Silent Hill Origins(SILENT HILL ZEROの海外版)
part49-175~184,198~203,205,206
- 175 :ゲーム好き名無しさん:2010/01/24(日) 02:33:54 ID:I88uhOA50
- リクのSILEN HILL ZERO(PSP)と、同内容の海外版(PS2)を投下します。
この場合、(※海外版)とかつけるべき?
セリフやメモは訳ですが、誤訳はないと思います。
日本版と微妙な違いがありましたら、指摘してくださると嬉しいです。
- 176 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 02:39:05 ID:I88uhOA50
- 【サイレントヒル】
アメリカ北西部にある静かな観光地。静岡ではない。
あるカルト教団の聖地、本部でもある。
心に闇を持つ者を引き寄せる力があり、その人物の心を映した異形の世界へ迷いこませる。
【教団】
サイレントヒルに本拠を置くカルト教団。
神がこの地に復活する時、既存の概念や格差は消え、救済と新たな世界がもたらされるというのが大まかな教義。
特別な力を持つ少女、アレッサを母体にした儀式で神を蘇らせようとしている。
【トラビス・グレイディ】
今作の主人公。屈強なトラック運転手。悪夢に悩まされ続けているどこか疲れた男。
歴代最強の主人公。
武器がよく壊れる仕様だが、素手で殴ってるだけで普通にクリーチャーを倒せる。
どうやら四次元ポケットの持ち主らしく、投げて武器に出来るテレビやらタイプライターやらを五個も六個も持ち歩く。
トラビス・グレイディは、憂い多き男ではあるが、働き盛りのトラック運転手だ。
仕事が遅れていた為、その晩はいつも通らないサイレントヒル沿いのコースでショートカットしていた。
暗い雨の夜、森を縫う静かな道路を走る内に、ふいに古い記憶がフラッシュバックした。
霧のかかる墓地、まだ埋められていない墓穴、その周りに佇む喪服の人たち。
その中に、幼いころの自分が、無表情に立ち尽くしている。
我に返った目の前に、ローブを被った人影が飛び出してきた。
とっさにブレーキを踏みこみ、危うく事無きを得たが、車を降りてみるとその人影は消えている。
首をひねりトラックに戻りかけたが、バックミラーに小さな少女が映っているのに気づく。
振り返って声をかけると、少女は無言のまま闇の中に走り去って行った。
トラビスはトラックを置いたまま、少女を追ってサイレントヒルへと夜道を進んでいく。
町の始まりへ近づくにつれて霧が出てくる、そう、ここは霧の濃い町だった…。
「…霧じゃない!煙だ!クソッ!」
煙を辿った先には、燃え盛る一軒の民家があった。
燃える家の脇に、女性が隠れていて、彼を見るなり逃げて行った。
そちらも気になったが、中から子供の悲鳴が聞こえ、トラヴィスは意を決して家の中に突入する。
炎をくぐり、2階に上ると、そこは妖しい呪術的な部屋だった。
無数のろうそくにかこまれた魔方陣の中に、焼け爛れた小さな体が横たわっていた。
まぶたが動き、小さな口から少女らしい声が囁いた。
「死なせて。」
「…いや、一緒に来るんだ。」
軽い体を抱き上げて、炎の中を駆ける。
もう駄目だと思うような炎が立ちふさがるたび、不思議な紋章が浮かんで火が退いた。
命からがら焼け落ちる家から逃げ出して、少女を芝に横たえて自分も倒れる。
遠くからサイレンが響いてくるのを聞きながら、意識を失った。
- 177 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 02:44:31 ID:I88uhOA50
- 目を覚ますと辺りは明るく、トラビスは町角のベンチに横たわっていた。
霧が濃く人気のない町。タウンマップを見つけると、果たしてそこはサイレントヒルだった。
何故こんなところに寝ていたのか、それより昨夜の少女は助かったのだろうか?
