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  • 『太陽の人形芝居』2(前編)

『太陽の人形芝居』2(前編)

最終更新:2012年06月07日 20:56

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『太陽の人形芝居』2(前編) ◆hqLsjDR84w



 ◇ ◇ ◇


 告げられた放送の内容に、ジャン・ジャックモンドの思考は停止した。
 十六名もの参加者がすでに死したことには、大して驚いていない。
 被害者が出るのを止められなかったのはもちろん歯がゆいが、あくまで予想の範疇内だ。
 アーカム財団直属のS級特殊工作員・スプリガンとして様々な修羅場を潜り抜けてきたからこそ、人間が案外簡単に死んでしまうものだとよく知っている。
 また、巴武士が呼ばれ、ゼオン・ベルは呼ばれなかった。
 こちらも意外ではなかった。薄々、察しがついていた。

 だが――御神苗優。

 彼の名が呼ばれるとは、まったく考えていなかった。
 巴武士のように甘ちゃんであるのは、誰よりもよく分かっていたはずなのにだ。
 なかなか力をつけてきたとはいえ、ゼオンのような優の力を上回る相手がいるのも思い知っていたはずだ。
 にもかかわらずこうして放送で名前が呼ばれるまで、ジャンは優が死ぬ可能性を欠片も考慮していなかった。
 あの甘い性格からして、下手したら死にかけているかもしれないな――と。
 多少はそのようなことを考えていたというのに、不思議と実際に死んでいるとは全然思っていなかった。
 死にかけるところまで想像しておきながら、死ぬヴィジョンが浮かんでいなかった。
 優が死んだという情報よりも、彼の死を想定していなかったらしい自分のほうに、なぜだかジャンは驚いていた。

(いや、アイツのことだ。
 キース・ブラックのヤローに気付かれねえように、この首輪外しただけじゃ……いや、ない)

 脳内に浮かんだ可能性を、ジャンは自ら否定する。
 現時点で、一つも手掛かりが掴めていない首輪だ。
 どうして、それを六時間足らずで外してしまえるのか。
 工学知識をいくらか持ち合わせていても、スプリガンは決してその道のスペシャリストではないというのに。

(ありえねえ。なに腑抜けたこと考えてやがる。夢見てる場合じゃねえだろ。ふざけんな。アイツは死んだ。それだけだろうが)

 あまりに現実離れしていた希望的観測をした自分に、ジャンは苛立ちを募らせる。
 いまのいままで考えてはいなかったが、言われてみれば優が死ぬのは意外でもなんでもない。
 これまでだって、ジャンが助太刀しなければ何度も死んでいたようなヤツだったではないか。
 むしろ、ある種当たり前なのかもしれない。
 自分にいくらそう言い聞かせても、どうしてもどこか納得できない。
 ジャンにはその理由がまったく分からず、やはり苛立つばかりだった。

「……世の中には、悪党が多すぎますわ」

 思考の渦からジャンを引きずり出したのは、搾り出したような声だった。
 顔を上げてみれば、剛力番長が沈痛な面持ちを浮かべている。
 知り合いでも呼ばれたのだろうか。
 ともあれ身構えていると、唐突に剛力番長の表情が鋭くなる。
 ジャンがそれを認識したときには、すでに彼の身体は宙を舞っていた。
 ガードを崩されたのではなく、ガードの上から殴り飛ばされたのだ。


 ◇ ◇ ◇


 森林を進む白いワンボックスカー・ハイエースの車内には、沈黙が広がっていた。
 後部座席に座っているガッシュ・ベルは、傍らにいる兜光一と運転席の暁巌を見やる。
 兜は俯いたまま微動だにせず、暁は無表情を貫いているが御神苗優という名が呼ばれた際に僅かに表情を曇らせた。
 ガッシュの知る名は、放送で呼ばれなかった。
 才賀正二も打ち所がよかったのか、死なずに済んだらしい。
 それでも十六名が死んだのだ。
 とても、素直には喜べないでいた。

「なぜ、十六人も死なねばならなかったのだ……」

 思わず、ガッシュの口から疑問が零れる。
 誰も返事をせず、再び車内を静寂が包む。
 それでも、ガッシュは続ける。
 自らの疑問に、自ら答えるように。

「喜び勇んで他者に襲いかかる輩は、きっと少ない。そう……信じたい。
 なかには……おそらく、好き好んで他人を傷付けるものもいるだろう……が。
 しかしそやつらのなかにも、きっと良心はある……に違いない。
 ただ、殺し合えと命ぜられたのがきっかけで、人を傷付けるようになってしまった、だけで……あって」

