『Robochemist!』
第五話「シャワーを浴びよ」
倉庫兼格納庫。
模擬戦は結局敗北で幕を閉じ、センジュチームの面々はペイント弾のピンク色で染まった機体を専用の倉庫に入れた後、研究会と称した反省会を行っていた。
模擬戦は結局敗北で幕を閉じ、センジュチームの面々はペイント弾のピンク色で染まった機体を専用の倉庫に入れた後、研究会と称した反省会を行っていた。
「さて……」
試合を様々な角度から撮影した映像をダンボール箱の上に置いた携帯電話から空間にモニターを投影してそれを一通り見た後、センジュが映像を止めた。皺の少ない白衣を着ている辺り、着替えたのかもしれない。
センジュは腕を組むと、ついでに脚も組み、樹脂製の箱に腰掛けたまま半身を捻り、アルメリアとシュレーの方に顔を向けた。
センジュは腕を組むと、ついでに脚も組み、樹脂製の箱に腰掛けたまま半身を捻り、アルメリアとシュレーの方に顔を向けた。
「何が悪かったのだろうな?」
「はいはい!」
「はいはい!」
センジュの静かな言葉に、樹脂製の箱に浅く腰かけたシュレーが元気いっぱいに手を上げた。さっきまで外殻機の中で汗びっしょりになるまで操縦していたとは思えぬ溌溂さである。
と言っても熱が高過ぎて汗が蒸発したのか、スポーツブラにも黒スパッツにも金髪シニョンにも湿りは見当たらないが。
と言っても熱が高過ぎて汗が蒸発したのか、スポーツブラにも黒スパッツにも金髪シニョンにも湿りは見当たらないが。
「シュレー」
外見上紫の髪をした小学生にしか見えぬセンジュが、それこそ高校の数学教師が生徒を指名するようにシュレーに発言を許可した。
「私が出過ぎたのがいけないと思います!」
「正解だ、正解だが、そこまでハキハキ言えるとはいい度胸だ」
「正解だ、正解だが、そこまでハキハキ言えるとはいい度胸だ」
疲労を生まれた時に神様から貰い忘れてきたようにウキウキと挙手して試合の問題点を挙げて見せたシュレーに、諦めの表情でセンジュが腕を組んだ。
「だが、事実だ。シュレーが前に出過ぎたせいで私とアルメリアが無理な支援をせざるを得なくなり―――……私も動きが鈍かった。指示も出さずに後ろで傍観していたに等しい」
実際センジュは二人に任せてどんな風に試合が進行するかを観察していたのだが、ここで『私は悪くない』なことを匂わせたら雰囲気を濁らせること必至なためそれは言わなかった。
それに理由はなんであれ、試合に参加しておいて私は無関係だなどと言い張れるわけもないのだから。
それに理由はなんであれ、試合に参加しておいて私は無関係だなどと言い張れるわけもないのだから。
「はい……」
責任感と言うか、例えば空手やボクシングの試合で相手に殴られた衝撃で攻撃出来ずに後退し続けたような心境にあったアルメリアは、両脚の間に手を差し込み、樹脂製の箱に座り意気消沈していて、返事も同じように弾みの無い暗いもの。
面を挙げようともせず、自分の靴紐がとても興味深いものであるように視線を落としている。やや乱れたポニーテールは、最初より位置が下がっていた。
センジュは息を吐き横に椅子ごと寄ると、アルメリアの肩に手を置いた。
面を挙げようともせず、自分の靴紐がとても興味深いものであるように視線を落としている。やや乱れたポニーテールは、最初より位置が下がっていた。
センジュは息を吐き横に椅子ごと寄ると、アルメリアの肩に手を置いた。
「いいか、模擬戦だ模擬戦。機体が大破したならとにかく、ペイント弾でびっしょびっしょなだけだ。水をかければいい。落ち込むことはない」
「でも……」
「デモもナニもない、いいから 気 に す る な 」
「……分かりました」
「でも……」
「デモもナニもない、いいから 気 に す る な 」
「……分かりました」
センジュがアルメリアの肩を力を込めて握り、ぐっと顔を寄せて真面目な表情を見せてくるため、頷かざるを得なかった。
眼力強めたその相貌は、小さい子供の外殻中にある大人の中身を主張する。
眼力強めたその相貌は、小さい子供の外殻中にある大人の中身を主張する。
「なぁに、まだお前らは一年生でしかも初戦。まだまだ機会はいくらでもあるし、学べる回数は今後山ほどある―――……ということでシャワー浴びてこい、機体の清掃と整備はそれからだ」
「シャワーですか?」
「そうだ。汗も流さずに平然としているのは女性のコケンにかかわる」
「シャワーですか?」
「そうだ。汗も流さずに平然としているのは女性のコケンにかかわる」
そういえばそうであった。
汗がことごとく蒸発してしまったシュレーならまだいいとしても、アルメリアはじっとりと汗で濡れているのだ。倉庫内がひんやり冷たいだけに、今さらながら寒くなってきた。