マップで病院を探して、彼女の安否を尋ねに行くことにした。
町には人が見当たらず、代わりに異形の怪物があちこちで蠢いている。
一体この町はどうなっているのだろう。
やっと病院に辿りつくが、そこも人気が無い。探し回り、陰険な感じのドクターを見つけて呼び止める。
少女の容態を尋ねたが、ここ数日搬入された患者はいないと言う。
全身を火傷で覆われていたのだから、病院に送られていない訳がない。
「俺があの娘を助けた。ここにいるはずだ。他にも病院があるのか?」
言い募るトラビスを置いて、男は「急用がありますので」受付に聞いてくれと去っていった。
院内にも化け物がうろついている。この町はおかしい。
人を探すうちに、違和感を感じて振り向く。
壁を覆う大きな鏡に、病室が映りこんでいる。その風景の中に少女がいた。
昨晩夜道で出会った少女であり
「火事の女の子だな?君は一体どうやって…?」
少女は焼けておらず、鏡の中だけに映っている。並ぶように立ち、彼女に話しかける。
少女が鏡の表面に手を触れ、そこに赤い手形が残った。つられるようにこちら側からもそれに手を合わせた。
鏡を挟んで自分同士が手を触れ合わせた、その途端、鏡に赤黒い染みが広がり、鏡の中の自分が痙攣し始めた。
いや、どちらが自分なのか?
慌てて手を離すと、周りの雰囲気は一変し、病室は赤黒い血と錆に覆われていた。
【裏世界】
シリーズおなじみの裏世界。現実と並行する文字通り裏の世界。
主人公は裏と表を行き来しながら物語を進めていく。
どちらも一般住人を見かけない事から、表世界自体も現実とリンクしている異界だという説もある。
裏世界は大体血と錆で汚れていて、主人公が深遠に潜るにつれて汚くグロテスクになっていく。
【鏡】
これ以降トラビスは、町にあるどのような鏡でも、手を触れることで任意に表と裏を行き来できるようになる。
自分の意思で表裏を行き来できる主人公は、恐らく彼が初めて。
病院を探索して色々な書類を盗み見るうちに、先ほど会った医者が、ドクター・カウフマンであること
この病院は、入院患者の治療費を切り詰め、職員の娯楽費は盛大に使いまくる悪徳病院であることがわかる。
更に、この病院に監禁している「彼女」の力を抑えたこと、彼女を助けるものはいないという報告と、
五つに分かれた何か(消されいて読めない)の一つを隠して守れという指示を見つける。
病院の裏世界の最奥へ到達すると、一段手ごわい化け物が待っていた。
顔を縫われ全身を拘束された奇形の人のようなものが、吐瀉物を吹きかけて攻撃してくる。
それを殺すと、魔方陣に囲まれた、真っ赤な小さい三角錐が現れた。「未来」の欠片と記されている。
それを拾い上げると、あの少女が現れた。
彼が彼女に疑問をぶつけるより早く、少女が何かを念じ始める。
するとサイレンのような音が響き、視界がブレて…トラビスはまた意識を失った。
- 178 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 02:49:35 ID:I88uhOA50
- 「大丈夫?」
目を覚ますと、病院のソファに寝ていた。目の前に看護婦が立っている。
「私はリサ。ここで見習いをやってるの。」
彼女は若いが、使命に燃える新米看護婦には見えない。
谷間を強調した胸元、腿の半ばまで露出した短いナース服をピッチリと体に纏わせ、赤いカーディガンを羽織っている。
口調は優しいが、どこか気だるげな印象を受けた。
昨夜の火事の話をしていると
「かわいそうに、アレッサ・ギレスピーという女の子、亡くなったんですって…」
ショックを受けたトラビスを慰め、彼女は去っていく。
「急がなくちゃ。ドクター・カウフマンとサナトリウム(療養所)で会うの。
遅れたら彼、凄く怒るわ。 ……またあとで会える?無理しないでね、トラビス」
病院を後にしたトラビスは、寂れた肉屋に立ち寄る。そこにも人は居ないが、中から金属音が聞こえる。
奥をそっと覗くと、汚れた白いエプロンをまとった、大柄な人型のクリーチャーが立っていた。
彼(?)は、怯えるナース型のクリーチャーを掴み上げ、巨大な鉈で腹を一刺しし、そのまま股間へ切り下げた。
彼が奥へ立ち去った後に調べてみると、彼女は腹から真っ二つに裂けていた。なんという力、残虐性だろう…。
【ブッチャー】
”肉屋”の称号を持つ人型の化け物。血に汚れたエプロンも、その体も漂白されたように白い。
顔は金属で覆われていて、手に持った巨大な鉈で他の化け物を惨殺する。
トラビスの心が生み出した物で、2のジェイムスにとってのレッドピラミッドシングに相当する。
三角様はジェイムスの罰を望む願望から生まれた。ブッチャーはトラビスの何なのか…?