 ところどころ詰まらせながら。
 言いながら続きを考えて、それをそのまま口にしていく。

「戦いたくもないものを……このように無理矢理戦わせるなど、断じて許してはならん。
 このような殺し合い……こんなものは、絶対に止めねばならんのだ!
 上に立つものが殺し合いを命じ、人々を悲しませるのならば……! やはり、私が――!」

 少しずつ、言葉が詰まる回数が減っていく。
 話しているうちに、考えが固まった。
 ガッシュの大きな金色の瞳が、奥のほうから光輝く。
 迷いはもうない。
 だから、二度と言葉が詰まることはない。
 行こうと決めた道に、過ちはなかったのだ。

「やさしい王様となる他ないッ!!」

 高らかに宣言し、ガッシュは車内にいる二人に視線を向ける。
 もう、兜は俯いておらず、暁は微かに笑みを浮かべていた。

「やさしい王様ねえ……そんなのがいてくれたらいいかもな」

 兜が笑いながら、ごつごつとした手を伸ばしてくる。
 髪をぐしゃぐしゃと掻き回されるが、ガッシュにはなぜだか心地よかった。

 そんなことを思っているうちに、ハイエースが森林を抜けた。
 先ほどまで木々に阻まれていた日光が、一気に車内に射し込んでくる。
 眩しさに目を細めながら、ガッシュは開けた視界を確認する。
 そこに、ホウキに乗って去って行った女性の姿はなかった。

 いたのは、血塗れの正二と――戦う男女だけだ。

 それを視認した途端、ガッシュはハイエースの扉を開けていた。
 制止の声も聞かず、転げ落ちるようにして車外に飛び出した。


 予期せぬ乱入者に、剛力番長は眉をひそめる。
 空中に上げたところに追撃のハイキックを浴びせると、ジャンは仰向けに倒れたまま動かなくなった。
 そちらに歩み寄っていけば、あと一撃で仕留められる。
 そのタイミングで、ガッシュが割って入ってきたのだ。
 ジャンを庇うように前に立って、両腕を大きく広げている。

「……どういうつもりですの、少年」
「少年ではないッ! ガッシュ・ベルという! よければ、おぬしの名前も教えてくれんか!」
「白雪宮拳、またの名を剛力番長ですわ」
「ウヌ、拳か! 拳に、一つ聞きたいことがある」

 手を広げたまま、ガッシュは視線を鋭くする。

「おぬしは、キース・ブラックの言葉に従うつもりなのか!?」

 剛力番長は少しムッとなった。
 正義の体現者たる自身が、殺し合いに乗っていると思われたのだ。
 しかし子どもの言うことだと、すぐに思い直す。
 勘違いしているだけなのだろうと判断し、自分は正義を実行する番長だと宣言する。
 すると、ガッシュは怪訝そうに首を捻った。

「ならば、なぜこの男を倒そうとしておるのだ!?」

 血塗れの正二を指差し、剛力番長は答える。

「あの老人を痛めつけていたからですわ。
 そのような輩が悪党でないはずがありませんわ」

 ここまで会話をしたところで、ようやく停車させたハイエースから暁と兜が降りてくる。
 彼らは警戒心を隠そうとせず、自然に剛力番長も腰を低く落とした。

「来るでない! 私は拳と一対一で話をしたいのだ!
 心配せずとも、拳は悪人などではない! 安心して見守っていてくれッ!」

 しかし、ガッシュは歩み寄ってくる二人を制する。
 剛力番長に視線を向けたままで、再び切り出す。

「私も、先ほど正二を階段から突き落とした」
「――ッ!?」

 剛力番長が目を見開く。暁と兜も同じ反応をした。
 つい声が小さくなりそうになるが、ガッシュは震える口元に力を入れる。

「決して悪気があったワケではない!
 私の大事な魔本を奪われてしまったのもあって、正二を強く責め立てた!
 そしてなぜか会話が噛み合わないことに戸惑い、恐怖に駆られて突き落してしまった! その上、逃げ出したのだ!」

 言い切って、ガッシュは正二のほうに向き直る。
 視線を逸らしたくなるが、それはしなかった。
 夢を抱き続けるには、過去の過ちと向き合わねばならない。
 そう、思った。

「謝って許されることではないと分かっているが……それでも、言わせて欲しいのだ。
 本当にすまなかった、正二……」

 前を向いていなければならない。
 目に見える光景から目を背けてはならない。
 分かっているはずなのに、なぜだかガッシュの視界が滲んでいく。
 それが涙のせいだと気付いて止めようとしても、ずっと流れたままだ。
 その視界のぼやけを振り払うかのように、正二の声がガッシュの鼓膜を揺らした。