シュレーは自分が汗をかいたことも忘れたのか、ぽかーんとして聞き返した。
汗がことごとく蒸発してしまったシュレーならまだいいとしても、アルメリアはじっとりと汗で濡れているのだ。倉庫内がひんやり冷たいだけに、今さらながら寒くなってきた。
シュレーは自分が汗をかいたことも忘れたのか、ぽかーんとして聞き返した。
「しゃ……わー?」
「あぁ、向こうにある。看板があるからすぐ分かる。汗、かいたのだろう?」
「はーい」
「あぁ、向こうにある。看板があるからすぐ分かる。汗、かいたのだろう?」
「はーい」
アルメリアの肩から手を離したセンジュは、倉庫のシャッターの方に指を向けて、くの字に曲げた。向こうというのを指を曲げて表現したらしいとその場にいた誰もが理解した。
シャワーを浴びる専用の建物があると言っても、簡易型のだ。無論盗撮などが無いように処置はされているそうだ。
シュレーが両足を揃え床に叩きぴょんと起立すると、なんとなく萎んだ様子のアルメリアも立ち上がった。
シャワーを浴びる専用の建物があると言っても、簡易型のだ。無論盗撮などが無いように処置はされているそうだ。
シュレーが両足を揃え床に叩きぴょんと起立すると、なんとなく萎んだ様子のアルメリアも立ち上がった。
「私も行く」
その様子を腕の中で眠るクロをあやすように身体を揺り籠としていたクーが手だけはためかせ意思表示をすれば、センジュが腕を組み何やら考え始めた。
「皆は着替えを持ってきてるか?」
「はい教授」
「ぱんつからブラまで持ってきてまーす!」
「……………一応」
「はい教授」
「ぱんつからブラまで持ってきてまーす!」
「……………一応」
一人デリカシーの無い発言をした奴は置いておいて、全員着替えは持ってきているようである。
もっとも、服を脱いでそのまま着れば着替えは不必要だが、シャワー浴びるのなら清潔な衣服を身につけたいと考えるのは当然であろう。
アルメリア、シュレー、そしてクーの計三人。
クーはアオバにクロを預けると、シャワー組の傍に寄った。春とはいっても汗が滲むような暖かさ故に一浴びしたくなったのだろう。
三人は各々の荷物を取りに行くと、中身を覗いてちゃんと着替え一式やシャンプー等があることを確認した。事前に『着替えを用意しておけ』と言われていたからである。
クロを渡されたアオバは、どう抱けばいいのか分からずおたおたとしていたが、クーがやっていたようにすればいいと思いつき、両腕を駆使、安定して抱き始めた。そして面々ににこりと笑いかけると、外殻機の足元まで行き、座った。
もっとも、服を脱いでそのまま着れば着替えは不必要だが、シャワー浴びるのなら清潔な衣服を身につけたいと考えるのは当然であろう。
アルメリア、シュレー、そしてクーの計三人。
クーはアオバにクロを預けると、シャワー組の傍に寄った。春とはいっても汗が滲むような暖かさ故に一浴びしたくなったのだろう。
三人は各々の荷物を取りに行くと、中身を覗いてちゃんと着替え一式やシャンプー等があることを確認した。事前に『着替えを用意しておけ』と言われていたからである。
クロを渡されたアオバは、どう抱けばいいのか分からずおたおたとしていたが、クーがやっていたようにすればいいと思いつき、両腕を駆使、安定して抱き始めた。そして面々ににこりと笑いかけると、外殻機の足元まで行き、座った。
「自分は留守番してますよ、この子と一緒にね」
クーはその様子をどことなく不安げに見つめていたが、その場でそれを不思議に思った人は居なかった。
「………ぅぅん…………まぁ……純水だし…………関係の無いことか。よし、私も行こう」
腕組みしていたセンジュは腕を解除すると片手を腰にやり、そう言った。ぱっと見で汗をかいた様子も無ければ、また皮膚の汚れも、紫色の髪の毛が埃塗れというわけでもない。
だが義体だから風呂に入っていけないかと言うと、それは違う。完全防水なのは当たり前なのだから、風呂に入ろうが海に潜ろうが死にはしない。老廃物を排除する意味以外でもシャワーを浴びてもいいではないか。
中には水に触れてはならぬ部分が露出しているアンドロイドなんかもあるようであるが、故障が生命の危機に直結することのある義体に限ってそれはない。
もしもそんな義体があったら、とうの昔に訴訟に発展している。
なお、汗こそ出るがそれは塩分脂無しの水である。
だが義体だから風呂に入っていけないかと言うと、それは違う。完全防水なのは当たり前なのだから、風呂に入ろうが海に潜ろうが死にはしない。老廃物を排除する意味以外でもシャワーを浴びてもいいではないか。
