動くには支障はないけれど、
先の件でクロウのブラックバードは多少破損してしまっていた。
小さな問題が大事故につながるのはジャックが経験していたことでよく分かる。
普段はメカニックである遊星がメンテナンスをしているが、一応アキのDホイールの時のように、
クロウ自身もある程度の整備自体はできるのもあり、見てくれは悪くなったものの十分に動かせる。
「よし、これで行けそうだぜ。ありがとなアイザック。」
「兄弟がちゃんと教えて手伝ってくれたおかげだよ。
Dホイールだっけ? 今の僕にはまだ早すぎる代物で結構冷や汗かいたよ。」
ホラ、と小刻みに震えるアイザックの手が物語っている。
分解したいとか中を見てみたい、と言ったマッドさによるものではない。
この震えはモーメントとか、見たことない部分を自分が関わっていいものか。
そういった部分があるがゆえに、緊張による震えが今でも止まってないのだ。
彼にとってはこのマシンが大事な代物であると言うのは、
長い間使いこんでるのが分かるぐらい傷だらけでもあるから。
「ところで、兄弟には知り合いはいるのかな?
因みに僕はかなり多いよ。面識が多いのは基本三人だけなんだけど。」
団長に加え、名前だけ聞いた団員もいればゼタとベアトリクスと組織も多め。
中にはまた聞き程度とは言えども、危険なベルゼバブの存在もあるのだ。
既に放送で団員からも何名かが死者とされている以上、楽観視はできない。
この殺し合いにおいて仕方なく殺すと言うことが避けられるのは、
機械に関しては相当な知識が存在する自分の重要さが物語っている。
それで止められる人物が果たしているのかどうかについては別として。
首輪のサンプルだって必要になるし、死者も十名以上は出ている。
今更無血で終わらせられるほど楽観視できるものではないのだと。
「俺の方は鬼柳とロットンが知り合いなんだが……ロットンってのが厄介だな。」
面識と言うのは殆どないに等しいにしても、
デュエルと言うある種絶対の
ルールが存在する世界で、
人質を使うのは勿論、そのデュエルすら放棄して逃げ出す存在だ。
ゴドウィンのような多少は同情の余地がある悪のタイプとは一線を画す。
とは言え、爆弾さえなければ一般人と同レベルの存在なのは変わらないので、
刀を持ったさっきの侍を考えると警戒するならはそこまで高くないのだが。
「確かに厄介だ。兄弟と同じで基本戦闘は不得手か一般人のそれなら、
あえて殺し合いに乗らないで集団に紛れ込んでる可能性だってあるからね。」
「それと、俺達への恨みで変なこと吹きこんでるかだ。」
相手はあの短い時間でどんな卑劣な手段を使ってでも生き残ろうとしたリアリスト。
何かろくでもないものでもやってくるのではないかと言うことは容易に想像できる。
とはいうものの、この人数全員にロットンの危険性を知らせても結局は一般人の類。
何をしてくるのかが余り想像できないのは厄介な所ではあるかもしれなかった。
「……それはそれとして兄弟。これ持ってないかい? こんな感じのスーツなんだけど。」
話題を切り替えると、廃工場を散策して部屋に残っていた、
廃工場の産物ゆえか薄汚れたペンとメモ帳を見つけてアイザックは書き込む。
書き込んだ後はジェスチャーで、自分が戦闘で使う際のスーツ、ギアの形状を伝える。
『メス、持ってる?』
「……なんでそんなのがいるんだ?」
「実は僕にとって戦闘に必要なものでね。
生身だとまあ、多少銃の扱いに長けてるぐらいかな。」
『メス、と言うか混沌を読み込ませれば 首輪 止めれるかも』
クロウにブラックバードが支給されたように、
何かしら知っているアイテムがあるのかもしれない。
それはつまり、嘗て自分が月に行ったときにグレイスから手にした黒ずんだメス。
幽世の住人の血を浴びたことで、混沌を帯びたそれは機械にも通用可能性は高い。
混沌を読み込ませた結果、月で一部の部屋に入る権限のないアイザックは活動できた。
……まあ、それであまり見てはいけないものを見てしまったところはあるのだが。
「俺の方にそんな感じのはなかったはずだぜ。」
『混沌ってなんだ? カオスソルジャーみてえなものか?』
「いつか手に入ったら頼むよ、兄弟。」
『長くなるから一先ずそれを見つけたいとだけ。
それがあれば、僕の力すらも必要ないかもしれない。』
混沌を取り込んだ何かであればメスに限らなくてもいいが、
少なくともアイザックが認識できているのはそれぐらいである。
幽世に詳しい住人も、組織絡みで戦ったゼタとベアトリクスぐらいで、
その二人も知識としては不安が残る。イルザ辺りだったら知ってたかもしれない。
この情報と、該当するものがあれば、エンジニアの自分は恐らくいなくても構わないと。
無論、だからと言ってはいそうですかと命を捨てられるほどの考えは持ってないが。
「ああ、分かった……って言いたいが、アイザックは自分の確認してないだろ?」
「おっと、そうだったね。ザンクロウと言ったかな。彼と出会ってたから忘れてたよ。」
あの侍と即座に邂逅したのも相まって、まともに道具を確認する暇もなかった。
とりあえず今の自分に使えそうなものだけでも確認しておくことに越したことはない。
アイザックの戦闘能力は、少なくとも空の世界から参加者の中でなくてもかなり弱い。
なのでよほど強力な支給品や装備でもない限り、彼の貧弱さは覆せないだろう。
「……これ、装備しない方がいいんじゃないかな。」
とにもかくにも死なないこと。
それを考えて一先ずつけてみた騎士の鎧だが、
移動速度的にもかなり遅さを感じてならないものだ。
