ノースヤードの中央広場。普段は静閑とした場所なのだが、今日だけはかなり様子が違う。
広場の中には多くの屋台が建ち、またシートを広げて陣取っている多くの人々の姿が見れる。その上には様々な商品が載せられている。
何が起こっているのかと言えば、祭りとバザーを兼ねた北王主催のチャリティイベント、というのが表面上の理由だ。
「去年はゴタゴタがあって流れてしまいましたが、今年は無事に開催出来そうですね」
現在の時間は午前八時。日が昇ってすぐだ。
開催時間は九時。開場まで一時間を切っている今、現場は鉄火場と化している。
店を開いている者の中には、多くのトップランカーも含まれる。観凪や鞍螺を筆頭としたノースヤードの著名人はほぼ全員が勢揃いしており、また彼女らのリンクの繋がり,個人的友人などが集っている。かなり壮観なメンバーだ。
その強力な面々達は悠々と準備をしているのだが、そうでない面々。ノースヤードの一般生徒達は今更に場所の取り合いをしたり準備不足を補う為に走り回ったりと、忙しなく焦っている。
「会長。開演の挨拶の準備はいいです……」
振り返る異牙。そこには、このイベントの主催者である北王、夜巌がいる。
「……おかしいデスヨ? 人間、夜に遊ビ朝から昼にダラケルのガ正しい生き方ノ筈。ソレなのにコンナ早朝から怠惰の教えヲ破って働かナイトならないナンテ……コレは冒_デス。人ハ昼に活動出来ない生き物ナノニ、何故コンナ面倒な事をシナケレバならないんでショウカ」
俯いてブツブツと不平不満を述べている彼の言葉を要約すれば、眠い,ダルい、そう言う事だろう。
「人は堕落シテ生きる事を許されタ唯一の存在。シカシその特権を放棄シテこんな時間から仕事をスルなんて間違ってマス。オカシイです。摩訶不思議デス。モウ戻っていいデスかブフォア」
言いたい事を全て言い終えてから、夜巌の腹部に鋭いストレートが叩き込まれた。
咽せて体をくの字に曲げた彼を見下ろして睨みつける異牙。表情は変わっていないが、額には青筋が浮かんでいる。
「何を言っているのですか会長。そもそも、貴方が言い出した事でしょう」
「ソ、ソノ事にツイテハそうですガ。普通、朝カラ開くなんて思わないデショウ」
「普通は朝に開くのです。闇市でも開くつもりですか貴方は」
呆れ顔の異牙に対し、ムゥと唸る夜巌。
「デスガ、ワザワザ俺が出る必要はナイデスヨ? 異牙が出れバ充分ジャナイデスカ。何なら鞍羅や観凪でも充分デショウ。夜巌サンは急病の為に残念ナガラ来れませんとか言っといてクレレバ」
「ダメです。前例を作ってしまえばそれを理由に今後ともサボろうとするのが会長ですから」
ピシャリと夜巌の抗いを遮断する。完全に取りつく島のない異牙に対し、どうにかして楽をしたい夜巌はその後もあの手この手を使って説得に努めるも、彼女がそれを聞き入れる様子はない。当然の事だ。
「……ムぅ。この前から思ってマシタガ、何か異牙、今回カナリ本気のヨウデスネ」
夜巌のその言葉に、異牙の雰囲気が変わった。表情こそ変わらないが、その雰囲気が猫のそれから豹のそれに変化する。
それを明確に感じ取り、夜巌はヤバいと気付く。地雷を踏んだと素早く察知した彼だが、地雷とは踏んだ瞬間に手遅れになるものだ。
「……ええ、本気にもなります。以前から北区画がどれほどの慢性的資金不足に悩んでいるかは会長もよくご存知でしょう」
「……イヤ、ソレハネ?」
ヘラヘラと笑みながらも、夜巌の背中には大量の汗が流れている。しかし、蛇に睨まれた蛙の如く、恐ろしい程の殺意を込めて夜巌を睨む異牙の視線からは逃れられない。
