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転移戦線異常有り!? 大海上都市群「兵庫」重歩兵中隊がワームと戦うようです 第2話

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irisjoker

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正統日本ではゲーム感覚の気楽さと容易さで、いつでもどこでも戦車や航空機の操縦、重装甲強化服を纏った重歩兵として仮想戦闘を楽しむ事が出来る。
俺が重歩兵の道に足を踏み入れたのは小学生の頃だった。
最初は使用弾薬が無限だったり一定時間経つと回復したり、どれだけ攻撃を食らっても武器が破壊されなかったりアイテムを取って機体の損傷を修理出来たり、対戦車ミサイルの直撃に何発も耐えるぐらい頑丈だったりする緩い設定で遊んでいたが、次第に満足出来なくなってきた。
腕が良くなる度に難易度を上げ、強敵(とも)と切磋琢磨し、共に高みを目指していった。強くなりたい。何者にも勝る最強の重歩兵に。
それだけを考え、ただひたすら己の腕を上げていった。どこまでも果てしなく遠い、どれだけ手を伸ばしても届かないかもしれない何かをこの手で掴む為に。
数年の時を経て、遊びの全く無い最高難易度へ辿り着いた。ここからが重歩兵としてのスタートライン。ここまで来てようやく、『素人』から『半人前』を名乗る事が許される。そして、『一人前』になるべく地獄の如き戦いが始まるのだ。
かつての強敵との殺し合い、共闘。自分一人だった戦いはかつての強敵を仲間に、2人、5人、10人と数が増え、最終的に俺をリーダーとする100人の戦闘集団となった。
屍の山を築き血の河を渡り、地獄の鬼をも殺して喰らう気迫と覚悟で戦って戦って戦い抜いて、軍の重歩兵と互角に戦えるまで成長した時。軍からメールが届いた。内容を要約すると(君達100人軍人に)ならないか。
ウホッ! いい勧誘……。
全員無職もとい自宅警備員の重歩兵馬鹿だった俺達は、誘われるままホイホイと正統日本陸軍重歩兵になっちゃったのだ(はぁと)
無論、というか当たり前だが重歩兵としての腕がいいだけで軍人になれるはずもなく、数年間みっちり訓練を施された後、俺達のチームはそのまま軍正式の重歩兵中隊となった。その直後、大海上都市群「兵庫」が異世界へ転移した。
また転移で戻るかもしれない、万一に備えて、という理由で、戦闘車両などの陸戦主力や精鋭重歩兵は都市の防衛に。失っても惜しくない普通の腕の重歩兵が魔王軍の戦いに投入される事になる。
民間人時代から十年以上、鍛えに鍛えた俺達ですら並とみなされるのが重歩兵の世界。一人前であっても精鋭ではない。
悔しいけど、僕は並の重歩兵なんだな。悲しいけど、これ事実なのよね。
しかし、それでも構わない。
オレ達はようやく登り始めたばかりだからな。この果てしなく遠い重歩兵坂をよ…。
魔王軍との戦いから約一年が経過。
今、俺達は再転移した異世界で沢山のナマモノ相手に戯れてます。

ふぅ。
作業が完了して一息吐く。そこ、賢者タイムとか言わない。
重歩兵用大型シャベルは四十本しかないので、他の八十人は重歩兵用小型シャベルを片手に塹壕を掘った。
こ、小型と言っても、生身の人間が使う物よりは大きいんだからねっ。勘違いしないでよねっ。
全方向から攻めてくる生物に備えるべく、円形塹壕を掘り終えその他+αの仕掛けも終わった。敵の砲弾が塹壕の中で爆発とかした場合に被害を最小限に抑える為ジグザグにしてあるから正確には円ではないが、こまけえこたぁいいんだよ!
さて、生物の大軍勢が到着するまで残り十分。まずこちらの戦力から確認しておこう。
重歩兵一個中隊(100人)、無人小型弾薬補給車イグルー50両、牽引式輸送車25両。
無人小型弾薬補給車イグルーは触手状給弾管で弾薬を補給してくれる支援車両。最前線で戦闘しながらの給弾が可能であり、重歩兵には欠かせない存在だ。
とても便利であるが、一般家庭で使う乗用車を少し大きくした程度の大きさしかないから積める弾薬量は少なく、触手状給弾管の仕様上、重い弾薬の給弾が出来ない。
牽引式輸送車は重歩兵二人が伸縮可変鋼線で牽引して移動させる輸送車両。イグルーで補給出来ない重量の重い弾薬、その他色んな事に使う色んな物を色々積んでて、こいつも重歩兵には欠かせない。

