冬木の情報屋は忙しなく動く。
折原臨也の営みは電脳世界に居を移しても変わらなかった、ということだ。
好意的に、広範にとらえれば私立探偵のようなものが、実態はもっと胡散臭くてキナ臭い。
脅したもの、雇ったもの、それと知らず利用されているもの、取引相手も含めて人を使い、勝ち得た情報で仕事をする。
カタギもヤクザも、老いも若いも、男も女もすべてが商売道具で商売相手だ。
この聖杯戦争においても変わらず、むしろ対抗していた元マスターすら取り込んで仕事の手を広げていたのだが

「定期連絡がないな。ばっくれたか?」

ランサーにサーヴァントを倒されて利用しているものがいたのだが、円卓での会議から戻って以降音沙汰がない。
それどころかこの世界にいた痕跡すら消え去っている。軽くしか調べていないが、仮初の住所に連絡先そのすべてが腕利きの夜逃げ屋でも雇ったかと考えるほどに立ち消えていた。

「…いや、冬木市を一度リセットするっていってたな。一緒にリセットされて消えたのか」

歪なパワーバランスではあるが元マスターの協力者を抱え込むのはある種の反則と運営は判断するらしい。
予選期間中の自助努力の一環と捉えてほしいものだが

(円卓に退避する、と言ってたっけ。つまり冬木に残ってたら俺らも消えていた訳で、予選落ちした奴までそこから対比させて保護する義務は運営にはない、と。そりゃ仕方ないか)

惜しいとは思う。
駒が盤面から姿を消したのは間違いなく損失だ。
それに何より、生き残るために足掻き続けただろう彼の勇姿を見ることが叶わないのがもったいなくてたまらない。
貴重な人材の無駄遣いに些か憤りを覚える。

(ま、切り替えるしかないか。『赤』の面子は正直あまり期待できる人材じゃなし。愛着の湧かない腰掛で助かるけど、見切る前に見切られちゃたまらない……ん?)

臨也の耳に呼び鈴の音が届いた。
新宿で聞きなれたものとは違う響きのせいで、自分の事務所のものだと気づくのに遅れが生じ、慌てて対応する。

「波江、は…いないんだった」

事務か雑用でも雇うか?とぼやきながら応対に向かう。
扉の向こうに立っているのは無精ひげを伸ばしたスーツの外国人だった。

「んー、見ない顔だね。誰の紹介?言うまでもないと思うけど一見さんはお断りなんだ、職業柄。信用できない人に内緒話はできないからね」

どう見ても堅気ではない雰囲気で、“冬木の情報屋”目当ての客だと察しはすぐにつく。
しかしそんな商売をやっているところに、ふらっと店の看板を見て来ましたなどという客がいるわけがない。
いたとしたらそいつに情報を扱う頭はないから、顧客としてはお断りだ。
紹介状、とまでこだわるつもりはないがコネクションくらいは相応に求める。
というつもりで問うたのだがスーツの男はなかなか返事を返さない。

「あー……なんかベタな質問でイヤなんだけど、日本語通じてるかな?」

これでも返事がないなら続けて英語、それからロシア語を吐き出そうと準備をすると

「ああ、大丈夫だ。上手くないが、できるよ」

アクセントは少々怪しいが男は日本語を返した。
インカムでもあるのか、耳に手を当てて誰かの言葉を聞いているらしく、つまりはその向こうに紹介した誰かがいるのだろうと臨也は確信して今度はゆっくりと話す。

「じゃあ改めて聞くけど、誰の紹介でここに?」

簡素な問いに、男も簡潔に答えた。

「あんたの後ろの奴さ」
「へえ?」

後ろにいる、なんて怪談みたいな発言に臨也もつい首をかしげてしまう。
拙い日本語のせいで意思疎通が滞っているのか、と一瞬苛立ちを覚える。
しかし今の臨也の背後には、事実いるのだ。そこらの悪霊や英霊など目ではない亡霊の成れの果てが。
それをきっかけに二人の間の空気が変質した。
否、二人ではない。次の瞬間、この場の男は四人になった。

