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 魔物。
 一口にそう言っても、実際のところは非常に種類が多い。
 それぞれの種が、多種多様な生活をしている。
 外見や性格だって、みんながみんな違っている。
 このカオスロワの会場を見わたせば、それが理解できるであろう。

 たとえば、グンマー・都庁の軍勢の魔物。
 彼らは自然と共に生活することを好み、外見は一般的な動物が進化、巨大化したような者が多い。
 自然を壊す人間は憎むが、逆に自然を大切にする人間とは友好関係を築いている。

 たとえば、DMC狂信者の魔物。
 彼らは少々頭がよろしくないというか、残念と言うか、もう狂っている。
 しかしながら、一人のメタルモンスターが生み出す歌で繋がれた縁は、種族の枠を超えて非常に強大だ。

 たとえば、チーム・ドラゴンズの魔物。
 彼らは非常に社交的な性格であり、人間の文化もどんどん取り入れて独自のコミュニティを形成している。
 その影響か完璧に人語を操り、下手な人間よりも人間らしい。そして人間と同じように欲望に忠実だ。

 たとえば、今は亡き不思議のダンジョンの魔物。
 彼らは何故かいつもダンジョンをぐるぐると回り続ける。何者かに操られたように。
 だが一歩一歩がダンジョニストとの駆け引きであるスリリングな生活を彼らは気に入り、挑戦者を待ち受ける。

 たとえば、ポケモンやスライム。
 彼らはボールや馬車に入り、主人と定めた人間の命令に従い行動する。
 中には勝手に行動したり、反逆するものもいるが、基本的には人間と良好な関係といえるだろう。

 他にもまだまだ色々な魔物が存在するが、これらの例を見て何か気づかないだろうか?
 そう、どの魔物も程度に差はあるが人間と関係があるのだ。
 ある時は友、ある時は崇拝する存在、ある時は性欲の対象、ある時は好敵手、ある時は仕えるべき存在。
 人間を殺してきた魔物も数多く存在するが、彼らは決して、人間という種族そのものをこの世から消そうとまでは考えていない。

 だがほとんどの人間は、そんな魔物達の違いが理解できない。
 自分達と違う姿、大抵の場合は巨大であったり爪や牙が鋭いというだけで、魔物だと認識し、逃げ惑う。
 武器を持っていれば、自分の身を守るために斬ったり撃ったりするのだろう。
 その魔物は、本当に危険な存在だったのか。敵意はあったのか。
 そんなものは知ったことではない。魔物は悪であり、倒すべき存在。
 それがこの世界の人間の大多数が抱く感情である。
 力なきモブは魔物に怯え、力ある名有りは魔物や危険人物を倒そうと奮闘する。

 さて、長々と魔物について語ってきたが、ここで一つ思い出してもらいたい。

 からくりドームの死闘を生き延びたイチローチームは、空から東京都の惨状を目の当たりにした。
 今期のカオスロワちゃんねるは利用者が多く、参加者の情報収集や誤解に一役買っており、東京都の惨状もリアルタイム更新だ。
 東京都はかつてないほど濃密混沌空間であり、放送で名前を呼ばれない名無しの死体はいくつあるだろう。
 一度戦闘が起きれば、東京都の建築物は大抵被害に遭い、倒壊し、地獄絵図に拍車をかける。
 それらの原因は『マーダー』と『狂信者』と『魔物』とされているが……

 違和感に気がつかないだろうか?

 都庁の軍勢は専守防衛の戦略を基本とし、樹木が拡がった都庁周辺のみを行動範囲としている。
 新たな指導者である魔王の言葉を受け、魔物達は統率もとれている。単独行動する者はまずいないだろう。
 DMCの魔物は、そもそも人間と比べた場合はやはり人数が少ない。そしてその魔物は現在、都庁に潜伏中である。
 圧倒的な力と残虐性を持つ冥竜は負傷により未だ東京都へは辿りつけていないため、東京都での虐殺は不可能。
 チーム・ドラゴンズ。彼らは野球による世界救済とそれにより手に入る名声などを目的としている。
 東京都の一般参加者を根こそぎ焼き払うだけの力を持ってはいるが、それを実行するメリットはどこにもない。
 不思議のダンジョンは崩落済み、ポケモンはそれなりの数が死亡して数が減っている、スライムは対主催思考。
 そう……東京都を闊歩し、参加者を殺しまわれる魔物は、彼らの中にはいないのである。

 だが、魔物が東京都の地獄絵図に一役買っているのは紛れもない事実。
 その理由は――これまで挙げた魔物達とはまた違う、別の軍勢が存在していたためである。
 カオスロワちゃんねるの情報網を欺き、目立つことなく参加者を殺していた凶悪な魔物の軍勢が。