「いいんだよ、ガッシュくん。
 こちらも覚えのないことを言われ、つい君の気持ちを考える余裕を失っていた。
 だから……僕のほうも許してくれ」
「ウ、ウヌ……ありがとう、なのだ……」

 溢れる涙の勢いが、さらに凄まじくなった。
 どうにか袖で鼻水もろとも拭って、ガッシュは剛力番長のほうを見やる。

「このように、思いがけず人を傷つけてしまうこともある。
 それを踏まえた上でも、この男が悪党だと言えるのか!?」

 ガッシュの剣幕に、剛力番長は息を呑む。
 だが、剛力番長は正二を殴りつけるジャンの姿を見ている。
 あの姿を思い返してみれば、とても意図せず傷付けたとは思えない。
 剛力番長が言うと、ガッシュは正二に真偽を尋ねる。

「ああ、確かに私は彼に問答無用で殴り掛かられた。しかし――」
「やっぱりですわ! ガッシュくん、早くそこをお退きになって下さい!」
「待つのだ! 正二は、まだなにかを言おうとしているのだ!」

 しかし、剛力番長は聞く耳を持たない。
 ジャンを仕留めるべく歩み寄っていき、ついに前に立つガッシュとの距離がゼロになる。

「どいてください、ですわ」

 剛力番長に鋭く睨みつけられるが、ガッシュは怯まなかった。
 ここで退いてしまえば、ジャンがやられてしまうかもしれない。
 そんなものは、認められない。
 誰かを見捨てて、やさしい王様になぞなれるものか。
 胸をそびやかして思い切り睨み返しながら、ガッシュはこれまで以上の大声を作る。

「なぜ、自分が勘違いをしている可能性を考えないッ!!!」

 剛力番長が、ハッと目を見開く。
 その間に、ガッシュは一気に言葉を浴びせる。

「悪を許せぬという気持ちは、大いに分かる! 私だってそうだ!
 だが! だからこそ! そうそう、悪いものがいるとは信じたくない!
 相手の言い分を一切聞かず、一度下した判断を覆さぬのなど……まるで世の中に悪が多数存在すると思っているようではないか!」

 かつての失敗が、剛力番長の脳を過った。
 倒すべき悪を見誤り、見当違いの正義を実行していたのだ。
 そのときのことを思い出した途端、目の前の小さな少年に、誰よりも大きな背中を持つ番長の姿が重なった。
 そして、熱くなっていた頭が急速に冷えていく。
 剛力番長だって、できることなら世の中に悪は少なくあって欲しいのだ。
 ゆえに剛力番長はジャンに近付かずに、拳ではなく言葉を浴びせることにした。

「よろしければ、アナタの言い分を訊かせてくれませんか?」

 これに対し、ジャンは仰向けのまま吐き捨てるように答えた。

「…………さっきから言ってんだろうが、ちくしょう」


 ジャンの話を聞き、ガッシュと正二は首を捻った。
 彼が正二に襲われたというそのとき、正二はガッシュと一緒にいたはずである。
 剛力番長はすぐさまジャンが嘘を吐いていると判断し、再び飛びかかろうとする。
 それを制してから、ガッシュは自身の殺し合いに巻き込まれてからの記憶を話す。
 剛力番長の鋭い視線が、今度は正二のほうに向けられる。
 それにたじろがず、最後に正二が自身の言い分を話す。

「…………どういうことですの?」

 全員の証言を聞き、剛力番長は眉根を寄せた。

 ――まったく噛み合わない。

「……まっ、俺はお前を信じたいとこだけどな」
「別に、信じ合ってるような関係じゃねーだろ」
「なーに言ってんだよ、共闘した仲だろうが」
「アレはお互い生き延びるために、だっただろ」
「そりゃそうだ」

 ジャンと軽口を交わしつつ、暁は正二に冷たい視線を這わす。
 もしジャンの話を信じるとすれば、才賀正二はかなりの役者である。
 このようにまったく心当たりがない演技をしながら、胸中で舌を出しているというのも考えられよう。
 とはいえ、そんな輩が血塗れになるまで追い詰められるだろうか。
 話によると、その際に正二は初戦で使った戦闘技術を一つも使わなかったのだという。
 あまりにも不自然だ。理由が分からない。
 ジャンもそう思いトドメを刺さなかったからよかったが、それを読んで技を温存したとは思えない。