アヴェンジャーのサーヴァント、東仙要が呼びかけるように霊体化を解いた。
それに応えるようにランサーのサーヴァント、ウルキオラ・シファーも戸惑いながら姿を現す。

「東仙統括官……」
「知り合い?」
「上官にあたる」

元、をつけるべきかは悩ましい。
因縁も恨みも、離反したなどということもない。嫌悪する理由はまるでないが、互いに死した身で、主も陣営も異にする現状は敵対する理由は一応ある。

(とはいえ俺の探査神経でここまで気付けんとは。虚の種族特性か?霊体化に馴染みが深く感知しにくいか、虚圏から現世に現れるまで前兆がない逸話か。あるいは反膜か、統括官の卍解か)

接近を許した失態にウルキオラは内心臍を噛み東仙を見やる。
するとそれに答えるように東仙が指を振ると、周囲に一瞬だけ結界が現れてすぐに砕けた。
それを見てウルキオラにも察しはついた。
霊圧を遮断する結界。縛道の応用だ。
本来の東仙の実力なら纏って駆けることもできようが、詠唱破棄したものでは霊体化して抑え込んだ霊圧でなければ覆いきれず自壊してしまうのだろう。
技能は健在、というわけだ。

「さて、彼らが仲介人じゃ不満か?」
「いや。歓迎するよお客さん」

諸手を挙げることは扉を開ける必要があるのでできないが、全霊で二人の来訪者を臨也は歓迎した。

「情報屋の折原臨也、と名乗るのは無用かな?サーヴァントは東仙さん、とそちらは?」

と臨也が促すと、男は悩んで名乗りを返した。

「ジョン。ジョン・ドゥだ」
「名無しか。バカにしてる?」
「ブギーマン」
「人食いとはまた物騒な偽名だね」
「ババヤガー」
「スラブの鬼婆ときたか。センシティブな問題なら申し訳ないけど、男性名には聞こえないな」

と、つらつら並べられる偽名を臨也が斬って捨てていると、続けてまた男が違う名を、今度は少しの緊張を伴って告げた。

両面宿儺

ブギーマンやババヤガーとはまた違った怪物の名。
洋の東西を問わなければ括りとしては近しいものだろう。何も知らないものならば、極東の怪物の名は些か似合わないくらいにしか疑問は覚えないだろうが。

「識っているらしいな。両面宿儺(オレ)のことを」

臨也の緊張を見咎めて言った。
臨也にとって知識は力だ。だから要警戒対象がいる、と聞かされれば少しでもその対象を知ろうとするのは当然のこと。リーダーである羂索から少しは聞きだしていた。
それ故に。
その名を。異様な雰囲気を発する男を恐れてしまった。
僅かに、しかし一流の殺し屋ならば見逃さない程度に。
それでも。

「……ちがうな。君は両面宿儺じゃない」

誤った情報に踊らされて情報屋が務まるはずがない。

「本名にしろ二つ名にしろ異国の人間が名乗るには両面宿儺はマイナーがすぎる、というのもあるけれど……ババヤガー、あるいはブギーマン。それが君だろ?」

自信に満ちた臨也の言葉に、感心するように自称宿儺は先を促す。

「親の顔より見た顔、なんて表現があるくらいだ。よく見るものっていうのはそうそう間違えないし、自然と口にできる。記憶喪失の人間にサインを何度も書いてもらったら記憶が戻ったなんてこともあったらしい。それだけ自分の名前っていうのは習慣づく。名乗りも、署名も。ババヤガー、ブギーマンと名乗った君は極めて自然体だった」

そう締めくくった臨也を小さな微笑みで肯定して改めて男は名乗った。

「そう。俺はババヤガーだ」
「大した度胸だね。両面宿儺と名乗った時点で戦いになってたらどうする気だったのさ」

その名を名乗るということは危険性も承知の上だろう。
敵の多い男のふりをして、無為に敵対してしまったらどうするのかという当然の問いにババヤガーは軽く回答してみせた。

「サーヴァントの戦いは切迫してどうなるか分からないが、俺とお前なら比べるべくもない。俺が殺して終わりだ、違うか?」

ウルキオラと東仙の戦いの行方はやってみなければ分からないだろうし、即座に決着するものでもない。
だがマスター同士の戦闘となれば結果は火を見るより明らかだ。
その事実を突きつけられて、臨也は心の底から笑ってみせた。