「……」

 それに貢献していたのはこのサングラスをかけた男――平山幸雄である。
 彼は天魔王オルゴ・デミーラに拾われ一命を取り留めた後、生き延びるために天魔王へと忠誠を誓っていた。
 とはいえ、文字通り魔物が犇きあうカオスロワにおいて平山の戦闘能力など塵芥に等しい。
 そこで天魔王が彼に命じたのは、情報の収集及び操作であった。

 ヘルクラウダーを始めすぐにかつての配下達と合流していた天魔王は、すぐさま参加者狩りを命じていた。
 価値のない人間を排除し支給品を奪い、価値のある参加者や魔物をこちら側に引き入れるためである。
 勿論、凶悪な魔物がそんな真似をしていれば、いつかは正義感の強い参加者……特に警察組辺りに目をつけられた筈だ。
 しかしそんなことはなく、今の今までほとんどの参加者に気づかれることもなく目的は遂行されていた。
 その理由が、平山が行った情報操作である。
 この度のカオスロワにおいて、非常に重要な情報共有掲示板であるカオスロワちゃんねる。
 彼は手始めにそこに、こう書いたのだ。
「都庁の魔物が各地で暴れて参加者が次々に犠牲になっている」と。
 都庁の魔物と天魔王の配下の魔物――魔族――はかなりタイプが違うため、すぐに嘘であるとばれそうだが……
 先に言った通り、普通の参加者に魔物と魔族の区別などつくわけがない。
 元々都庁を乗っ取り世界樹へと変貌させ目立っていた都庁軍勢はこの書き込みにより、完全に凶悪な集団と認識された。
 あとは簡単である。平山の嘘の情報を信じ、魔物討伐に参加者が都庁に向かえば……世界樹防衛を基本とする彼らは必ず迎撃する。
 その光景を別の参加者が目撃すれば、嘘の情報すら本当のものになる。
 その後もどれだけ天魔王軍勢が暴れようとも、既に巨悪と認識された都庁軍勢の仕業ということにしてしまえる。
 自分達が狙われることはなく、同時に敵対勢力である都庁軍勢を包囲させてその戦力をじりじりと減らせられる……一石二鳥の作戦だ。

 麻雀牌の位置を瞬時に全て覚える、いわゆる瞬間記憶能力に優れた平山はずっと国会議事堂のパソコンの前に座っていた。
 複数のウインドウを開き、同時に複数の掲示板を確認、情報収集と操作をまとめてこなしてみせた彼の功績は大きいだろう。

「だが……そろそろ限界……ッ!」

 だが彼の言う通り、情報収集はともかく操作の方は限界であった。
 誤算は、都庁の魔物に味方する金髪の人間と、それに恐怖したと思われる者の執拗な書き込みである。
 金髪の人間の戦闘能力は都庁を統べていた魔物すら軽く凌駕し、参加者の誰もが都庁に近寄ることを止めてしまったのだ。
 定期的に「勝てるわけがない……」「みんな殺される……」という書き込みがあり、それがまた拍車をかけた。
 さらにそれだけ強い番人も、都庁の入り口付近から自ら動くことはないため、むしろ都庁は近寄らなければ安全と言う認識まで広まった。
 いくら平山が情報操作を行えども、それよりも遥かに多い人数が実際に都庁の現状を見ているのだ。
 そこから、都庁の魔物が実際には防衛が基本思考であると気づかれるのも最早時間の問題だ。

 これ以上、都庁の魔物の名を語り暴れまわることも、都庁軍勢に参加者をぶつけて戦力を削ぐことも難しい。
 どうやら現在の都庁のトップも魔王であるというし、都庁軍勢との戦いはおそらく双方、魔王の軍勢同士の真っ向勝負になるだろう。
 オカマ口調であり、やたら胸をはだけて香水と口紅を愛用する天魔王だが、その強さは折り紙つきである。
 元々その時に備えて、参加者から支給品を奪い戦力を確保しているのだから、負ける気はしない。

「……落ち着け、都庁は勝てる相手だ。あのドラゴンだって、デミーラ様にかかれば一捻りに違いない。これ以上、無理に操作して怪しまれるのは愚策。
 こっちは情報の収集だけに集中して……本当に問題なのは……こいつら……ッ!」

 頭を抱えながら、平山は別の掲示板……DMC狂信者達が主に使用している掲示板を確認する。
 基本はカオスロワちゃんねると同じだが、書き込まれる内容は全く異なる。
 誰を生贄に捧げられたか、レイ○できたか……敬愛するクラウザーさん復活のためのSATUGAI報告板状態なのだ。