中には水に触れてはならぬ部分が露出しているアンドロイドなんかもあるようであるが、故障が生命の危機に直結することのある義体に限ってそれはない。
もしもそんな義体があったら、とうの昔に訴訟に発展している。
なお、汗こそ出るがそれは塩分脂無しの水である。
「教授、入って大丈夫なんですか?」
「私の体は電化製品か何かじゃないぞ。全身びしょ濡れになっても故障しないから安心しておけ。第一、そんなことで壊れるような体じゃおちおち生活出来ないだろう」
「ですよね。水没教授なんて笑えませんもんね」
「………水没という単語に何かを感じ……何でも無い、行こう」
「私の体は電化製品か何かじゃないぞ。全身びしょ濡れになっても故障しないから安心しておけ。第一、そんなことで壊れるような体じゃおちおち生活出来ないだろう」
「ですよね。水没教授なんて笑えませんもんね」
「………水没という単語に何かを感じ……何でも無い、行こう」
まさかそんなことは無かろうと、でも一応尋ねたアルメリアに、センジュは一瞬呆気にとられた顔をしたが、すぐに否定すると、紫色の髪に手を差し入れて弄りつつ返答、一人倉庫の外に歩き始めた。
彼女の紫色の瞳が、倉庫内部と外の明るさの差に機敏に反応し、人造虹彩を細く絞った。
彼女の紫色の瞳が、倉庫内部と外の明るさの差に機敏に反応し、人造虹彩を細く絞った。
「ああっ、私が先ですからー!」
すると、私こそ先導すべき人物なのだと言わんばかりにシュレーが駆けて一番先頭へ走った。それは遠足の時に先頭を陣取ろうとする小学生と大差なかった。
「行ってきますアオバさん」
「行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい」
続いてアルメリアがアオバにぺこりとお辞儀をして、荷物の入った手提げ袋を揺らしながら倉庫からすぐ出た場所で止まり、クーを待つ。日光が眩しかった。
「………クロが目を覚ましたら、鞄の中のエサをお願いします」
「分かりました。心置きなく行って下さい」
「分かりました。心置きなく行って下さい」
最後にクーが頭を下げてアルメリアと共にシャワーへ行く。
クロがアオバの腕の中で寝言なのか小さい鳴き声を上げた。
一人と一匹だけになった倉庫へ春の風が訪れて、地面の微かな埃を舞い上げた。
クロがアオバの腕の中で寝言なのか小さい鳴き声を上げた。
一人と一匹だけになった倉庫へ春の風が訪れて、地面の微かな埃を舞い上げた。
◆ ◆ ◆ ◆
一般的に男性同士が風呂に入るような状況は、東洋なら兎に角、西洋には無い。
では女性同士ではどうかと言ったら、これもまた基本的に無い。とは言え、ネオ・アースになって急激に混血が進み、文化の垣根が限りなく低くなって以降、全てが平らにならされたせいか、同じ風呂に入る文化が定着した。
文化人類学者によると、ネオ・アースに移住するにあたって、移住用宇宙船の基礎技術を確立した日本人の影響があるとのことだが、それを確たるものとするデータは今のところ見つかっていない。
つまり何が言いたいかというと、シャワーシーンが来ますと言うことだ。
薄ピンクのタイルが敷き詰められたシャワー室は、誰かが使った後なのか水滴があちこちに付着しており、ぼんやりと湿気がかかっていた。
シャワー室や浴室といった場所にありがちな横に引く型の扉を一気に開き、中を覗き込む。誰も居ないようだ。
下半身上半身を白タオルで完全に覆い隠し、ポニーテールを解いてシャワー室に入ってきたアルメリアは、滑って転倒せぬように慎重な足取りで歩み、区切られた一角の前で足を止めた。
タオル越しに彼女の体の線が浮き彫りとなり、細いながらも断じて貧相ではないことを晒す。胴体から伸びる肢体は健康的な艶を持っていた。
数人が一斉にシャワーを浴びてもいいように、シャワー口のある区画は6~7程あり、彼女が足を止めたのは一番奥だった。
さっそく蛇口をひねろうとした矢先、驚くほど静かに背後にすり寄っていた何者かの手が肩に置かれ、驚き振り返ればシュレーの顔面が超至近距離にあった。背筋にぞぞぞっと寒気が走った。
では女性同士ではどうかと言ったら、これもまた基本的に無い。とは言え、ネオ・アースになって急激に混血が進み、文化の垣根が限りなく低くなって以降、全てが平らにならされたせいか、同じ風呂に入る文化が定着した。
文化人類学者によると、ネオ・アースに移住するにあたって、移住用宇宙船の基礎技術を確立した日本人の影響があるとのことだが、それを確たるものとするデータは今のところ見つかっていない。
