事の発端はこの事件の半時間ほど前に遡る。
リングダム家の母屋2階、ディーの部屋であったそこだが今はワケあって突然現れた謎の少女に貸し出されていた。
リングダム家の母屋2階、ディーの部屋であったそこだが今はワケあって突然現れた謎の少女に貸し出されていた。
「………………」
彼女はもうかれこれ6時間以上、ベッドから半身を起こした体勢でジッと曇天の空を見つめていた。
……いや、正確にはそれは間違い。正しくはその向こう、分厚い雲の向こうに見える形容し難い形に歪んだ「何か」を監視していたのだった。
……いや、正確にはそれは間違い。正しくはその向こう、分厚い雲の向こうに見える形容し難い形に歪んだ「何か」を監視していたのだった。
(不可抗力とは言えあんなモノを生んだのだ。始末は自分でつけねば、な。)
自然で起こる規模ではない、規格外のセカイの歪みはその向こう側にいる「彼ら」の格好の呼び水となる。
「彼ら」は常に「生」と「セカイ」に飢えている。ならばあのようなこれ以上ないチャンスを逃す筈があるまい。
幸いあの程度の歪みなら十分に力を取り戻したイグザゼンならソートアーマーの形態でも、わざわざ自然消滅を待つまでも無く修復可能だろう。
それまではここの世話になる事にする。何故なら――
「彼ら」は常に「生」と「セカイ」に飢えている。ならばあのようなこれ以上ないチャンスを逃す筈があるまい。
幸いあの程度の歪みなら十分に力を取り戻したイグザゼンならソートアーマーの形態でも、わざわざ自然消滅を待つまでも無く修復可能だろう。
それまではここの世話になる事にする。何故なら――
「!」
不意に、歪みより高速で小さな何かが飛び出した。
あまりにも小さかった故か周囲を警戒するシュバイゼン達にも気付かれる事無く、それはあっという間に視界から消えた。
あまりにも小さかった故か周囲を警戒するシュバイゼン達にも気付かれる事無く、それはあっという間に視界から消えた。
「………………」
十中八九それの正体は「彼ら」だろう。その証拠に注意しなければ気付かないほど僅かだが、セカイの歪み――事象励起の反応が後を引いている。
追跡を恐れてか小出しにしたようだが、奴らの目は誤魔化せても私(イグザゼン)の目は誤魔化せない。故に叩く。
どれだけ小さかろうと「彼ら」は世界の脅威に他ならない。
追跡を恐れてか小出しにしたようだが、奴らの目は誤魔化せても私(イグザゼン)の目は誤魔化せない。故に叩く。
どれだけ小さかろうと「彼ら」は世界の脅威に他ならない。
(……機体稼働率は50%。あれを相手にする分には十分だな。)
いつにも無くゆっくりとした休息を取れたお陰か、イグザゼンの機能は予想以上の速度で修復されていた。
これならじきにあの歪みを正せる程度には復旧するだろう。
これならじきにあの歪みを正せる程度には復旧するだろう。
「イグザゼン、ソートアーマー。」
次の瞬間、その部屋には誰の姿も残っていなかった。
開け放たれたベランダ、吹き込む正午の風のみを残して。
「ごめんなさ~い……」
開け放たれたベランダ、吹き込む正午の風のみを残して。
「ごめんなさ~い……」
それからしばらくして、小さく呟く様な声にノックと共にそろぉとドアを開ける誰か。
「朝御飯のお盆取りに来ましたのとお昼持って来ましたよ~……ってあれ?」
それはリングダム家の次男坊「ウェル・リングダム」だった。
普段暢気な兄と豪気な姉の姿に隠れて目立たないが、これはこれでリングダム家一のパシリにして心配性にして泣き虫にして家事上手との噂。要は苦労人である。
彼はお手製のサンドイッチと牛乳の入ったコップをお盆に載せ持ってきたものの、肝心のあの子の姿が無い。
更に開け放たれたベランダの戸。吹き込む風でカーテンが大きくなびいていた。
普段暢気な兄と豪気な姉の姿に隠れて目立たないが、これはこれでリングダム家一のパシリにして心配性にして泣き虫にして家事上手との噂。要は苦労人である。