「正二、本当に知らないのか……? 赤くて、このくらいの本なのだが……」

 ガッシュがジェスチャーをしながら尋ねているが、正二は首を捻るばかりだ。
 それを見ていた兜のなかに、ある可能性が浮かぶ。

「爺さん……アンタ、『二人』いるんじゃねーのか?」
「二人、とはどういうことだい?」

 怪訝そうに問い返してくる正二に、兜は頭を掻き毟りながら答える。
 あくまで仮説が浮かびかけたところであって、明確な答えが見えているワケではない。

「なんていうか……説明しろっつわれると、難しいんだけどよ。
 魔本ってのを取られたあと、ガッシュは意識失っちまったんだろ?
 そんで、そのあとにアンタがガッシュを発見して保護した。
 その保護してる間に、ジャンが『魔本を持ったアンタ』に出会ったってことは……
 『魔本を持ってるアンタ』と『魔本を持ってないアンタ』が、別々にいるなら納得できるんじゃねーかなと思ってよ」

 説明が終わったというのに、誰も口を開こうとしない。
 慌てて、兜は別の言い方を考える。
 どうにか人に伝わるように、頭のなかにある仮説を噛み砕こうとする。

「だ、だから、よーするに……えーと。
 正二Aと正二Bがいるとしてだな。正二Aは、アンタ本人だ。
 んで正二Bが、殺し合い開始直後にガッシュと会って魔本奪って、そのあとジャンに襲いかかって――」
「いや、言おうとしていることは伝わってる。
 ようは、才賀正二の姿に化けてるヤツがいるかもしれねぇ……ってことだろ」

 必死で言い直している兜を遮ったのは、暁である。

「それなら……まあ頷ける。
 だが、だとすれば、その偽物はどうやってに化けた?
 ガッシュとジャンの話だと、口調もまったく同じだったらしい。
 よほど長い付き合いじゃなきゃ、そこまでトレースできねえぜ。アンタ、心当たりはあるか?」

 尋ねられた正二のなかに、ある男の姿が浮かぶ。
 思うままに顔や声を変化することができ、正二との付き合いも長い。
 しかし――彼に限って、人を襲ったりするはずがない。
 才賀正二最良の友人であると同時に、よくできた好人物であるのだから。
 そもそも、彼の名は名簿に書かれていない。

「……いや、思い浮かばないな。
 名簿には私が知る名が六つ書かれているが、うち二つは人形であるし、残った四人も私の家族や友人だけだ」
「ふむ……」

 暁は口元を掌で押さえながら、黙考する。
 正二自身が自覚していないだけで、ガッシュを発見する前に他の参加者に見つかっている可能性はある。
 だとしても口調までトレースするのは不可能であり、もともと知らぬ相手という線はないだろう。

「ってことは、もともとのアンタの知り合いだけどアンタが名前を知らないヤツ――って辺りか。
 どっかで恨み買ったりしてないのか?」
「心当たりはないが……」
「ま、逆恨みって線もある。だとすれば、運が悪かったな」

 口には出していないが、暁のなかにはもう一つの可能性が浮かんでいた。
 家族や友人が正二に化けている――という場合である。
 生きるか死ぬかの状況である。
 いかなる相手といえど、信用しすぎるワケにはいかない。
 そう思っていながらも、暁はわざわざ口には出さなかった。
 ひとまず落ち着いたというのに、いちいち物事をこじらせる必要はない。
 自分が胸に留めておけばいいだけだと、そのように判断した。
 ジャンの耳元に顔を寄せ、暁はささやくようにして問いかける。

「ってワケでどうだ?」
「……合点はいくが、はいそうですかと全部信じる気は毛頭ねーよ」
「そらそうだよな。
 ま、警戒するにこしたことねえ。こんな状況だしな」

 そんな微かな声は届いていなかったようで、ガッシュと剛力番長は安堵の息を吐いていた。
 正二に満面の笑みを向けながら、これからのことを語っている。

「正二さんの名を騙る悪党がいるようですが、私たちならば問題ありませんわ!」
「ウヌ! 思い違いをして大変なことになってしまったが、こうして本当のことが分かってよかったのだ!」
「雨降って地固まる、ですわね!」
「ウ、ウヌ……? そう、なのか……?」
「そうですわ! 今後も障害が立ちはだかるでしょうけれど、私たち六人がいれば越えられないものではありませんわ!」
「ウヌ! 頑張るのだ!」

 剛力番長が話を聞かなかったせいで余計に話がこんがらがったのだが、素知らぬ顔で騒いでいる。
 その姿を見ると、ジャンはどうにもやるせなくなる思いだった。

「そういやよ、あのガキの夢教えてやろうか?」
「あァ? なんだよ」
「やさしい王様、だってよ」
「……なんだそりゃ」

 素っ気ない態度を取っていたジャンが、意図せず目を丸くする。
 適当に聞き流すつもりだったのに、つい聞き返してしまう。
 それに答えたのは、笑みを浮かべた兜だった。