つまり何が言いたいかというと、シャワーシーンが来ますと言うことだ。
薄ピンクのタイルが敷き詰められたシャワー室は、誰かが使った後なのか水滴があちこちに付着しており、ぼんやりと湿気がかかっていた。
シャワー室や浴室といった場所にありがちな横に引く型の扉を一気に開き、中を覗き込む。誰も居ないようだ。
下半身上半身を白タオルで完全に覆い隠し、ポニーテールを解いてシャワー室に入ってきたアルメリアは、滑って転倒せぬように慎重な足取りで歩み、区切られた一角の前で足を止めた。
タオル越しに彼女の体の線が浮き彫りとなり、細いながらも断じて貧相ではないことを晒す。胴体から伸びる肢体は健康的な艶を持っていた。
数人が一斉にシャワーを浴びてもいいように、シャワー口のある区画は6~7程あり、彼女が足を止めたのは一番奥だった。
さっそく蛇口をひねろうとした矢先、驚くほど静かに背後にすり寄っていた何者かの手が肩に置かれ、驚き振り返ればシュレーの顔面が超至近距離にあった。背筋にぞぞぞっと寒気が走った。
「ねーアル。一緒に洗いっこしようよ」
「え? なななななな何を言ってるんですか! 一人で洗えるのに!」
「つまんなーい」
「変態なんですか! 変態ですか!」
「スキンシップだよ! よ!」
「え? なななななな何を言ってるんですか! 一人で洗えるのに!」
「つまんなーい」
「変態なんですか! 変態ですか!」
「スキンシップだよ! よ!」
手を撥ね退けると慌てて後ろを振り返りつつタオルの端をしっかりと固定して滑り落ちないようにする。シュレーは口を尖らすと、両手を枕にするようにして隣のシャワーに行った。
髪を洗う為にシニョンを解いているため、アルメリアの目をして一瞬『誰だコイツ』などと思ったのは秘密である。幼い印象が強いシュレーが髪を下ろすと中学生くらいにしか見えなかったのだ。
ちなみにシニョンとは言いかえると束髪であり、シュレーの場合はお団子状に結ったのを頭に密着させるようにしている型である。
きゅ、蛇口をひねると、温かいお湯が頭上から降り注ぐ。熱い水が皮膚の温度を上げ、汗を洗い流していく。
アルメリアは温かく心地よい水音の中で息を吸うと、目を瞑った。
髪を洗う為にシニョンを解いているため、アルメリアの目をして一瞬『誰だコイツ』などと思ったのは秘密である。幼い印象が強いシュレーが髪を下ろすと中学生くらいにしか見えなかったのだ。
ちなみにシニョンとは言いかえると束髪であり、シュレーの場合はお団子状に結ったのを頭に密着させるようにしている型である。
きゅ、蛇口をひねると、温かいお湯が頭上から降り注ぐ。熱い水が皮膚の温度を上げ、汗を洗い流していく。
アルメリアは温かく心地よい水音の中で息を吸うと、目を瞑った。
「きゃいきゃいとうるさいぞお前ら。修学旅行みたいに騒ぐな」
その一連の騒動を聞いていたセンジュが入室した。水音満ちる室内でもその声はしっかりと響く。
上半身を一切隠さず、男性がするように腰のみにタオルを巻いた彼女は、紫色の髪を手櫛で整えつつ歩いて行くと、シュレーの隣の区画に入った。
元より隠す胸もないし、との考えからそのようにしているのかは定かではないが、中の人の年齢は中年女性なのでそう言った羞恥心を克服しているのかもしれない。というより同性なら見せてもいいじゃないと思っているに違いない。
後ろから続くのは三つ編みを降ろしたクーだ。こちらも同じように――どころかタオルを肩に引っ掛けすたすた歩いて行くと、センジュの隣に入りさっそく湯を浴び始めた。
クーの黒髪が俄かに温かくなり、お湯に晒されて揺れ動き、白い皮膚の上で踊る。編んでいるのに痛みも癖も無いのは、女性が羨む髪質故。
上半身を一切隠さず、男性がするように腰のみにタオルを巻いた彼女は、紫色の髪を手櫛で整えつつ歩いて行くと、シュレーの隣の区画に入った。
元より隠す胸もないし、との考えからそのようにしているのかは定かではないが、中の人の年齢は中年女性なのでそう言った羞恥心を克服しているのかもしれない。というより同性なら見せてもいいじゃないと思っているに違いない。
後ろから続くのは三つ編みを降ろしたクーだ。こちらも同じように――どころかタオルを肩に引っ掛けすたすた歩いて行くと、センジュの隣に入りさっそく湯を浴び始めた。
クーの黒髪が俄かに温かくなり、お湯に晒されて揺れ動き、白い皮膚の上で踊る。編んでいるのに痛みも癖も無いのは、女性が羨む髪質故。
「…………」
両手を壁に置き、頭からシャワーの水粒を受ける。
肌に水滴が弾ける粒として乗って、次々落ちてくる流水に同化して消えて。冷を奪うお湯は熱を分け与え、白い肌を桃色に染めていく。
