ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣
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●ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣
DSで発売されたシミュレーションRPG。
ファミリーコンピュータ版「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」のリメイク。大筋のストーリーは同じ。
外伝ストーリーが追加されている。
プロローグ
大陸は古の時代、竜人族の王たる暗黒竜メディウスの侵略に晒され、人々は深い恐怖と絶望に沈んでいた。
しかし、その苦境の中、奇跡が起こる。
大陸の一地、アリティアの若者が神剣を手に取り、暗黒竜を打ち破ったのである。
これにより、大陸には再び平和な時代が訪れた。
しかし、それから百年後、暗黒竜は復活を遂げる。
世界支配の野望を抱く魔王と手を結び、大陸の国々への攻撃を開始した。
大陸は再び闇に包まれつつあった。
かつて暗黒竜を倒した英雄の血を引くアリティアの国王は、暗黒竜を再び討つべく、神剣を携えて出陣する。
その嫡子、マルス王子は、母と姉と共に、隣国の同盟軍の守備兵たちと父王の不在を守りながら、日夜文武の鍛錬に励む日々を送っていた。
そのようなある夜のことである
プロローグ：起
アリティア城で一人の兵士がマルス王子の部屋を訪れた。
エリス王女からの急な呼び出しであるという。
遠征中の軍に異変があったらしく、詳しいことは兵士にも知らされていない。
王子は、姉に何かあったのか、父に何かあったのかと胸騒ぎを覚えながら広間へと向かった。
広間へ向かう途中、王子の前に見慣れない兵士たちが現れた。
彼らはグラ軍の者だと名乗り、王子に投降を迫る。
同盟国であるはずのグラの兵士たちの言葉に、王子は戸惑いを隠せない。
しかし、兵士たちは冷笑を浮かべ、武器を捨てるよう強要する。
王子はアリティアの王子として、この城で他国の軍に投降する理由はないと拒絶する。
兵士たちは王子の言葉に激昂し、武力を行使しようとする。
その時、王子は広間の玉座に異変が起きていることに気づく。
もし姉がここにいれば危険だと感じ、事態を打開しようと焦る。
そこへエリス王女が現れた。
王女は落ち着いた様子で、父王がドルーア・グルニア連合軍に敗れたこと、そして同盟国であったグラが裏切り、背後から攻撃してきたことを告げる。
父王の安否は不明であり、グラから送り込まれた軍がこの城を陥落させようとしているという。
さらに、離れた場所にいる母の安否も分からぬ状況だと。
王女は王子に、わずかな兵しか残っていない今、落城は時間の問題であると告げ、王子に城からの脱出を命じる。
王女自身も後を追うと言う。王子は姉の言葉を理解し、先行して突破口を開くことを約束する。
王女は、ジェイガンたちを城門に待たせてあると告げ、彼らと合流して一刻も早く城を出るよう促す。
王子は姉に別れを告げ、城を後にする。
王女は、弟の無事を心の中で強く願うのだった。
プロローグ：承
マルスは、フレイ、アベルと合流した。
アベルはエリスより護衛を命じられたという。
王女である姉の傍にはモロドフが控えているとのことだった。
フレイは一行に急ぐよう促す。
城門にはジェイガンが待機しているらしい。
その時、アベルは敵兵の存在に気付いた。
このままではジェイガンたちが挟撃される。
マルスは、まず城門付近の敵を制圧することを決意した。
背後から現れたマルスたちに対し、敵兵はアリティアの王子だと認識し、捕獲または討伐の号令を上げた。
褒美につられる者もいるだろう。
敵に弓兵がいることを確認したマルスは、不用意に近づかないよう警戒を促した。
無事にマルスと再会したジェイガンは、この地も危険であるとして即時脱出を進言した。
マルスが促されるままに歩を進めると、遠方からカインの声が聞こえた。
マルスは喜び、声の主がカインであることを確認する。
しかし、カインはグラの遠征軍に参加していたはずだ。
