政見放送とは?
政見放送とは、選挙期間中、選挙に出馬した候補者が選挙運動の一環として自身の政見(政治に対する見方)を発表するテレビ・ラジオ番組である。
選挙に出馬した候補者は政見放送を行うかどうか選ぶことができ、政見放送を希望した場合各放送局のスタジオで録画を行う。
政見放送の内容は出馬した選挙の種類によって異なるが、基本は椅子に座って話すスタイルである。時間には制限があり、時間を超えて話した分は
山口節生のように有無を言わさず切られてしまうので、ここの配分は候補者のトークセンスによって分かれる。特に
マック赤坂のような何度も選挙に出ているような候補者や、テレビ慣れしているタレントなどは場数を踏んでいるので、限られた時間をうまく利用した演説を行える。
余談であるが政見放送を誕生させたのは
青島幸男である。これは1968年、当時参議院議員であった青島が、当時の総理大臣佐藤栄作の「自分は参院選の応援の為に日本全国を回った」という自慢話に、「自分はテレビでの知名度があって当選できた。選挙の立候補者も放送を通じて政見を述べればよい」と提案したことがきっかけである。
これをもとに1969年9月1日、「政見放送及び経歴放送実施規程」を盛り込んだ改正公職選挙法が施行され、現在までいくつかの改正を経て続いている。
政見放送の種類
政見放送は基本的に次の3種類に大別される。
都道府県知事選挙・参議院議員選挙(選挙区)
- 冒頭に「(ただいまから)選挙の政見を放送いたします。この放送は公職選挙法に基づいて、候補者の経歴と政見をそのままお伝えするものです。なお、手話通訳の有無は候補者の判断によるものです。」
- 一人あたり6分、経歴放送30秒の後、政見放送が5分30秒
- 経歴放送は、青地に白文字。中央付近に大きめの文字で候補者名、その上に「○○知事候補者(参院選の場合は○○選挙区) 政党名」の表示
- 候補者は椅子に座り、カメラに向かって自身の政見を主張する。机には候補者の名前の書かれたプレートが置かれている。
- 放送は公共放送(NHK)版と民放(地域によって異なる)版の2つがある。
衆議院議員選挙(比例代表)・参議院議員選挙(比例代表)
- 冒頭に「この放送(時間)は公職選挙法に基づいて、候補者届出政党の政見をそのままお伝えします。」
- 代表一人が話す方式(単独方式)か、代表2人が対話形式で話す方式(対話方式)か、名簿登記者全員が司会の進行により一人ずつ1分程度の短い演説を順番に行う方式(複数方式)の3つの内から選ぶことができる。
- この際冒頭に「(これからお伝えする)放送は決められた方式の中から候補者届出政党の責任で選んだものです」が入る。
- いずれも画面上部に政党名を書いた看板が掲げられる。単独方式では知事選や参院選挙区のように机があり、対話方式では斜めにやや向かいあった机が置かれており、複数方式では小さい机が置かれている。
衆議院議員選挙(小選挙区)
- 冒頭に「この放送(時間)は公職選挙法に基づいて、候補者届出政党の政見をそのままお伝えします」(比例代表と同じ)
- 政党が事前に制作した映像を放送するか、スタジオ録画を放送するか選ぶことができる。
- 公共放送版のみ行われる
政見放送に関する規則
政見放送に関する規則等は、公職選挙法によって定義されている。
- 政見放送は公益のために無料で放送しなければならない
- 政見放送には、放送局側は内容に一切の変更を加えてはならない
- 候補者は政見放送内で品位を損なう言動をしてはいけない
- 衆議院議員選挙に立候補した中で無所属・または認められていない政治団体の候補者は政見放送を行えない
- 候補者が1人しかいなかった場合、政見放送を行わない
- 政見放送を指定された放送局以外の放送局が放送してはいけない
2については特に厳しく、災害時にもテロップやL字画面まで出してはいけないことになっている。ただし津波警報やJ-ALERT、都道府県市区町村からの要請があった場合は臨時ニュースに切り替えてよい。また候補者の判断によって手話通訳か字幕を入れることは許可されている。
3は泡沫候補についてはほぼ黙認されており、法律としては形骸化している。しかし1983年の第13回参議院議員通常選挙の
東郷健の政見放送において、NHK側が差別用語を発した部分を削除した例については、最高裁が合法と判断している。
政見放送の著作権について
政見放送は上記のとおり、改変や転載が一切許可されていない。
これはインターネット上でも同じで、選挙期間中にアップロードされた政見放送においては、各選管が動画サイト側に削除要請を出す例が多い(時たま期間中にアップロードされて未だ残っている動画も見かけるが)。
ただし、一度選挙期間を過ぎるとこの厳格な規則は一転する。
政見放送は、著作権法上では「公開して行われた政治上の演説」に当たるため、転載や改変が許可されている(「公開して行われた政治上の演説」には他に国会中継が該当する)。
そのため政見放送は当該選挙期間を過ぎて公職選挙法の適用外となると、自由に転載、改変してよいものとなる。無論動画サイトへのアップロードも許可されている。
政見放送を動画サイトにアップロードしたい場合は、投票日の20時以降を待ってからが賢明だろう。
最終更新:2013年03月05日 19:59