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チェンジ・ザ・ワールド☆
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チェンジ・ザ・ワールド☆

不完〜.16

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不完全燃焼、恋愛模様















 ファミレスはものの見事に客で一杯だった。

 仕方ないので2組に分かれて座る事にする。

 本当は全員座れる席が空くまで待ちたかったのだが、腹をすかせた小春が騒いで煩かったので、仕方なく空いていた席に先に小春・一氏・汐屋が座る事になった。

 その席から少し離れた場所に、千歳・白石・忍足が座った。


「蔵ノ介~。後でこっちの席に来てね~ん」


 相変わらずの調子で手を振る小春を適当にやり過ごし、白石はだるそうに座る千歳に言った。


「ほんまにお前、アホやなあ。さっきのあれはどういうことや?」


 忍足は妙に楽しそうに2人のやり取りを見守っている。


「どうって、別に……それより白石、お前に聞きたかことのあるったい」

「なんや?」

「汐屋の事やけど」

「うん?」

「前に、汐屋からラブレター貰ったやろ?」

「ああ、もろたな」

「あの日、一緒に帰ろうて俺に言ったんは、もしかして汐屋との事ば話したかったけんやなかと?」

「ーーーは?」

「ーーーえ?」


 千歳の質問に目を丸くさせた白石。

 そしてその様子に驚いて何か変な事を言ったのかと考える千歳。


「ちょっと待て。千歳、お前何か勘違いしてへん?」

「え? 勘違いって……だって、汐屋がお前宛のラブレター持っとったし……」

「いや、確かに汐屋から貰ったで。せやけど、差出人は汐屋やないで」

「ーーーーーーーーーーーーーーえ?」


 今の一瞬、完全に千歳の思考は停止した。

 そして次に慌てて汐屋を振り返る。

 楽しそうに小春と一氏と会話をする汐屋。

 ゆっくりと白石へと顔を戻すと、眉間にしわを寄せた。


「差出人が汐屋じゃないって、それなら何で汐屋が持っとったと?」

「アホか、そんなん友達から預かったからに決まっとるやろ?」


 そこで忍足が冷静に突っ込む。


「あ……ば、ばってん、木の枝に引っかかっとったのを取ってやったら、慌てて手紙隠して照れとったばい」

「手紙を木に引っ掛けたんが恥ずかしかったんやろ。友達から預かったラブレターなんやし」

「でも、ラブレターね? って聞いたら誰にも言うなって……」

「はあ……俺はお前がそこまでアホやとは知らんかった。ほんまにアホやな、お前」

「ーーーじゃあ、何で今日謙也達の試合ば一緒に見よったとね?」

「汐屋が見にきとるのはお前も知ってたやろ? 俺はきっと謙也達の所にいるやろ思うて見に行って、やっぱり来とったから話ししてただけや。俺はお前があの女と2人で見にきた方がよっぽどびっくりしたわ」

「千歳はこういう恋愛事はからっきし駄目やな。テニスはごっつう強いんに」


 白石と忍足が揃って千歳を憐れむような目で見る。


 じゃあ、俺は勝手に勘違いして、一人で落ち込んどったって事ねーーー?


「まあ、とにかくや。千歳は汐屋が俺の事好きやて勘違いして、それでさっきの女の告白受け入れたんやな?」


 コクリと頷く。


「あはははっ、もう少し選べよな~。あんな性格悪い女……あ~。でもまあ、顔は確かに可愛かったな」

「ーーーもう何とでも言うてくれ……」


 疲れ果てて頬杖を付く千歳を忍足がからかう。

 それを見て白石が含み笑いをする。


「お前女見る目あるくせに、ほんまにアホやなあ。あの女、ちょっとかっこええ男に片っ端から告白してるて有名やねんで?」

「え? そうやったん? 俺、そげんこつ知らんかった…………はあ。本当に馬鹿やん。自分が情けなか」

「せやから惚れたら負けやなんて嘘や、言うたやろ?」


 白石の言葉に、千歳はこちらを向く。


「そうたい。白石、その言葉の意味が分からんったい」

「せやから、お前が汐屋の事好きなら諦めるな。きっといい事あるでっちゅー意味や」

「は?」

「お前、なんや一人で勝手に落ちとったし、しかもあの女と話しするって聞いた後からこんなんなるんやないか思うてたんや。そうならんように俺がわざわざアドバイスしてやったっちゅーのに、全然アドバイス役に立ってへんもんな。へこむわ」

「アドバイス? あんなんアドバイスち思う方がおかしいやろ?」

「そんなことあらへん。惚れたら負けなんて嘘や。負けてまうって思えるほど好きな女なんて滅多におれへん。それならそれは負けやのうて幸せやんか。その女のために頑張ろうって思えるやろ?」


 千歳は汐屋を再び伺った。

 運ばれた料理を、手際良く皿に取り分けている。

 そんな汐屋の様子を見て、千歳は白石の言葉を噛みしめた。


「そうたいね……白石の言う通りたい」

「お、千歳の顔がいつもの男前に戻ったで」

「大体なあ、もし俺が汐屋の事好きでラブレターもらって喜んどるなら、一番最初にお前に報告して打ちのめすに決まってるやろ?」

「爽やかに恐ろしか事言うのはやめてくれ」


 美しい微笑みを向けられ、千歳は心の底から白石がライバルでなくて良かったと安堵した。


「でもさ、汐屋はどうなん?」


 忍足が漸く運ばれてきた料理を食べながらそう投げかけた。

 千歳はドキリとする。

 一番の問題はそこなのだ。

 じっと白石を見ると、白石も料理を口に運びながら答えた。


「そんなん知らんわ。あいつ、本心が分からなさすぎやねん」

「でもええ子やんな」

「それは否定せえへんわ。なんせ千歳が惚れるような子やもんな」

「千歳も馬鹿が付くほど人がええもんな」


 先ほど、友達もやめると少女に酷い事を言った後だというのに、白石と忍足は自分の事を人がいいと言う。

 からかい半分もあるだろうが、本心である事は恐らく間違いない。

 でなければこんなに長い間友人で居続けるなんて出来ないはずだ。

 白石と忍足も十分すぎるほど人がいいと千歳は思う。


「それってもしかして単純やって事やろ?」

「あはは、気付きよった」

「気付くっていうか、最初から分かっとるたい」

「まあそれは置いといてや……お前達ほどよく知らんけど、汐屋はほんまにええ子やと思うで」


 忍足が楽しそうに言うと、白石が手を止めた。


「せやけど、まだ問題は解決してへんで?」

「ああ……」


 白石が言うのは、汐屋の方言の事だ。

 色々とありすぎて忘れていたが、千歳は汐屋の身にあった過去の出来事が、汐屋本来の姿を覆い隠していると思っている。

 それを知りたいのだが、汐屋はその事をはぐらかす。

 無理に聞く事は出来ない。それでも、少しでも力になりたかった。








                       続く…





ここまでお付き合いありがとうございます。
次で最終回です!!
長かったですねえ…




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