とは言え、これの本来の使用者よりは体格は合っているので、
性能としては悪いものでもないものの生き残るにおいて大事なのは、
基本的には防御よりもその場から逃げ切れる素早さの方が大事だ。
まあ、それでもあるかないかで言えばマシな部類ではあるのだが。
「剣とか支給されても僕には扱えないし、まだいいのかも。兄弟の方は?」
「俺の方には……戦いに向いてるのはこいつだな。」
出てきたのは一枚のカード。
カードと言えば彼は理解が浅いがアーカルムシリーズなど、
縁のある人物もいるにはいるが、それだけを見て彼が分かるものではない。
「何か特別なカードかい?」
「これはデュエルモンスターズっていう、俺のいた世界で流通してる遊び道具だな。」
「うーん、遊び道具か……となるとまともに頼れる武器は残ってる───」
「なんだけど、なんつーか……あー、
どう説明したらいいんだか分かんねえんだよな!」
シグナーの5000年の歴史とか、
カードのモンスターが実体化するだとか、
遊星たちはそんな異常には慣れたものだがアイザックは当然知らない。
『遊び道具が実は滅茶苦茶攻撃性能が高い』と言っても眉唾物になるだろう。
「とにかく、武器になることは間違いないから安心してくれ。
つっても、こんな狭い工場で出すわけにはいかないだろうけどな。」
クロウが手にしたのは、昔からの馴染みである友人、不動遊星のスターダスト・ドラゴン。
Dホイールやデュエルディスクもなしに支給なので、カード単体で召喚が可能なのは分かる。
遊星の大事なカードを殺し合いの道具にするところに憤りを覚えるところではあるが、
今二人にとっては大事な主戦力となりうる可能性は高い。元より友のカードだ。
ぞんざいに扱うつもりなどないとしても大事にしておきたくもある。
「まあ、お互い手持ちはある程度確認できたことだし、
一先ずグランサイファー……って僕等は西に行っちゃってたか。」
調べてみればグランサイファーは右の方の島にある。
他の場所も名前からして団員が集まるようには思えない。
これならば近くの施設、講堂やブレイブアサギ号と言った、
他の施設を巡って、一人でも多くの仲間を集めることが大事だと。
とは言うが、東の方に行くと斬紅郎近くにいる可能性もある。
殺し合いに乗ってるのかどうか分からない相手とは言え、会うのは少々気まずい。
そういう意味でも、近くの施設を巡った後は南下していくのがいいだろう。
「講堂にブレイブアサギ号、どっちを選んでもいいけど兄弟はどうする?」
「そうだな……」
乗り物と思しき場所か、人が集まる場所か。
ベリアルのいたあの檀上が講堂の可能性を考えて、
向かうと言うと言うのも悪くはないのかもしれない。
とは言え、鬼柳との合流とかを考えると早めにクラッシュタウンへ行っておきたくもある。
三者択一。クロウが見上げる異なる空は、いまだこの先を示すかのように暗かった。
【A-3 廃工場 /深夜/1日目】
【クロウ・ホーガン@遊戯王5D's】
[状態]:健康
[装備]:ブラックバード(応急修理済み)@遊戯王5D's、スターダスト・ドラゴン@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1
[思考・状況]:
基本方針殺し合いをするやつを止める。
1:アイザックを見てると、遊星を思い出すな
2:鬼柳を探しておきたい。
3:斬紅郎、やばそうな雰囲気だったがほっといてよかったのか?
4:ロットンの野郎が何かしてたらぶっ飛ばす。
5:メスって、医療道具のだよな……何でいるんだ?
[備考]
※参戦時期は少なくとも遊星VSアポリア戦終了以降。
【アイザック@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:どうにか脱出したい
1:団長や兄弟(クロウ)と協力して状況の打開。
2:どれぐらい知り合いがいるかだけど……ちょっと多くない?
3:それにしてもザンクロウ、何者だったのかな。ちょっと悪いことをした気がする。
4:ロットンに一応警戒。油断大敵ってね。
5:キリュウって人を探したい。
6:メスを探す。今はそれが一番早いかもしれない。
[備考]
※参戦時期は少なくとも自身の3アビフェイトエピソード後。
【騎士の鎧@DRAGON QUEST ーダイの大冒険ー】
アイザックに支給。ダイがベンガーナのデパートで購入していた鎧。
防御力は見た目通り高いものの、ダイの身体には合わず最終的に殆ど脱いでいた。
ゲームのステータス的に考えると値段の割にはコスパはいい方。
【スターダスト・ドラゴン@遊戯王5D's】
クロウに支給。シグナーの龍の一体であり、不動遊星のエースモンスター。10時間に一回使用可能。
出典が5D'sなので厳密にはテキストは違うが、おおむねの効果は以下の通り。
シンクロ・効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
①:フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードをリリースして発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
②:このカードの①の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。
その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。
最終更新:2026年05月18日 13:30