Top > 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 > 閉鎖都市・「二つの銃は出番が来るまで待ち続ける」 > 第2話
旧友の依頼に嫌でも答えるのがこの世の性である
―――暗闇が広がる夜だった―――
アタッシュケースの音が何時もより激しい。
久々に足を早めているからだろう。
夜は物騒だし、銃も定め難い訳だし、だから経営時間に一般的に夜と言われる七時以降は入れてないというのに、お得意から、しかもそれが旧友来たとなれば、やはり行かなくてはならないだろう。
それが役目な訳であるし、長年の付き合いもある訳だし。
更に、メールでかなり懇願された。世界が終わると言っている様な文だったが、それを見ると、かなり困っているのだろうと思う。
アタッシュケースの音が何時もより激しい。
久々に足を早めているからだろう。
夜は物騒だし、銃も定め難い訳だし、だから経営時間に一般的に夜と言われる七時以降は入れてないというのに、お得意から、しかもそれが旧友来たとなれば、やはり行かなくてはならないだろう。
それが役目な訳であるし、長年の付き合いもある訳だし。
更に、メールでかなり懇願された。世界が終わると言っている様な文だったが、それを見ると、かなり困っているのだろうと思う。
(…ま、気軽にやってみるか。問題はそれからにしよう)
◇◆◇◆◇◆◇◆
「おーし、今日も気合い入れるぞー!」
甲高い女の声に、ツナギ服や作業服を身に包んだ男達の叫び声が倉庫に響く。
その中に混じっている錨のタトゥーが目立つ、白地のシャツを着た男。彼はロングコート未装着状態のハーバード。
その中に混じっている錨のタトゥーが目立つ、白地のシャツを着た男。彼はロングコート未装着状態のハーバード。
「今日は急ぎの用事だ、お前ら。早く帰って寝るぞ!以上!全員散らばれ!」
先程の女の号令により、ハーバード含めた男一同は、突如として散って行く。
茶色のウルフヘアを掻きながら、あらかじめ言われた場所に行くと段ボールの山、山、山。
茶色のウルフヘアを掻きながら、あらかじめ言われた場所に行くと段ボールの山、山、山。
「どうしてこうなっちまったんだよ…」
そうぼやきながら、指令された段ボールの城を少しずつ崩していき、その残骸の一つを両手に担ぐ。
その段ボールに書かれた『小日向輸送業』という青色の文字と『割れ物注意』とシールが貼られている。
これから分かる通り、今回の仕事は…いわば運送業の手伝いだった。
正直面倒臭いが、仕事ならば仕方ない。
こんなの、たまにある戦闘に比べたらまだ良い方だ。
その段ボールに書かれた『小日向輸送業』という青色の文字と『割れ物注意』とシールが貼られている。
これから分かる通り、今回の仕事は…いわば運送業の手伝いだった。
正直面倒臭いが、仕事ならば仕方ない。
こんなの、たまにある戦闘に比べたらまだ良い方だ。
「…はぁ~」
溜め息を吐きながら、荷物を規定されていた場所に降ろし、着ているYシャツの袖で汗を拭う。
しかし、ロングコートが無いと何か安心しないものだ。
一種の体の一部分か何かと化しているのだろうか。
大体、腕はあまり露出したくない理由で着ているのに、相手がうざったいから脱げと言われたからなのだが。
しかし、ロングコートが無いと何か安心しないものだ。
一種の体の一部分か何かと化しているのだろうか。
大体、腕はあまり露出したくない理由で着ているのに、相手がうざったいから脱げと言われたからなのだが。
「しかし…こんなに何運んでんだよ」
周りを見渡すと数人でこの荷物をまるで機械の様な慣れた作業で繰り広げているところを見ると、感心してしまう事がある。
一つで2kgはある荷物。
それを何度も運ぶのは容易では無いはずだ。
それも長年の経験とチームワークから来ているのだろう、と感じた。
一つで2kgはある荷物。
それを何度も運ぶのは容易では無いはずだ。
それも長年の経験とチームワークから来ているのだろう、と感じた。