「北区画の整備に必要な分として仕方がありません。ですが、全体の三分の一が使途不明金です。それによってどれだけ私達が帳尻合わせに苦労しているかご存知ですか?」
「……使途不明金トハ。一体誰がそんな事をシテイルノデショウネ? 早急に真相を解明しなクテハ」
「その件については今後ともゆっくりと話し合うとします。ともあれ、私達は資金を集める必要があり、しかし北区画という性質から税収はあまり期待できません。それ故に、このような機会で出来るだけ稼いでおく必要がある事は会長にも分かるでしょう」
「…………イヤマァそれは分かりマスガ。デモ別に俺がイナクテモ問題なくイベントは開きますからいいでゴフォア!」
今度は最後まで言葉を繋ぐ事も出来ずに吹き飛ばされる夜巌。彼の顔面には、異牙からの強烈な右ストレートが叩き込まれていた。
「現状を理解した上で真面目に働きなさいという事です!」
珍しく息を荒げて告げる異牙。普段の仕事に加え、イベントの為にも時間を取られる羽目になった彼女はストレスを溜めていたようだ。その分が一撃に込められていた。そこから判断して、どうもかなり多量のストレスが拳に乗せられていたらしい。
「働きたくなゴファア」
「真面目にやりなさい」
「朝から働カなければナラナイ世界ナンテ絶対二間違ってマスヨ……」
平然と立ち上がりながらもそんな事をのたまう夜巌。駄目人間がここに極まっている。というかどういう世界を求めているんだろうか彼は。
「よぉ、やっとんな」
「……経世さんですか。準備はいいのですか?」
そんなやや過激な掛け合いをしていた二人の元にやって来たのは,ランク6位、【狂気の王】こと経世だ。彼もまたロックンロールスターの代表として、そのチャリティイベントに参加している。というより、半ば強制参加だ。
「もう殆どやる事やったし、兎熊もおるしな。朝から他の奴に眠気分けしたから、今日はしゃっきりしてるし任せてきたわ」
「異牙、俺も此処ハしゃっきりシタ貴女二全てお任せしてオブゥ」
横に移動して来ていた夜巌の脇腹に痛烈な肘打ちを加える異牙。
「貴方はやる事もやってないでしょう」
「……ほんま相変わらずやな。他人事やけど、あんまそんな事ばっかしてたら威厳が疑われんぞ?」
呆れた表情の経世。まぁ、どちらが主で従か分からないようなこの二人のやり取りを見ていればそう言いたくなるのも仕方がないだろう。
「構いません。このような表層の行為だけで彼の本質を見誤るような輩など、そもそも必要としませんので」
「いや、そういう問題やなくて。いや、そっちがそれでええってんならええねんけどな?」
自信たっぷりに告げられ、経世が頭を掻く。まぁ、スタンスとしてそうしているのなら構わないだろうと思いつつ、また同時にそんなスタンスでいいのかとも首を捻っている彼だった。ただ、彼に人の威厳を心配している余裕はないと思うのだがどうだろうか。四王一親しまれ易い南王。尤も話し易く弄り易い南王の親しさは伊達じゃない。威厳と言う点に限り言えば、夜巌も経世もたいして違いはないと言えるのだから。
「マァ、異牙の言う通りデスヨ。別に誰がどう感じようが自由デスシネ、威厳がアルカラ良いって事でもナイデショウ」
「それもそうやな。ま、今日は楽しませてもらうで」
「ええ。資金の方もお願い致します」
生真面目に告げる彼女に対し経世は苦笑。
「ああ、場所代と売上の20%やろ? 確かに俺もスクネも負け分貯まっとったが、まさかこんな形で徴収されるとは思わんかったわ」
彼が本来、何の関係もないとは言えないが、わざわざ料金を払ってまでこのイベントに参加する理由。それが、彼の言った負け分によるものだ。
