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99%の誘拐

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tana_tana112

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99%の誘拐

岡嶋二人 講談社文庫


岡嶋二人の後期三部作の一遍。
"誘拐の岡嶋"の異名を持つほどに誘拐モノで非常に高い評価を得ている氏の、
最後の誘拐モノである(はず)。

この作品では二件の誘拐事件が展開される。

一件は昭和を舞台にした誘拐事件。
小難しい手段は皆無で、ある意味王道な内容。
時代設定ゆえに今となってはレトロな手法ばかり使われているが、
そのため誰もが知っているような舞台装置が多く非常に読みやすい。

もう一件は完全に真逆。
舞台は平成初頭であり、本作が刊行された時代。
コンピュータや電子機器がメインに使われており、
未だにここまで"現代の誘拐"を描いた作品は無いだろうと思える内容。
作中の時代に追いつけず、傍観するしかない警察はまさに読者の視点であろう。

ストーリー自体はそれほど面白いとは思えなかったが、や
はり読みどころは進行する誘拐事件と二つの事件の対比だと思う。
というか、平成初頭のパソコン通信という言葉がまだ浸透していなかった頃に、
この作品を書き上げた事こそ評価されるべきなんだろうな。
作中ではパソコン通信や電話回線、電波、合成音声がフルに活用され、
まさに当時の読者からしたら何がなんだか分からなかったんだろうなぁと関心。

読み物としては中々面白かった。
ただ、2章の意味がいまいち理解できんかったんだよなぁ・・・。
大体は分かるんだけど、特に書かなくてもいいんじゃないかなぁアレ。

私は、葛原兼介を誘拐するために作られたコンピュータ・プログラムです。
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