――――ブリーフィング――――
清水「操作とルールは覚えたか、一条」
遥「えと、まあ大体は」
清水「よし、なら後は実際に動かして覚えろ」
遥「わかった、やってみる!」
清水「一条は格闘のカットさえしてくれればいい。二人の相手は俺がする」
♪ ♪ ♪
ヘーシェン「さて、ヘーシェンとヴィルティックというよーわからんコンビになったわけですが」
隆昭「遠距離戦に不安があるな」
ヘーシェン「冗談抜きで清水さんのブルショルがやっかいですね」
隆昭「弾幕がな……。でもヘーシェンは回避力に定評あるだろ?」
ヘーシェン「ええ、もちろんです。装甲は紙ですが」
隆昭「じゃあしばらく清水の相手を頼む」
ヘーシェン「……なるほど。
ヴァーストでかちゅ、それれいんれしょ」
ヴァーストでかちゅ、それれいんれしょ」
隆昭「ああ、 バ ビ ブ だ」
――――ブリーフィング終了。システム、戦闘モード起動します――――
戦場に、それぞれの機体が舞い降りる。フィールドは市街地、時刻は夜だ。
ディスプレイに表示される、スタートまでのカウント。3、2、1……。
『バトル・スタート』
一条の迅雷を除く3機が、一斉に中央に向けてブーストした。
「え、えーと、“ぶーすとぼたん”ってどこ!?」
取り残された一条は見事にテンパっているが、そんなものは想定の範囲内だ。問題は自力で解決してもらうとして、今は2機を引き付けるだけ。
『シャッフル』
清水がスティックを押すと、コントローラーからアナウンスが流れると同時にディスプレイの隅にカードが出現した。種類は……ミサイル、ミサイル、バスターソード、アクセル、ストリーム。
カードを選択し、発動――――まずは牽制だ。
『アクセル、ミサイル、ミサイル!』
ブルーショルダーの肩にミサイルが装備され、機体の最大速度が上昇した。
回避のために小刻みにステップを織り交ぜて移動しつつ、射撃ボタンを長押し。チャージする事によって100mm多目的ミサイルが100mm超振動極熱ミサイルへと変貌を遂げる。
マルチロックして、発射。ヴィルティックとヘーシェンにミサイル襲い掛かる。
が、
『フレアー!』
『ディフェンス!』
読まれていた。ヘーシェンに向かったミサイルはフレアーによってその軌道を変え、ヴィルティックに向かったミサイルはディフェンスによって防がれる。初心者というのは……やはり嘘か。
だとしたら、おそらくはセオリー通りヴァースト狙いの戦い方をしてくるだろう。
ヴァーストは特殊なカードだ。引いてから10カウント後に発動可能になり、発動すると機体の能力が上昇し、モーションが変更される。
……そこからさらに10カウント待てばエクステッド・ヴァーストが発動可能になるのだが、流石にそこまでの余裕はあるまい。
ヴァーストを使われれば低コスト機のブルーショルダーは手も足も出ないだろうが、幸い通常時のヴィルティックの性能は高コストの大型機にしてはそこまで高くない。ヘーシェンを落としてコストオーバーを狙いたいところだが――――
『バスターソード:振動熱斬刀!』
清水が300cm超振動極熱刀を召喚して、ブルーショルダーが白亜の巨人に襲い掛かる。
――――ヴァーストを発動されたら厄介だ、ヴィルティックから潰させてもらう。
ディスプレイに表示される、スタートまでのカウント。3、2、1……。
『バトル・スタート』
一条の迅雷を除く3機が、一斉に中央に向けてブーストした。
「え、えーと、“ぶーすとぼたん”ってどこ!?」
取り残された一条は見事にテンパっているが、そんなものは想定の範囲内だ。問題は自力で解決してもらうとして、今は2機を引き付けるだけ。
『シャッフル』
清水がスティックを押すと、コントローラーからアナウンスが流れると同時にディスプレイの隅にカードが出現した。種類は……ミサイル、ミサイル、バスターソード、アクセル、ストリーム。
カードを選択し、発動――――まずは牽制だ。
『アクセル、ミサイル、ミサイル!』
ブルーショルダーの肩にミサイルが装備され、機体の最大速度が上昇した。
回避のために小刻みにステップを織り交ぜて移動しつつ、射撃ボタンを長押し。チャージする事によって100mm多目的ミサイルが100mm超振動極熱ミサイルへと変貌を遂げる。
マルチロックして、発射。ヴィルティックとヘーシェンにミサイル襲い掛かる。
が、
『フレアー!』
『ディフェンス!』
読まれていた。ヘーシェンに向かったミサイルはフレアーによってその軌道を変え、ヴィルティックに向かったミサイルはディフェンスによって防がれる。初心者というのは……やはり嘘か。
だとしたら、おそらくはセオリー通りヴァースト狙いの戦い方をしてくるだろう。
ヴァーストは特殊なカードだ。引いてから10カウント後に発動可能になり、発動すると機体の能力が上昇し、モーションが変更される。
……そこからさらに10カウント待てばエクステッド・ヴァーストが発動可能になるのだが、流石にそこまでの余裕はあるまい。
ヴァーストを使われれば低コスト機のブルーショルダーは手も足も出ないだろうが、幸い通常時のヴィルティックの性能は高コストの大型機にしてはそこまで高くない。ヘーシェンを落としてコストオーバーを狙いたいところだが――――
『バスターソード:振動熱斬刀!』
清水が300cm超振動極熱刀を召喚して、ブルーショルダーが白亜の巨人に襲い掛かる。
――――ヴァーストを発動されたら厄介だ、ヴィルティックから潰させてもらう。
♪ ♪ ♪
移動に、誘導を切るためのステップを織り交ぜながら、ブルショルがヴィルティックに殺到する。
――――やっぱ俺狙いかよ! なら!