~~その頃・東京都某所~~

「SATUGAI、SATUGAI、またSATUGAIデス!」
「オラオラ、お前の首も捻り切ったろうか!」
「いけませんねえ……こんなに生贄が湧き出てくると、蜂の巣にせずにはいられませんよ!」
「これが俺のドリブル技、ゴー・トゥ・ヘルだあああああぁぁぁぁぁぁ!」
「クラウザーさんへの生贄のくせに生き延びやがってよぉぉぉ! 何がク○ニだよレ○プすんぞオラァァァ!」

【バリクナジャ@DS版DQ7】【グラコス@DS版DQ7】【ボトク@DS版DQ7】【セト@DS版DQ7】全員クラウザーさんへの生贄としてSATUGAIされて死亡

「いやー助かったデスよ右京さん達。こっちの兵隊は全員殺られるし、流石に都庁の魔物は強敵が多いみたいデスね……」
「そのようですねぇ。しかしここで貴女と合流できたのは幸いでした。これでさらにSATSUGAIしやすくなるというもの。
 嫌らしい僕の上司に非情なるギターをぶちかまし、クラシック以上に素晴らしいメタルの世界を教えてくれたクラウザーさんのためにも……」
「もっともっとみんなでSATSUGAI、しようぜ! 待っててくれよ、クラウザーさん!」
「どいつもこいつもクラウザーさんのために○イプされろよオラアアァァァ! そして私は蘇ったクラウザーさんにレイ○されるんだヨッシャァァァァ!」
(……やっぱこいつら、狂っとるな)

【DMC狂信者】
【暁切歌@戦姫絶唱シンフォギアG】
【状態】小ダメージ、小疲労、変身中
【装備】シンフォギア「イガリマ」
【道具】支給品一式
【思考】基本:SATSUGAI
1:東京中を練り歩いて生贄を見つけ次第SATSUGAIしまくるデス
2:他の信者とも合流しておく
3:調やマリアに会えたら説得してこちら側に引き込む

【松本人志@現実】
【状態】小ダメージ、小疲労、DCS状態
【装備】浜田雅功人形
【道具】支給品一式、メトロン星人人形
【思考】基本:浜田の蘇生
1:DMC狂信者に手を貸し、隙あらばクラウザーの蘇生手段を奪って浜田を生き返らせる
2:浜田を生き返せないようなら一人でも多くの参加者をあの世に送る

杉下右京@相棒】
【状態】健康
【装備】ガトリングガン、ショットガン、スマホ
【道具】支給品一式
【思考】基本:SATSUGAI
1:切歌と共に行動し、参加者をSATSUGAIしていく

【円堂守@イナズマイレブン】
【状態】健康、ゴー・トゥ・ヘル習得
【装備】イナイレ仕様サッカーボール
【道具】支給品一式
【思考】基本:SATSUGAI、しようぜ!
1:切歌と共に行動し、参加者をSATSUGAIしていく

