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チェンジ・ザ・ワールド☆
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Confusion.2

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Confusion












「しっかし本当にびっくりした。桂が女だったなんて」


そう言いながら、俺はチラリと隣りを歩く桂を見た。

さらさらの髪の毛が歩く度に揺れて、整った横顔が見え隠れするのがまた神秘的だ。

やっぱりものすごく可愛い。

そして中学の時に女みたいだと思っていた自分の感性に間違いは無かったんだと、妙に嬉しくもなった。

しかし隆也、あいつは許せない。桂が女だって教えなかった上、俺への連絡が出来ないように工作するとは。


「皆知ってたから、榛名君も知ってるものだと・・・・・・でも榛名君は途中からチームに合流したからね。仕方ないよ」

「いや、気付かなかった俺も結構抜けてるっていうか、隆也の奴がわざと教えなかったからなーーーそれより、お前受験で戻って来たんだろ?」

「あ、うん」


今は12月末。中学3年生である桂は、受験目前だ。


「どこ受けるんだ? 間に合うならうちに来いよ。そしてマネージャーやってくれると助かる」 


完全に俺の下心なんだが、そんな事には全く気付かない桂は少し申し訳なさそうにして俺を見上げた。


「あはは、さすがに今から志望校変えられないよ。どこを受けるかは……えっと、内緒」

「なんでだよ?」

「その学校まだ硬式野球部ないんだ」

「はあ? 何で野球部が無いとこ受けるんだよ?」

「あ~。んと、隆也と話して決めたんだ」

「……ふうん。そっか。残念だな」


中学の時の桂は、女にしてはそこそこ身長は高い方だったと思う。

今思えば女だから同学年の男と比べて筋肉も薄かった。それなのに、どうやったらあんなに遠くへボールを飛ばせるのか不思議だった。

野球をやっているくせに体質なのか日焼けもせず、もやしみたいだと思っていた。

今、俺の隣りを歩いている頭の位置から考えると、アメリカに行く直前の頃からそれほど伸びなかったようだ。164、5センチといったところか。


「榛名君、身長伸びたね」


俺はドキリとした。今丁度桂の身長の事を考えていたから、もしかして心が読めるのかと妙に焦る。


「えっ? あ、ああそうだな」

「今どれくらい?」

「182くらいかな?」

「まだ伸びそうだね。隆也もまだ伸びるかなあ? やっぱり榛名君くらい身長あったほうがいいよね」


何故そこで隆也の名前が出てくるんだ。まあ、確かにあいつはそんなにでかい方ではないかもしれないが、小さい方でもないだろう。最近会ってないから分からないが。

ちょっとだけ桂の心を占める隆也に嫉妬する。


「まだ隆也のやつも伸びるだろ」

「だといいけど……でも部活終わった後も自主練するなんて、本当すごいね。ちゃんとプロを目標にして頑張ってるんだ」

「ああ、まあな」


部活が終わった後の自主練が終わるまで桂は待ってくれていた。おかげで辺りはすっかり夜だ。

一人で帰すのは危ないからと、俺は自宅まで送ると言って一緒に歩いていた。

なんだか恋人同士みたいでドキドキする。


「部活で先輩ともめたりしなかった?」

「……大丈夫だよ」

「本当に?」

「ーーーまあ、ちょっとだけ、な。でも今は良い関係だよ」


俺の言葉に安心したのか、桂が笑った。


「そっか。良かった……」


ずっと話していたい。どうしてシニア時代にもっと話さなかったんだろう。

俺は猛烈に後悔した。意地なんて張らずに、もっと素直になって桂と仲良くしていれば良かった。

そうすれば、2年間というブランクもなかったし、もっとお互いの事を知れていたはずだ。

なにより、ずっと桂が女だと知らずにいなくて済んだはずだ。

もったいない。


「あ、あのさ桂」

「何?」