- 179 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 02:50:53 ID:I88uhOA50
- 当てもなく行くうちに、サナトリウムに辿りつく。
引き寄せられるように、トラビスは中に入る。荒れ果てたサナトリウムに人はいない。
十数年前のカルテが目に留まる。
「ヘレン・●●●●●」(消されていて読めない)34歳女性の診療報告だった。
ヘレンは精神に疾患があると診断されている。被害妄想が目立ち、一瞬で過剰な興奮状態に陥る。
非常に息子に会いたがっており、
夫が見舞いに来ると、息子に会わせてと叫びだすらしい。
廊下奥から、火事現場から逃げた女性が歩いてきた。
女性を問いただすと
「当然よ。燃えたのは私の家だから。私の娘もね。」
娘を見捨てて逃げたのかと責めると、彼女は笑いだす。
「そうよ。あんたの考えているよりも、この世界はもっと不思議なんだ。」
アレッサは、彼女を世話するものと一緒に居ると言う。
「彼女を信用するな、トラビス。彼女は自分のしていることをわかってない。」
何故俺の名を知っている、という問いかけに女性は答えず去っていく。
リサはアレッサが死んだと言ったが、女性の言う通りなら、彼女はやはり生きているのだ。
「どいつもこいつも狂ってやがる…。」
【フラッシュバック】
時折、トラビスの意識に声や映像が混線する。
自分の記憶なのか、それとも、この世界に焼き付いた、他の誰かの記憶なのか。
サナトリウム内部を探索する内に、一瞬視界がブレて誰かの声が聞こえた。
女性の忌々しげな濁声が
「あなたを一生憎むわ!あなたの悪魔の息子もね!!」
と叫んでいる。
続けて、取り乱した男性が、涙声で
「なんてことだ!ヘレン、私の愛しいヘレン!
本当に死んでいる!どうしたらいいんだ!!!」
と嘆くのが聞こえ、視界は元に戻った。
女子トイレに、血で書いたような、「BRING ME MY SON!」の文字。
ヘレンという患者のものだろうか。彼女は何故息子と引き離されたのだろうか?
- 180 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 14:04:25 ID:I88uhOA50
- 疑問に答えるように、日にちの進んだヘレンの診療報告書が見つかった。
・ヘレン・●●●●●の病状は日増しに悪くなっている。
彼女の「鏡の世界」の妄想は激しくなり、時折混迷症状に陥る。
彼女曰く、それは「異世界」へ旅立っている状態だという。
・ヘレンは息子への暴行を認めたが、全く後悔していない。
むしろそのことを誇らしく語っている。
裏世界で、そのカルテから2年前の捜査報告書を見つける。
・●●●●●家に到着した時点で、既に救急車が到着していた。
隣人のブライアント氏が、ミセス・●●●●●をなだめていて
彼女の息子が救命士によって手当を受けていた。夫は仕事から戻っていなかった。
・ミセス・●●●●●は、息子を道連れに、ガスによる無理心中を図った模様。
彼女は怒り狂い「悪魔の子」を殺したいと主張して解放を求めた。
明らかに平静な状態ではない。
記録室に入った途端、また誰かの声が意識に流れ込んできた。
以前濁声で叫んでいた女性のものだ。
「やるしかなかったの。」
何故?と男性の声が聞く。どうやら、医師と女性患者のカウンセリングの記録が聞こえてくるようだ。
「だって、害虫は殺すものでしょう?あなたもそうするでしょう?