近距離の突撃型、近距離~中距離の近接型、中距離~長距離の狙撃型、長距離の砲撃型、後方支援型。うちの中隊は五つの兵科が20人ずつ平均的にいる、標準的な部隊。ちなみに俺は近接型な。
単一の兵科のみで纏まった中隊に比べれば(特に狙撃中隊や砲撃中隊)純粋な火力は低いが、総合的な戦闘力と汎用性は高く、大体どんな敵とでも戦えるしどんな任務も遂行可能。
とはいえ流石に限度ってモンがあるぞ。今回ばかりは敵の数が洒落になってない。こっちの千倍以上、十万を超えている。正確な数はどうでもいいや、ぶっちゃけ知っても知らなくても同じだ。
圧倒的な物量差であるが、勝機が全く無い訳ではない。そこら辺の事情を色々と説明する前に決めとかなきゃならん事がある。それは。
「便宜上、奴らを『オルトロス』と呼称する」
生物の名前決めである。
<ティナに触手でエロい事をするんですね、分かります>
<便宜上、奴らを『オルトロス』と呼称する(キリッ)だっておwwwww(バンバン)>
<普通過ぎてつまらないだろ、常識的に考えて>
全く、しょうがない奴らだな。ならばこうだッ!
「フフフフフ、名前が欲しいな。『タコ』じゃあいまいち呼びにくいッ! この俺が名付け親(ゴッドファーザー)になってやるッ! そうだな……「メキシコに吹く熱風!」という意味の『オルトロス』というのはどうかな!」
<流石隊長! 俺達に出来ない事を平然とやってのけるッ! そこに痺れる憧れるゥ!>
ノリの良い奴らだ。さて、説明に移るとしよう。
「ナマモノの名前を決めた事だし、んじゃ、説明始めるぞー。オルトロスは2m、3m、4m、5mの四種類が確認されている。小さい順から一型、二型、三型、四型と呼称する。
全高2mのオルトロス一型は接近戦を挑んでくる歩兵、一番の雑魚だな。3mの二型は胴体左右から針弾を発射する火力支援型。こいつはそこそこ厄介だ。この二種類がついさっき地獄への片道切符を無償譲渡してあげた奴らだ。
V3ホッパーからの情報で知っているとは思うが、こっちに向かってくる団体さんは一型と二型に、より大型の三型と四型が加わる。
4mの三型は体の正面に角の様な突起を持ってる。観察と情報解析の結果、多分こいつは二型のような射撃能力は無いんじゃないかなぁ、と思う。突進するだけのデクの坊、それも時速たった50kmの低速だ。とはいえ油断すんなよ。
次、5mの四型。一番デカいだけに一番数が少ないが、こいつが一番ヤバいんじゃないかなぁ、と一番思う。
こいつは胴体上面に発射口っぽいのがあるんだが、ここからロケット弾っぽい高威力の砲弾を発射するっぽいというのが情報解析の結果っぽい。オルトロスの中で一番高火力の砲兵っぽいという事だ。
この四種類は相互に連携し合いながら、互いの短所を補い長所を高め、攻撃してくるだろう。それもこっちの千倍以上の数で。普通なら勝負にならんだろうが、俺達に有利な点が幾つもある。
まず第一。さっきの戦闘で判明したが、オルトロス一型と二型、実際にブチ込んでみなきゃ分からんが恐らく三型と四型も、振動熱兵器に対する耐性が全く無い。
25mm振動熱徹甲榴弾の場合だが、耐振動熱防御も防御用振動熱発生機能も無い只の鋼板なんぞ1000mmでも余裕でブチ抜く威力がある。
熱したナイフでバターを切るのと同じ、奴らの防御は零も同然だ。頑丈な鱗状の皮膚をしているようだが、振動熱兵器の前ではバターと変わらん。
第二。奴らは能動遮蔽も受動遮蔽も使わんし、広域妨害も無い。つまり、兵器の性能を100%完全に発揮出来るって事だ。各所に散ったV3ホッパーから送られてくる情報のおかげで敵の動きは全部丸見え、遠距離でも針の穴を射抜く精密射撃が可能だ。
第三。オルトロスは鱗状の皮膚の表面に16個の目の様な感覚器官を持ってるが、視覚は持たず聴覚、嗅覚、赤外線を探知して周囲の環境を把握しているようだ。姿を消さなくていい分、遮蔽の電力消費が少なくなるからその分を攻撃に回せる。長期戦になる程効果は大きい。
第四。俺達は塹壕に立て篭もって防戦に徹する。攻撃側より防御側の方が有利なのは古来からの幾多の戦いが証明している。何より、俺達ゃ簡単に殺されるような柔な鍛え方はしてねえ。
徹底的に出血を強いて最大の損害を与え、最後の一人になろうと両手両足引き千切られようと、敵の喉笛に牙を突き立てる事を止めない。それが俺達重歩兵中隊の生き様だ」

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