『デコイ、マイン!』
ギリギリのタイミングでデコイとマインのカードを同時使用。ブルーショルダーのターゲットサイトが強制的に機雷入りのダミーに変更される。
しかしそれは一足遅く、ブルショルの格闘は既にヴィルティックに対して誘導が掛かっていた。伸びの優秀な(リーチの長い)ブーストダッシュ格闘なのでステップでは回避が間に合わない。
「うお、やば――――」
「ライダーキック」
画面に割り込む白ウサギ。ブルショルを蹴り飛ばす。
「おれは、みかただ」
「ナイスカット!」
「ここは私に任せてください」
すぐさまブーストダッシュでダウン中のブルーショルダーとの距離を離す。なにやら「私この戦いが終わったら、マスターとにゃんにゃんするんですよ」という死亡フラグが聞こえたような気がしたが、多分気のせいだろう、うん。
とにもかくにも清水のブルショルはヘーシェンにお任せだ。
『シャッフル』
俺はヴァーストを引き当てるのに専念するとしよう。
――――やっぱ俺狙いかよ! なら!
『デコイ、マイン!』
ギリギリのタイミングでデコイとマインのカードを同時使用。ブルーショルダーのターゲットサイトが強制的に機雷入りのダミーに変更される。
しかしそれは一足遅く、ブルショルの格闘は既にヴィルティックに対して誘導が掛かっていた。伸びの優秀な(リーチの長い)ブーストダッシュ格闘なのでステップでは回避が間に合わない。
「うお、やば――――」
「ライダーキック」
画面に割り込む白ウサギ。ブルショルを蹴り飛ばす。
「おれは、みかただ」
「ナイスカット!」
「ここは私に任せてください」
すぐさまブーストダッシュでダウン中のブルーショルダーとの距離を離す。なにやら「私この戦いが終わったら、マスターとにゃんにゃんするんですよ」という死亡フラグが聞こえたような気がしたが、多分気のせいだろう、うん。
とにもかくにも清水のブルショルはヘーシェンにお任せだ。
『シャッフル』
俺はヴァーストを引き当てるのに専念するとしよう。
♪ ♪ ♪
ダウンしていたブルショルが起き上がった。ここから数秒間は無敵時間だ。相手の格闘のリーチ外へと機体を下げ、隆昭が設置した機雷入りダミーの付近へ。
『プットオン:アーマード!』
カードの効果によって脚部と肩部に装甲が装着された。これでいくらかの攻撃は無効化する事が可能だ。
しかし何よりも頼もしいのは格闘攻撃が命中した場合、それを無効化した上で相手を怯ませる事ができるという事。これによって相手の大火力格闘攻撃――――300cm振動熱斬刀を封じる事ができる。
ブルーショルダーカスタム、通称ブルショルは射撃寄りの万能機だが、それだけではダメージソースが心許ないため、時には格闘を狙っていく必要もある。
つかず離れず、そういう立ち回りを要求される機体だ。
一方ヘーシェンは格闘寄りの万能機。射撃は支援と牽制に留め、カット耐性の高いコンボでダメージを稼ぐ機体で、装甲(=HP)の薄さもあって接近戦のリスクを減らすために闇討ちメインで立ち回るのが最も安定した戦い方になる。
そう、ブルショルとヘーシェンの相性はぶっちゃけあまり良くない。普通の機体なら問題にならない攻撃も、ヘーシェンにとっては致命傷になりうるからだ。それがたとえアーマー付きであっても。
さて、おそらく清水はセオリー通りアーマーを破壊しにかかってくるか、あるいは――――
クイックターン。ブルショルがヴィルティックへと踵を返す。
――――ガン無視か。
『ライフル:アンチマテリアル!』
銃口補整や誘導が掛かる赤ロックが可能な距離の短いヘーシェンだが、これの弾速ならば着地時の硬直さえ狙えば当たらない事もない。……射撃時に足が止まるのが難点だが。
乙女の誘いを無視するような輩には痛ーい罰を与えてやろうではないか。
『プットオン:アーマード!』
カードの効果によって脚部と肩部に装甲が装着された。これでいくらかの攻撃は無効化する事が可能だ。
しかし何よりも頼もしいのは格闘攻撃が命中した場合、それを無効化した上で相手を怯ませる事ができるという事。これによって相手の大火力格闘攻撃――――300cm振動熱斬刀を封じる事ができる。
ブルーショルダーカスタム、通称ブルショルは射撃寄りの万能機だが、それだけではダメージソースが心許ないため、時には格闘を狙っていく必要もある。