頭に落ちたお湯は顔と首を通ってそのしなやかな体を経由して足へ流れる。長身ではないはずのクーだが、足や腕のつくりが細い為、全体的に長く見える。空のように蒼き瞳は閉じられ、修行中の修行僧のような静けさがあった。
―――……彼女が静かでも他の連中が静かではなかったのだが。
一番時間のかかる髪から洗おうとアルメリアがシャンプーを手に伸ばせば、シュレーが千里眼を持っているとしか思えないタイミングの良さで背後に来ていた。
エスパーでも未来予知でもなく、隣と隔てる壁(上下左右が空いている)の隙間からずっと窺っていた為である。体を洗っては無くお湯を浴びただけなので、肩辺りまで伸びた金髪から水が滴っていた。
にへへへへへー。
文章化するとそんなような笑い顔。両手にはシャンプー液。
肌に水滴が弾ける粒として乗って、次々落ちてくる流水に同化して消えて。冷を奪うお湯は熱を分け与え、白い肌を桃色に染めていく。
頭に落ちたお湯は顔と首を通ってそのしなやかな体を経由して足へ流れる。長身ではないはずのクーだが、足や腕のつくりが細い為、全体的に長く見える。空のように蒼き瞳は閉じられ、修行中の修行僧のような静けさがあった。
―――……彼女が静かでも他の連中が静かではなかったのだが。
一番時間のかかる髪から洗おうとアルメリアがシャンプーを手に伸ばせば、シュレーが千里眼を持っているとしか思えないタイミングの良さで背後に来ていた。
エスパーでも未来予知でもなく、隣と隔てる壁(上下左右が空いている)の隙間からずっと窺っていた為である。体を洗っては無くお湯を浴びただけなので、肩辺りまで伸びた金髪から水が滴っていた。
にへへへへへー。
文章化するとそんなような笑い顔。両手にはシャンプー液。
「えへへー、私が洗ってあげる」
「懲りない………はぁ。分かりましたけど、変なことしたら承知しませんから」
「大丈夫、大丈夫。痛くはしないからね」
「………本当かなぁ」
「懲りない………はぁ。分かりましたけど、変なことしたら承知しませんから」
「大丈夫、大丈夫。痛くはしないからね」
「………本当かなぁ」
立ったまま洗われると疲れるので、アルメリアは体にタオルを巻いたまま薄ピンク色のタイルに体育座りになり、その後ろにシュレーが膝立ちになった。
シュレーは顎に指を置くと、アルメリアの首を見つめ、露骨に前のめりになり視線を下にずらした。白タオルに包まれた隆起は今まで拝見したことの無いほど形状が整い、美しく。
ほうとため息一つ。
シュレーは顎に指を置くと、アルメリアの首を見つめ、露骨に前のめりになり視線を下にずらした。白タオルに包まれた隆起は今まで拝見したことの無いほど形状が整い、美しく。
ほうとため息一つ。
「美乳だ………」
「はい?」
「何でもない何でもない」
「はい?」
「何でもない何でもない」
シュレーがアルメリアの胸元を一瞥して呟いたセリフは、まことに残念ながらその持ち主の耳に届くことは無かった。
両手でシャンプーを泡立て、頭頂部から指の腹で洗っていく。ライトブラウンの髪が見る見る白泡に包まれていった。シュレーとて女性であり、髪の扱いは知っていたのである。
両手でシャンプーを泡立て、頭頂部から指の腹で洗っていく。ライトブラウンの髪が見る見る白泡に包まれていった。シュレーとて女性であり、髪の扱いは知っていたのである。
「お痒い所はございませんかー?」
「ううん、特に」
「髪が綺麗でいいなー」
「ううん、特に」
「髪が綺麗でいいなー」
頭の部分の髪を洗った後は、伸びた部分を洗う。髪が短いと心配することは無いが、ある程度の長さを超えると、伸びた分が『痛む』ことがあるのでケアが必要だ。
アルメリアとシュレーが髪を下ろせばアルメリアの方が長い。その為、環境の影響を受けやすいので丁寧に洗わなくてはならない。
彼女の母親メリッサは腰まで伸びていたが、手入れに相当苦労していたのかもしれない、
リンスインシャンプーを伸ばした指でライトブラウンの髪を、引っ張るように、それでいて負荷をかけないように洗う。髪の毛を一枚の布に見立て洗うように。
アルメリアとシュレーが髪を下ろせばアルメリアの方が長い。その為、環境の影響を受けやすいので丁寧に洗わなくてはならない。
彼女の母親メリッサは腰まで伸びていたが、手入れに相当苦労していたのかもしれない、
リンスインシャンプーを伸ばした指でライトブラウンの髪を、引っ張るように、それでいて負荷をかけないように洗う。髪の毛を一枚の布に見立て洗うように。
「そう言えばアルって眼鏡かけてなかった?」
「あー……弱い遠視なのでかけてたんですけど、正直どっちでもいいので」