【河名コトミ@エデンの檻】
【状態】全裸
【装備】グラコスの槍
【道具】支給品一式
【思考】基本:参加者をレイ○したうえでSATSUGAIする
1:切歌と共に行動し、参加者をSATSUGAIしていく

~~~~

「また殺害報告が……くそっ、やはりあっちの魔物部隊も殺されたか……っ!」

 更新された掲示板を見るやいなや、平山は思わず机を叩いた。
 書き込まれた参加者の特徴はどう見ても天魔王が送り出した配下の者達であり、しかも名有りの上級魔族である。
 これはかなり手痛い損失と言えた。都庁やDMC、そして主催者を殺すための貴重な戦力だったのだが……

「どうやら、旗色が悪いようねぇ……」
「デ、デミーラ様!?」

 そんな時、平山に背後から声がかけられる。
 それこそ天魔王オルゴ・デミーラその人であった。
 彼は大量の部下を失い続けているというのに、余裕の表情を崩さない。

「でも別に問題はないわ。あのコ達は既に十分な数の参加者を殺し、道具を集めてくれたのだから」
「し、しかし現状、壊滅的な損害……っ! 作戦の続行も厳しいものと思われますが……」
「オーホッホッホッ! 人間なぞ、一部を除けば神が創りし無能なデク人形なのよぉ?
 この天地を統べる私の敵じゃないわ。こうして、我が手に闇のルビーも戻ってきたことだしねぇ……」

 そう言う天魔王の手には、暗い色をしたルビーが二つ握られていた。
 強力な闇の力を宿した、天魔王の力をさらに引き上げる宝珠だが、これも配下達が参加者から奪ったものである。

「それにそろそろここに潜んで暗躍するのも限界のようよ?
 どうやったのかはわからないけどDMC信者の上層部には、ヘルクラウダーだけじゃなくて私の存在もばれているみたいだから。
 あともう少ししたらミケが例のものを完成させて持ち帰ってくるだろうから、そうしたら……」

「……ただいま、戻りました」

「あらぁ、本当にいいタイミングね。やっぱり美しい男達は仕事も美しいわぁ!」

 床に膝をつき、平山とは別の人間が天魔王に頭を下げる。
 かつては人類の尊厳のために戦っていた戦士であるミケも、この死臭溢れる世界では生に縋らずにはいられなかったのである。
 彼の手には、奇妙な石版が二枚あった。

「さきほどすれ違った参加者で、おそらくこの2枚の石版の価値は最大になったものかと……。
 それと、配下のデスマシーンと思われる参加者も発見したのですが……」
「ああ、マシンマスターが作った殺戮マシンね。でも正直、今頃デスマシーンじゃ……あら?」

「ウイーン、ウイーン……」

「……それデスマシーンはデスマシーンでも別のデスマシーンじゃない!? でもむしろ褒めてあげるわ! そっちの方が強いもの!」
「ありがとうございます!」
「折角だから緑のペンキで後で塗装しておいて。そしてこの二枚の石版から……出てきなさい、私の最強の部下達よ!」

 二枚の石版が天魔王に手渡され、それに魔力が込められた瞬間。

「グゴゴゴゴゴ……!」
「ピピッ、アルジ、オルゴ・デミーラヲニンシキ。ゴメイレイヲ」

 巨大な怪物兵器、エビルエスタークとキラーマジンガが姿を現した。
 これで連れて来れれたデスマシーンとあわせて、三体もの極悪なマシンモンスターが揃ったことになる。

「醜いDMC信者に都庁の魔王よ、知りなさい? 真に美しい者は大軍を連れることはしない。少数精鋭こそが、美なのよ!
 さあ、あなた達も準備なさい? もう遊びの時間はおしまい……都庁もDMCも、そして主催者のダースベイダー達も……
 全員骸にして、私の名前を刻みこんであげるわぁ! オーホッホッホッホッ!」

 深夜の国会議事堂に、魔王の笑い声はしばらく響き続ける。
 それは、東京都がさらなる混沌とした地獄と化する合図でもあった。

二日目・2時45分/東京都・国会議事堂】
天魔王軍】※議事堂外の配下の生存率は不明
【オルゴ・デミーラ@ドラクエ7】
【状態】健康、美しい人間形態
【装備】不明
【道具】支給品一式、香水、口紅、闇のルビー
【思考】
基本:主催者を美しく皆殺しにして自分が支配者となる
0:どこから向かおうかしら……?
1:都庁、DMC、主催者その他、邪魔な勢力を一掃する
2:首輪も処理できれば処理しておきたい
3:部下にふさわしい参加者がいれば、新しい魔王軍として美しくスカウトする
4:日本以外を潰した首謀者がいるなら、そいつも美しく殺す
5:できれば醜い本気形態にはなりたくない
※美の感じ方は人それぞれです
※平山より、主催者が九州ロボにいる情報を手に入れました

【ミケ・ザカリアス@進撃の巨人】
【状態】健康
【装備】立体機動装置一式
【道具】支給品一式、大量の不明支給品、緑色のペンキ
【思考】
基本:死にたくないのでオルゴ・デミーラに従う
1:デスマシーンを緑色にしておく

【平山幸雄@アカギ~闇に降り立った天才~】
【状態】健康
【装備】サングラス、雀稗
【道具】支給品一式、大量の不明支給品
【思考】
基本:死にたくないのでオルゴ・デミーラに従う
1:戦闘は無理なので、後方支援に徹する
2:参加者から奪った大量の不明支給品の確認をしておく

【ヘルクラウダー@ドラクエ7】
【状態】健康
【装備】ベビークラウド×いっぱい@ドラクエ7
【道具】支給品一式
【思考】
基本:オルゴ・デミーラに従う

【エビルエスターク@DS版DQ7】
【状態】すれ違い通信によりレベルMAX状態
【装備】不明
【道具】無し
【思考】
基本:オルゴ・デミーラに従う

【キラーマジンガ@DS版DQ7】
【状態】すれ違い通信によりレベルMAX状態
【装備】不明
【道具】無し
【思考】
基本:オルゴ・デミーラに従う

【デスマシーン@FF・SaGaシリーズ】
【状態】健康
【装備】大量のかくばくだん、大量のミサイル
【道具】支給品一式
【思考】
基本:オルゴ・デミーラに従う
最終更新:2014年04月24日 21:11