「手作業止まってるぞ、ハーバード」
ふと、名前を呼ばれた。
振り向くと、先程の号令をかけていた女が立っていた。
キリリと鋭く、化粧はしていないのだろうが、充分美人の部類に入るであろう顔。
後ろに一本でまとめている、紅色の髪。
胸の谷間が見える程ジッパーを開け、しかも着ているのがバイクスーツ。元々それが密着している為か、豊満な胸は勿論、細いくびれ、多くの男や女が見とれる様な長い足。
その全てが一目で分かる程であった。
振り向くと、先程の号令をかけていた女が立っていた。
キリリと鋭く、化粧はしていないのだろうが、充分美人の部類に入るであろう顔。
後ろに一本でまとめている、紅色の髪。
胸の谷間が見える程ジッパーを開け、しかも着ているのがバイクスーツ。元々それが密着している為か、豊満な胸は勿論、細いくびれ、多くの男や女が見とれる様な長い足。
その全てが一目で分かる程であった。
「聞いてないぞ、綾代。メールには書いてなかったろ」
ハーバードの半ば怒りと呆れが混じった言葉を、小日向綾代(こひなた あやしろ)は適当にはいはいと流す。
ところでこの女性、小日向綾代とは誰かというと、ハーバードの旧友の一人でありながらも、閉鎖都市の企業の一つ、『小日向輸送業』の社長。
閉鎖都市でも成功している会社の一つらしく、本人のカリスマ性もあってか、既に創業で二年だというのにここまで来ている。
運ぶ物を確認せず、ただシンプルな輸送業故に、普通は運ぶのが困難な物―――例えるなら普通運ばせるのが無理な物でも、小日向輸送業なら運ぶ事が出来る、という事で、中小企業、大企業、果ては危険な集団までにも、依頼が来る物だ。
だが、その依頼主に敵対する企業やチームが、よく奇襲されたりしている為、対抗したいのだが、生憎社員達は魔法も銃も使える者はおらず、覚える気は毛頭無いので、仕方なくそこそこ腕の立つハーバードに来てもらう訳である。
しかし、ハーバード自身、手伝い等は長い付き合いで初めてだったのだが…
ところでこの女性、小日向綾代とは誰かというと、ハーバードの旧友の一人でありながらも、閉鎖都市の企業の一つ、『小日向輸送業』の社長。
閉鎖都市でも成功している会社の一つらしく、本人のカリスマ性もあってか、既に創業で二年だというのにここまで来ている。
運ぶ物を確認せず、ただシンプルな輸送業故に、普通は運ぶのが困難な物―――例えるなら普通運ばせるのが無理な物でも、小日向輸送業なら運ぶ事が出来る、という事で、中小企業、大企業、果ては危険な集団までにも、依頼が来る物だ。
だが、その依頼主に敵対する企業やチームが、よく奇襲されたりしている為、対抗したいのだが、生憎社員達は魔法も銃も使える者はおらず、覚える気は毛頭無いので、仕方なくそこそこ腕の立つハーバードに来てもらう訳である。
しかし、ハーバード自身、手伝い等は長い付き合いで初めてだったのだが…
「ほらほら、早く運ばないと、依頼した意味が無いじゃないか。喋る暇があったら手動かせ」
「…こういうのは力仕事出来るだけじゃダメってのは、俺だって知ってんだぞ」
「人手が足りないんだよ」
「社員が百人ちょい居るのに?人手が足りない?ハァ?あれか、昔お前のお気に入りのストラップ、あの趣味悪い、黄色と紫の熊みたいな鳥の」
「趣味悪いは余計だ」
「あれ壊した事まだ根にもってんのか?それなら、そうと言ってくれ」
「さぁ、どうだろうなぁ…」
「…こういうのは力仕事出来るだけじゃダメってのは、俺だって知ってんだぞ」
「人手が足りないんだよ」
「社員が百人ちょい居るのに?人手が足りない?ハァ?あれか、昔お前のお気に入りのストラップ、あの趣味悪い、黄色と紫の熊みたいな鳥の」
「趣味悪いは余計だ」
「あれ壊した事まだ根にもってんのか?それなら、そうと言ってくれ」
「さぁ、どうだろうなぁ…」
そう笑いながら遠くへ目を逸らす綾代を背に軽い舌打ちをし、また段ボールの山へ向かおうとしたハーバード。
しかし、その瞬間に
しかし、その瞬間に
ゴォンッ!