「貴重な眼鏡をかけないなんて勿体無い! かけなさい!」
「はい! ……あれ?」
「あー……弱い遠視なのでかけてたんですけど、正直どっちでもいいので」
「貴重な眼鏡をかけないなんて勿体無い! かけなさい!」
「はい! ……あれ?」
アルメリアはシャンプーが目に染みる大惨事を防ぐべく瞼を下ろしたまま。洗髪中、何故か眼鏡をかけろと背後のシュレーが力説し、思わず頷いたはいいが首を捻った。
眼鏡利用者に、眼鏡の良さは分からない。持つが故の現実、持たないが故の理想、兄弟姉妹にもこれが当て嵌まる。
髪を末端まで洗い終わり、蛇口を捻りお湯を出す。シャワー口にお湯が集中、先端で粒に分けられつつも勢いそのままに降り注ぐ。あっという間に頭から泡が流されていった。
シュレーが片手でシャワーの位置を調整して、空いた片手でアルメリアの頭からシャンプー成分を落としていく。程無くして頭から薬品は完全に消え去り、お湯を止めた。
頭を軽く振って水気を飛ばすと、後ろの方の髪を手で纏め、軽く握って水分を落とす。皮脂と汗は落ちたようだった。
アルメリアが今度はシュレーを洗ってやろうかと後ろを振り向くと、紫色の瞳が興味深そうにこっちを見ていた。
眼鏡利用者に、眼鏡の良さは分からない。持つが故の現実、持たないが故の理想、兄弟姉妹にもこれが当て嵌まる。
髪を末端まで洗い終わり、蛇口を捻りお湯を出す。シャワー口にお湯が集中、先端で粒に分けられつつも勢いそのままに降り注ぐ。あっという間に頭から泡が流されていった。
シュレーが片手でシャワーの位置を調整して、空いた片手でアルメリアの頭からシャンプー成分を落としていく。程無くして頭から薬品は完全に消え去り、お湯を止めた。
頭を軽く振って水気を飛ばすと、後ろの方の髪を手で纏め、軽く握って水分を落とす。皮脂と汗は落ちたようだった。
アルメリアが今度はシュレーを洗ってやろうかと後ろを振り向くと、紫色の瞳が興味深そうにこっちを見ていた。
「仲がいいな」
二人がやいのやいのしてる間に髪から全身まで洗い終わったセンジュが顔を覗かせて言った。腰だけにタオルを巻いている。余りに長い紫髪が胸元を隠していたため、肝心な部分は完全には見えない。
シュレーは上半身を捻り、指を鳴らした。『へい、イラッシャイ』と言いだしそうな気配であった。
シュレーは上半身を捻り、指を鳴らした。『へい、イラッシャイ』と言いだしそうな気配であった。
「あ、キョージュ!」
「その呼び方を止めろ。ふーむ、髪を洗っていたのか」
「洗いますか? 私がきっちり洗いますよ~」
「遠慮しておこう。先に出ているぞ」
「その呼び方を止めろ。ふーむ、髪を洗っていたのか」
「洗いますか? 私がきっちり洗いますよ~」
「遠慮しておこう。先に出ているぞ」
センジュは頭を振って紫髪を揺らした。水気を含んだ紫糸がしなり、ぱらりと水滴を撒いた。艶めかしいようでもあったが、この場に男性が居なかった。
なお、センジュがこまで早く体を洗えた理由は義体は人間の体のように老廃物で汚れることが無くお湯だけでも十分だった点だ。
なお、センジュがこまで早く体を洗えた理由は義体は人間の体のように老廃物で汚れることが無くお湯だけでも十分だった点だ。
「はい、分かりました教授」
「アルメリアのように教授かセンジュさんと呼んで欲しいのになぁ……」
「アルメリアのように教授かセンジュさんと呼んで欲しいのになぁ……」
そして、アルメリアのハキハキした返事を耳にしたセンジュはブツブツと呟きつつシャワー室を後にした。
程無くして、新たな人物が二人の背後に現れた。
程無くして、新たな人物が二人の背後に現れた。
「私も出る」
クーがひょいと覗き、お腹の辺りで手を振って消えた。元々余り汗をかいていなかったので早く、基本的に身の回りに頓着しない彼女は体をざっと洗って終えたのだった。
ひたひたひた、足音が遠ざかり、戸を開き閉じる音と共に消えた。
アルメリアはその方を見やり呟く。
ひたひたひた、足音が遠ざかり、戸を開き閉じる音と共に消えた。
アルメリアはその方を見やり呟く。
「急いだ方がいいでしょうか……」
「いーじゃん、別に急いでないし、ゆっくりしてこうよ」
「確かにそうなんですが…………じゃ、今度は私が洗いますね」
「お願いしまーす」
「いーじゃん、別に急いでないし、ゆっくりしてこうよ」
「確かにそうなんですが…………じゃ、今度は私が洗いますね」
「お願いしまーす」
交代。
シュレーの提案を呑んだアルメリアは、リンスインシャンプーを手に広げると入れ替わりで膝立ちになった。シュレーが座って目を閉じた。
