アマンダはただ、そのジェームスだったものの前に立ち尽くしていた。
何が起こったのか、それが目の前に突きつけられていたとしても未だに信じることができなかった。
手にはジェームスに押しつけられた一枚の資料。悔しさ恐ろしさを苦々しく噛み締めながら、アマンダはそれを握りしめる。
ああ、私は彼を救ってやることができなかった。みすみす見殺しにしてしまった。彼の頼みを聞いてやることすらできなかった。ならば、せめてこの託された最後の想いだけはなんとしても成し遂げなければならない。
何が起こったのか、それが目の前に突きつけられていたとしても未だに信じることができなかった。
手にはジェームスに押しつけられた一枚の資料。悔しさ恐ろしさを苦々しく噛み締めながら、アマンダはそれを握りしめる。
ああ、私は彼を救ってやることができなかった。みすみす見殺しにしてしまった。彼の頼みを聞いてやることすらできなかった。ならば、せめてこの託された最後の想いだけはなんとしても成し遂げなければならない。
まだ力の入らない足腰を鞭打って、ライフルを杖代わりにアマンダはよろよろと立ち上がる。そしてジェームスだったものを一瞥すると、もう何も語らない肉塊に別れを告げた。
まだ名前も聞いていなかった彼のためにも、この資料は必ず持って帰ろう。そして、真実を探るのだ。この悪趣味でおぞましい奇妙な出来事の実態をなんとしてもつかむのだと決意した。
見ると、その資料は何かの染みで一部が読みとれない状態になっていた。どこかに、完全な形の資料はないのだろうか。
銃をしっかりと握りしめ血に塗れてしまった勲章を拾い上げると、ジェームスの最後の頼みを一枚片手に研究所の奥へと足を進めるのだった。
アマンダがその場を去ってからしばらくすると、頭を撃ち抜かれたはずの怪物はぴくりと身を動かしたように見えた……。
まだ名前も聞いていなかった彼のためにも、この資料は必ず持って帰ろう。そして、真実を探るのだ。この悪趣味でおぞましい奇妙な出来事の実態をなんとしてもつかむのだと決意した。
見ると、その資料は何かの染みで一部が読みとれない状態になっていた。どこかに、完全な形の資料はないのだろうか。
銃をしっかりと握りしめ血に塗れてしまった勲章を拾い上げると、ジェームスの最後の頼みを一枚片手に研究所の奥へと足を進めるのだった。
アマンダがその場を去ってからしばらくすると、頭を撃ち抜かれたはずの怪物はぴくりと身を動かしたように見えた……。
『神への冒涜』四人目「Dr.エイド / Bloody emergency Manual」
エレベータは深き地の底から勢いよく昇っていく。
その中にはエイドと一人の研究員の姿があった。
「は……ははは、生き延びた。私は生き延びたぞ! 勝った。あの老いぼれに勝ってやった!! …当然だな。この私があんなジジイになど負けるはずがないんだ。ふはははは!」
「あ、あの……ドクターエイド」
研究員は遠慮がちにエイドに声をかける。
「あァ? なんだ、私はおまえなんかに用はないぞ。話があるなら、さっさと言え」
「その……。さっきは申し訳ありませんでした…」
「ふん、もういい。だが、こうして私は無事だ。だったら何も問題はない」
「それで、その…。一人で逃げようとしてしまった私が言うのもあれなんですが…。あの男を置いてきてしまって、良かったんでしょうか……」
そんなことありませんよね、という目で研究員はエイドを見つめている。彼は彼なりに罪悪感に苛まれているようだった。
「ああ…、あいつか。まぁ、たしかに大事な研究材料のひとつではあるが。だが、どうせあれは失敗作だ。見なくてもどうせ結果は見えている。今頃、あれはめちゃくちゃのぐっちゃぐちゃになっているだろうさ。失敗作をただ廃棄したまで。何を気にする必要がある?」
エイドは当然だろう、とでも言わんばかりに答えた。
「で、ですが…。あの男だって、被検者とはいえ生きた人間です。ましてや、今は非常時。そんなときこそ助け合うべきだったのでは、と私は後悔しているのです…」