彼はお手製のサンドイッチと牛乳の入ったコップをお盆に載せ持ってきたものの、肝心のあの子の姿が無い。
更に開け放たれたベランダの戸。吹き込む風でカーテンが大きくなびいていた。
「え、え、え……っ!?」
お盆を脇に置き、震える手つきで念のため恐る恐るベランダの外を覗き込む。姿は無い。
懸念していた最悪の事態だけは避けられていた事を知り安堵するものの、今度は別の疑問が頭を過ぎる。彼女は何処に行ったのか、という事だ。
ベッドの脇に朝御飯を載せていたお盆が綺麗に平らげられて置いてあるので、多分何か不満があっていなくなったと言う事はなさそうだが……
懸念していた最悪の事態だけは避けられていた事を知り安堵するものの、今度は別の疑問が頭を過ぎる。彼女は何処に行ったのか、という事だ。
ベッドの脇に朝御飯を載せていたお盆が綺麗に平らげられて置いてあるので、多分何か不満があっていなくなったと言う事はなさそうだが……
「ね、ね、ね……」
だが彼は混乱していた。これ以上なく混乱していた。
超がつくほど心配性ゆえ。超がつくほど泣き虫なゆえ。
超がつくほど心配性ゆえ。超がつくほど泣き虫なゆえ。
「ねぇちゃあああああああああんっ!!じぃちゃあああああああん!!大変!大変!あの子が!あの子があああああああああ!!!」
そしてそれ程でなくても家族も同じく心配性。
かくしてディーや彼女の預かり知らぬ所でリングダム家による謎の少女大捜索作戦の火蓋が切って落とされたとか。
かくしてディーや彼女の預かり知らぬ所でリングダム家による謎の少女大捜索作戦の火蓋が切って落とされたとか。
何処までも続く灰色の荒野。その上空を駆けるように飛行する銀の機影。
追っている反応はかなり遠くの方まで続き今にも途切れそうなほど微弱だが、途切れる事はない。
追っている反応はかなり遠くの方まで続き今にも途切れそうなほど微弱だが、途切れる事はない。
(一体何処まで……)
真っ先に街の方へと降下するかと思えば、こんな人気の無い場所まで移動して一体何を考えているのかと疑問に感じるが、
考えてみるに「彼ら」はこちら側の世界で活動するにはそれ相応の依り代が必要。それにひょっとしたら何らかの方法を用いて力を蓄えるつもりなのかもしれない。
考えてみるに「彼ら」はこちら側の世界で活動するにはそれ相応の依り代が必要。それにひょっとしたら何らかの方法を用いて力を蓄えるつもりなのかもしれない。
何にしろ早々に叩いておくべきだ。放っておく道理は無い。
全神経を集中し、今にも途切れそうな歪みの痕跡を辿り追い続ける。間違いなく、この先に奴はいる。
全神経を集中し、今にも途切れそうな歪みの痕跡を辿り追い続ける。間違いなく、この先に奴はいる。
「――――――」
――等と考えている内にどうやら追いついたようだ。
その場で急に歪みの痕跡がうやむやになり、中空に消えている。どこかに紛れ込んだか、あるいは……
その場で急に歪みの痕跡がうやむやになり、中空に消えている。どこかに紛れ込んだか、あるいは……
『ダケドテメェ、サッキノ奴ラヨリヨッポド旨ソウダ……ダカラ食ワセテクレタラ許シテヤルゾッ!!』
「ッ!?」
「ッ!?」
その時、半ば強制的に何かを感受した通信装置。
聞けば下品な声に壊れたラジオのような雑音を伴い全方向に毒電波がばら撒かれている。
聞いているだけでも鳥肌が立つ不協和音だが、それからほんの僅かだが滲み出すある種の「匂い」からして「彼ら」に属する何者かが用いているモノに間違いない。
向こうから自身の居場所を教えてくれるとは好都合。隠すつもりも無いらしく、発信源はすぐに割れた。歪みの反応が消えたここからは何故か少し離れているが。
何、イグザゼンの機動力なら数分とかかるまい。
聞けば下品な声に壊れたラジオのような雑音を伴い全方向に毒電波がばら撒かれている。