そう言って小首を傾げる姿がまた可愛くて、本当についさっきまで男だと思い込んでいたあの桂なのかと疑いそうになる。

それくらい今俺は桂に心を駆り立てられている。


「ま、またこうやって話したい……とか言ったら、怒るか?」

「どうして? 怒る訳ないよ。嬉しいよ。だってシニアの時からもっと榛名君と話したいって思ってたし、今日は久しぶりに話せてすごく嬉しかった」

「本当か?」

「うん。榛名君がシニアチームに入って来た時、何だか偉そうな事言って困らせたみたいだったから、ずっと謝りたかったし」


あの時の事を言っているだろう桂は、申し訳なさそうにごめんねと言って頭を下げた。

それに俺は慌てる。


「違う! 俺、あの時お前に背中を押してもらって、すごい感謝してんだ。だからずっとありがとうっ……て、言いたかったんだけど、なんつーか照れ臭くて、さ。それに俺、お前のことなよなよした女みたいな男だと思ってムカついてたから、本気で避けてたし」


俺は思っていた事を一気に吐露できて少しだけすっきりした。

今日、桂が来てくれて本当に良かった。隣りで嬉しそうに微笑んでいる桂を見る事が出来て、本当に良かった。


「あはは、そっか……良かった、会いに来てーーーあ、そうだ。携帯持ってる?」

「ああ」


そう言うと桂はバッグから携帯を取り出した。それからお互いの番号を交換する。


「へへ、これでメールも出来るね」


ああ、なんて心臓に悪い笑顔なんだ。こんなに可愛いなんて、悪い虫が寄って来て大変なんじゃないだろうか?

うちのマネージャーに恋して、キャプテンと付き合っていると知った時は本当にショックだった。想いを告げることのないまま失恋して以来、女の子には目もくれずに野球に没頭して来たのが報われたのかも知れない。


「ところでお前の家はどこなんだ?」

「あ、もうすぐだよ。本当にごめんね、練習で疲れてるのに送らせちゃって」

「俺が勝手に送るって言ったんだから、お前が気にする事ないだろ?」


桂はじっと俺を見つめて、またあの顔で笑った。


「榛名君ってやっぱり優しいね」


う、わ……この顔マジで反則だろーーー


俺は危うく桂を抱きしめてしまいそうになった。ブンブンと頭を振って邪念を追い払う。


「別に、優しくない。普通だろ、これくらい……」

「わ?」


俺の幸せなひと時をぶち壊したのは、桂の変な声だった。


「どうした?」

「隆也から電話」


そう言って通話ボタンを押した。


「もしもし? うん……ごめん」


どうやら電話の向こうの隆也は怒っているようだ。

頻りに謝って電話を切ると、桂がこちらを向いた。


「送ってくれてありがとう。また、練習見学させてもらってもいい?」

「ああ。ってか隆也のヤツなんだって?」

「帰りが遅いって、怒ってた」

「何でお前の帰りが遅いって分かるんだよ?」

「家が斜め向かいだから、灯りついてないので分かるんだ」

「親父みたいだな」

「何だか昔っから心配性なんだよね。私がドジだから、自分の目が届かない所で人に迷惑かけてるんじゃないか不安みたい」


きっと違う理由だと思ったが、俺は敢えて聞き流した。


「ふうん。まさしく過保護だな」

「あはは。あ、うちすぐそこだから。送ってくれて本当にありがとう。じゃあ、またね。おやすみ」

「ああ、おやすみ」


軽やかに走り去って行く桂に手を振り返し、俺はまた幸せをかみしめた。

これから色々と楽しくなりそうだ。

そう思いながら、俺はくるりと踵を返した。









                               END









最後までお読みくださりありがとうございました☆
えっと、一応ここまででお話は終わりでございます。
中途半端で申し訳ない。
でも同じヒロインで阿部編、花井編を書いてますので、
そちらとも絡めつつ、またいつかアップ出来たらいいなあ。
と思っております!

それでは、またお会い致しましょう!



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