チェンジ・ザ・ワールド☆
真壁8日目・No.2
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私のやんごとなき王子様
一番遠くの部屋から始めて、順調に作業部屋を廻っていた時だった。廊下の窓から向こう側の廊下が見えて、そこに見覚えのある大きな人物の後ろ姿がチラリと映った。
あ、真壁先生発見。
私は残りの部屋の点検を進めながら足早に真壁先生のいる廊下へと向かった。
壁から顔を覗かせると、案の定、真壁先生がソファーの横に立っているのを見つけた。
「せ……」
私が声をかけようと足を一歩踏み出した時だった。
「お前、本気で言ってるのか?」
真壁先生のその言葉に私は思わず動きを止め、壁のこちら側へ急いで隠れた。
先生の立つ向こうにはもう一人誰かいるようだ。
「……本気です。本気で私は真壁先生の事が好きなんです!」
えっ……?
今、私が聞き間違えていなければ、真壁先生の事が好きだと聞こえた。
――嘘。もしかしたら私はとんでもない所にやって来たんじゃないの?
ドキドキと早くなる心臓。
そっと壁から先生達の様子を見た。
!?
なんと、先生の前のソファーに座っていたのは水原さんだった。
真剣な顔で真壁先生を見上げている。
「水原、俺は教師でお前は生徒だ。簡単に言って良い言葉じゃないのはお前だって分かってるだろ?」
「今すぐ返事を下さいとは言いません。先生の立場は分かってます。ご迷惑だって事も……でも、好きって気持ちは本当なんです!」
だ、駄目だ。これ以上ここにいちゃいけない。
私はゆっくりとその場を離れ、階段を急いで降りた。
一気に一階まで降りると、生徒指導の部屋の前で足を止める。
先生の言葉が頭の中で何度もこだまする。
『俺は教師でお前は生徒だ』
分かってる。
そんな事水原さんだって私だって十分すぎるほど分かってる!
「……どうしよう、なんでこんなに苦しいの?」
ギリギリと痛む胸を押さえ、私は壁にもたれかかった。
「おう、小日向。ご苦労様」
「あ、はいっ」
急に開いたドアから出て来た先生に、私は弾かれたように体を戻して頭を下げる。
「あの、残っている生徒はいなかったんですけど、真壁先生にはお会いしなかったので伝えてません」
「そうか。分かった。じゃあお前は部屋に戻れ。また明日もよろしくな」
「はい。失礼します!」
大げさに頭を下げ、私はぐっと足元を睨んだまま廊下を歩いた。
歩きながら確信していた。
そう、私は水原さんと同じ。真壁先生の事が好きなのだ―――
望みのない恋をしてしまったのだ、と。
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