彼も害虫なのよ!何て悪い子なの!」
彼女はまた興奮し始めている。
「あの子はいつもそうよ。私はそうじゃないと信じ込み、忘れてしまいたかった。
でも、彼らがそうさせなかったの。」
「彼ら?」医師が穏やかな声で聞く。
「鏡の中の人たちよ。彼らは全てお見通しなの。真実をね。」
彼女の声は、内緒話をするかのように密やかに、楽しげになる。
「彼らは知っていたのかな?」
「もちろん。彼らは、彼の中に悪魔を見つけたの。
だから、私は彼を殺さなくちゃいけないの!それが私の責任よ。私の血と肉なんだもの。
私が彼をこの世に生み出した。だから、私が彼をこの世から消すの。」
「良い母にも、悪い子供は生まれるものだって、彼らは言うのよ。」
彼女は満足気な声で続ける。いくら私を監禁しても、いつでも鏡から彼らの世界に行けると。
「いつになったら、私の息子を連れてくるの?」
彼女はそう締めくくった。
- 181 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 14:07:12 ID:I88uhOA50
- 基本的に、裏表を行き来して仕掛けを解いては鍵と書類を見つけるの繰り返しで探索を続ける。
報告書に、女性患者隔離区画に、男児が入り込んだという陳述があった。
男児は滞在者の息子で、父親に連れられて帰って行ったらしい。
そして、ヘレンがサナトリウムに来院した当初の診療報告がファイルから見つかる。
その書類はどこも塗りつぶされていなかった。
ヘレン・グレイディは、息子から離され、治療を受けるためにここに入院したのだった。
グレイディ!!
トラビスは裏世界の病院を奥へ進む。
そして、女性隔離区画の閉ざされた扉を開けると、そこにはリサが項垂れていた。
「なんて悲しいの…。もう彼女にしてあげられる事は無いわ。
彼女はただそこに座っているだけ…。お子さんに会いたいのよ。」
「誰のことだ?あの子か?アレッサがこの中にいるのか!?」
「ちがう。ちがう!誰が中にいるのか知ってるくせに!!」
リサは顔を覆って走り去り、トラヴィスは、並ぶ病室からある扉を選んで開ける。
記憶が再生される。
幼い自分がここへ入ってくる。
「ママ?
父さんが、ママは死んだって。死んじゃったの?」
天井から、釣鐘状のビニールに覆われた、拘束された女性のような化け物が吊るされている。
「死んでないわ。囚われているだけ!」
化け物はヘレンの声で囁く。
「私の坊やを連れてきて、と彼らに頼んだの。」
「…ママ。」
これはもう回想ではない。トラビスは今のトラビスだった。
「おいで坊や、ママに顔を見せてごらん。」
「ママ」を殺すと、また魔方陣と赤い三角錐が現れた。手に取れば「過去」の欠片と記されている。
やはり現れたアレッサに、トラビスは詰め寄る。
「一体何が起きている?お前が原因なのか!?」
少女は答えず、またサイレンが響く。少女を追おうとしたが、また意識を失ってしまった。
- 182 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 14:10:04 ID:I88uhOA50
- 目を覚ますと、トラビスはサナトリウムの床に転がっていた。
当てもなく歩きだすと、机の上に劇場のチケットが乗っているのが目を惹いた。
誘われるように、トラビスはそれを拾って劇場を目指す。
ブッチャーが化け物を殺して回っているのだろうか、町には血を引き摺った跡が増えている。
劇場は綺麗だったが、やはり誰もいない。照明の落ちた客席を進むと、ポツンとリサが座っていた。
ここは危険だと言うトラビスに、リサは「冗談でしょ」と笑う。
彼女のサイレントヒルには、化け物は存在していない。
彼女にとっては、閉館日の劇場にこっそり入り込んだだけのことだった。
リサは役者になりたいから、この劇場が好きなのだという。今は看護婦をやっているが
「絶対女優になれるってわかってるわ。」と言って立ち上がった。
「トラビス、あなたの事ばかり考えてるの。
あなたが欲しい。あなた以外の事は考えられないわ。
こんな狂った町抜けだして、私と二人で逃げましょうよ。」
まとわりつき、甘い言葉を囁きながら、体を擦り付けてきたが、
急にトラビスを突き放して笑い出す。
「ね、スターになれそうでしょ?それじゃ、またね。」
リサはブラブラと去っていき、トラビスは劇場の探索を始める。
劇場は他と比べて本筋には殆ど関わりはない。
重要な情報は、医学書に載っていた以下の内容くらい。
・愛する人から虐待されたトラウマは、被害者の脳に影響を与える。
多くの場合、虐待された子供は精神が二つに分かれてしまう。
片方の性格が、怒りを貯め込み虐待者を模倣する傾向がある。
残念なことに、この性格が主要人格になるケースが多い。
劇場はボス前の謎解きがすごくいけてると思う。
ステージの奥が鏡張りになっていて、
舞台裏でレバーを操作すると張りぼての大道具が入れ替わる。
6つのレバーを正しい組み合わせで引くと、3通りのシーンの舞台装置が揃う。
森のシーンを完成させて鏡を覗くと、本当の森が
書斎のシーンを完成させて鏡を覗くと、本当に書斎が映っており、裏世界も劇場ではなく森や書斎へ繋がっている。
石庭のシーンを完成させて、裏に行き化け物と戦う。
殺すと、やはり魔方陣と三角錐が現れた。今度のブロックには「偽り」の欠片とある。
「これが必要なんだろ?」
手を突き出すと、アレッサが現れた。倒れた化け物に一蹴りくれて、また念じ始める。
「もうやめろ…」
抵抗もむなしく、トラビスはまた意識を失った。
- 183 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 14:14:33 ID:I88uhOA50
- 目を覚ますと、劇場のソファに寝そべっていた。
目の前に、誰のものとも分からない死体が転がっている。
腹が裂けている。ブッチャーにやられたのだろうか?