マルスが疑問を口にするより早く、カインの負傷に気付いた。
カインはマルスに会えたことで主命を果たせると安堵の表情を浮かべる。
その傷を負いながらグラ軍から脱出してきたのか。
マルスは手当てを促すが、ジェイガンは脱出を優先すべきだと冷静に判断し、カインにしばらくの辛抱を求めた。
カインはそれを承諾した。
一方、エリスの元にはモロドフが迫る敵軍の接近を知らせ、脱出の準備を促していた。
しかし、エリスはここに残ると告げ、モロドフに脱出とマルスとの合流を命じた。
モロドフは驚き、その理由を問う。
エリスは、国と城を守るために多くの民が命を落とした以上、その責を誰かが負うべきだと語る。
両親の安否が不明な今、自分がその責を担うのは当然だという。
それに、自分が残ることで他の者が脱出する時間を稼ぐことができる。
モロドフはなおも反対しようとするが、エリスはこれを命令だと一蹴する。
万が一父王に何かあれば、マルスはアリティア王家唯一の王子であり、神剣ファルシオンの継承者となる。
彼はアリティアの希望であり未来。
だからこそ、モロドフにマルスの行く末を託したいとエリスは強く訴えた。
エリスの強い決意を前に、モロドフは言葉を失う。
エリスは時間がないと急かし、モロドフにすぐ出発するよう促した。
プロローグ：転
マルスは、ジェイガンらを伴い、陥落したアリティア城からの脱出に成功した。
しかし、彼らを待ち受けるのは、さらに苛酷な運命であった。
脱出の道中、カインはマルスに近づき、沈痛な面持ちで語り始めた。
主君であるアリティア国王の最期の言葉を伝えるために戻ったという。
カインの口から語られたのは、グラの地で国王が壮絶な最期を遂げたという悲報であった。
神剣ファルシオンも敵の手に落ち、残された者たちも次々とグラの裏切り者たちの手に倒れていったという。
父の死、そして多くの仲間たちの死を知り、マルスは深い悲しみに打ちひしがれた。
そんなマルスに対し、カインは国王の遺言を伝えた。
「アリティアの、そして大陸の未来を汝に託す。ファルシオン継承者としてわが遺志を継ぎ必ず大事を成し遂げよ」と。その言葉は、若きマルスの肩に重くのしかかった。
カインはまた、陛下を守りきれなかった自身の無念、仲間たちと共に運命を分かち合えなかった悔恨の念を吐露し、いつか必ず仇を討つと誓った。
マルスもまた、カインの悲痛な決意に共感し、共にドルーアやグラを倒すことを誓った。
一行が城外へ出ると、ジェイガンはマルスに進言した。
城外には彼らに心を寄せる民家があり、そこでは様々な役立つ情報が得られる可能性があるという。
また、ジェイガンは、グラ軍の大部分が城内に集中しているものの、外にも相当数が残っていることを警戒した。
マルスは、姉であるエリスたちが城から脱出する際に敵と遭遇するのを防ぐため、近くの砦を制圧することを決意した。
道中、魔道士の存在にマルスは警戒を強めた。
遠距離からも攻撃してくる厄介な敵であり、油断すれば危険である。
しばらく進むと、マルスはモロドフと再会した。
無事を喜び合うマルスに対し、モロドフは重い口を開いた。
エリスは城に残ると言い、同行していないというのだ。
驚愕するマルスは、姉の元へ向かおうとするが、モロドフはそれを強く制止した。
モロドフは、エリスがマルスを脱出させたのは、彼にこの国、いや、この大陸の未来を託したからだと説いた。
カインから伝えられた国王の遺言がマルスの脳裏をよぎる。
モロドフは、たとえ血を吐き、泥をすすろうとも、今は生き延び、生き抜き、死んだ者の無念、生き残った者の思いを果たすべきだと強く訴えた。
モロドフの言葉は、マルスの胸に深く突き刺さった。
自身の命はもはや自分だけのものではない。
英雄アンリの血を引くアカネイア王家の男子として、ドルーア帝国のメディウスを倒すことができる神剣ファルシオンの継承者として、その宿命を受け入れるしかないのだと悟った。
マルスは、モロドフの言葉に従うことを決意した。
モロドフは、臣下として言葉が過ぎた点を詫びたが、マルスはそれを制し、エリスを連れて来られなかったモロドフこそが一番辛いだろうと気遣った。