「フフ、まったく……」

堪えきれないというように声を漏らし、飛び上がって机の上から見下ろして言の葉を継ぐ。

「騙された!懐に入られた!のせられた!手駒が使えなかった!詰んでいたと言える!悔しくてたまらないね、でも今俺はそれ以上に昂っているよ」

腹の底から込みあがる笑いを押さえつけて臨也は語った。

「サーヴァントも含めて化け物だのヤクザだのアイドルだの碌な引きじゃないと思ってた。けれどいたんだ。初めて会ったよ、英雄ってやつに。モノが違うね、最ッ高だよミスター・ババヤガー!」

纏うものが常人とはまるで違う。
強いて言うなら粟楠会の赤林や青崎ら武闘派ヤクザのそれに近い性質だが、彼らの気風を足し合わせたそれよりもなお濃い血と硝煙の気配を目の前の男は纏っていた。
恐らく遠い未来の聖杯戦争において、アサシンのサーヴァントとしてこの男『ババヤガー』を呼び出すことはできるはずだ。

「首無しライダー以来の興奮だよ、お客さん。ビジネスの話に移ろう。お求めのものは何かな?どんな頼みも聞いてあげるよ。俺の頼みも聞いてくれるならね」
「……まず武器だ。予備の弾か、替えの銃あたりを確保したい。それから敵の情報だ。当面は『両面宿儺』というのを警戒しているが」

両面宿儺に反応した時点で、お互い陣営に羂索/五条悟がいるのは察しがついている。
とはいえいきなり同陣営の情報を売れとはどちらも言えない。
共通の敵である他陣営について共有できれば上々、といったところだろう。

「まず敵についてだけど、現時点で渡せる情報は恐らくない。なにせ開始早々だ。両面宿儺について多少は掴んでいるけれど、それはそっちも同じだろう?となると武器だけど……」

こちらもまた臨也の頭を悩ませる。

「情報屋だから武器は専門外だし、ちゃんと日本の法が再現・適応されてるからね。銃器の類の入手は難しい。暴力団か、警察の押収品か、自称ガンスミスの自作品とかをあたることになるかなぁ。猟銃の類はこのへんじゃ手に入らないし、自衛隊や米軍はさすがにリスキーが過ぎる」

どちらも腰を据えてかからないといけないな、と机から降りて文字通り椅子に腰かけ、来客にも席を進めて話を続ける。

「少し時間をもらうよ。お目当ての武装とかはある?あ、弾を探してるってことは銃自体はあるのかな?」

そう臨也が問いかけるとこいつだ、と弾丸が一つはじいて寄こされた。

「おっとっと、どうも。日本人は銃や弾の規格には詳しくないから現物があると話が早くて助かるよ。これが確保できなければ別の銃ってことでいいのかな」
「ああ」
「お好みの銃があるとも限らないけど、基本は拳銃で?ミニガンとか頼まれても困るけどさ」

得物に強いこだわりはない、と返そうとするがそこでババヤガーと陣営を同じくするミユという少女の装備を思い出す。
恐らくは故郷で何度かみたもののカスタム品だろうとあたりを着けて、そちらの弾もあるにこしたことはないだろうと注文する。

「モシン・ナガンは確保できるか?もちろん弾も」
「モシン・ナガンね。ロシアンマフィアから流れてきてるかな……」

ババヤガーという二つ名にロシアの狙撃銃がお好みとはスラブ系かな、などと当たりをつけつつ目当てのものを手に入れられそうな算段をつけていく。

「ところで、サイモンとデニスっていう腕っこきに心当たりあったりする?」
「ん?いや、すぐには思い当たらないな……コンチネンタル・ホテルの関係者か?」
「いや、ホテルじゃなくて池袋で寿司屋やってる」
「それは知らない奴だな」
「そう。共通の友人はいなそうか、っと。よし、あとは汚職警官や半端ヤクザの返事待ちになる。お代の話に入っていいかな?」

情報(しょうひん)の入荷まで待つしかないので、ひとまずお会計を。
といっても財布の中身にも口座の残高にもさほどの興味はない。
仮初の電脳世界での通貨になぞ、さして意味も執着も二人は覚えていなかった。