死体をまさぐると、モーテルのルームキーが出てきた。
「リバーサイド・モーテル…」
一瞬、幼い自分がフラッシュバックする。
「前にもここに来たことがある気がする…」
(そんなのサナトリウムでもう分かってただろ、と思うんですが。
モーテルに、という事かな。
トラビスは、幼いころの記憶を抑えつけているので、何があったのかは覚えてないらしいです。)
モーテルへ向かう途中、コンビニを抜ける際にレシートを拾う。
裏には、
「君のベッドを照らすロウソク、君の頭を潰すザ・ブッチャー」と走り書きされていた。
リバーサイドモーテルのロビーに入ると、幼いころの記憶が蘇った。
父に促されて、幼い自分がおずおずと受付の呼び鈴を鳴らしたのだった。
あの時と同じ呼び鈴に目を落とすと、その脇に宿泊名簿が置いてあった。
「500号室 名前:ミスター.R.グレイディ 同伴者:息子」
適当な客室の鏡から裏に行くと、父が母に宛てた手紙を見つけた。
妻への愛の言葉、ヘレンの居ない寂しさがつらつら綴られ
最後に、息子のトラビスには君が死んだと伝えたと記されていた。
スタッフオンリーの部屋を通り、メンテナンス用の細い通路に入る。
そこは、三つスイートルームと500~501号室の間に挟まれた長細い空間で、
部屋ごとに覗き穴が穿たれており出歯亀ができるようになっていた。業務員自重。
せっかくなので、覗きながら進んでいく。
最初の500号室を覗きこむと、そこにはあの頃の父が居た。
こちらに背を向けて、身もだえしながら独り言を言っている。
「ヘレン、いつもあの子の瞳に君の面影を見ているんだ。
でもそれじゃ足りない。あの子の為に留まるのはもう嫌だ。君のいない世界は辛すぎる。
…だから、君の体を盗んだ。…正しい選択だったんだ。」
他の部屋は無人だったが、端の部屋から物音が聞こえてくる。
覗くと、バスルームしか見えないが、奥の寝室から喘ぎ声と忍び笑いが漏れ聞こえる。
そして、見せつけるかのように壁にかかっているのは、赤いカーディガン。
- 184 :SILENT HILL ZERO (Origins):2010/01/24(日) 14:20:41 ID:I88uhOA50
- 何やかやでマネージャーの部屋に行くと、伝言のようなメモが残っていた。
「何てこった!清掃人の一人が500号室の異変に気づいて報せてよこした。
ドアは開いてた。中は…勘弁してくれ!
臭いが強烈だった。
そう子供が!ガキはただ突っ立っていた。10時間もそこにいたそうだ!
俺の方が泣き出しちまったよ。なんてひどい話だ!