これまでに他人の頭を洗った経験と言ったら父親と母親しかなかったアルメリアは、戸惑いつつもそっと洗い始めた。痛いと悪いので最初ゆっくりシャンプー成分を広げて行き、満遍なく洗っていく。
するとシュレーがちっちっちと唇を鳴らし、人差し指をアルメリアに見えるように掲げ左右に振った。手を幽霊のように胸元に上げると、指を広げて見せた。
シュレーの提案を呑んだアルメリアは、リンスインシャンプーを手に広げると入れ替わりで膝立ちになった。シュレーが座って目を閉じた。
これまでに他人の頭を洗った経験と言ったら父親と母親しかなかったアルメリアは、戸惑いつつもそっと洗い始めた。痛いと悪いので最初ゆっくりシャンプー成分を広げて行き、満遍なく洗っていく。
するとシュレーがちっちっちと唇を鳴らし、人差し指をアルメリアに見えるように掲げ左右に振った。手を幽霊のように胸元に上げると、指を広げて見せた。
「もっと指のお腹で擦りつけるように頭皮を洗う方がいいんだよ」
それを真似して指を広げ、今まで自分がやっていたとは違う、頭皮を揉み解すような洗い方を試してみた。髪の毛を洗うことよりも脂を落とし、清潔にするその洗い方は床屋さんそのものだ。
また実際にやってみれば分かるが、頭皮を揉むように洗うのは非常に力が必要だ。アルメリアはたちまち手の疲労を覚え、むぅ、と唸ったが意地で止めなかった。
ぐわしぐわし、洗っていく。他人の頭にここまで密接に触れたことは無かったので、なんだか奇妙な気分だった。
また実際にやってみれば分かるが、頭皮を揉むように洗うのは非常に力が必要だ。アルメリアはたちまち手の疲労を覚え、むぅ、と唸ったが意地で止めなかった。
ぐわしぐわし、洗っていく。他人の頭にここまで密接に触れたことは無かったので、なんだか奇妙な気分だった。
「こう?」
「そうそー、あーきーもーちーいー!」
「なんというか、詳しいですよね」
「ん、近所の床屋さんによく遊びに行ってたから。そこのオッサンじゃないオジサンが、こうしなくちゃお客に失礼だーとかなんとか。そーいえばアルは美容院?」
「実は、美容院とか苦手なのでずっとお母さんに」
「分かる分かる! 指示するときなんて言えばいいのか分からなくて曖昧なこと言ったら聞き返されたり!」
「あ………あるある、あります!」
「そうそー、あーきーもーちーいー!」
「なんというか、詳しいですよね」
「ん、近所の床屋さんによく遊びに行ってたから。そこのオッサンじゃないオジサンが、こうしなくちゃお客に失礼だーとかなんとか。そーいえばアルは美容院?」
「実は、美容院とか苦手なのでずっとお母さんに」
「分かる分かる! 指示するときなんて言えばいいのか分からなくて曖昧なこと言ったら聞き返されたり!」
「あ………あるある、あります!」
二人は髪の毛談義で盛り上がり、髪を洗っているのに時々止めたりした。
やっとのことで頭皮全体を洗い終わり、今度は髪を洗う。シュレーの髪は猫の体毛のように細かったが、さほど長くないことが幸いして合計時間は長くなかった。
二度洗いをしようとも思ったが、本人とシュレー共にそこまできっちり洗う気は無かったようで、頭をお湯で流した。
次に洗うべきは体なのだが――。
何やら、シュレーがアルメリアの方を見つめている。言わんとしなくても分かる、洗いっこしよな目つき。眼を潤ませて両手を緩く握って顔の下で重ねているのは、小動物を思わせる。
だがここまでだ。体とは即ち顔から胸からその下を示すわけで、いくらアルメリアとてそこを許容するわけにいかなかった。
手をばんと突き出し、『NO!』と伝える。
やっとのことで頭皮全体を洗い終わり、今度は髪を洗う。シュレーの髪は猫の体毛のように細かったが、さほど長くないことが幸いして合計時間は長くなかった。
二度洗いをしようとも思ったが、本人とシュレー共にそこまできっちり洗う気は無かったようで、頭をお湯で流した。
次に洗うべきは体なのだが――。
何やら、シュレーがアルメリアの方を見つめている。言わんとしなくても分かる、洗いっこしよな目つき。眼を潤ませて両手を緩く握って顔の下で重ねているのは、小動物を思わせる。
だがここまでだ。体とは即ち顔から胸からその下を示すわけで、いくらアルメリアとてそこを許容するわけにいかなかった。
手をばんと突き出し、『NO!』と伝える。
「ねー」
「お断りします」
「ケチ」
「ケチもヘチマもありません。自分の体は自分で洗います」
「お断りします」
「ケチ」
「ケチもヘチマもありません。自分の体は自分で洗います」
にべも無く要求を撥ね退けられたシュレーは残念そうに頭を振ると、アルメリアに押し出される形で隣の区画に追い出された。