彼らは、夜巌を含めて夜な夜な賭け麻雀に興じたりしている。そうしてから、夜巌のやけに高い運やらやけに不自然な勝ち方やらで負けが貯まり、払いを滞納していた事を異牙に突き止められた結果がこれだった。彼女はそれを理由に経世や狗刀などに連絡、そして出店を要請。半ば強制に近いやり方でそういった結果が今だった。
まぁ、元々が賭け麻雀を行うくらいに親しみのあるメンツではあるので、普通に頼んでも同じ結果を得られただろう。異牙もそれを自覚した上で、あくまで速やかにやらせる為の手段として使ったのだ。
「本当は俺ノ個人的取分にナル筈ダッタんですがネェ……」
呟いた夜巌にナイフのような視線を向ける異牙。その視線を口笛を吹きながら躱す夜巌。何と言うヘタレ構図。
「……賭け麻雀は資金調達の為にやっている、と。そう仰っていたので黙認しているまでです」
個人的理由であれば今後は許可しないとまろやかに告げ、夜巌の愚痴を叩きつぶす。異牙の殺気で押される夜巌を見て爆笑する経世。
「ま、頑張れ夜。たまには真面目に働くべきやぞお前も」
「…………変態に言われるトハ何たる屈辱」
「半ニート半ヒッキーのテメェには言われたくねぇな!」
「ともあれ、二人とも真面目にやってください」
舌戦に発展しそうな経世と夜巌をズバッと一言で止める異牙。その目を見た二人は即座に黙って大人しくなった。凄まじき眼光である。
「……じゃあまぁ俺は戻るわ頑張れ夜!」
シュタ、と爽やかに笑い手をあげて走り去る経世。ズバリ言うと逃げたようだ。
鮮やかに走り去った彼を見送った後、異牙は腕に嵌めた時計に目をやる。時間は、八時半。
「いい時間ですね。私達も準備に行きましょう」
「働きタクネェー」
「直球で言わないでください」
やいのやいの言い合いつつ、結局、異牙に連行されるような形で引っ張られていく夜巌だった。
とりあえず書いてみた。続くかどうかは不明。多分続かない(ぁ
広場の中には多くの屋台が建ち、またシートを広げて陣取っている多くの人々の姿が見れる。その上には様々な商品が載せられている。
何が起こっているのかと言えば、祭りとバザーを兼ねた北王主催のチャリティイベント、というのが表面上の理由だ。
「去年はゴタゴタがあって流れてしまいましたが、今年は無事に開催出来そうですね」
現在の時間は午前八時。日が昇ってすぐだ。
開催時間は九時。開場まで一時間を切っている今、現場は鉄火場と化している。
店を開いている者の中には、多くのトップランカーも含まれる。観凪や鞍螺を筆頭としたノースヤードの著名人はほぼ全員が勢揃いしており、また彼女らのリンクの繋がり,個人的友人などが集っている。かなり壮観なメンバーだ。
その強力な面々達は悠々と準備をしているのだが、そうでない面々。ノースヤードの一般生徒達は今更に場所の取り合いをしたり準備不足を補う為に走り回ったりと、忙しなく焦っている。
「会長。開演の挨拶の準備はいいです……」
振り返る異牙。そこには、このイベントの主催者である北王、夜巌がいる。
「……おかしいデスヨ? 人間、夜に遊ビ朝から昼にダラケルのガ正しい生き方ノ筈。ソレなのにコンナ早朝から怠惰の教えヲ破って働かナイトならないナンテ……コレは冒_デス。人ハ昼に活動出来ない生き物ナノニ、何故コンナ面倒な事をシナケレバならないんでショウカ」
俯いてブツブツと不平不満を述べている彼の言葉を要約すれば、眠い,ダルい、そう言う事だろう。
「人は堕落シテ生きる事を許されタ唯一の存在。シカシその特権を放棄シテこんな時間から仕事をスルなんて間違ってマス。オカシイです。摩訶不思議デス。モウ戻っていいデスかブフォア」
言いたい事を全て言い終えてから、夜巌の腹部に鋭いストレートが叩き込まれた。