警察が部屋を封鎖した。俺は帰る。」
500号室で何が起きたのだろう。その500号室には鍵がかかっていて入れない。
鍵を探して彷徨ううちに、厨房を通りかかった。
化け物の悲鳴を聞いて、そっと覗いてみると
肉屋で遭ったあの怪物―ブッチャーが、化け物を吊るして切り刻んでいた。
動かなくなった化け物を置いて振り返ったブッチャーは、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
追いまわされながら、なんとか応戦し、やっとの思いでブッチャーを倒す。
倒れたブッチャーから大鉈を奪い、雄叫びと共に振り下ろした。
動かなくなった怪物を置いて、トラビスは過去を知る旅に戻る。
また、父から母への手紙を見つけた。
「遠くへ行った妻へ」で始まる手紙には、妻への未練が切々と綴られていた。
娯楽室に入り、ピンボール台の前に立つと、このモーテルに泊まっていた時の自分と父の会話が聞こえてきた。
「ピンボールするお金くれる?」
「ああ、いいよ。そうだ、今日の午後のことだが…」
「いいよ。ピンボールがやりたいだけだから。」
「そうか、ほら。父さんはちょっと部屋に戻ってるよ。ここで待ってなさい。」
そのままプールへ抜けると、水底に宝石が散りばめられたハートが沈んでいるのを見つけた。
トラビスが泳いでくれないので、裏世界に取りに行くことになる。
上の階のスイートの風呂の底が抜けていて、下の階からリサの忍び笑いが聞こえてくる。
飛び降りて、バスルームを出てみると、
ベッドルームではドクター・カウフマンとリサが、いかにも事後ですといった風情で身支度している所だった。
リサは言葉少なに立ち去り、ドクター・カウフマンには痛烈な嫌味を言われる。
というか、バスルームからいきなり不審者が出てきたんだから二人はもっとたまげるべき。
- 198 :SILENT HILL Origins(ZERO):2010/01/26(火) 00:18:53 ID:jyn+arMt0
- 二人の去った後に部屋を調べると、麻薬と、「ダリア」からカウフマンに宛てたメモを見つける。
「準備は整ったけど、急がなくては
彼女の力が制御できなくなってきたみたい
グレイディはきっと戻ってこないわ。町を駆けまわって幽霊を追いかけているから。
何にも分かってないのね。
待っているから早く来て!
フラウロスはバラバラになり、彼女の意思は眠っている。
今回の儀式は成功するわ!」
彼女とはもう、アレッサの事だと考えていいだろう。
彼女の焼かれた体は、どこかで眠っている。彼女の意思に反する儀式が、彼女を犠牲に行われようとしている。
アレッサはどこにいるのだろう。自分はどこに戻らねばならないのだろう。
今は、500号室へ入りたい。
裏で宝石のハートを拾い、父が母へ宛てた手紙も拾う。
父は、サナトリウムにいた母にプレゼントを渡してたたき割られ、目が覚めたと綴っていた。
私の愛するヘレンはもう戻ってこない。彼女が息子を殺そうとした日、ヘレンは死んだのだと。
「もう疲れたよ。トラビスは一人でも生きていける。
君に会いに行くよ、ヘレン」
整備室の万力で割ると、結婚指輪が出てきた。
マネージャーの部屋の回転式カレンダーに、あの日の日付を入れる。日付は覗き見た時のカレンダーで分かったが
正確な年がわからない。最初から装備していた、お守りのラッキークォーター(幸運のコイン)に手をやる。
両親が死んだころから持っている、ピンボールで勝って手に入れたコイン。記憶が戻ってわかった。このモーテルで手に入れたのだ。
コインには61と刻まれている。
1961と入力すると、カレンダの引き出しが開いて、窪みが現れた。そこに指輪をはめると
500号室の鍵が奥から落ちてきた。
- 199 :SILENT HILL Origins(ZERO):2010/01/26(火) 00:20:44 ID:jyn+arMt0
- 500号室の前に立つと、幼いころの記憶がフラッシュバックする。
ピンボールを終えた自分は、戻ってこない父を待ちくたびれて部屋に戻った。
「父さん?」
吊り下がった父に、話しかける自分。
「父さん、ゲーム勝ったよ。コイン、欲しい?
父さん、起きてよ。ねぇ、父さん!」
縄から下がった父が目を開け、語りかけてきた。
「息子よ、私は眠っているんじゃない。
眠っていないとわかってたんだろう?何でずっと立っていたんだ?