「助けるゥ? あの老いぼれをか! 何をふざけたことを言ってやがる! あいつは被検体の分際でこの私をコケにしやがったんだぞ!! そのあいつを助けるだと……貴様、何をばかなことを!!」
「い、いえ! その、わ、私はただ……! も、申し訳ありません…」
「チッ……いいか、被検体を人間だと思うな。実験動物だと思え。それが嫌なら虫けらだとでも思っておけ! 変な情など持つな。実験の妨げになるだけだ。少しは八神君を見習ってもらいたいものだな、くっくっく…」
「は、はい…」
「さて、今頃やつは被検体Yにでも喰われちまってるころか。ひゃはははは、ざまぁないぜ! おい、どうしたジェームス。おまえ、死んだのかよォ! あっははははは…!!」
エイドは不気味に顔を歪めながら、狂ったように笑い始める。
そんなエイドの様子を、研究員はただ顔をしかめて見ていることしかできなかった。
その中にはエイドと一人の研究員の姿があった。
「は……ははは、生き延びた。私は生き延びたぞ! 勝った。あの老いぼれに勝ってやった!! …当然だな。この私があんなジジイになど負けるはずがないんだ。ふはははは!」
「あ、あの……ドクターエイド」
研究員は遠慮がちにエイドに声をかける。
「あァ? なんだ、私はおまえなんかに用はないぞ。話があるなら、さっさと言え」
「その……。さっきは申し訳ありませんでした…」
「ふん、もういい。だが、こうして私は無事だ。だったら何も問題はない」
「それで、その…。一人で逃げようとしてしまった私が言うのもあれなんですが…。あの男を置いてきてしまって、良かったんでしょうか……」
そんなことありませんよね、という目で研究員はエイドを見つめている。彼は彼なりに罪悪感に苛まれているようだった。
「ああ…、あいつか。まぁ、たしかに大事な研究材料のひとつではあるが。だが、どうせあれは失敗作だ。見なくてもどうせ結果は見えている。今頃、あれはめちゃくちゃのぐっちゃぐちゃになっているだろうさ。失敗作をただ廃棄したまで。何を気にする必要がある?」
エイドは当然だろう、とでも言わんばかりに答えた。
「で、ですが…。あの男だって、被検者とはいえ生きた人間です。ましてや、今は非常時。そんなときこそ助け合うべきだったのでは、と私は後悔しているのです…」
「助けるゥ? あの老いぼれをか! 何をふざけたことを言ってやがる! あいつは被検体の分際でこの私をコケにしやがったんだぞ!! そのあいつを助けるだと……貴様、何をばかなことを!!」
「い、いえ! その、わ、私はただ……! も、申し訳ありません…」
「チッ……いいか、被検体を人間だと思うな。実験動物だと思え。それが嫌なら虫けらだとでも思っておけ! 変な情など持つな。実験の妨げになるだけだ。少しは八神君を見習ってもらいたいものだな、くっくっく…」
「は、はい…」
「さて、今頃やつは被検体Yにでも喰われちまってるころか。ひゃはははは、ざまぁないぜ! おい、どうしたジェームス。おまえ、死んだのかよォ! あっははははは…!!」
エイドは不気味に顔を歪めながら、狂ったように笑い始める。
そんなエイドの様子を、研究員はただ顔をしかめて見ていることしかできなかった。
エレベータが階上に到着する。扉が開かれる。
二人は扉の陰に隠れて様子を窺ったが、どうやら危険はないらしい。研究所内は不気味なほどに静まり返っていた。
「くそっ、ひどい有様だな。さすがにもう、ここで研究を続けるのは難しいか…。おい、おまえ。何をすればいいかは、ちゃんとわかっているな?」
「はい」
「だったら、さっさと行け! おまえがそうであるように……いや、それ以上にまだ私にはやることがあるんだ!」
エイドが怒鳴りつけると、研究員は慌てて駈け出して行った。
研究内容が内容だけに、この計画ではあらゆる危険が想定される。そんな事態に際して、この研究所では非常事態マニュアルが用意されている。エイドもまた、そのマニュアルに沿って行動を開始する。
ひとつは、重要な資料を確保して脱出すること。
