そこは異様な熱気が満ち溢れていた。
地下だというのに、煌々と明かりの灯る巨大な建物の中には数百人、
いや数千人の人間がひしめき合っていた。
ある者は歓喜し、またある者は激怒し、そしてまたある者は涙する。
命と命を削りあい、ぶつけ、その果てに散っていく者。ここに来ている人間はそんな彼らに魅せられた、
“異常な”人間だ。
そんな異常な人間達の中で一人、どう見ても浮いている存在がいた。
「あー……つまらないなぁ……。本当の『コロシアイ』ってこんなモンじゃないのにね……」
地下だというのに、煌々と明かりの灯る巨大な建物の中には数百人、
いや数千人の人間がひしめき合っていた。
ある者は歓喜し、またある者は激怒し、そしてまたある者は涙する。
命と命を削りあい、ぶつけ、その果てに散っていく者。ここに来ている人間はそんな彼らに魅せられた、
“異常な”人間だ。
そんな異常な人間達の中で一人、どう見ても浮いている存在がいた。
「あー……つまらないなぁ……。本当の『コロシアイ』ってこんなモンじゃないのにね……」
「……そろそろか」
薄暗いコックピットの中で少年は呟いた。
シートを起こし、壁のフックに掛けたヘルメットを無造作に掴み取って乱暴にかぶる。
特徴的な赤毛が少しヘルメットからはみ出ているが、さほど気にならない。
タン、とコンソールを軽く弾く。
コックピットに明かりを灯すのは、旧式な機体に合わない最新のOSの起動シークエンスだろうか。
少年の赤い瞳にモニターに映った文字列が飛び込んでくる。
薄暗いコックピットの中で少年は呟いた。
シートを起こし、壁のフックに掛けたヘルメットを無造作に掴み取って乱暴にかぶる。
特徴的な赤毛が少しヘルメットからはみ出ているが、さほど気にならない。
タン、とコンソールを軽く弾く。
コックピットに明かりを灯すのは、旧式な機体に合わない最新のOSの起動シークエンスだろうか。
少年の赤い瞳にモニターに映った文字列が飛び込んでくる。
――General-purpuse
Entire region
Armord infantry……
全領域汎用装甲歩兵。略称GEA。それが、少年の乗っている機体の正式名称だ。
コンソールを叩いていくたびに計器類が発光し、幾つものデータが外を映す
モニターに入力されていく。まるで生まれたての赤ん坊が視覚を通じて莫大な情報を頭に詰め込んでいるかのように。
そして、暗い格納庫の中で赤い一つ目の上半身が人型、下半身は無限軌道のさながら半獣人(ケンタウロス)が目を覚ます。
「……面倒な依頼は即行で終わらせるに限る……殺してな」
赤毛の少年――“ひろし”はそう言って口元を大きく歪ませた。
コンソールを叩いていくたびに計器類が発光し、幾つものデータが外を映す
モニターに入力されていく。まるで生まれたての赤ん坊が視覚を通じて莫大な情報を頭に詰め込んでいるかのように。
そして、暗い格納庫の中で赤い一つ目の上半身が人型、下半身は無限軌道のさながら半獣人(ケンタウロス)が目を覚ます。
「……面倒な依頼は即行で終わらせるに限る……殺してな」
赤毛の少年――“ひろし”はそう言って口元を大きく歪ませた。
「もーもーもーもー!!! ひろしが出て来なぁぁぁい!!!もーもーもーもー!!!」
小さく、細い綺麗な足をじたばたさせて少女は身長140㎝の体をフルに使って不満を爆発させた。
ちなみに、彼女は新興宗教「もーもー教」の教祖様である。(嘘)
こんな世界の裏側の場所には全く縁のないはずの、純真無垢なはずの少女はその三つ編みにしたもみあげをぶんぶん振って