ダメじゃないか。」
「父さん!お願い!」
「疲れたんだ、息子よ。」
もうこれは回想ではなかった。目の前に、首を吊った父がぶら下がり、語りかけてくる。
「父さん、こんなのおかしいよ。」
「真実を見る時が来たんだ。ママと私は、天国で待っているよ、息子よ。」
父は痙攣し、異形の化け物へ姿を変えた。余計なことだけどフルフルにそっくり。
父を殺すと、また魔方陣と三角錐が後に残った。今度は「真実」の欠片だ。
「親父…。
何であんなことを?何でそれを忘れさせてくれない?
何故俺にかまう!出てこい!!お前が欲しいものはここにあるぞ!」
現れたアレッサに詰め寄り、壁際へ追い詰める。
「満足か?次はなんだ!お前の両親でも見せてくれるのか!?」
彼女は答えず、また念じる。サイレンが鳴って、意識を失った。
- 200 :SILENT HILL Origins(ZERO):2010/01/26(火) 00:27:48 ID:jyn+arMt0
- 目が覚めると、倉庫のような場所で、低い棚の上に横になっていた。
傍には魔方陣と赤いブロックがあり、手に取ると、「現在」の欠片と記されていた。
現在の欠片は三角錐では無く多面体で、その内の四つの面に何かをはめるような穴が開いている。
今までに手に入れた四つの三角錐をはめ込むことができるようだ。
紋章が揃うようにはめこむと、大きな赤い三角錐が完成した。
突然熱くなった三角錐を放り出すと、三角錐は回転しながら浮遊し、炎を纏い始めた。
アレッサが現れ、彼を誘うように歩いて消えた。
追って外に出ると、そこにはあの女性が居た。
「何てことを!お前が封印を解いた!彼女は自由だ!」
もう終わりにしたいだけだと言うトラビスを、女性=ダリアが嘲笑う。
「お前の的外れな手助けを借りても、彼女は私たちを止められない!
儀式は成功する!ついに彼女は、神を生む!!」
振り向くと、宙にアレッサが浮かんでいた。
髪はなびき、目は輝き、アレッサを中心に地面が剥離していく。
トラビスはその場を逃げ出して、裏世界へ迷い込む。
MAPを開くと、子供の描いたような地図
。ここへ来て、と塗りつぶされた場所へ向かう。
そこは、雑貨屋の地下に隠された、教団の集会所だった。
焼け爛れたアレッサの体を取り囲む、仮面の修道士たちが居た。
「彼女にずいぶんと働かされたようだな?
君が現れた時は驚いたよ。てっきり帰ったと思っていたからね。」
修道士の間から、ドクター・カウフマンが歩み出て話しかけてきた。
「さて、それでは君を片づけるとしよう。おやすみ。」
ガスを浴びせかけられて、トラビスは昏倒する。
朦朧とする意識の中、辛うじてダリアが叫ぶのが聞こえる。
「彼女が来るわ!今すぐに始めないと!」
「心配するなダリア。こいつがいなければ、彼女も力を発揮できない。」
- 201 :SILENT HILL Origins(ZERO):2010/01/26(火) 00:29:58 ID:jyn+arMt0
- 意識は急速に闇の中に落ち、気づくと、巨大な魔方陣の描かれた祭壇に立っていた。
そこに居たのは、アレッサの中に息吹く神の種、”アレッサの悪夢”。
最後の戦いは、アレッサとトラビスの意識の中。
それを弱らせると、大きな三角錐が戻ってくる。
トラビスがそれを掲げると、三角錐が炎を吹き、それを戒め、刻み、内部へ呑み込んだ。
トラビスは倒れ、三角錐も床へ落ちた。
意識は浮上し、修道士たちの後ろに倒れている自分に戻ってきた。しかし、三角錐も一緒に落ちている。
三角錐は浮き上がり、真っ赤に発光した。光はうねってアレッサにふりそそいだ。
アレッサの胎内へ光は潜り込み、産声のようなものが聞こえた。
終わったのだ…。
トラビスは霧の道路を歩く。
昨晩停めた場所に、トラックはそのまま待っていた。
一度だけ町を振り返ったが、トラビスはポケットからキーを取り出し、愛車に歩み寄る。
運転席に乗りこむと、あの時と同じように、アレッサがバックミラーに映り込んでいた。
腕には赤ん坊を抱いている。
トラビスは微笑み、トラックの走行距離を0に戻して、アクセルを踏み込んだ。
無線に、誰かの声が入り込んでくる
「信じられない…ハリー、赤ちゃんだわ!」
「女の子だね」
「ほら、抱いてみて
シェリル!この子をシェリルと名付けましょう!」
「魂が半分失なわれている。種は眠っている。」
「もう半分は失われたんじゃない。呼び戻せばいいの。
彼女の苦痛の叫びを聞けば、きっとやってくる。」
「時間はかかるだろう。」
「待てるわ。」
END
- 202 :SILENT HILL Origins(ZERO):2010/01/26(火) 00:33:15 ID:jyn+arMt0
- ZEROは、1の前に何があったのかという物語です。
1をやってない方には訳がわかんなかったと思うので、多分こんな感じというのを解説しておきます。