モロドフは、王子の温かい言葉に深く心を打たれた。
プロローグ：結
マルスは、ジェイガンと合流し、祖国を脱出すべく郊外の森に身を潜めていた。
敵軍の警戒が緩んだ頃合いを見計らい、国外への道を模索する日々であったが、王女エリスへの憂いが王子の心を深く沈ませていた。
モロドフが王子の名を呼ぶ。
マルスは、はっと我に返った。
モロドフは、敵の大部隊が背後から迫っていることを告げ、早急な移動を促した。
マルスは謝罪し、一行はアリティアからの脱出を開始する。
モロドフは、目的地が東の島国タリスであることを明かした。
タリス王はマルスの父の旧友であり、エリス王女も万一の際にはタリスへ落ち延びるよう指示していたという。
一行は北へ向かい、北東の港に用意された船を目指すことになるが、その途上には牢獄が存在し、モロドフは事前にその鍵を入手していた。
モロドフは、道中、やむを得ずグラ軍に与している者もいるかもしれないと示唆し、そのような者たちに接触することも考慮に入れるべきだと述べた。
一方、グラ軍の隊長は、牢の南に敵が現れたとの報告を受けた。
その一人がマルス王子である可能性が高いという。
主力部隊の到着が遅れている現状において、隊長は敵を罠にかける策を弄する。
アリティアの王子を自らの手で捕らえ、後から来る本隊に手柄を奪われることを警戒している様子であった。
牢内では、ならず者が捕虜のゴードンを嘲弄していた。
アリティアの陥落を侮辱し、抵抗できないゴードンに、マルス王子がこちらへ進軍中であるという情報を弄ぶ。
グラ軍の兵装では味方と認識されない可能性、そしてこの位置が敵の待ち伏せ地点と見なされる危険性を指摘し、ゴードンが王子たちに討たれれば、それはグラ軍にとって好都合な宣伝材料になると嘯いた。
その頃、マルス一行は敵と遭遇する。
拘束されたゴードンを発見したマルスは、彼がアリティアの弓兵であることを認識し、解放する。
ゴードンは、弓があれば戦力になることを告げ、マルスに弓の提供を求めた。
グラ軍の本隊を率いるジオルは、マルス一行に追いつき、配下の兵に王子の討伐を命じる。
モロドフは、敵本隊に加え、グルニアの黒騎士団もいることを確認し、現状での戦況の不利を悟る。
しかし、事前に準備していた囮の策があることを明かした。
王子の身代わりとなる者が一人、南の街道へ逃れることで敵の注意を引きつけ、その隙にマルスと残りの者が脱出するというものであった。
マルスは仲間の犠牲を伴うこの策に反対するが、モロドフは国家の未来のため、王子の身に危険が及ぶことを避けるべきだと説得する。
フレイが自ら囮役を申し出る。
グラ軍の兵士たちは、逃げるフレイと、その場に残るマルスらしき人物を見て混乱する。
ジオルは、逃げる者こそ本物の王子であると断定し、全軍に追撃を命じた。
マルスはフレイを救出しようとするが、モロドフは彼の犠牲を無駄にしないためにも、一行は先へ進むべきだと主張する。
マルスは苦悩の末、フレイの思いを受け止め、前進を決意する。
グラ軍の隊長は、王子が南へ逃れたとの報告を受け、手柄を本隊に奪われることを悔しがりながらも、北の扉を開け、残党の掃討を指示する。
モロドフは、近くの村に協力を仰ぐことを提案する。
その時、ドーガが現れ、モロドフからの連絡を受け、密かに脱出用の船を用意していたことを告げる。
国境を越えた敵が西から迫っているため、急ぐよう促した。
ジオルは囮作戦に激怒し、フレイを殺害するよう命じる。
フレイは、自らの役目を果たし、マルス王子の成長を願いながら息絶えた。
こうして、マルスたちはアリティアからの脱出に成功する。
ジェイガンは、遠ざかる祖国を見つめるマルスに声をかける。
マルスは、姉を救えず、国を滅亡させてしまった自らの無力さを痛感し、悔しさを滲ませる。
ジェイガンは、他に方法がなかったと慰め、いつか必ず報いる日が来ると励ます。
しかし、マルスは「きっと」ではなく「必ず」だと強調し、いつの日か必ずアリティアを取り戻し、ドルーアを倒して皆の無念を晴らすと誓う。
そのためにも、今は悔しさに浸り、決して忘れないと決意を新たにする。
そして、祖国アリティアへの帰還を固く誓うのだった。