「こんなゲームみたいなコックピットばっかり狙う『コロシアイ』なんてきらいだーーー!ひろしみたいな
相手のぷらいどをへし折っていたぶりながらじょじょにいためつけるのがいいんだよーー!!」
と叫んでいた。周りの大人は皆、明らかなDQN発言を繰り返し喚き散らす彼女からきっちり半円180㎝以上の所に退避を完了させていた。
……ただ、運悪く逃げそびれた一人が今も尚、少女の前の座席で棒状に丸められた対戦表でとばっちりを受けている。
その男は、最初に逃げ出そうとした時に少女の足バタバタの反動でめくれ上がったスカートの奥のサービスシーンを見てしまい、
現在は少女の奴隷な気分である。
(ちなみにスカートの奥はスパッツ着用だったのだがスパッツの下が仮にノーパンだとするとそれだけで物凄いサービスシーンのように思えるから
不思議である。)
と、不意に少女は振り回していたグラットンソード……では無く対戦表を止めて男に話しかける。
「ねぇ、おじさん」
「な、なあにかな?」
男は覚悟した。
「あれ、どっちが勝つと思う?」
眼下のバトルフィールドを指さし少女は笑う。
「私はね、あの『X1長距離砲撃型』が……まあ各所がカスタマイズされてるけど、勝つとおもうんだ。」
説明を聞いていく内に男は、何とも言えない恐怖感が体に染みわたっていくのを感じた。
『X1長距離砲撃型』と言う機体の名前を知っている事にも驚いたが、男は少女の説明に背筋が凍った。
「だってさーこの地形、遮蔽物の一つも無いのにあの青い『X1中距離戦闘型』さっきからバカみたいに飛んでばっかり。着地した時
撃ってくださいーっていってるようなモンだよぉ」
確かに、先程から青い『X1中距離戦闘型』は地面を行くのではなくバーニアばかり吹かしていた。そして、よく見ると左腕がパージされている。
パージされた部分の周りは真っ黒に汚れ、爆発した跡が見えた。恐らく、少女の言う通り着地した瞬間を狙われたのだろうか。
「それに、カスタムしたのはセンサー類だね。さっきから『X1中距離戦闘型』の右手の肘ばっかり狙ってる。普通なら
肘じゃなくて肩ごと吹き飛んでもおかしくないくらいの精度しかないからね、『X1長距離砲撃型』は。」
と、少女の呟いた次の瞬間青い『X1中距離戦闘型』の右腕の肘を銃弾が貫く。
少女は、あはははっと笑う。そして、
「ほらあ!……あ、おじさん。あの青い『X1中距離戦闘型』。面白い事になるからよく見ててよぉ……」
男は恐る恐る首を動かして見た。
どうやら引き金の引いたたままのマシンガンを持っていた青い『X1中距離戦闘型』。そのグラグラになった右腕のマシンガンがやがて反動に
よって地面や空中を撃ち始める。
男はそこで気付いた。
「……まさか」
そして。
マシンガンはとうとう180度回転し、吐き出される弾丸が青い『X1中距離戦闘型』の胸部のコックピットを貫いた。
そして戦闘は終了した。
「ね?面白かったでしょ?」
男は思った。なぜ、こんな少女が人の死を平然と説明し、そして笑えた。そして何よりもこの少女は一体何者なのか。
「き、君は……何者なんだ?」
しまった、と思った時には既に遅く、少女はその大きな紅い瞳を見開く。そして、
「……ロンメル」
少女――ロンメルは、アイボリーのセミロングの髪と三つ編みにしたもみあげを時折飛来する爆発の衝撃波に揺らしながら答えた。
「え?」
「わたしのなまえ。おじさんが聞いてきたじゃない」
男は安堵した。
どうやら、「君は、何て言うんだい?」と聞かれたと思っているらしい。
男がホッとため息をついていたとき、突然ロンメルが騒ぎ出した。
「あ!次はひろしの番だー!がんばれーひろしー!」