「一応、当座の軍資金程度には使えると思うが」
「うん。そっちもとりあえず頂くつもりだけど、本命は別のものが欲しい。俺の頼みも聞いてくれ、って言ったよね?」

臨也の中に高揚が再び湧き上がる。
サンタクロースにプレゼントの注文をするような、ヒーローショーの握手に並ぶような、童心に帰るような願いごと。

「サーヴァントの姿とクラス、真名明かしたことで割引効くか?」
「いや、こいつら、なんか気とかエネルギーとか感知してお互いの所在分かったり、個体の区別できるんでしょ?そのうち明らかになる手札を先んじてオープンしたってのじゃあ、ちょっと。情報としての価値は低いかな。そんなに警戒しないでもぼったくったりしないさ。ホントにシンプルなお願いだよ」

そう前置きして口にされた頼み事は、確かにごねるほどでもない些細な頼み事だった。

「俺を、折原臨也をアンタのお抱えの情報屋として喧伝してほしい」

売れないデザイナーに仕事を持ち込んだような報酬を、逆に仕事側が提示してきては誰もが戸惑う。
熟達の殺し屋でもそれは同じだった。

「そりゃまたなぜだ?SNSでバズって有名人にでもなりたいのか?」
「それが必要ならそうするさ。俺はね、折原臨也の名を人類史に刻みたいんだよ。いつの日かサーヴァントにもなれるほどにね」

臨也の夢。死してなお存在が保証されること。『天国』へと行くこと。
この地においては、それはすなわち英霊の座に至ること。

「有名人っていうだけじゃ記録にはなれないだろう。そして俺はどう捉えても英雄なんてガラじゃない。アンタと違ってね。そのくらいは分かってる。けれど、英雄じゃなくても人は英霊になれるはずだ」

この地での戦いに臨むにあたって考えていたプランがあった。
そこにお誂えの人材までもが臨也の前に現れた。

「かの『ババヤガー』お抱えの情報屋、その名は『折原臨也』!そう呼ばれればそれでいいんだ!
 偉大なる騎士ドン・キホーテの従者は!?サンチョ・パンサだ。主神ゼウスが牛に化けてまで寵愛を与えた姫は!?エウロペだ。第六天魔王織田信長の弟は!?織田信勝だ。偉大なものの傍にいた、それだけで人類史に名を遺すことはできるんだよ。恐るべきブギーマン、偉大なるババヤガー。人類史におけるあなたのバーターに俺はなりたい」

我欲に満ちた汚い仕官の言葉だった。
しかしある意味で愛の告白のように尊く、英雄への憧れという意味では純粋だ。
そして打算的だからこそ、情報屋と殺し屋のやり取りとしては相応しいものだとも言えよう。

「リスクはあるぞ。俺との繋がりを喧伝するってことは、俺たちの関係が敵味方の陣営にも伝わるってことだ。その時味方が味方のままの保証はない」
「承知の上さ。俺がコウモリだなんて、そんなのみんな分かりきってる。気づかない間抜けがいてくれればやりやすかったんだけど。当面の敵を両面宿儺とする、っていうそっちの方針にも沿うはずだ」
「…当たり前の話をするが。商品の質が悪いなら取引を続けることはない」
「そこは今後の成果に乞うご期待」

軽妙な応答の果て。殺し屋は、情報屋を

「……金で済ませたかったが。高い買い物になったな」
「毎度あり。今後ともご贔屓に」

抱え込む、ひとまずそう決めた。

「それじゃあ成果が上がり次第連絡を入れるよ。どこに伝えればいい?携帯?それとも拠点の連絡先?」
「おっと、そうだ。そっちも頼みたいことがあるんだった」
「え、なに追加のお仕事?」

いわく、ここでのロールが海外旅行者なのに加えて、思い立ってすぐに来た扱いなのか手持ちのスマホが日本で使えない。
上等な演算機に成り下がっているので、通信手段が欲しい、とのこと。

「なるほど、国が違うとそういう問題もあるのか。このご時世にそれは不便だね。飛ばし携帯でいいならすぐに用意できるけど」
「そっちの用意した端末じゃあな」
「どんな仕込みがあるか分かったもんじゃない、よねぇ。当然の警戒だ。それくらいはしてくれなきゃ困る。となると……」