つかず離れず、そういう立ち回りを要求される機体だ。
一方ヘーシェンは格闘寄りの万能機。射撃は支援と牽制に留め、カット耐性の高いコンボでダメージを稼ぐ機体で、装甲(=HP)の薄さもあって接近戦のリスクを減らすために闇討ちメインで立ち回るのが最も安定した戦い方になる。
そう、ブルショルとヘーシェンの相性はぶっちゃけあまり良くない。普通の機体なら問題にならない攻撃も、ヘーシェンにとっては致命傷になりうるからだ。それがたとえアーマー付きであっても。
さて、おそらく清水はセオリー通りアーマーを破壊しにかかってくるか、あるいは――――
クイックターン。ブルショルがヴィルティックへと踵を返す。
――――ガン無視か。
『ライフル:アンチマテリアル!』
銃口補整や誘導が掛かる赤ロックが可能な距離の短いヘーシェンだが、これの弾速ならば着地時の硬直さえ狙えば当たらない事もない。……射撃時に足が止まるのが難点だが。
乙女の誘いを無視するような輩には痛ーい罰を与えてやろうではないか。
♪ ♪ ♪
清水らが短いやりとりで腹を探り合っている頃、一条 遥は絶賛混乱中だった。
何が起こっているのか、わからない。
何をしていいのか、わからない。
なので一応皆がやっていたように右のスティックをカチリと押してみる。
『シャッフル』
「うおわ!? コントローラーが喋った!?」
素人っぽさ丸出しだ。
画面の隅で複数のカードが高速回転、5枚のカードが現れる。何やらこれを選択して武器を装備したり機体の性能を強化したりするらしい、さっき流し読みした説明書に書いてあった。
試しに弓の絵が描かれた赤いカードを選択してみる。
『クロスボウ!』
迅雷の手の中に、どこからともなく大きめのボウガンが現れた。
やる事は生身の神子同士の戦闘とあまり変わらないのか、と思いつつ今度は八角形の太ましい棒が描かれたカードを選択。
『金砕棒!』
どうやら“かなさいぼー”というらしい。今のは勉強になった。
遥か向こうで激戦が繰り広げられているにもかかわらず、壁の後ろに隠れて呑気にカードを選択して試し撃ちをしたり、適当に機体を動かす遥。
……よし、操作方法は大体わかった!
意気揚々と機体を跳躍させ、壁の向こう側を見る。が、
――――なんだあれわ。
縦横無尽、自由自在に跳び、駆けるロボット達と無言でコントローラーをガチャガチャやる3人。あまりに別次元すぎて一瞬アホの子になってしまった。
動きが目で追えない。みんな何をやっているのだろう。ダンス?
などとボケている暇は無かった。前方からアラート。ヴィルティックからの攻撃だ。
「ちょっ……危ない!」
命中するギリギリのところをステップで回避、距離を離すべく180゚方向転換してブーストダッシュ。
「おお、避けた」
隆昭が呟いた。
意外なのは自分もだが、わざわざ声に出さなくても……。
「初めてなのに不意打ちなんて!」
「戦場では空気である事のほうが罪なんだよ、先輩!」
接近してきたヴィルティックにボウガンを撃つが、白亜の巨人はそれを苦もなく躱し、迅雷に肉薄する。
「来るなー! 来るなー!」
「大丈夫だ、ちょっとくすぐったいけど痛みは一瞬だから!」
「どっち!?」なんてツッコミを入れている余裕はない。ヴィルティックの腹部に巨大な砲がドッキング。
『エルシュトリームクラァッシュ!』
……名前からしてなんかヤバそうだ。
バチバチと電光を走らせながら、蕾が花開くように砲の先端が展開していく。
なんとか逃げようとするが、駄目だ。ぴったりくっついて離れない。
「さあ、おまえの罪を数えろ」
「何言ってるのこの子!?」
「ああ、タカ坊は時々厨……う わ ら ば !」
説明しようとしたヘーシェンと隆昭が、マルチロックしたミサイルの直撃を喰らった。ヘーシェンはアーマーの耐久値が減り、ヴィルティックはひるんだ事によってエルシュトリームクラッシュの発射体勢が解除。初めてのまともなダメージであった。
「おいパンツうさぎ、今のはネタだって事くらいお前ならわかるだろ。つか厨二病言うな。あとタカ坊ってなんだ」
そ し て ま さ か の 仲 間 割 れ 。
「ふふっ、ヘタレって事ですよ。ヘ・タ・レ」
なんて妖艶な笑みを見せながらチラリとスカートを上げて白い腿をみせるウサギ。パンツはギリギリ見えない……ん? 今チラっと見えたかな?