という轟音が倉庫一体に鳴り響いた。
その音の方向から髪を逆立たせた綾代よりも若い男が駆け寄ってきて、一礼してくれから、息を切らしながら綾代に言う。
「しゃ…ちょ…ゼェ…ゼェ…あの…その…来まし…た」
「…待て、まずは深呼吸だ」
「…待て、まずは深呼吸だ」
綾代の言葉に、一度一二回深呼吸をし、ピシッとして話す。
「その…あの…治安維持部隊が…」
「なっ…嘘だろう」
「嘘じゃなきゃここに来てませんよ!」
「…厄介な事になったか…」
「え、誰そいつら」
「なっ…嘘だろう」
「嘘じゃなきゃここに来てませんよ!」
「…厄介な事になったか…」
「え、誰そいつら」
取り残されていたハーバードが、綾代へと尋ねる。
綾代は少し唸ってから、「知らないのか?」と逆に尋ね直す。
綾代は少し唸ってから、「知らないのか?」と逆に尋ね直す。
「知らん」
「この都市の情勢とか詳しいんじゃないのか?」
「前言ったろうが。そういうデカイのは知らん」
「…流石に呆れた」
「この都市の情勢とか詳しいんじゃないのか?」
「前言ったろうが。そういうデカイのは知らん」
「…流石に呆れた」
「うっせぇ」と小さく返し、鳴り止まぬ轟音の中、ハーバードはその轟音の方を見ながらまだ呆れているらしい綾代に言う。
「なぁ…それ、やった方が良い?まだ知らんけど」
「当たり前だ。ほら」
「当たり前だ。ほら」
部下がいつの間にか持ってきたかは知らないが、何処からともなく上手投げで黒いアタッシュケースと黒いロングコートを顔にめがけて全力で投げた。
「危なっ!」
それを両手で顔を庇うついでに受け取ると、若干浮かび上がった冷や汗を痺れが残る手で拭う。
そして、早速黒のロングコートを身に纏い、アタッシュケースを握り直す。
何処か冷たくなっていた気がしたが、時間のせいか。
そして、早速黒のロングコートを身に纏い、アタッシュケースを握り直す。
何処か冷たくなっていた気がしたが、時間のせいか。
「仕事内容はメールの通りだ。後は、お前の好きにやれ」
「あいよ」
「あいよ」
そう綾代の命令に軽く返事をすると、その足を前へと進める。
後ろから聞こえる綾代の社員への撤退命令を背に受け、耳へと送りながら、ハーバードは慣れた手つきで短銃の弾を八発、アタッシュケースを脇で挟んだまま、込め直した。
その銃弾も、アタッシュケースのグリップと同じくらいに冷たかったのもやはり時間なんだ、とハーバードは一人暗闇の下で感じていた。
後ろから聞こえる綾代の社員への撤退命令を背に受け、耳へと送りながら、ハーバードは慣れた手つきで短銃の弾を八発、アタッシュケースを脇で挟んだまま、込め直した。
その銃弾も、アタッシュケースのグリップと同じくらいに冷たかったのもやはり時間なんだ、とハーバードは一人暗闇の下で感じていた。