(濡月)
更新日:2021/11/15 Mon 15:58:47
それは暗い日曜日、大雨が降っていたときの事でした。
生まれたてで、まだおくるみを着た私は、大好きなお母さんの腕の中で揺られていました。
お母さん、どこに行くの?寒いよ、怖いよ。
何も知らない私は雨の中泣くことしか出来ません。
肝心のお母さんは傘もささず、チラリとこちらを見ただけで、何も話してくれませんでした。
少しするとお母さんがほっとしたような顔をし、私もなんだか安心しました。
目の前が明るくなったのです。
生まれたてで、まだおくるみを着た私は、大好きなお母さんの腕の中で揺られていました。
お母さん、どこに行くの?寒いよ、怖いよ。
何も知らない私は雨の中泣くことしか出来ません。
肝心のお母さんは傘もささず、チラリとこちらを見ただけで、何も話してくれませんでした。
少しするとお母さんがほっとしたような顔をし、私もなんだか安心しました。
目の前が明るくなったのです。
そこは駅でした。かなり大きな駅です。
その大きな駅で、お母さんは迷わずに真っ直ぐと無機質な鉄の塊まで歩いていきました。私は今から何が起こるのか分からず、ただじっとしていました。
お母さんはチラチラと辺りを見回して、一度深く深呼吸をした後、ガチャッと言う音と共に目の前が少し暗くなりました。
いつの間にかお母さんが目の前にいます。
冷たく口を開けたコインロッカーの中で、私はお母さんに向かって手を伸ばしました。
でも全然届きません。
またガチャッ、今度は完全に暗くなりました。
生まれたての私はお母さんを完全に見失ったのです。
私は堪らなく恐ろしくなりました。
泣いてもお母さんが来てくれません。泣いても誰も反応してくれないのです。
私は大きな声で泣き叫びました。声がかすれ、消えるまで泣きました。それでもお母さんは来てくれません。誰も反応してくれません。
私は声が出なくなり、泣けなくなっても誰かに助けを求めていました。
それでもお母さんは来てくれません。誰にも声が届きません。
その大きな駅で、お母さんは迷わずに真っ直ぐと無機質な鉄の塊まで歩いていきました。私は今から何が起こるのか分からず、ただじっとしていました。
お母さんはチラチラと辺りを見回して、一度深く深呼吸をした後、ガチャッと言う音と共に目の前が少し暗くなりました。
いつの間にかお母さんが目の前にいます。
冷たく口を開けたコインロッカーの中で、私はお母さんに向かって手を伸ばしました。
でも全然届きません。
またガチャッ、今度は完全に暗くなりました。
生まれたての私はお母さんを完全に見失ったのです。
私は堪らなく恐ろしくなりました。
泣いてもお母さんが来てくれません。泣いても誰も反応してくれないのです。
私は大きな声で泣き叫びました。声がかすれ、消えるまで泣きました。それでもお母さんは来てくれません。誰も反応してくれません。
私は声が出なくなり、泣けなくなっても誰かに助けを求めていました。
それでもお母さんは来てくれません。誰にも声が届きません。
私はただそこにいました。
誰も助けに来てくれない・・・ 喉が痛い・・・ 暗い・・・ 怖い・・・
私はただ恐怖していました。
実の母親に捨てられたことにか、誰も私に反応してくれないからか、このままここで死んでいくことにか、どれかは分からないけど、ただただ恐怖していました。
ふと、本当に突然ふと、目の前に異変が起こりました。
目の前が真っ白になったのです。
暫くすると目が慣れて、ロッカーが開けられたことが分かりました。
誰も助けに来てくれない・・・ 喉が痛い・・・ 暗い・・・ 怖い・・・
私はただ恐怖していました。
実の母親に捨てられたことにか、誰も私に反応してくれないからか、このままここで死んでいくことにか、どれかは分からないけど、ただただ恐怖していました。
ふと、本当に突然ふと、目の前に異変が起こりました。
目の前が真っ白になったのです。
暫くすると目が慣れて、ロッカーが開けられたことが分かりました。
ロッカーを開けたのは杖を持った和服姿の老人でした。
とても怖い顔でこちらを見てきます。
私は弱りきっており、満足に泣くことも満足に動くことも出来ません。
彼は私の方へ手を伸ばし、私を抱き上げました。
久しぶりの体温を感じ、私は嬉しくなったのです
弱々しく老人の手をさわり、一度雨に濡れ何度も涙に濡れた目で老人を見つめました。
それを見た老人は頷き、私を一度コインロッカーに戻しました。
また捨てられると思った私は涙が乾ききった目ですがるように老人を見ました。
彼はロッカーの扉を閉めず、着ていた羽織を脱ぎ、私に被せてくれます。
煙管の香りがしました。本来、煙は赤ん坊にとても悪いものですが、ロッカーの無機質な鉄の香りを嫌と言うほど味わった私には、とても居心地のよい香りに感じ、と同時に瞼が重くなりました。
眠れと低い声が聴こえた気がします。
とても怖い顔でこちらを見てきます。
私は弱りきっており、満足に泣くことも満足に動くことも出来ません。
彼は私の方へ手を伸ばし、私を抱き上げました。
久しぶりの体温を感じ、私は嬉しくなったのです
弱々しく老人の手をさわり、一度雨に濡れ何度も涙に濡れた目で老人を見つめました。
それを見た老人は頷き、私を一度コインロッカーに戻しました。
また捨てられると思った私は涙が乾ききった目ですがるように老人を見ました。
彼はロッカーの扉を閉めず、着ていた羽織を脱ぎ、私に被せてくれます。
煙管の香りがしました。本来、煙は赤ん坊にとても悪いものですが、ロッカーの無機質な鉄の香りを嫌と言うほど味わった私には、とても居心地のよい香りに感じ、と同時に瞼が重くなりました。
眠れと低い声が聴こえた気がします。
いつの間にか駅の外に出ていました。
でも今度は雨に濡れません。
老人の羽織が雨から守ってくれるのです。
「捨てられたことなど忘れてしまえ、お前は私の子だ」
私は安心して目を閉じました。
でも今度は雨に濡れません。
老人の羽織が雨から守ってくれるのです。
「捨てられたことなど忘れてしまえ、お前は私の子だ」
私は安心して目を閉じました。