このSSは「小ネタ・分類不可・未整理/24スレ/221」の続編よ
【魔理沙ルート2】【慧音ルート2】【マミゾウルート2】
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誰がそれをやったのか8




誰がそれをやったのか8

霧雨魔理沙、上白沢慧音、二ッ岩マミゾウのいずれかを選んだ場合

 閉ざされていた扉をこじ開けて、「彼女」の家から飛び出る。
千載一遇のチャンスを逃してなるものかと戸を閉める暇もなくそのまま道に突っ込んでいく。
後ろから「彼女」の止める声が聞こえてくるが、それにも関わらず全力で足を動かして土を蹴っていく。
前もって草履を準備することができたのは、舗装された路などは存在しないこの幻想郷の時代を考えると
ファインプレーだと手前味噌ながら褒めてもいいのかも知れなかった。
 始めは「彼女」が単に良くしてくれただけだと思っていた。
火事で焼け出されて、財産を失った者に対して優しくしてくれているだけなんだと。
しかしいつまで経っても家から出そうとはせずに、それどころかいつまでもこの家に居るように仕向けてくる
「彼女」を見ると疑念が生じた。そしてその疑念を伝えたとき疑いは確証に変わった。
「駄目 だぞ、 だ、 じゃろ、○○。○○はずっとこの家に居ないとな。」
そしてそれから「彼女」は錠を掛けた。獲物が逃げ出さないように。ずっとそこに縛り付けておくために。
ただ自分の物にするために。
 監禁生活が長かったためか、しばらく走っていると息が上がる。
全身から力が抜けて存在が消えそうになってしまうが、あの生活なんぞもう沢山だという思いを込めて、
がむしゃらに足を動かし続ける。
ただひたすらに逃げ出すために、今の生活を捨てて、もう一度人間らしい生活を取り戻すために、
道も分からずに走り続けていく。
捕まることを恐れて、今度捕まればもう二度と外の空気を吸えなくなると鞭を打ちながら、全身を動かし続けていた。

 どれ位走っていたのか、遂に息が切れて地面に手を付いてしまった。
あの女の家からどれだけ離れたか分からない。頭ではもっと離れないといけないと思い体を動かそうとするが、
息は上がり手は地面に吸い付いたように離れない。そしてもっと悪いことに、足が痙攣をしてきたところを見ると、
これ以上はもはや動けそうにもなかった。
 足音がする。これが後ろから聞こえてきたり走ってきた音がするならば、一巻の終わりであるのだろうが、
その音は前からゆっくりと聞こえてきた。顔をどうにか向けて音の方を見る。
黒い女物の革靴が見えた。漆黒の色、何にも染まらない色。そして
それを体現する彼女。
「久し振りですね、○○。」
目線を上げた先には、四季映姫がいた。

 地獄の閻魔として罪人を裁いている彼女であるが、人里にも多少関わりがあるようで、
何度か村の祭りの時に目にしたことがあった。
もっとも声を掛けるような距離ではなかったのだが、その時、彼女の視線が此方を向いていたような気がしたので、
特に記憶に残っていた。
「普段ならば少々お話をするのですが、そのような余裕は無さそうですね。」
「済まないが少々手伝って頂けないか。」
名前を名乗った覚えはないものの、知られているのならば都合が良い。
どうしても遣らなければならないことのために、失礼ながらも助けを請うた。
「ふむ…。どこへ行く積りですか、○○。」
「村の仲間の所だ。地代を払えなければ、仲間が代わりに払う羽目になり、外界への帰還が遅れてしまう。」
純然たる疑問ではなく確認。閻魔大王の浄玻璃の鏡の前では、どのような嘘や偽りも暴かれるのだろう。
「成程…。やはりそうなのですね。」
「やはりとはどういうことなのだ?」
内心で焦れてくる。こんな場所で時間を食う暇なんぞないのに、目の前の相手の機嫌を損ねないようにしないといけず、
ジクジクとした感情が心に上ってくる。何としてでも、一刻も早く仲間の元に行かなければならない。
「焦ってはいけません。物事には順番がありますから。」
「…。」
此方の心の内の見透かしたようなことを言う映姫。そして彼女は話しを始めた。

 さて○○、あなたがどうしてここにいるのかを問う前に、そもそもの出発点を解き明かすことが必要ですね。
切っ掛けとなったのは、あなたの小屋が燃えたこと。しかし災いの種が芽吹く前には、
種が播かれていることが前提だと言えましょう。そもそも、「誰がそれをやった」のでしょうか。
 それに対する答えはある意味では単純です。村の若者の中に紛れている者で、虫にも劣るような連中。
無間地獄で全身を針で貫かれても未だ足りないような、そんな奴等があなたの小屋を焼きました。それは事実です。
閻魔のこの私が保証しましょう。あいつらは魂が塵になるまで焼かれていくでしょうから…
ですが、それでは無事解決とはいかないですね。
その屑どもは幾ら脳味噌に欠陥があるとは言え、あなたの小屋を焼く動機が無いのですから。
そう、この事件には黒幕が居るのですよ。