と同時に建物内にけたましい若い男の声が響き渡る。
「レディースアンドジェントルマン!ウェルカムトゥザ『コロッセオ』!本日最後の『リアルバトル』だ!」
一斉に何千人という観客達がこれでもか、と言うほど歓声を上げる。
「まずは『コロッセオ』のエース、我らが『ルートビア・メッコール』だあああ!!!」
先程の歓声が、より大きくなる。
左の格納庫から現れたのは、爽やかなライトグリーンに染め上げられた両腕と、両足が巨大な機体とその頭部に立っているチャラチャラした男だった。
「戦績は、9戦全勝!申し分ない戦績だああ!!」
チャラチャラした男、ルートビアはその茶色のクセっ毛を手で払いのけて観客を沸かせる。
「そんなエースに挑むは……この男!『164』だあ!」
右の格納庫から出てきたのは、傷だらけで年代を感じさせる装甲をした、重厚ないかにも鉄の塊と言うような機体が無限軌道を動かしやってくる。
「戦績は、ナッシング!本日が初めてだが、それよりその機体は骨董品か!?」
すると、横にいたロンメルがぼそっと呟く。
「……かっこうつけちゃって。いい加減『タンクマキナ』から離れればいいのに」
「?」
「あ、ちなう……じゃなくてちがうんです!なんでもないない!」
ぷるぷると頭を揺らして何かを否定するロンメルの可憐さに、男は先程の事を忘れかけた。だが、
「ひろしの戦いはどうすれば相手を長くいたぶれるをべんきょうできるから見ておかないと!ね?おじさん」
……一瞬で再び現実に引き戻された上、自分まで巻き込まれた事に気付いた男は口から何かを吐き出した。
何かの正体は主にエクトプラズム。
小さく、細い綺麗な足をじたばたさせて少女は身長140㎝の体をフルに使って不満を爆発させた。
ちなみに、彼女は新興宗教「もーもー教」の教祖様である。(嘘)
こんな世界の裏側の場所には全く縁のないはずの、純真無垢なはずの少女はその三つ編みにしたもみあげをぶんぶん振って
「こんなゲームみたいなコックピットばっかり狙う『コロシアイ』なんてきらいだーーー!ひろしみたいな
相手のぷらいどをへし折っていたぶりながらじょじょにいためつけるのがいいんだよーー!!」
と叫んでいた。周りの大人は皆、明らかなDQN発言を繰り返し喚き散らす彼女からきっちり半円180㎝以上の所に退避を完了させていた。
……ただ、運悪く逃げそびれた一人が今も尚、少女の前の座席で棒状に丸められた対戦表でとばっちりを受けている。
その男は、最初に逃げ出そうとした時に少女の足バタバタの反動でめくれ上がったスカートの奥のサービスシーンを見てしまい、
現在は少女の奴隷な気分である。
(ちなみにスカートの奥はスパッツ着用だったのだがスパッツの下が仮にノーパンだとするとそれだけで物凄いサービスシーンのように思えるから
不思議である。)
と、不意に少女は振り回していたグラットンソード……では無く対戦表を止めて男に話しかける。
「ねぇ、おじさん」
「な、なあにかな?」
男は覚悟した。
「あれ、どっちが勝つと思う?」
眼下のバトルフィールドを指さし少女は笑う。
「私はね、あの『X1長距離砲撃型』が……まあ各所がカスタマイズされてるけど、勝つとおもうんだ。」
説明を聞いていく内に男は、何とも言えない恐怖感が体に染みわたっていくのを感じた。
『X1長距離砲撃型』と言う機体の名前を知っている事にも驚いたが、男は少女の説明に背筋が凍った。
「だってさーこの地形、遮蔽物の一つも無いのにあの青い『X1中距離戦闘型』さっきからバカみたいに飛んでばっかり。着地した時
撃ってくださいーっていってるようなモンだよぉ」