聞いているだけでも鳥肌が立つ不協和音だが、それからほんの僅かだが滲み出すある種の「匂い」からして「彼ら」に属する何者かが用いているモノに間違いない。
向こうから自身の居場所を教えてくれるとは好都合。隠すつもりも無いらしく、発信源はすぐに割れた。歪みの反応が消えたここからは何故か少し離れているが。
何、イグザゼンの機動力なら数分とかかるまい。
そう思い、やってきた私を待っていたのは形容するのも憚れる醜悪な異形とそれより伸びる触手状のケーブルに捕らえられ、ひたすらあがく黒光りした作業用機械の姿だった。
「――反応をつけてみれば脅威度D-。だが励起獣か。」
そう、奴は「彼ら」――「励起獣」。この世ならざる災厄を運ぶ者達の眷属。いくら弱小でも作業用機械程度で敵う相手ではない。
どうやら今回は自律駆動型のロボットに取り憑いて行動しているようだが、その辺りはどうでもいい。
どうやら今回は自律駆動型のロボットに取り憑いて行動しているようだが、その辺りはどうでもいい。
ゆっくりと怪物の口内へと引き込まれていく作業用機械。
言うまでも無くあのままでは不味い。そう考えた時には既に私は次の動作を実行しようとしていた。
言うまでも無くあのままでは不味い。そう考えた時には既に私は次の動作を実行しようとしていた。
「イグザダガー、顕現化(マテリアライズ)。」
顕現。手元に現れる高温を内包した青白い光を放つ非実体の短刀。
小ぶりだが殺傷力は折り紙付き。直接斬り付けるのは勿論投げナイフとして使用する事も出来る。いや、むしろそちらの方が主な使用用途か。
小ぶりだが殺傷力は折り紙付き。直接斬り付けるのは勿論投げナイフとして使用する事も出来る。いや、むしろそちらの方が主な使用用途か。
「ふっ!」
スナップを効かせて4本纏めて投げる。全発命中。
飛来したダガーは作業用機械の四肢と励起獣を繋いでいたケーブルを悉く切断した。
飛来したダガーは作業用機械の四肢と励起獣を繋いでいたケーブルを悉く切断した。
『……何モンダテメェ!俺ノ食事ノ邪魔ヲシヤガッテェ!!』
私の存在に気付いたようで、こちらに向けて熱烈に放たれる毒電波。
どうやら邪魔をされて大層怒っているようだが私にとってはむしろ好都合。
どうやら邪魔をされて大層怒っているようだが私にとってはむしろ好都合。
「貴様に名乗る名は無い。」
そう、貴様のような外道に名乗る名は無い。
そしてこうやって怒らせておけば私の方へ注意が向くだろう。
そしてこうやって怒らせておけば私の方へ注意が向くだろう。
『ガァァァァァァァァァッ!!!』
怒り心頭といった面持ちか。全身からこちらに向かい数十本とケーブルを放ち襲い掛かってきた励起獣。前面いっぱいに広がったそれはまるで濁流のように私に迫る。
「だが、その手は甘い。イグザブレイド、顕現化(マテリアライズ)」
銀の長剣を顕現させつつ飛翔。
先ほどまでいた足場に叩きつけられ、あっという間に飲み込み噛み砕く無数のケーブル群。
上空を飛ぶ私に向かってもそれは放たれるがそのような単純にして愚鈍な攻撃、当たってやるつもりも無いし、そもそもお前とも
先ほどまでいた足場に叩きつけられ、あっという間に飲み込み噛み砕く無数のケーブル群。
上空を飛ぶ私に向かってもそれは放たれるがそのような単純にして愚鈍な攻撃、当たってやるつもりも無いし、そもそもお前とも
『グゾォォォォォ!当タラナイィッ!!何故当ナイィィィッッ!!!』
「教えてやろうか?」
『!?』
「教えてやろうか?」
『!?』
――遊んでやるつもりも無い。
励起獣の上方、球状に丸い光学センサーを持つコアらしき場所に取り付き馬乗りになり、イグザブレイドをセンサーのすぐ目の前に突きつけて言う。
瞬時に極超音速まで加速できるソートアーマーだからこそ出来る芸当だ。奴にとっては予想外極まりない行動だったのだろう。
混乱してかセンサー内部のカメラが目まぐるしくズームしたりズームアウトしたりしている。