 さて黒幕は一体誰なんでしょうか。霧雨魔理沙?上白沢慧音?それとも二ッ岩マミゾウ
この世界でも、あなたはいずれかの相手から、その他の相手が黒幕であることをもっともらしい理屈を付けて教えられたのでしょう。

霧雨魔理沙は犯人に油を渡した。そして直前に彼らに会っていた。

上白沢慧音は犯人の犯行を助けた。そしてあなたの歴史を隠した。

二ッ岩マミゾウは顔役に圧力を掛けた。そして顔役は彼らに犯行を行うように仕向けた。

これら何れもあの時に実際にあったことなのですよ、○○。
これら全てが事前に行われていて、そしてあの事件は起きたのです。
まあ、そういった意味では、黒幕は三人とも言えるでしょうね。
誰か一人が計画していただけでもこの事件は起きたのかもしれませんが、
もうちょっと小さい規模になっていたのかもしれませんね。
上等な油が無ければ。
村人の人目のせいで、持ち運べる油が少なければ。
顔役から圧力が無ければ。
小屋を焼いた火事は単なるボヤ騒ぎで収まったのかもしれません。
 ところで、彼女達はあなたを匿っていましたが、その理由については嘘を付いていますね。
ええ、三人とも外来人を締め出そうとはしていないのですよ。でなければ…。もう分かるでしょう。○○、あなたが欲しかったのですよ。
彼女達はあなたを独占しようとしてこのような計画を練り、そして今回の事件は引き起こされたのです。
まさに愛されすぎたせいですよ。

 さて、それでは行きましょうか。どこにとは全く…、地獄ですよ。私の元でずっと置いておいてあげますからね。
おや、どうしてとは分からず屋ですね。いいですか、人間は神が創り出した物なのですから、
神が正しく人間を導いてあげないといけないのですよ。
○○はとても正しい人間なのですが、致命的に悪い部分があります。
私以外の他の女を受け入れたのは余りにも悪すぎます。
全くもって死刑にするべき位の罪悪です。ですが安心して下さい。
私が白くしてあげます。
そう、○○の悪い部分を全て神の力で白く染め上げ、一点の曇りもないようにすることが
絶対に、ええ絶対に必要なことなのですよ。
さあ、私に全てを委ねて下さい。過去のことを全て捨てさり、全てを私の記憶で埋め尽くしてあげますからね。
祭りの日に運命の出会いをしてからずっと、浄玻璃の鏡であなたのことを見てきたのですから、
あなたのことは全て知っているのですよ。特に昔の女のことは念入りに消しておいてあげますからね。

 おや、抵抗しますか…。そうですか、残念ですね…。それでは少々荒療治といきましょうか。

「○○、あなたは××だのです。」

 どうですか。
折角知らないでいたのだから、このまま安らかに地獄へ連れて行って上げようと思ったのですが、
どうやら予想外に抵抗しますね。
ですからその執着をポキリと折ってあげました。どうしてあの女どもはあなたの姿を見て驚いたのでしょうか。
計画違いであなたが××でしまったのを知ったからです。どうしてあなたを部屋から出そうとしなかったのでしょうか。
あなたがそのまま消えてしまうことを恐れ、無理矢理に現世に縛り付けるためです。
どうしてあなたはそんなに仲間の元に行きたがるのでしょうか。それがあなたの未練だからです。
 そう、○○、あなたは既に××でいて、幽霊としてこの世に留まっていたのです。
そして、あなたがあの三人のどの女を選ぼうとも、全て私の元に来るのは必然なのですよ。
××だ者が彼岸へ来るのは、定められた運命なのですからね。
 無駄ですよ、幾ら××だ事実を受け入れずに、それを否定しても神の前では無駄なことですよ。
あなたの魂がそれを受け入れないのから、分かるまで私が刻みつけてあげますからね。
あなたは×××のです。×××のです。××だのです。×んだのです。×んだのです。死んだのです。
ほうら、ね…。それじゃあ、地獄へ行きましょうか。
大丈夫ですよ、死ぬほど愛してあげるなんていう程度じゃなくて、私は○○が死んでしまっても愛してあげますからね。


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「○○、それは本当の運命なのかしら?」

少女の声が微かに聞こえた気がした。







感想

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ネタバレなのでジャンプしたわ

「○○、それは本当の運命なのかしら?」

「誰か3人を選択しても結局こうなるのよ」

「でも○○、もう一つの選択肢があるはずよ!」

誰がそれをやったのかに戻ってもう一度見直してみるか」





「分かりやすく表示したもう一つの選択肢を選んでみてね」



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最終更新:2020年04月01日 22:49