二人はこの後は大した時間も使わず洗い終わり、外に出た。
二人はこの後は大した時間も使わず洗い終わり、外に出た。
◆ ◆ ◆ ◆
外のひんやりとした空気に心地よさを感じる暇も無く、面々はその二人組に出会った。
髪を下ろし、ほかほかに温まった体と、タオル引っ提げた状態では会いたくなかった相手だ。
同じくシャワーを浴びに来たのだろうか、試合で歯が立たなかった相手、ブランとミハエルが居たのだ。
先に出たセンジュとクーは倉庫に戻ってしまったのか既に居なく、後から一緒に出てきたアルメリアとシュレーが彼らと鉢合わせしたのだった。シュレーはとにかく、アルメリアは嬉しくなかった。
当然である。気に食わないと直感した相手に、翌日どころか、まさかのその日の内に再会したのだから。
会って早々、ブランがその凍える瞳を細め腕を組むと、薄い唇を持ち上げた。それが皮肉でキザな笑みであると気がつくのに数秒の時間が必要だった。
湿り気のある髪から水分が抜けて熱を奪っているのに、どんどんと熱くなっているような気さえした。
髪を下ろし、ほかほかに温まった体と、タオル引っ提げた状態では会いたくなかった相手だ。
同じくシャワーを浴びに来たのだろうか、試合で歯が立たなかった相手、ブランとミハエルが居たのだ。
先に出たセンジュとクーは倉庫に戻ってしまったのか既に居なく、後から一緒に出てきたアルメリアとシュレーが彼らと鉢合わせしたのだった。シュレーはとにかく、アルメリアは嬉しくなかった。
当然である。気に食わないと直感した相手に、翌日どころか、まさかのその日の内に再会したのだから。
会って早々、ブランがその凍える瞳を細め腕を組むと、薄い唇を持ち上げた。それが皮肉でキザな笑みであると気がつくのに数秒の時間が必要だった。
湿り気のある髪から水分が抜けて熱を奪っているのに、どんどんと熱くなっているような気さえした。
「呑気にシャワーとは、随分と綺麗好きなようだな?」
「なっ……」
「いいとは思うがね……女性は綺麗であるべきだ」
「………そっちこそ、シャワーですか?」
「やるべきことはやり終えて、だ」
「なっ……」
「いいとは思うがね……女性は綺麗であるべきだ」
「………そっちこそ、シャワーですか?」
「やるべきことはやり終えて、だ」
一々気に障るような事を口にし、しかしそれが皮肉にもそうじゃない言葉にも取れるように喋るブランに、アルメリアは口の端を引き攣らせざるをえなかった。根本的に馬の合わない人種と再認識した。
一方ブランの相棒たるミハエルはと言うと、シュレーと携帯電話でメールアドレスと電話番号を交換していた。
一方ブランの相棒たるミハエルはと言うと、シュレーと携帯電話でメールアドレスと電話番号を交換していた。
「シュレーちゃんか。良い名前じゃんか」
「ありがと!」
「ありがと!」
シュレーはにこにこと笑いつつ、嫌そうな素振りの欠片粉塵一つ見せずに携帯電話を開く。というより嫌ってないのだから当然か。
ミハエルはお軽い調子に携帯電話をひらひらさせてアルメリアの方に向き。
ミハエルはお軽い調子に携帯電話をひらひらさせてアルメリアの方に向き。
「アルメリアちゃんだっけな、交換しようぜ」
「……今はそんな気分じゃないので」
「……今はそんな気分じゃないので」
機嫌の悪いアルメリアは眉間に皺を寄せ、ミハエルの方を向きもしなかった。ミハエルはにこりと笑う。
「ツンケンすんなよ、可愛い顔が台無しだ」
「落とせませんよ、その程度じゃね。……シュレー」
「あい?」
「行きますよ」
「落とせませんよ、その程度じゃね。……シュレー」
「あい?」
「行きますよ」
携帯電話を操作していたシュレーの腕をアルメリアがむんずと掴み、引っ張る。拘束された彼女は、よたよたと引かれて行く。
「まったねー!」
「おう!」
「おう!」
アルメリアは、倉庫に急いだ。
ミハエルとシュレーが仲良く手を振り合っているのが腹立たしかったが、それが自分が大して活躍もせずに試合で足を引っ張ったのかもと心の奥で思っていたが為に生まれた感情だったのかもしれなかった。
倉庫に戻ったアルメリアの気が立っていたのは言うまでも無かった。
ミハエルとシュレーが仲良く手を振り合っているのが腹立たしかったが、それが自分が大して活躍もせずに試合で足を引っ張ったのかもと心の奥で思っていたが為に生まれた感情だったのかもしれなかった。
倉庫に戻ったアルメリアの気が立っていたのは言うまでも無かった。
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