ダリアは教団の狂信者で、カウフマンは協力者。
彼らは、特別な力を持つ子供アレッサに神の種を植え付け、邪神を産ませようとしている。
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アレッサは神を産む儀式を成功させたくない。協力者としてトラビスをサイレントヒルへ招き寄せる。
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儀式(あの火事)中にトラビスがアレッサを救出して、儀式は失敗する。
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アレッサには神の種が宿っているので、彼女は決して死なない。
焼けた体は隠され、彼女の意思は、フラウロス(三角錐)をバラバラにすることで抑えられていた。
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アレッサの意思は、抑えられた自分の代わりにトラビスを誘導し、フラウロスを集めさせる。
同時にトラビスは、サイレントヒルに眠っていた自分の封印した記憶を集めていく。
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フラウロスが復元され、神を制御する力を取り戻す。
トラビスは、アレッサと共有した意識の中で、神の種の封印に成功する。
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フラウロスによって力の戻ったアレッサは、魂の半分を赤ん坊に具現化し外に逃がす。
残った不完全な魂では、神を産むことは出来ない。
↓
旅行中のハリー夫妻がサイレントヒル郊外の道路で、その赤ん坊を拾う。
夫妻は、赤ん坊をシェリルと名付けて連れ帰る。
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ダリアと教団は、アレッサが逃がした彼女の魂の半分を呼び戻すため、
彼女に終わることのない苦しみ、拷問を与え続ける。
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7年後、逃がされた魂の半分は、片割れの苦痛の叫びを聞き取り、半身の元へ帰ろうとする。
シェリルは父ハリーに、「今度の休暇はサイレントヒルに連れて行って」と頼んだ…
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1へ続く。
- 203 :SILENT HILL Origins(ZERO):2010/01/26(火) 00:42:31 ID:jyn+arMt0
- 余談ですが、ブッチャーが何なのかというのは諸説あって、
・トラビスの中の残虐な人格であり、ヘレンは鏡の能力でそれを知って
トラビスを殺そうとしたが果たせなかった。トラビスは鏡の力を受け継ぎ、その悪魔の部分を倒して克服した。
ていう解釈もあります。
BADENDはトラビス=ブッチャーで、一般住人を化け物と思い込み大量虐殺していたという感じなので。
自分は、
・おかしくなったヘレンに虐待されたトラビスの精神が二つに分かれ(劇場の医学書から引用)
運よく眠っていた暴力的な副人格がブッチャー。
鏡を行き来するのは、トラビスのサイレントヒルに母の語っていた妄想が影響しているから。
そして、虐待者を模した副人格を、トラビスが倒して統合した。
と解釈したいです。正確なところはわからないけど。
トラビスはそれから十数年後と思われるHOMECOMINGにも、トラック運転手として出てきます。
主人公を乗っけて、サイレントヒル近郊の故郷まで連れてってくれる渋い髭のおっちゃんでした。
お元気そうで何よりです。
長文失礼しました。以上でサイレントヒル終わりです。
- 205 :ゲーム好き名無しさん:2010/01/26(火) 23:00:34 ID:NGLSgSxU0
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>>203 乙です!
今回はUFOはないの?
- 206 :ゲーム好き名無しさん:2010/01/26(火) 23:34:49 ID:jyn+arMt0
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>>205
あったけど、なんかあっさりしてたから日本版と違うかもしれません。
急にグラフィックが漫画調になって、UFOから確か犬と宇宙人が降りてきて、
トラビスに一緒に星に行きましょうと誘ってくる。
「でもトラックが」「トラックも星にあるよ」
「なら行こう。UFO運転させてくれるか?」「OK、マニュアルだけど大丈夫?」
で終了。