咽せて体をくの字に曲げた彼を見下ろして睨みつける異牙。表情は変わっていないが、額には青筋が浮かんでいる。
「何を言っているのですか会長。そもそも、貴方が言い出した事でしょう」
「ソ、ソノ事にツイテハそうですガ。普通、朝カラ開くなんて思わないデショウ」
「普通は朝に開くのです。闇市でも開くつもりですか貴方は」
呆れ顔の異牙に対し、ムゥと唸る夜巌。
「デスガ、ワザワザ俺が出る必要はナイデスヨ? 異牙が出れバ充分ジャナイデスカ。何なら鞍羅や観凪でも充分デショウ。夜巌サンは急病の為に残念ナガラ来れませんとか言っといてクレレバ」
「ダメです。前例を作ってしまえばそれを理由に今後ともサボろうとするのが会長ですから」
ピシャリと夜巌の抗いを遮断する。完全に取りつく島のない異牙に対し、どうにかして楽をしたい夜巌はその後もあの手この手を使って説得に努めるも、彼女がそれを聞き入れる様子はない。当然の事だ。
「……ムぅ。この前から思ってマシタガ、何か異牙、今回カナリ本気のヨウデスネ」
夜巌のその言葉に、異牙の雰囲気が変わった。表情こそ変わらないが、その雰囲気が猫のそれから豹のそれに変化する。
それを明確に感じ取り、夜巌はヤバいと気付く。地雷を踏んだと素早く察知した彼だが、地雷とは踏んだ瞬間に手遅れになるものだ。
「……ええ、本気にもなります。以前から北区画がどれほどの慢性的資金不足に悩んでいるかは会長もよくご存知でしょう」
「……イヤ、ソレハネ?」
ヘラヘラと笑みながらも、夜巌の背中には大量の汗が流れている。しかし、蛇に睨まれた蛙の如く、恐ろしい程の殺意を込めて夜巌を睨む異牙の視線からは逃れられない。
「北区画の整備に必要な分として仕方がありません。ですが、全体の三分の一が使途不明金です。それによってどれだけ私達が帳尻合わせに苦労しているかご存知ですか?」
「……使途不明金トハ。一体誰がそんな事をシテイルノデショウネ? 早急に真相を解明しなクテハ」
「その件については今後ともゆっくりと話し合うとします。ともあれ、私達は資金を集める必要があり、しかし北区画という性質から税収はあまり期待できません。それ故に、このような機会で出来るだけ稼いでおく必要がある事は会長にも分かるでしょう」
「…………イヤマァそれは分かりマスガ。デモ別に俺がイナクテモ問題なくイベントは開きますからいいでゴフォア!」
今度は最後まで言葉を繋ぐ事も出来ずに吹き飛ばされる夜巌。彼の顔面には、異牙からの強烈な右ストレートが叩き込まれていた。
「現状を理解した上で真面目に働きなさいという事です!」
珍しく息を荒げて告げる異牙。普段の仕事に加え、イベントの為にも時間を取られる羽目になった彼女はストレスを溜めていたようだ。その分が一撃に込められていた。そこから判断して、どうもかなり多量のストレスが拳に乗せられていたらしい。
「働きたくなゴファア」
「真面目にやりなさい」
「朝から働カなければナラナイ世界ナンテ絶対二間違ってマスヨ……」
平然と立ち上がりながらもそんな事をのたまう夜巌。駄目人間がここに極まっている。というかどういう世界を求めているんだろうか彼は。
「よぉ、やっとんな」
「……経世さんですか。準備はいいのですか?」
そんなやや過激な掛け合いをしていた二人の元にやって来たのは,ランク6位、【狂気の王】こと経世だ。彼もまたロックンロールスターの代表として、そのチャリティイベントに参加している。というより、半ば強制参加だ。
「もう殆どやる事やったし、兎熊もおるしな。朝から他の奴に眠気分けしたから、今日はしゃっきりしてるし任せてきたわ」