「上に立つものがやさしかったら、誰かが悲しくなる命令なんかしないから、だってよ」
「はッ」

 短く笑い飛ばすはずだったが、勝手にジャンの頬は緩んでいた。
 暁の目敏さはよく知っているので、思ったことを正直に話すことにする。

「いいんじゃねーの。ガキっぽくて」
「ほほう。お前がそういう反応するとは意外だな。
 お前ら二人のコンビは、理想家の御神苗とリアリストのお前ってイメージだったんだけどな」
「んだよ。俺にだって、夢見るガキの頃はあったんだぜ」

 冗談っぽい口調で言ってから、不機嫌そうな表情になる。

「つーか、俺はアイツとコンビなんか組んだ覚えはねーよ。
 アイツがあんまりにもスプリガンの面汚しだから、仕方なく助けてやってただけだ。
 スプリガンがそうそう簡単にやられたんじゃ、アーカムの名にも関わんだろ。ま、もうそんな手間かけさせられずに済むみてーだけどな」

 本当にせいせいするぜ。
 そう言い放ってから、ジャンは暁に背を向ける。
 死んだヤツのことなんか忘れてやろうと思っていたのに、いきなり思い出すハメになってしまった。
 殺しにかかってきた相手でさえ、御神苗優と来たら極力殺さないで済ませようとしていた。

(なんだってんだ、どいつもこいつも似たよーなもん抱えて逝きやがって)

 ともにゼオンと戦った巴武士も、似たような信念を持っていた。
 とんだ甘ちゃんだと、ジャンは思う。その考えは変わらないし、変える気もない。
 いかに痛めつけたところで、殺しておかねば回復したあとにまた仕掛けてくるかもしれない。
 自分に襲いかかってくるならばともかく、仲間に手をかけてくる恐れもある。
 実際、優が殺さなかった敵が、のちにアーカムの構成員を手にかけたという事件があった。

(…………ま、再起不能にまで追いやった上で、殺さずに済ませるならいいけどよ)

 にもかかわらず、ジャンは不思議とこんなことを考えてしまっている。
 らしくないなと思いながらも、別に嫌な気はしなかった。

「それにしても不思議ですわ……」
「ヌウウ……本当に気になるのだ」

 ジャンが思考を切り上げると、剛力番長とガッシュが腕を組んで考え込んでいた。

「「自分に非がないのに、どうしてあの女性は逃げて行った んでしょう/のだ 」」

 がくっと膝から崩れそうになりながらも、ジャンはどうにか踏み止まる。
 無表情を貫こうとしても、眉がひくつくのは抑えられなかった。

「まあ考えても分からないものは、仕方がありませんわ!」

 割とすぐに気を取り直して、剛力番長は北東を指差す。
 駅や商店街など、人が集まりそうな施設がある方角だ。

「とにかく、仲間を増やして殺し合いを止めましょう!」

 そう宣言して、剛力番長は進んでいく。
 どうやら悪人でないと分かった途端に、全員ともに行動すると決めたらしい。
 暁とジャンは肩を竦めるが、他の三人に異論はないらしい。
 文句一つ言わずに、後ろをついていっている。

「付き合うしかねーのかね?」
「……才賀正二を放っとくワケにもいかねーだろ」

 大きくため息を吐いて、ジャンが四人を追う。
 それを見た暁は意外そうに目を見開いてから、ハイエースの入った蔵王を取り出す。

「おい、待てよ。
 歩いてくより、これに乗ったほうが――」

 暁の声を遮るように、銃声が響いた。
 ほとんど同時に、青々とした草の生い茂る地面が爆ぜる。
 草もろとも地面の表面が抉り取られ、赤茶の土が露になる。
 地面に空いた穴の大きさから、ジャンと暁はすぐに銃弾の正体を見抜く。

 ――対AM(アーマードマッスル)スーツ用精神感応金属(オリハルコン)製特殊ライフル弾。

 狙撃されたことに気付くや否や、ジャンと暁は即座に狙撃ポイントを特定する。
 しかし分かったはいいが、生い茂る樹木の奥だ。
 ここからなにかを投擲したところで、上手く届くとは思えない。
 ならば接近するしかないが、狙撃主相手にまっすぐ近付くのは得策ではない。
 獣人やAMスーツの速度を考慮しても、距離的に撃つ暇を与えないのは不可能だ。
 身を隠そうにも、相手の銃弾はAMスーツ用に開発された代物だ。
 生半可なものを盾にしたのでは、弾切れを待っている間に息絶えてしまう。
 寺があれば身を隠したのだが、剛力番長の張り手によって瓦礫の山に成り果てている。
 そこまで思い至り、ジャンと暁は地面を蹴った。

 ――再度の銃声。


 ◇ ◇ ◇


 弾丸が命中した地点から、北に七十メートルほど離れた場所。
 密生する樹木に姿を隠し、襲撃者はライフルを構えていた。

「ひひひひ! アイツらビックリしてやがるぜ、パウルマン!」
「ああ、そうだな。とても笑えるな」
「笑えるよなァ!」

 響き渡る声は、二種類。
 だが、襲撃者は二人ではない。
 二体――だ。
 なぜなら、彼らは二体一組の自動人形(オートマータ)・パウルマンとアンゼルムスであるのだから。

「さァて、鬱憤晴らすぜェェェ」

 子どもを模したボディでありながら、アンゼルムスの両腕はやたらと長い。
 一目で人形と分かるアンバランスな腕は、銃身の長いライフルを扱うには非常に便利であった。
 その傍らに立つパウルマンは、アンゼルムスとは違って成人男性型だ。
 ただ数時間前に受けたダメージにより、顎が派手にひん曲がってしまっている。
 そのせいで、こちらも一目で人形と分かる外見となっている。

「どいつを狙うんだ、アンゼルムス?」

 武骨な両刃剣・ヴァルセーレの剣を携えながら、パウルマンが尋ねる。
 一発目を外したのは、彼らが自動人形であるゆえだ。
 普段は使わぬ人間の武器を用いての人間狩り。
 それだけでもおもしろそうだが、しかし彼らはその程度で満足しない。
 もともと道化として作られた彼らは、よりいっそうの愉快さを求めるのだ。

 ゆえに、一発目を外した。

 不意を打てば、殺すのは簡単だろう。
 だが、それでは人間が愉快に怯えてくれない。
 相手は五人いるのだから、一人殺しても四人残る。
 そう分かっていても、もったいないという思いのほうが強かった。

 狙われていると認識し、殺される恐怖に怯え、自分が狙われないよう願い、知らず他の四人の死を祈り――そこを撃つ。

 一人が祈りが通じず死んでいき、残った四人が一瞬歓喜してしまう。
 醜い自分の心を思い知り絶望したところで、さらに同じことを行う。
 最後の一人まで繰り返してやり、残った一人はもう死ぬしかなくなる。
 それこそ、おもしろいではないか。
 それこそ、笑ってしまうではないか。
 いままで数え切れぬほど殺してきた彼らは、そのようなプランを立てたのだ。

「そうだなァ、栄えある一人目はァ――」

 鼻歌を鳴らしながら、ライフルの銃口を勢いよく動かす。
 パウルマンにも標的を特定できないようにする演出だ。
 さんざんもったいぶってから、アンゼルムスはライフルを止め引き金に手をかけた。

「こいつだッ!!」


 ◇ ◇ ◇


 ジャンと暁の選択は、まったく同じだった。
 一跳びで仲間の元に肉薄し、そのまま仲間を掴んで飛び退く。
 それ以外には、なにもできなかった。
 自分ともう一人を守るしか、やれることはなかったのだ。
 ジャンはガッシュを、暁は兜を、庇うように抱きかかえて地面に転がった。
 狙撃された事実さえ知らないだろう二人を、優先して助けるべき相手と相手を選んだのだ。
 剛力番長と正二は狙撃に気付いているかもしれないが、この二人はおそらくなにも分かっていないから。

 事実、剛力番長と正二は狙撃に気付いていた。
 片や番長としての経験が、片や人形破壊者(しろがね)の身体能力が、放たれた銃弾に勘付いたのだ。
 だが、正二は動くことができなかった。
 多少回復したとはいえ、あまりに血を流しすぎていた。
 咄嗟に飛び退くこともできず、ただ茫然と立ち尽くすだけだ。
 剛力番長は、それを察してしまった。
 だから――

「お任せあれですわ、正二さん」

 はにかむように言うと、剛力番長は両腕を広げて正二の前に立ち塞がった。

 剛力番長こと白雪宮拳は、特異体質者である。
 二億人に一人が発症するという『ヒュペリオン体質』。
 この体質を持つものは、通常より遥かに筋繊維の密度が濃い。
 加えて、彼女は正義を実行するためにトレーニングを欠かさない。
 生まれ持った特異体質に、並々ならぬ訓練を重ねてきたのだ。
 結果、小柄で華奢な体格にかかわらず、剛力番長の肉体に詰まった筋繊維は膨大だ。
 もしも彼女の筋繊維密度が常人と同程度であったならば、彼女の体積は数十倍まで膨れ上がるだろう。
 そのため、彼女の肉体に銃弾は通らない。

 しかし、いま放たれたのは単なる銃弾ではない。

 対AMスーツ用の特殊弾丸だ。
 使い手の精神に感応して、筋力を三十倍まで増幅させる――そんな代物を貫く逸品なのだ。

「あ、ら……?」

 銃弾を受けたと同時に、剛力番長は違和感を抱いた。
 撃たれた程度では、なにも感じないはずなのだ。
 だというのに、どうして痛みを感じているのか。
 考えても考えても、答えは出ない。
 まったく理由が定かではない。
 けれど、このままだとどうなってしまうのかはよく分かった。

「あァァーーーッ!」

 喉が削れるような絶叫を上げながら、剛力番長は腹筋に力を籠める。
 ぶちぶちとなにかが千切れる音が、体内を伝わって鼓膜まで届く。

「知ったことかッ! ですわァァァーーーーッ!!」

 無視してさらに力を入れると、千切れる音が大きくなっていく。
 すでに痛みは腹ではなく、背中まで及んでいる。
 咄嗟に背中に掌を当てると、肉体を貫通したライフル弾が飛び出してきた。
 それを掴み取って、思い切り地面に叩き付けてやる。
 首を後ろに回して、正二に笑みを向ける。
 そうして反撃しようと踏み込んだ――つもりだった。
 なぜだか視界がぶれ、地面が近付いてきている。
 見れば、腹に空いた大きな穴から管のようなものが多数飛び出していた。

「迷惑かけて申し訳ありませんでしたわ、みなさん」

 なぜか、そんな言葉が口から飛び出してきた。
 伝えるべきことを伝えて、剛力番長は迫りくる地面を見据える。
 まだ身体に力は入る。
 当たり前だ。
 彼女は番長であり、番長とはスジを通すものなのだから。
 通すべきスジを通さずに倒れるなど、ありえない。
 右手に力を籠めて、落下と同時に地面に叩き付ける。

「『神の張り手(ディバイン・ハンド)』ォォーーーーッ!!!」

 地面が割れ、狙撃手まで一直線に亀裂が走っていく。
 さらに地面が一撃が粉砕され、砂煙となって周囲に立ち込める。
 これでは、狙撃などとてもできないだろう。
 狙撃手までの道も作った。
 腹から臓物を撒き散らし、冷たい地面に叩き付けられ――
 それでもなお、剛力番長こと白雪宮拳は微笑みを浮かべながら逝った。


 剛力番長の意図は、問題なくジャンと暁に伝わっていた。
 砂煙が治まってしまうより前に勝負を決めるべく、彼らは身体を疾風とする。
 唐突に視界に現れたことに驚いたのか、パウルマンとアンゼルムスがうろたえながらそれぞれの武器を前に出す。
 だが、彼らはやはり人間の武器に慣れていない。
 自動人形ゆえ運動速度は人間よりも速くとも、技術がともなっていないのだ。
 いくら素早い動作でもただ武器を振るうだけでは、あらゆる戦場を潜り抜けてきた二人は捉えられない。
 ジャンはスプリガン最高の身体能力を誇る男であり、暁はいかなる危険地帯からでも帰還する『生還者(リターニングマン)』であるのだから。

「遅ェ!」
「当たらねえよ」

 ジャンの嵌めた手甲型魔道具・門構に払われ、対AMスーツ用特殊ライフルが宙を舞う。
 機械式AMスーツによって強化された暁の裏拳に弾かれ、ヴァルセーレの剣が地面に落ちる。
 パウルマンとアンゼルムスは慌てて武器を取ろうとするが、やすやすとそれを行わせてくれるはずもない。
 跪いて剣を拾おうとしたパウルマンは暁に足を払われ、地面にうつ伏せに倒れたところを上から踏み付けられてしまう。
 ライフルを掴もうと腕を伸ばしたアンゼルムスは、そのやたら長い腕をジャンに掴まれ、身動きが取れなくなる。
 振り払おうとしても叶わず、二体一組の自動人形は押さえ込まれてしまう。

「はん。やっぱトライデントの作ったライフルかよ」

 アンゼルムスの腕を掴んでいない右手で、ジャンは落下してきたライフルを危なげなくキャッチする。
 まじまじと銃身を眺めていると、暁の足の下でパウルマンがすすり泣くような声を零す。

「う、うおぉぉ……やめてくれぇ。
 そのライフルで撃つのだけは、カンベンしてくれぇ……」

 あまりに予想外の言葉には、ジャンは己の耳を疑う。
 自分は他人を撃っておきながら、こんな言い分が頷けるはずがない。
 別に、剛力番長を仲間だと思っていたワケではない。
 むしろ、散々迷惑をかけられたため、あまりよい印象は持っていなかった。
 それでも、なぜか剛力番長自身はジャンを仲間と見なしていたらしい。
 そう思うと、そんな彼女がこんな輩に殺された事実が癇に障った。
 ちゃき――と。
 ジャンの手のなかで、ライフルが音を立てた。