気になる、凄く気になる。これは戦闘どころではない。
「って、Oh……」
気になるのは自分とタカぼ……隆昭だけではないらしい。遥の視線の先では――――
遥の視線の先では、清水が震えていた。
何が起こっているのか、わからない。
何をしていいのか、わからない。
なので一応皆がやっていたように右のスティックをカチリと押してみる。
『シャッフル』
「うおわ!? コントローラーが喋った!?」
素人っぽさ丸出しだ。
画面の隅で複数のカードが高速回転、5枚のカードが現れる。何やらこれを選択して武器を装備したり機体の性能を強化したりするらしい、さっき流し読みした説明書に書いてあった。
試しに弓の絵が描かれた赤いカードを選択してみる。
『クロスボウ!』
迅雷の手の中に、どこからともなく大きめのボウガンが現れた。
やる事は生身の神子同士の戦闘とあまり変わらないのか、と思いつつ今度は八角形の太ましい棒が描かれたカードを選択。
『金砕棒!』
どうやら“かなさいぼー”というらしい。今のは勉強になった。
遥か向こうで激戦が繰り広げられているにもかかわらず、壁の後ろに隠れて呑気にカードを選択して試し撃ちをしたり、適当に機体を動かす遥。
……よし、操作方法は大体わかった!
意気揚々と機体を跳躍させ、壁の向こう側を見る。が、
――――なんだあれわ。
縦横無尽、自由自在に跳び、駆けるロボット達と無言でコントローラーをガチャガチャやる3人。あまりに別次元すぎて一瞬アホの子になってしまった。
動きが目で追えない。みんな何をやっているのだろう。ダンス?
などとボケている暇は無かった。前方からアラート。ヴィルティックからの攻撃だ。
「ちょっ……危ない!」
命中するギリギリのところをステップで回避、距離を離すべく180゚方向転換してブーストダッシュ。
「おお、避けた」
隆昭が呟いた。
意外なのは自分もだが、わざわざ声に出さなくても……。
「初めてなのに不意打ちなんて!」
「戦場では空気である事のほうが罪なんだよ、先輩!」
接近してきたヴィルティックにボウガンを撃つが、白亜の巨人はそれを苦もなく躱し、迅雷に肉薄する。
「来るなー! 来るなー!」
「大丈夫だ、ちょっとくすぐったいけど痛みは一瞬だから!」
「どっち!?」なんてツッコミを入れている余裕はない。ヴィルティックの腹部に巨大な砲がドッキング。
『エルシュトリームクラァッシュ!』
……名前からしてなんかヤバそうだ。
バチバチと電光を走らせながら、蕾が花開くように砲の先端が展開していく。
なんとか逃げようとするが、駄目だ。ぴったりくっついて離れない。
「さあ、おまえの罪を数えろ」
「何言ってるのこの子!?」
「ああ、タカ坊は時々厨……う わ ら ば !」
説明しようとしたヘーシェンと隆昭が、マルチロックしたミサイルの直撃を喰らった。ヘーシェンはアーマーの耐久値が減り、ヴィルティックはひるんだ事によってエルシュトリームクラッシュの発射体勢が解除。初めてのまともなダメージであった。
「おいパンツうさぎ、今のはネタだって事くらいお前ならわかるだろ。つか厨二病言うな。あとタカ坊ってなんだ」
そ し て ま さ か の 仲 間 割 れ 。
「ふふっ、ヘタレって事ですよ。ヘ・タ・レ」
なんて妖艶な笑みを見せながらチラリとスカートを上げて白い腿をみせるウサギ。パンツはギリギリ見えない……ん? 今チラっと見えたかな?
気になる、凄く気になる。これは戦闘どころではない。
「って、Oh……」
気になるのは自分とタカぼ……隆昭だけではないらしい。遥の視線の先では――――
遥の視線の先では、清水が震えていた。
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