ひとつは、研究の痕跡をひとつ残らず抹消すること。
ひとつは、上層部の安全を確保することだ。
「上層部の安全……ねぇ、クソが。上のやつらは自分の身のことしか考えちゃいねぇ。大方、非常事態だと聞いてものんびり上で紅茶でもすすってやがるんだろう。ああ、腹立たしいぜ。いつかのし上がって、絶対にこの手で変えてやる! 私が頂点に立つのだ! 今まで私を扱き使ってきたやつらを逆にボロ雑巾のように扱ってやる!!」
この廃病棟、もとい研究所は地上三階、地下二階の五階構成だ。
二階が研究フロア、地上一階と地下一階は実験フロア、そして地下二階は隔離フロア。
東西に階段とエレベータを備え、今エイドたちが昇ってきたのは西側。アマンダは東側から地下一階に下りて、西側へと歩いていったその先でジェームスと遭遇したのだろう。
そして上層部は三階の管理区画で優雅にティータイムだ。
「ああクソ、くっそくそくそくそォ! 私がこんな目に遭っているというの上のやつらときたら……。それに八神だ! あいつはどこで何をしてやがるんだ! これはあいつの失態だ。あいつの被検体が暴れて逃げ出したからこんなことになったんだ。あいつが責任をとって全部一人で尻拭いをすればいいんだ…」
エイドは不機嫌そうに一階の自分の研究室に向かった。
八神とエイドは実験班の主任博士だ。
実験班は、二階の研究班の成果を被検体に投与して経過を観察する実務執行と、それら被検体の管理を行っている。
研究班は、《研究》の目的、すなわち……
第一目的:野生生物に匹敵する強靭な肉体を持つ強化軍隊を得る。
第二目的:完全獣化させて敵の目を欺く野生部隊を得る。
これらのことを実現するための薬品の開発研究を執り行っている。
それとは別に確保班と管理班が存在する。
確保班は表の病院から実験に適性のある患者を見つけて実験班に報告したり、外部から適性のある者を被検体として研究所へ連れてくる。
そして、管理班とは上層部のことである。
「私のやるべきことはこれで全部だな。端末の情報もすべて消去した。あとは迎えが来るのを待って、こんなところはさっさとおさらばだ。あまり居心地のいい環境じゃなかったぜ。次の研究所はもう少しマシなところがいい」
ひとつのスーツケースを片手にエイドが彼の研究室から再び姿を現した。
そのスーツケースの中には《研究》の資料や、彼の私物などが詰められている。
「私の部下たちはみんなやられちまったか…。おかげで、あいつらの分も私が処理をすることになった。それもこれも、八神のせいだ。いや、あんな被検体を報告してきやがった確保班のせいか? いやいや、どうせ上からの指示なんだ。全部、上層部が悪いに決まってる!」
誰もいないのをいいことに、エイドは次々と愚痴を漏らした。
「ああ、そうさ。上のやつらなんて、口だけで技術もなにもないに決まってる! まだ研究班のほうがまともな仕事をしてるぜ。上からの無茶な要求をいくつも適えてきたんだからな。その点に関してだけは、私も評価してやる。だが、確保班。てめぇらはだめだ!」
エイドが日々の恨み辛みを呟いていると、静寂の研究所に一人の足音が響く。
「さっきの研究員か? おい、おまえまだこんなところをうろついているのか。それとも迎えの奴らが来たか!」
コツコツと音を響かせながらその足音の主は近付いてくる。靴の鳴らす音だ。
少なくとも、あの失敗作ではない。そして、ジェームスは生き残れていないだろうと確信している。それは、間違いなく人間の足音。
「おい、どうした。何か言ったらどうだ。え?」
足音はすぐそこの廊下の角から聞こえてくる。相手の姿はまだ見えない。しかし、声は届いているはずだ。
「こら、無視すんじゃねぇよ! 誰だ、おまえは!」
機嫌を損ねてエイドは不用心にも角から飛び出してしまった。
ゴツリ、と硬く冷たいものの感触を額に感じる……。
「それはこちらの台詞だ。おまえは何者だ……言え!」
エイドの額には銃が押し付けられていた。
「げ、げっ…!?」
相手は引き金に手を添えている。いつでも撃てる状態だ。