「異牙、俺も此処ハしゃっきりシタ貴女二全てお任せしてオブゥ」
横に移動して来ていた夜巌の脇腹に痛烈な肘打ちを加える異牙。
「貴方はやる事もやってないでしょう」
「……ほんま相変わらずやな。他人事やけど、あんまそんな事ばっかしてたら威厳が疑われんぞ?」
呆れた表情の経世。まぁ、どちらが主で従か分からないようなこの二人のやり取りを見ていればそう言いたくなるのも仕方がないだろう。
「構いません。このような表層の行為だけで彼の本質を見誤るような輩など、そもそも必要としませんので」
「いや、そういう問題やなくて。いや、そっちがそれでええってんならええねんけどな?」
自信たっぷりに告げられ、経世が頭を掻く。まぁ、スタンスとしてそうしているのなら構わないだろうと思いつつ、また同時にそんなスタンスでいいのかとも首を捻っている彼だった。ただ、彼に人の威厳を心配している余裕はないと思うのだがどうだろうか。四王一親しまれ易い南王。尤も話し易く弄り易い南王の親しさは伊達じゃない。威厳と言う点に限り言えば、夜巌も経世もたいして違いはないと言えるのだから。
「マァ、異牙の言う通りデスヨ。別に誰がどう感じようが自由デスシネ、威厳がアルカラ良いって事でもナイデショウ」
「それもそうやな。ま、今日は楽しませてもらうで」
「ええ。資金の方もお願い致します」
生真面目に告げる彼女に対し経世は苦笑。
「ああ、場所代と売上の20%やろ? 確かに俺もスクネも負け分貯まっとったが、まさかこんな形で徴収されるとは思わんかったわ」
彼が本来、何の関係もないとは言えないが、わざわざ料金を払ってまでこのイベントに参加する理由。それが、彼の言った負け分によるものだ。
彼らは、夜巌を含めて夜な夜な賭け麻雀に興じたりしている。そうしてから、夜巌のやけに高い運やらやけに不自然な勝ち方やらで負けが貯まり、払いを滞納していた事を異牙に突き止められた結果がこれだった。彼女はそれを理由に経世や狗刀などに連絡、そして出店を要請。半ば強制に近いやり方でそういった結果が今だった。
まぁ、元々が賭け麻雀を行うくらいに親しみのあるメンツではあるので、普通に頼んでも同じ結果を得られただろう。異牙もそれを自覚した上で、あくまで速やかにやらせる為の手段として使ったのだ。
「本当は俺ノ個人的取分にナル筈ダッタんですがネェ……」
呟いた夜巌にナイフのような視線を向ける異牙。その視線を口笛を吹きながら躱す夜巌。何と言うヘタレ構図。
「……賭け麻雀は資金調達の為にやっている、と。そう仰っていたので黙認しているまでです」
個人的理由であれば今後は許可しないとまろやかに告げ、夜巌の愚痴を叩きつぶす。異牙の殺気で押される夜巌を見て爆笑する経世。
「ま、頑張れ夜。たまには真面目に働くべきやぞお前も」
「…………変態に言われるトハ何たる屈辱」
「半ニート半ヒッキーのテメェには言われたくねぇな!」
「ともあれ、二人とも真面目にやってください」
舌戦に発展しそうな経世と夜巌をズバッと一言で止める異牙。その目を見た二人は即座に黙って大人しくなった。凄まじき眼光である。
「……じゃあまぁ俺は戻るわ頑張れ夜!」
シュタ、と爽やかに笑い手をあげて走り去る経世。ズバリ言うと逃げたようだ。
鮮やかに走り去った彼を見送った後、異牙は腕に嵌めた時計に目をやる。時間は、八時半。
「いい時間ですね。私達も準備に行きましょう」
「働きタクネェー」
「直球で言わないでください」
やいのやいの言い合いつつ、結局、異牙に連行されるような形で引っ張られていく夜巌だった。
とりあえず書いてみた。続くかどうかは不明。多分続かない(ぁ