瞬時に極超音速まで加速できるソートアーマーだからこそ出来る芸当だ。奴にとっては予想外極まりない行動だったのだろう。
混乱してかセンサー内部のカメラが目まぐるしくズームしたりズームアウトしたりしている。
『ガッ――ア?』
「お前が、ノロマだっただけって事さ。」
「お前が、ノロマだっただけって事さ。」
そして、おもむろに突立てる。火花が多少散ったものの、あまりにもあっけなく奴はその機能を停止した。同時に機体の節々から噴出す黒い靄。
これが励起獣の本体だが拠り所を失った為かこちらが何もしなくともゆっくりと分解され、宙に消えていった。
これが励起獣の本体だが拠り所を失った為かこちらが何もしなくともゆっくりと分解され、宙に消えていった。
「………………」
地べたで尻餅を突いた状態で惚けている作業用機械を一瞥する。
パイロットは気絶しているのか?それとも――
パイロットは気絶しているのか?それとも――
「――?」
その作業用機械から一瞬だけ感じ取った妙な感覚。
私と似た匂いのようなモノ……
私と似た匂いのようなモノ……
「………………」
だがそれはすぐに消えた。
恐らく励起獣の残り香がついていたのだろう。特にそれ以上考える事も無く踵を返し、帰路に着く為天高く飛翔した。
恐らく励起獣の残り香がついていたのだろう。特にそれ以上考える事も無く踵を返し、帰路に着く為天高く飛翔した。
目の前で突如起こった謎のロボットによる怪バリードの惨殺ショー。いや、ショーというにはあまりにもあっけなかったか。
正直目が追いつかなかったので何をしていたのかもよく分からなかったが、あの機体がとんでもないパワーを持っている事だけはよーく分かった。
正直目が追いつかなかったので何をしていたのかもよく分からなかったが、あの機体がとんでもないパワーを持っている事だけはよーく分かった。
『大丈夫かー!君ー!!』
全部が全部終わった所でやっとやってきやがった自警団の皆さん。
戦闘用及び警備用である5機のギアズガードは旧式(といってもテツワンオーよりはよっぽど新しい)なりにどれもそれなりの武装を施されているが、
あのロボットや怪バリード相手には遠く及ばないだろう。そう考えると今来てくれてよかったかもしれない。
戦闘用及び警備用である5機のギアズガードは旧式(といってもテツワンオーよりはよっぽど新しい)なりにどれもそれなりの武装を施されているが、
あのロボットや怪バリード相手には遠く及ばないだろう。そう考えると今来てくれてよかったかもしれない。
「はい、何とか……」
『しかしこれは一体どういうことだい?もう全部片付いちゃってるみたいだけど、ひょっとして君が?』
『しかしこれは一体どういうことだい?もう全部片付いちゃってるみたいだけど、ひょっとして君が?』
そこら中にケーブルを撒き散らした状態でぐったりとして機能を停止した巨大なバリードの骸を見上げつつ、自警団員の一人が言う。
この人達にも見せてあげられたら説明する面倒も省けたんだけどなぁ……まぁいいや。ちょっと考えて返事をする。
この人達にも見せてあげられたら説明する面倒も省けたんだけどなぁ……まぁいいや。ちょっと考えて返事をする。
「いえ……「ヒーロー」がやってくれました。」
『ひーろー?』
「そう、ヒーロー――銀色をして、青い瞳を持った、とってもかっこいいヒーローが。」
『ひーろー?』
「そう、ヒーロー――銀色をして、青い瞳を持った、とってもかっこいいヒーローが。」
こんな事を聞かされたら頭大丈夫?と疑われそうだが実際そうなのだから仕方ない。
ヒーロー。謎の銀色をしたヒロイックなロボット。助けてもらったのにお礼も出来なかったなぁ……その辺がちょっとだけ気掛かり。
ヒーロー。謎の銀色をしたヒロイックなロボット。助けてもらったのにお礼も出来なかったなぁ……その辺がちょっとだけ気掛かり。