確かに、先程から青い『X1中距離戦闘型』は地面を行くのではなくバーニアばかり吹かしていた。そして、よく見ると左腕がパージされている。
パージされた部分の周りは真っ黒に汚れ、爆発した跡が見えた。恐らく、少女の言う通り着地した瞬間を狙われたのだろうか。
「それに、カスタムしたのはセンサー類だね。さっきから『X1中距離戦闘型』の右手の肘ばっかり狙ってる。普通なら
肘じゃなくて肩ごと吹き飛んでもおかしくないくらいの精度しかないからね、『X1長距離砲撃型』は。」
と、少女の呟いた次の瞬間青い『X1中距離戦闘型』の右腕の肘を銃弾が貫く。
少女は、あはははっと笑う。そして、
「ほらあ!……あ、おじさん。あの青い『X1中距離戦闘型』。面白い事になるからよく見ててよぉ……」
男は恐る恐る首を動かして見た。
どうやら引き金の引いたたままのマシンガンを持っていた青い『X1中距離戦闘型』。そのグラグラになった右腕のマシンガンがやがて反動に
よって地面や空中を撃ち始める。
男はそこで気付いた。
「……まさか」
そして。
マシンガンはとうとう180度回転し、吐き出される弾丸が青い『X1中距離戦闘型』の胸部のコックピットを貫いた。
そして戦闘は終了した。
「ね?面白かったでしょ?」
男は思った。なぜ、こんな少女が人の死を平然と説明し、そして笑えた。そして何よりもこの少女は一体何者なのか。
「き、君は……何者なんだ?」
しまった、と思った時には既に遅く、少女はその大きな紅い瞳を見開く。そして、
「……ロンメル」
少女――ロンメルは、アイボリーのセミロングの髪と三つ編みにしたもみあげを時折飛来する爆発の衝撃波に揺らしながら答えた。
「え?」
「わたしのなまえ。おじさんが聞いてきたじゃない」
男は安堵した。
どうやら、「君は、何て言うんだい?」と聞かれたと思っているらしい。
男がホッとため息をついていたとき、突然ロンメルが騒ぎ出した。
「あ!次はひろしの番だー!がんばれーひろしー!」
と同時に建物内にけたましい若い男の声が響き渡る。
「レディースアンドジェントルマン!ウェルカムトゥザ『コロッセオ』!本日最後の『リアルバトル』だ!」
一斉に何千人という観客達がこれでもか、と言うほど歓声を上げる。
「まずは『コロッセオ』のエース、我らが『ルートビア・メッコール』だあああ!!!」
先程の歓声が、より大きくなる。
左の格納庫から現れたのは、爽やかなライトグリーンに染め上げられた両腕と、両足が巨大な機体とその頭部に立っているチャラチャラした男だった。
「戦績は、9戦全勝!申し分ない戦績だああ!!」
チャラチャラした男、ルートビアはその茶色のクセっ毛を手で払いのけて観客を沸かせる。
「そんなエースに挑むは……この男!『164』だあ!」
右の格納庫から出てきたのは、傷だらけで年代を感じさせる装甲をした、重厚ないかにも鉄の塊と言うような機体が無限軌道を動かしやってくる。
「戦績は、ナッシング!本日が初めてだが、それよりその機体は骨董品か!?」
すると、横にいたロンメルがぼそっと呟く。
「……かっこうつけちゃって。いい加減『タンクマキナ』から離れればいいのに」
「?」
「あ、ちなう……じゃなくてちがうんです!なんでもないない!」
ぷるぷると頭を揺らして何かを否定するロンメルの可憐さに、男は先程の事を忘れかけた。だが、
「ひろしの戦いはどうすれば相手を長くいたぶれるをべんきょうできるから見ておかないと!ね?おじさん」
……一瞬で再び現実に引き戻された上、自分まで巻き込まれた事に気付いた男は口から何かを吐き出した。
何かの正体は主にエクトプラズム。