臨也が自前の端末に指を滑らせ、いくつかのサイトであたりをつける。

「旅行者向けのレンタルスマホにする?本来なら受け取りに時間がかかるけど、そこは俺の方でなんとかしよう。あるいはプリペイドのSIMカードの方がいいかな?自前の端末があるならそっちの方がいいかもね。電話としては使えないから、通話するなら別途アプリをいれる必要があるけれど」
「端末をそのまま使えるカードの方がいいな」
「うん。やっぱり道具は手に慣れたものが一番だものね。それならヴェルデっていうショッピングモールにある携帯ショップがこのあたりじゃ一番近い。電機屋もあるから充電コンセントの規格違いとかはそっちで」

地図出すから待っててよ、と立ち上がりプリンターへ臨也が向かう。
そして出力された紙を受け渡し、そこに自分の連絡先も添えて差し出す。

「受け取れたら連絡を。お抱えの情報屋に、ね」
「…ああ。わかったよ」
「それから分かってると思うけど、行く店は普通に堅気のトコだから俺の名前とか出しても特にサービスはない。ま、スムーズに進めるために予約くらいはとれるけど……」

再びスマホの画面を叩き、携帯ショップにコール音を慣らす準備。
そして臨也は笑みを浮かべて問いかけた。

「それで、何て名前で予約する?ミスター・ババヤガー」

からかうような臨也の笑みにブギーマンもらしくなく困ったような笑いで応じた。
携帯を扱う店で身分証を求められるのはまず間違いない。ババヤガーだのブギーマンだので予約してはいらぬトラブルを呼び込むだろう。
といって予約なしで向かっては対応が後に回されるのも明らか。
じゃあ自分で予約できるかというと、そもそも連絡するためのスマホを求めているのだから本末が転倒している。公衆電話も時代の流れかここまでの道中あまり見当たらなかった。
いい加減、名乗りどころのようだ。
懐からパスポートを取り出してそこに記載された名前を確かめる。

「どうしたの?まさか自分の名前を忘れちゃった?」
「仕事柄、パスポートに書いてあるのが本名だとは限らなくてね。一応確かめておこうと」

貼られた写真も、記されたサインも間違いなく本来の自分のものだった。
それを読み上げるようにゆっくり告げる。

「ジョナサン・ウィックだ。予約頼むよ、折原臨也」
「了解したよ、ミスター・ウィック。ジョンもあながち偽名じゃなかった訳だ。それじゃあ改めてよろしく」

予約の時刻だけ確かめて出ていくババヤガー改めジョン・ウィックを見送る。
東仙も霊体化してそれに続き、冬木の情報屋に静けさが戻った。

「昔の上官に会えてどんな気分、ランサー?」
「さあな……」

そっけない返答を返すウルキオラだが、もとよりさほど興味がないのか臨也も食い下がることはない。
それよりウルキオラの方は今後の動きについて気にかかることがあまりに多い。

「まさか、俺の知り合いがいたから気を遣ってあいつと組むことにしたのか?赤の陣営はどうするんだ」
「アンタを気遣って?本気で言ってる?だとしたらピエロのセンスはそこそこあるよキミ」

ウルキオラの問いを鼻で笑って否定する。
化け物同士の繋がりなんて心底どうでもいい。重要なのは人間、英雄の方だと。

「彼のオマケで英霊になりたいっていうのはマジだよ。あれだけの死臭を放っているのに会話が成立するもんなんだと驚された。赤でいうなら滑皮さんなんかとはモノが違う」
「それで、もう赤を見限るのか?」
「いや。滑皮さんとのコネは情報屋としては惜しいっちゃ惜しい。羂索から探りたいこともある。ミスター・ウィックとうまくやれるとも限らない。当面はコウモリでいくさ」

臨也の方針は、ウルキオラとしてはあまり好くものではない。
だがそれを否定するのも難しい。
藍染惣右介、市丸ギン、東仙要、かつて仰いだものはみな埋伏の毒であった。
そんな葛藤を慮ったわけでは断じてないが、臨也が今後の動きについて話し始める。

