アットウィキロゴ
創作発表板@wiki
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

創作発表板@wiki

発子クライシス

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

発子クライシス

作者:wHsYL8cZCc
投稿日時:2010/11/01(月) 08:00:58


「はぁはぁはぁはぁ……」

 逃走する者。そしてそれを追う者。
 彼は逃げていた。なぜ追われるのか、なぜ、命を狙われなければならないのか。そればかり考えていた。

「ダメよ」

 声が響く。今の状況からは程遠い、澄み切った声。
 彼は躓いた。そして、転倒した。抱えていた物が道路にぶちまけられた。それは、先程買った食料だ。
 彼はそんなものなどどうでもいいと言うように、立ち上がり走り出した。だが、逃げられはしないのだ。

「はぁはぁ……。なんでだ。なんで俺が……!」
「止まりなさい」

 突如、彼の足が捕らえられた彼は道路に手をついて、逃れようともがいた。
 彼の足には、ぼんやりと蒼い何かが絡みついていた。

「ちくしょう……! なんで……。どうして!?」
「逃げられないと言ったでしょう?」

 彼は見た。そこに居る者を。
 蒼い髪をした、可憐なドレスに身を包んだ、一人の少女。
 自分の身体を両手で抱え、俯いた顔は、どこか悲しそうだった。

「ごめんなさい」

 蒼が広がって行く。男の身体は、それに飲まれて行く。
 死が近付いている。

「あなたに恨みはない。あなたの事が嫌いでもない。でも、私はあなたを許せる立場じゃないの……」

 蒼は胸まで到達する。既に下肢の感覚は無い。死んだのだ。

「ごめんなさい。私は、私はあなたを、殺さなくちゃならない。
 あなたは罪を犯したから。とても重い罪を。私はそれを裁かなくてはならない。どうしても。
 あなたが嫌いじゃない。でも、あなたの罪だけは、許せない」

 男の身体は動かなくなった。肉体は既に死んだ。
 そして次は、魂の死が訪れる。それはすなわち、存在の消滅に他ならない。誰からも忘れられ、そして、決して語られる事が無くなる。
 その男の、物語は終焉を迎える。

「ごめんなさい。どうしても、許す事が出来なかった……」

 蒼い髪の少女、H・クリーシェは、今にも泣きそうな顔で言った。
 男が行った事は、彼女にとって、女神という存在にとって、非常に辛く、残酷な事だったのだ。


「ホットコーナーのファミチキを買い占めるなんて、許せなかった。私が、買えなかった……」


 女神を怒らせてはいけない。




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー