女子高生(17)と女子中学生(と言っても13)
「菜々子ちゃんっていうんだけどさ」
ムカつく。
「ほんっとうに可愛くて」
ムカつく。
「もう部活毎日あってもいいくらい!」
ムカつく。
「――って、真城聞いてる?」
「ええ、聞いてますよ。新しく部活に入ってきた一年の菜々子ちゃんがほんっとうに可愛くてもう部活毎日あってもいいって話でしょう」
皮肉を込めて即答した。
…先輩の話は、一語一句聞き逃さぬよういつも神経を集中させて聞いてる。
聞いてないわけないじゃない。
「なぁんだ、聞いてるならちょっとはリアクションとってよ!」
込めた皮肉は全く伝わってないようだった。
この、鈍感女。
「面倒くさいです」
「ひどっ」
「酷いのは先輩のほうです」
「え!? なんで!?」
「そういう鈍感なところも、酷いです」
「? わけ分かんないよー」
ぷくっと頬をふくらませると先輩は、テーブルの上に置いてあるショートケーキを頬張る。
……どうしてここまで伝わらないの。
これだから鈍感な人は困るんだ。
私は、テーブルを挟んで向かいに座った先輩のほうへ身をのり出すと同時に、
「先輩、クリーム付いてます」
「えっ! どこ…」
先輩が言い終わる前に私は、先輩の唇に自分のそれをくっつけた。
「ここですよ。まぁ、付いてないですけど」
クリームが付いてるなんてまったくの嘘だ。
私にはこの鈍感女を気づかせる術がこれしか思いつかなかった。
先輩はぽかんとしている。
「……」
「先輩が悪いんですからね、いつまでも鈍感だから」
先輩は十秒くらいこちらを見て沈黙した後、
「…それはどういうことですかね…」
「なんで敬語なんですか」
「いや、分かんない…けど…どういう意味かなって…」
認めたくないけど私は少し追い詰められているかもしれない。わざと?
心臓がドキドキする。
「…ま、まったく、本当に鈍感ですね。先輩が好きだという意味です」
言ってる最中、先輩の目を直視できなかった。
ちらりと先輩に視線を戻すと、先輩の顔は赤く染まっていた。ちょっとだけ。
「…真城、顔真っ赤だよ」
その瞬間、私はバッと自分の頬に手をあてた。熱い。
この部屋、クーラーガンガンなのに。
…人のこと言えないじゃないか。くそぅ、恥ずかしい。
「せっ、先輩だって顔真っ赤ですから! 優位に立ったなんて思わないでくださいよ。第一、先輩が鈍感で――、ん」
思わぬ展開で必死になっている私(遂には嘘まで言う)に先輩はくすりと笑った。
そして、顔を真っ赤にして反論する私に突然キスをした。
私は最初こそびっくりして目を見開いていたが、次第に閉じていった。
絡め合った指から、唇から、舌から先輩の熱を感じた。
クーラーはガンガンなのにさっきより熱い。溶けそうだ。
が、私はそろそろ呼吸が苦しくなり一方的に唇を離した。
「はぁっ、はぁ…! 先輩、どんだけ酸素吸ってたんですか」
「真城、キスしてるときの息の仕方知らないの?」
そ、そんなものあったの!?
墓穴を掘って焦る私はまた必死になる。
「べっ別に今のは……そう! 先輩がいきなりキスしてきたから不覚にもびっくりして、それで」
「ふふ、真城かわいい。しょうがない、私が教えてあげるかぁ」
…悔しい。
いつもはへらへらしてるくせに。先輩のくせに。
「初めて先輩に殺意が沸きました」
「真城なら大歓迎だよ」
「…やっぱり先輩は酷いです」
「好きな子はいじめたくなるって言うじゃん」
「!?」
一瞬、思考が停止した。そしてまた顔が熱くなる。
「あ、また赤くなった」
「! ち、違います! …な、菜々子ちゃんはどうしたんですか」
「ははーん。なるほど、やきもちだったわけね。安心して、あーんなことやこーんなことしたいのは真城だけだから」
「…何言ってるんですか」
「まぁつまりは真城が大好きってこと」
先輩は優しくぎゅっと私を抱きしめた。
…完全にしてやられた。調子狂うじゃない…。
「っ…。お、お風呂入ってきます!先輩のせいで変な汗かきました」
「私も一緒に入ってあげる!」
「なにするんですか変態!!」
終始ぐだぐだなまま終わるorz
最終更新:2009年08月14日 21:13