一体どういう事かと困惑する自警団員達とそんな事気にもせず謎の「ヒーロー」に思いを馳せるディー。
そんな光景の遥か彼方、勿論その誰も気付いていない瓦礫の影に、「それ」はいた。
そんな光景の遥か彼方、勿論その誰も気付いていない瓦礫の影に、「それ」はいた。
<――事象励起探知。イグザゼン、確認。ニューロンリンク、データ送信――事象励起探知。イグザゼン、確認。ニューロンリンク、データ送信――>
静脈血の如く赤黒く、無機質な一つ目。
それを埋め込まれた銀の卵のような形をした艶のある頭部。一変してごわごわして何が入っているのかも検討付かない黒い身体。
それを埋め込まれた銀の卵のような形をした艶のある頭部。一変してごわごわして何が入っているのかも検討付かない黒い身体。
<――事象励起探知。イグザゼン、確認。ニューロンリンク、データ送信――事象励起探知。イグザゼン、確認。ニューロンリンク、データ送信――>
一連の事態をジッとただ見つめていた不吉な影。
そして誰にも悟られる事は無く、「それ」はゆっくりと瓦礫の影へ姿を溶かしていった……
そして誰にも悟られる事は無く、「それ」はゆっくりと瓦礫の影へ姿を溶かしていった……
「おーい、何処行ったんじゃあ~!」
「隠れてないで出ておいで~!」
「隠れてないで出ておいで~!」
一方その頃、リングダム家ではやって来た気のいいお客さんも巻き込んでの家から飛び出し、周辺にまで広がった大捜索作戦が決行中だった。
「まったく、この周りも夜は寒いし、更に治安も悪いからあんな格好でうろうろしとったら……」
「イエスロリコンノータッチとは言うが、そんな紳士達だけではないよなぁ……」
「イエスロリコンノータッチとは言うが、そんな紳士達だけではないよなぁ……」
ずーんと落ち込むバールと馴染みの男。
『自警団にも連絡してみる?人手は多い方がいいでしょ?』
と、無線機越しにベル。
自警団はそういう為の場所ではないのだが、というバールの談でさすがにそれは却下となった。
自警団はそういう為の場所ではないのだが、というバールの談でさすがにそれは却下となった。
「しかし……一体何処に行ったんじゃろうなぁ。」
配達用の大型キャリアーを一旦止め、途方にくれるバール。
彼女がどこから来たのかは知らないが、着の身着のまま独り身で生きていけるほどジャンクヤードは優しくない。その事は彼が若い頃痛いほど体験した。
そんな記憶がふと過ぎる。
だからこそここまで純粋に心配しているのだ。なんとか夜になるまでに見つかればいいのだが……
彼女がどこから来たのかは知らないが、着の身着のまま独り身で生きていけるほどジャンクヤードは優しくない。その事は彼が若い頃痛いほど体験した。
そんな記憶がふと過ぎる。
だからこそここまで純粋に心配しているのだ。なんとか夜になるまでに見つかればいいのだが……
『じ、じーちゃん!ねーちゃん!』
そんな時、無線から耳に入った慌てふためくウェルの声。ちょっと掠れてすらいる。
「どうしたんじゃ!まさか見つかったのか!」
『う、うん。それが――』
『う、うん。それが――』
「……なぁにぃ!?」
ウェルによるとふとディーの部屋――今は彼女に貸し出している――を覗いてみると元いた場所に彼女の姿があったというのだ。これには力が抜けてヘタリと座り込むバール。
多分ベルも――というより捜していた皆が皆同じ状態や気分になっている事だろう。
多分ベルも――というより捜していた皆が皆同じ状態や気分になっている事だろう。
「そ、そうか……ありがとな、ウェル。」
『う、うん……』
『う、うん……』
まぁ見つかった事自体はよかったよかったと思いつつ、本当に彼女は一体何者なんじゃろうか……
とも彼女の事も思ってこちらから聞くつもりは無かったが、ふと思ってしまったバールであった。
とも彼女の事も思ってこちらから聞くつもりは無かったが、ふと思ってしまったバールであった。
Act.2_end