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守護機兵Xガードナー 第三話

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 火星軍ベルゼリーン地球侵攻部隊副隊長ビーク・トライバには故郷に待つ恋人がいる。地球に来て早五年。一度たりとも忘れた事はない。
「エリーゼ…」
 銀色のロケットペンダントにはブロンドの綺麗な女性が写っていた。年齢は自分より一つ年下である。軍学校で知り合い恋人となったが、すぐ地球へと行くことになってしまった。だが彼女はそれでも待つ、と言ってくれたのだ。
『トライバ』
 隊長の声だ。
「はい!?何でありますか」
『また見てたのか?今は作戦中だ、山にぶつかってもしらんぞ』
 現在、我々は編隊を組みガードナー隊を追い西へ山岳地帯を移動中。下方を見ると荒れた岩肌がこちらを覗いているようだった。
「…すまない」
『副隊長だろうが、いつもの調子はどうした?』
 いかん、つい感傷にひたってしまった。顔をはたき気合い入れる。
「私はいつもの調子だ。隊長殿こそ突撃癖を直さないと早死にしますぜ?」
『その意気だ。我々は火星の独立の為なんとしても地球軍に勝たなければならない。それもあと少しだ気を引き締めていけ』
 隊長の激が飛ぶ。そうだ、何の為に遙々こんな所にやって来たと思ってるんだ。すべては、
「烈火なる母星の為に」 
 久しぶりに乗った01に違和感はなかった。整備はちゃんとなされてる。一年前に演習で乗ったきり以来だった。
<誰かがピンチなら助けなくちゃ>
 ふと、兄の言葉がよぎった。何故?

 自分は何から逃げているのだろう。

 小さい頃のビジョンが見える。
「兄ちゃん…眼が痛いようぅ」
 兄と同じ眼の手術を受けた。軍が開発した義眼。それが何かは幼い自分には分からなかったが、すんなりと手術を受けさせてくれた。何でも兄と一緒がよかったのだ。
 そしてあの日、見えてしまった。兄が死ぬビジョンを。
 夢なんかじゃない。警告するように何度も繰り返し映し出される。
 兄にもこの事を伝えた。しかし泣きじゃくる自分をなだめるだけ。父にも伝えた。怪訝な顔をされた。
 そして、起こってしまった。
 兄の葬儀に父は出席しなかった。それからあってない。
 だからだろうか、兄を助けなかった父に、なにより予言していた自分に苛立っている。
「…痛ゥ」
 ビジョンが見える。あの日以来、先に起こる事が分かるようになった。それで逃げ延びてきた。
「四機のマシン…火星の侵攻軍か?」
 レーダーに機影は無い。だが分かる。必ず来る。
「…来た!」 
「量産のギルガが三機に指揮官用のドライドか…クッ」
 敵機のライフルから放たれる弾丸が01に向かう。
「逃げられないか、ならッ!」
 反撃に出ようとする01。だが手持ちの武器は無い。手近にいるギルガに殴りかかる。
「こいつもくらぇーッ!」
 頭が吹っ飛ぶ。右腕の装甲が開き銃身が現れた。次に胸部を殴打しつつ射撃する。ギルガは煙を上げて谷底に墜落した。
 次にもう一機のギルガが01を襲う。光の槍の矛先が肩装甲をかすめた。
 01は下降してギルガの股間接を殴り上げる。
「まだ終わりじゃない!」
 腰からレーザーブレードを取り出す。蹴りを入れてよろけさせ、光の束をコックピットに向け振り下ろす。爆散。
『よくも部下達を、ゆるさん!』
 指揮官機のドライドが突貫する。
『隊長、うかつ過ぎます!此処は一旦引いた方が』
 副隊長ビークを無視して01へと向かう。相手は後ろを向いていた。
『もらったぁ!』
 大型の剣が襲う。だが、空間が湾曲し剣を弾いた。
『な、バリアだと?!』
 隙が出きた。全体を覆っていたバリアが左手に収束していく。そして、
『イリュージョンウォール・パァァァンチッ!』
 01の拳が隊長のドライドを貫いた。
 大破したドライドを持ち帰り残ったギルガは退いていった。危機は去ったのだ。
「エネルギーが少ない…バリアにパワーを使いすぎたな」
 乗り捨てるにしてもこんな山奥じゃ飢え死にしてしまう。元より帰る場所など無いのだが。
『…0…1…01、応答して下さい』
 そんな時、ガードナー隊の戦艦エホバ・バイシクルからの通信だ。朱に染る空を白銀の巨城が飛行する。
「俺の帰る場所は…」
-ここなのだろうか
 そう思うにはまだシュートは決心が付かなかった。
 少ない残量でカタパルトに飛び込む。すぐさま整備員達が機体に群がる。
 コクピットから出る。もうどこでもいい寝たい、フラフラとした足取りで格納庫を出ようとした時、衝撃が襲う。視線には天井と馬乗りしている少女が見えた。
「重い…ルーナ、太ったか?」
「失礼!寧ろ痩せました…お帰り」
「あぁ…しばらく厄介になる」
 しばらくの沈黙。
「艦長が格納庫でやる事じゃねぇな?」
 ライド・デンサーが作業しながら茶々を入れる。ルーナは慌ててシュートから降りる。立ち上がり改めて、
「ようこそXガードナーへ」
 互いに笑い会う。
 そんな二人を余所に、青色の機体は冷たい目で見つめていた。

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