定しながらも、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
勘違い、なのだろうか?
年上の人間ばかりに囲まれて育ったために、子供らしい遊びをせずに育ったことを見透かされた総悟は、動揺を隠しきれなかった。
ちらりと神楽の方をみると、神楽はまだ泣いている。
つぶらな瞳からは大粒の涙がこぼれ落ち、鼻の頭は真っ赤だ。
つぶらな瞳からは大粒の涙がこぼれ落ち、鼻の頭は真っ赤だ。
これまでのいきさつが、まざまざと脳裏に蘇った。
やけに真剣な目でカブトムシを応援していた神楽のこと。
敵討ちだといって、金色のカブトムシを片手に真正面から決闘を挑んできたときのこと。
自らの拳で殴りかかってきた時の、あの苛烈なまなざし。
敵討ちだといって、金色のカブトムシを片手に真正面から決闘を挑んできたときのこと。
自らの拳で殴りかかってきた時の、あの苛烈なまなざし。
悔し涙だと、思った。
定春なんとかの敵を討てないから、という理由だけじゃない。
仲間のカブトムシを奪われたこと。仲間との大切な時間を奪われたこと。
その恨みを晴らせないからだ。
そうでなければ、これほど泣く理由がない。
仲間のカブトムシを奪われたこと。仲間との大切な時間を奪われたこと。
その恨みを晴らせないからだ。
そうでなければ、これほど泣く理由がない。
ふと、総悟が万事屋の主人の陰口をきいたときに神楽の放った言葉を思い出した。
「銀ちゃんの悪口、いうな!」
あれだけ叱られていたにもかかわらず、神楽の言葉に迷いはなかった。
どんなことがあろうと、どんな時であろうと、神楽は万事屋の主人を悪く言うものを許したりはしないのだろう。
神楽にとっては、自分の周りにあるものすべてが、等しく愛すべきものであり、すべててを賭しても守るべきものなのだ。
どんなことがあろうと、どんな時であろうと、神楽は万事屋の主人を悪く言うものを許したりはしないのだろう。
神楽にとっては、自分の周りにあるものすべてが、等しく愛すべきものであり、すべててを賭しても守るべきものなのだ。
総悟は思わず視線をそらし、うつむいた。
「おい、ドS王子。そういう、オレさまなところとか、マイペースなところとか、ドSなところとか、実は素直じゃねぇだけのところとか……オレは嫌っちゃいねぇが、世の中、そいつが通じる奴ばかりじゃねえんだ。神楽はなんでも真に受けやすいんだから、気ぃつけてくれや。カブトムシ一匹でこんな騒動、もうこれ以上ごめんだぜ、オレは」
「お……オレは別に騒動を起こしたかったわけじゃ……」
総悟は口ごもりつつも抵抗したが、銀時は相手にしなかった。
「はい、そこ、つべこべ口答えしない! それから、奥にいるそこのふたり!」
総悟が振り返ると、真選組局長の近藤と、副長の土方が木の陰から出てきた。銀時と同じように、怪音に気づいて駆けて来たようだった。
「お……オレは別に騒動を起こしたかったわけじゃ……」
総悟は口ごもりつつも抵抗したが、銀時は相手にしなかった。
「はい、そこ、つべこべ口答えしない! それから、奥にいるそこのふたり!」
総悟が振り返ると、真選組局長の近藤と、副長の土方が木の陰から出てきた。銀時と同じように、怪音に気づいて駆けて来たようだった。
「おまえら、こいつの保護者みてぇなもんなんだろ。ちゃんと叱っといてくれよ。ガキからかって喜んでいるような性根は、さすがにどうかと思うぜ」
「近藤さんのせいじゃねェ! オレの性格がゆがんでるのは、全部、土方さんのせいでィ」
総悟が反射的に言い返すと、土方も反射的に声を荒げた。
「……んだと?! てめえのその性格は、てめえのせいだろ!」
「トシ、やめろ。……悪かったな、万事屋。総悟が迷惑をかけた」
近藤は身内の小競り合いをぴたりと収めると、銀時に向かって軽く頭を下げた。
こういう時の近藤は、恐ろしいほど潔い。相手が誰であろうと、自分がどれだけの身分であろうと、言い逃れをしようとしたり、自己保身に走ったりするようなことは決してない。総悟が近藤に対して崇拝とでも呼ぶべき愛敬の念を抱いている理由のひとつだ。
「近藤さんのせいじゃねェ! オレの性格がゆがんでるのは、全部、土方さんのせいでィ」
総悟が反射的に言い返すと、土方も反射的に声を荒げた。
「……んだと?! てめえのその性格は、てめえのせいだろ!」
「トシ、やめろ。……悪かったな、万事屋。総悟が迷惑をかけた」
近藤は身内の小競り合いをぴたりと収めると、銀時に向かって軽く頭を下げた。
こういう時の近藤は、恐ろしいほど潔い。相手が誰であろうと、自分がどれだけの身分であろうと、言い逃れをしようとしたり、自己保身に走ったりするようなことは決してない。総悟が近藤に対して崇拝とでも呼ぶべき愛敬の念を抱いている理由のひとつだ。
「近藤さん、オレ……」
近藤に頭を下げさせる結果になったことで、急に胸の内にわき上がった整理のつかない思いを口にしようとすると、近藤は総悟の肩を軽く叩いて制した。
「総悟にはオレからちゃんといっておく。だが、総悟のために一言だけ言わせてくれ。今回ばかりはちょっとばかり悪ふざけが過ぎちまったようだが、総悟はカブト相撲が実は嫌いでな。腕っ節が立つもんだから、喧嘩は自分でやるもんだって、そう考えてることの裏返しなんだよ、あちこちでカブト相撲荒らしやってんのは」
近藤はよどみない声でいうと、神楽に優しい目を向けた。
「悪かったな、みんなで遊んでるところ邪魔して。許してやってくれ、こいつのこと。あと……もしよかったら、また遊んでやってくれるか。それまでに、総悟にはちゃんと言い聞かせておくから」
神楽はしばらく無言だったが、銀時に頭を軽く叩かれて、渋々ながらも首を縦に振った。
「悪かったな、みんなで遊んでるところ邪魔して。許してやってくれ、こいつのこと。あと……もしよかったら、また遊んでやってくれるか。それまでに、総悟にはちゃんと言い聞かせておくから」
神楽はしばらく無言だったが、銀時に頭を軽く叩かれて、渋々ながらも首を縦に振った。
気づけば、やんだはずの蝉の声が森中に響いていた。
狂ったように啼く蝉の声で、軽いめまいを覚える気さえする。
自分の代わりに近藤に頭を下げさせることになった総悟は、いたたまれない気持ちだった。
狂ったように啼く蝉の声で、軽いめまいを覚える気さえする。
自分の代わりに近藤に頭を下げさせることになった総悟は、いたたまれない気持ちだった。
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