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気息奄々相照らす.3

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streetpoint

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気息奄々相照らす












食事をするようになってからの男の回復力は驚異的だった。

傷の治りが異様に早く、女が思うより動けるようになるまでに要した時間は短かった。


「おっしゃあ! 復活!!」


くるくると器用に板間で回る男に、女はどこから手に入れたのか米を炊きながら言った。


「動けるようになったのならさっさと出て行け」

「ったく、口の悪ぃ女だな。病み上がりの人間に対して言うことが出て行けとはよ」


不貞腐れたようにその場に音を立てて座ると、男は目の前で泡を拭く鍋を舐めるように見た。


「ーーーお前も俺と同じだな」


ちらと目線を男にやり、女は手元の火箸で囲炉裏をかき回す。

何も言わない女に、男は続けた。


「するぜ、くっせえ血の匂いが……ぷんぷんとな。触れるもの全てを切り捨てなきゃ気が済まねえ、修羅の匂い」

「……その入れ墨」


火箸で男の手元を指すと、女は顔を上げた。


「琉球の罪人の島のものだろう?」

「なんだ、知ってるヤツがいるのかよ。そうだぜ、俺は琉球生まれだ。自慢じゃねえが罪人だ……まあ、お前も同じようなもんなんだろ?」

「そうだな」

「なあ……用心棒はいらねえか?」


不適な顔でそう言った男を女は少し目を開いて一瞥し、鼻を鳴らす。


「そんなものはいらん」

「強いぜ?」

「心配するな、私もだ」

「助けてもらった礼のつもりなんだがな」

「ならば出て行ってくれ。それが一番の礼だ」

「ーーーーー」


しばし見つめ合うと、男が先に目を逸らした。

泡を吹く鍋のふたを素早く開け、炊きあがったばかりの米を豪快に掬って食べ始める。


「っしははええああ、ええいっえあうおっ!」

「呑み込んでから話せ、何を言っているのか理解出来ん」

「ーーーがあっ、だから、仕方ねえから出て行ってやるよっつってんだよ」

「そうか」


あっという間に男は鍋の米と干し芋をたいらげると、満足げに腹を叩いて脇に置いていた刀を肩に掛け立ち上がった。


「じゃあな、口の悪い美人の姉ちゃん」


どちらの口が悪いというのか、捨て台詞を吐いて男が出て行った小屋の入り口をしばし見つめ、女はおもむろに立ち上がった。

水瓶の側に置いてあった麻袋を手に取り、外に出る。


「おい!」


木々の間に消えそうになっていた男の背中に声をかける。

振り返った男に向かって、女は麻袋を投げた。


「鎮痛の薬草だ。まだ傷が痛むこともあるだろう、持って行け」


男は見事空中に弧を描いた麻袋をキャッチすると、ニヤリと笑って麻袋を持った手を振った。


「ありがたくもらっとくぜ」










                                続く…







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