主スイート

再び2

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tamaki_king

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だれでも歓迎! 編集
あれから月日は流れすでに1ヶ月弱が過ぎていた
有利の机の上には昔真魔国の皆が地球に遊びに来たときに取った一枚の写真だった
帰り際にコンラートが噴水に投げ込んだブルーの色を放つ石は一度も肌身離さずに首に下げている

有利は一人学校からの帰路へついていた
ふと目に付いたのは公衆トイレだった

―――ここから始まった―――

全てはココから始まって結果的には沢山のものを得た
新たな家族・・・沢山の仲間・・・
沢山のもの・・・かけがいの無い物を有利は手の平だけではもてないほどに沢山もらった
多すぎて、まだ小さな有利の手の平には乗り切らなくて・・・
今になっては手の平から零れ落ちて今は
もうわずかなものしか残っていなかった
でもこれからどんなけ日が過ぎていって残るものが確かに
有利の手の平に有った

友情・・・家族愛・・・愛・・・
沢山の“愛”をもらった
それだけはいつまでたっても薄れることも
手の平から零れ落ちることもない 

それだけは確かだった

有利は茜色に色づいた空を見上げる
そこにはいないけどすぐそこにみんなが居るような気が下から・・・
きっと離れていてもずっと側にいてくれている気がして・・・








今有利と家族と村田は公園に来ていた
母親の作った弁当を囲んでみんなで惜しくいただいていた
黄色い玉子焼きを一つとって口に運ぶと口の中に広がる甘い味
別に砂糖を使っているわけではないが広がる甘い味

「どう、有ちゃんおいしい?」
「うん。凄くおしい」
「本当!?ママうれしいはーさ、健ちゃんも食べて、馬ちゃんも」
「はい、いただきます」
「いただきます」
「あ、勝ちゃんから上げはどう?」
「うん、美味いよ」
「そう。よかったわー」
「そういえば、ヴォルフラムから揚げすきだったよな・・・」
「そうだね・・・ウェラー卿はなんでも美味しいっていってたけどww」
「そういえば、グレタに地球のご飯食べさせた事なかったな・・・どう・・・してるかな・・・元気かな?」

ふと浮かんだ疑問・・・元気なのか・・・みんな自分を忘れていないか・・・
疑問がもやもやとし始めてそれが不安へと変わっていく
一度は決心したのに・・・心が揺れ動く

「きっと元気よ」
「そうだぞ、有利あの五月蝿いやつらが元気じゃなかったら反対に気持ち悪い!」
「そうだね、あっちの人たちは皆元気だからね」
「・・・うん・・・分かってる・・・・わかってるんだけど・・・凄く・・・不安で・・・」

一つ雫が頬を垂れていく

「あ・・・えぇ・・・っと・・・有利、ほら、ハンカチだぞほら泣くな!!」
背中をなでられるとその優しさが余計に心に響いて悲しさが増す

頬を伝った涙は顎から零れ落ちて胸元をぬらした
きていた緑色の服は色濃く変化していった

「ゆ・・・有ちゃん!!??」
「分かってるって・・・もう泣かない・・から・・・でも・・涙が・・・」
「違う、そうじゃなくて・・・」
「え?」

母親が指すところを見てみる・・・・
母親が指すのは有利の胸元
そこには服の上からでも分かるほどに輝く石の影が

「え・・・・!?・・・ワッ!!アチッ!!熱い!!」

服の中から石を取り出すと青色に激しい光を放つ石

―有利、泣かないで―

「え・・・?なんか・・・いった?おふくろ」
「え、何もいわないわよ?」

―泣いちゃだめよ、聞いてこれが私が最後にして上げれることだからしっかり聞いて―

どこかで聞いたことのある透き通った綺麗な女性の声・・・

「・・・ジュ・・・ジュリアさん!?」

―猊下の・・・お手を美握って―

『村田の?』

―そう・・・早く―

有利はいわれるがままに村田の手を握った

「え!?ちょ、渋谷!?」

―猊下ね―

『もしかして・・・スザナ・・・ジュリアさんかい・・・・?』

―そう・・・いい?いまからいうことを二人でやって欲しいの・・・―

『わかった・・・いいよね、渋谷』
『うん』

―今私の力であっちとの世界をつなぐ道が開かれているは―

『じゃ!!また』

―うん。あっちにいけるわ―

『でも、それは一時期的なものだろう?あっちに行けば君の力は・・・』

―だから、二人に協力してもらうのよ―

『それじゃ、何か考えがあるんだね?』

―そう。水に入る際に強く二人で願うの。もう一度道を明けてくれって―

『成功率は?・・・必ずしも成功するとはいえないんだろう?』

―えぇ・・・成功率は・・・4%ー

『4パーセント!!??そんな・・・低すぎるよ!もし・・・失敗したら・・・』
『確実にもう家族とも地球ともさよならだね』

―大丈夫よ。普通は私もこうして出てくることは出来ないわ。でも有利の気持ちが大きかったから
                   出てこれたきっとそれだけ大きいんだもの・・・きっと大丈夫よー

『どうする?有利、やる?』
『・・・・やる!!!』
『それじゃ、膳は急げだね』

二人は手をつないだままその場に立ち上がり近場の噴水へ走る

「あ!!この弟のお友達!!有利!!何処に行くんだ!」
「ちょっとそこまで!!!」

「勝利!!!!おふくろ!!親父!!!きっと返ってくるから!絶対に!!!だから・・・」
「有利!」

父親が呼び止める

「あっちにいける方法が見つかったんだな・・・」
うんそう首を立てに振る
「いってらっしゃい」

「うん。いってきます。絶対・・・帰ってくるから」

3人は分かっていたもしかしたらもう戻ってこれないかもしれないと・・・
それでも、有利が選んだ道だから・・・

笑顔で送り出す

「「「いってらっしゃい」」」

二人は家族に見送られながらも噴水に立つ

―さぁ、願って―

お願い・・・どうか・・・もう一度道を開けて俺たちの世界をつなげてくれ・・・・頼む!!!

新王、聞こえているかい?また君のところにいけそうだよ・・・かわいい魔王が困っているんだ・・・
願いを聞き入れてやってくれるかい?

そう心の中で呟いた二人は噴水の中に飛び込んだ

「「ッ!!」」

ザパン!!!
水しぶきを上げて飛び込んだ噴水の中二人は暗闇の中へ吸い込まれていった

 

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