「ミスター・ウィックは両面宿儺と羂索を倒してもらいたい。怪物退治こそが英雄譚の華だ。神話の法則に言う英雄と影としては十二分だろう。俺は英雄を導く賢者としてともに名を遺す。
 ……両面宿儺にぶつけるコマを見つけた、として滑皮さんには協力を頼めないかな。それと羂索からどこまで引き出せるか……」
「無謀だな」

臨也の語るそれはまるで夢物語だとウルキオラは断ずる。

「弱いお前の尻ぬぐいに追われるなどごめんだぞ。宿儺も羂索も、お前があいつと組んだ程度で手に負えるものではあるまい」
「ああ。それならそれでいいのさ」

破滅的な笑みを浮かべて臨也はウルキオラの批判を受け入れた。

「名を遺した英雄っていうのは別に勝者とは限らない。始皇帝を殺せなかった荊軻、織田信長を殺せなかった杉谷善重坊。戦いに挑んだという事象をもって英霊になることだってある。両面宿儺を殺せなかったジョン・ウィック、でもいいんだよ。歴史に残るなら、それでね」

英雄と呼んだ男すら利用する。
その憧れは心底からのもので、それでも自分の愛する人間の、そして人間を愛する自分のためならばいくらでも利用できるのが折原臨也という男だ。
当然ウルキオラはそれを好かないし、そんなウルキオラの感想は臨也にはどうでもいい……が。
折原臨也は手駒の機嫌を取る必要性を分からないほどの愚物ではない。

「ミスター・ウィックとの協力体制。潜在的な羂索、両面宿儺への敵対。赤の陣営での立場。その全てを考慮するなら……」

赤の陣営の仲間で。羂索によくない感情を抱いていて。外部との協力体制をよしとしそうな。

白雪千夜ちゃんにコンタクトをとろうか。人の心を惹きつけて止まないアイドル。アンタが心を学ぶにもいい教材だろう?」



【B-9 新都/一日目・午後】

【折原臨也@デュラララ!!】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:
[道具]:ピット・バイパーの弾
[所持金]:豊富
[思考・状況]
基本方針:聖杯戦争を楽しみ、『天国』を目指す
1:ジョン・ウィックをうまく援助し、英霊の座へと至る
2:とはいえまだ赤の陣営を捨てるつもりはない
3:白雪千夜と接触。陣営内外の緩衝材にしたい

[備考]
※冬木におけるロールは原作に近い情報屋。予選期間中に使役していました元マスターなどはリセットで消失しましたが、ロール設定で使役していた繋がりやNPCなどは健在です。
※羂索から両面宿儺についての情報を得ています。どの程度の者かは後続の方にお任せします。
※ジョン・ウィックと協力関係を結びました。またアヴェンジャー(東仙要)の姿と真名を把握しました。


【ランサー(ウルキオラ・シファー)@BLEACH】
[状態]:健康
[装備]:斬魄刀
[道具]:
[所持金]:
[思考・状況]
基本方針:『心』を再び手にする
1:一応は臨也の方針に従う
2:白雪千夜…………
[備考]
※東仙の霊圧を感知・記憶しました。

【ジョン・ウィック@ジョン・ウィック コンセクエンス】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:防弾スーツ、ピット・バイパー
[道具]:ピット・バイパーの弾(多数)、携帯ショップの地図
[所持金]:豊富
[思考・状況]
基本方針:聖杯を手にし、日常を取り戻す
1:携帯ショップに向かい、スマホを使えるようにする
2:臨也の情報を待つ

[備考]
※折原臨也と協力関係を結びました。またランサー(ウルキオラ)の姿を把握しました。言語能力を失った東仙から能力や真名をどこまで把握できるかは後続の方にお任せします。


【アヴェンジャー(東仙要)@BLEACH】
[状態]:健康
[装備]:浅打
[道具]:
[所持金]:
[思考・状況]
基本方針:聖杯を手にする
1:■■■…!

[備考]
※ウルキオラの霊圧を感知・記憶しました。



前の話:Good Evening,World!

次の話:期末テストに備えて/ロストワンの号哭


Before Character name Next
000:Good Evening,World! 折原臨也
000:Good Evening,World! ランサー(ウルキオラ・シファー)
000:Good Evening,World! ジョン・ウィック
000:Good Evening,World! アヴェンジャー(東仙要)

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最終更新:2023年12月12日 09:39