 砂煙のなかでなにが起こっているのか、しろがねの視力で正二は黙視できていた。
 ゆえに、未だ回復しきっていない身体に喝を入れ、無理矢理大声を上げる。

「やめるんだ、ジャンくん!
 そいつらにその手の武器を向けてはならない!!」

 もしも――

 この場に、正二以外にもう一人しろがねがいたならば。

 ライフルを手にしたのがジャンでなく、暁であったのならば。

 パウルマンとアンゼルムスの襲撃が、とうにジャンが正二への疑念を晴らしたあとであったならば。

 自動人形にライフルを向けるなどという、自動人形を知るものならば絶対に犯さぬ過ちは為されなかったかもしれない。

 ジャンがパウルマンにライフルを向け、引き金に手をかけた。
 そして引き金を引くまでのほんの短い間に、パウルマンはこれまで見せていなかった速度を発揮したのだ。
 己を踏み付けていた暁を払いのけて、即座に背後に回ると、一瞬前まで自分が倒れていた位置に組み伏せた。

 結果――ライフルから射出された弾丸は、暁の胸を撃ち抜いた。

「…………あ?」

 眼前で繰り広げられた光景が理解できず、ジャンは間の抜けた声を漏らす。
 とはいえ、ジャンは戦場の住人だ。
 理解できないながらも、ライフルをパウルマンに向ける。

 ――その行動が、パウルマンの枷を外すとも知らずに。

 武器を持ってない人間相手には、自動人形は全力を出すことができない。
 これは元来道化として作られたため、素手の相手はつい観客と見なしてしまうのだ。
 観客を前にして、道化が目に見えぬ速度で動くワケにはいかない。
 これを自動人形たちは『黄金律(ゴールデンルール)』と呼んでいる。
 だが武器を持った人間はもはや観客ではなく、ゆえに黄金律は働かないのだ。

「ふはははははッ!」

 哄笑を上げながら、パウルマンは暁を持ち上げて盾とする。
 思わず発砲を躊躇し、ジャンは動きを止めてしまう。
 パウルマンは、相手が仲間を見捨てられないタイプだと察する。
 ゆえに暁を放り投げると、ジャンは案の定抱きかかえた。
 その隙に、パウルマンはヴァルセーレの剣を拾い上げていた。

「――があッ!」

 刃がジャンの腹を貫通し、大木へと突き刺さる。
 ジャンは、大木に縫い付けられる形となった。
 先ほどまで押さえつけていたアンゼルムスが、勝ち誇った表情で覗きこんでくる。

「ひひひひ。ザマァねえなぁ、人間!」

 強引に剣を抜いて飛びかかってやろうかと思ったが、ジャンが思うように身体に力が入らない。
 ヴァルセーレの剣の特性であるエネルギー吸収のせいだ。
 歯を噛み締めるしかできずにいると、パウルマンが歩み寄ってきた。

「貴様を殺すのは、最後にしてやろう」
「あァ? そいつは、どういう――」

 尋ねずとも、すぐに意味を理解できてしまった。
 砂煙はとうに晴れ、心配そうに眺める三人の姿が露になっていたのだ。
 にたにたと笑みを浮かべる二体の人形を睨み付け、ジャンは声色を低くして言い放つ。

「――テメェら、後悔するぜ」

 常人ならば震えあがるであろう剣幕でさえ、自動人形にとっては笑いの種でしかなかった。
 一しきり大笑いしてから、パウルマンとアンゼルムスは得物を手にして去っていく。
 ジャンが遠ざかっていく二つの背中を見据えていると、足元から消え入りそうな声がした。

「まさか……こんな、形で……スプリガン、と決着……をつける、とは、な。
 は……っ、と……んだお笑い、種……だぜ。さす、が……だな、スプリ、ガン……負け、たぜ」
「……全然、笑えねえよ」
「まったくだ」

 自嘲気味な笑みを浮かべると、それっきり暁巌は喋らなくなった。
 機会が来るまで確認しないよう決めていた蔵王の中身を知ることもなく、生還者の異名を持つ男は息を引き取った。


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085:撤収――天秤にかけた結果 才賀正二 097:『太陽の人形芝居』2(後編)
ガッシュ・ベル
ジャン・ジャックモンド
兜光一
パウルマン&アンゼルムス
暁巌
白雪宮拳(剛力番長)
▲


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