「わ、私は……ここで働いてる者だ。お、おまえこそ何だ? 同僚には見えないなぁ…」
相手は銃を押し付けたまま静かに答えた。
「私は国軍准将のアマンダだ。ここで怪しい悲鳴を聞いた。そしてこの有様を目の当たりにした。ここで何があった? 正直に話してもらおうか」
(ぐ、軍隊だと…! なぜそんなものがここに…。患者服……表の病院の患者か! くそっ、これはまずい相手に来られちまった)
「あ、ああ。うちの患者さまでしたか。これは失礼しました。ここは立ち入り禁止だと、そう書いてあったはずですが?」
「それは承知の上だ。これは一体どういうことだ? 話せ!」
「い、いやぁ。これはですねぇ、その。ちょっと研究にトラブルがありまして…。そう、事故! 事故なんですよ。危ないので部外者は立ち寄らないでいただけませんかねぇ」
エイドは普段の様子からは似ても似つかないへつらった様子で、不気味な愛想笑いを浮かべながら答えた。
「研究……だと?」
アマンダは眉を吊り上げる。
「ここは使われていない病棟のはずだが? それがなぜこんなところで研究をしている。その持っているケースは何だ。中を見せてもらおうか」
「い、いや、これは…。その、ここではちょっと……危険な研究をしているんですよ。患者さまにその危険が及ばないように、表向きには閉鎖しているということしているというか…。そう、危険なんです。ウイルスや菌を扱う研究をしているので。その……新薬の」
「ほう、新薬だと? 壁が抉られているのを見たが、薬の研究であんな惨状を招くのか。それは大層危険なお仕事だな」
迂闊、つい口を滑らせて余計なことを言ってしまった。しかし、もう後のまつりだ。
「あ…いや……薬とは関係ないんですよ。そうそう、熊が出たんですよ。それでこんなことに…。もう始末しましたから、兵隊さんは安心してお帰りください。もう安全ですから」
「熊だと? わざわざ、こんな海沿いまで降りてくるとは悠長な熊だな。私はさっき、その”熊”に会ってきたばかりだがな」
「え、えっ!? 会われたんですか。そ、それは大変でしたね……もし、怪我などされたのなら、表の病院で診てもらってください。それじゃあ、私は行かなければならないので失礼……」
「いい加減に本当のこと言ったらどうだ!!」
我慢の限界を迎えて、アマンダはエイドを壁に押し付けた。銃は額に突き付けられたままだ。
逃げ場はない。もはや言い逃れもできない。
「くっ……。その”熊”に会ったと言ったな。おまえ、どこまで知っている……?」
「何も。私はまだこの目を疑っている。地下で狼を見た。…いや、あれは本当に狼だったのか? とにかく、そいつは一人の老人を襲っていた。だから、私はその狼を撃った」
「そ、そうか! 始末してくれたのか! それは助かった。我々の仕事がひとつ減ったぞ。感謝するぜ、くっくっく…」
「その襲われていた老人は私の目の前で死んだ」
「そうか、それはお気の毒になぁ」
エイドはそれがすぐにジェームスのことだとわかった。心の中では大声でジェームスを笑い罵りながらも、それが表情に出ないように隠して、あたかも同情するかのように答えるのだった。
「だが……。ああ、私は一体何を見たんだ!? 信じられない。何と説明したらいいのかわからない…。だが、その老人は確かに私の目の前で……変死した!! 急に苦しみ始めたと思ったら、血が……肉が……う、うぷっ」
剛毛を所々に生やした肉団子が、血やら内容物やら得体の知れない液体をまき散らしながらどろどろごろごろと転がり、アマンダを押し潰さんと差し迫ってくる想像が頭をよぎってしまう。
アマンダはあの光景を思い出して、再び嘔吐感に襲われた。
その隙をエイドは見逃さない。
アマンダからライフルを奪い取ると、彼女が自分したようにそれを額に突き付けてやる。
「な…っ!! どういうつもりだ!?」
「へ……へへっ。ざァんねんでしたぁ! まだ何もォ? へーぇ、そうかい。そのことば、どこまで信じていいものやら。まぁ、それが本当だったとしても、見られてしまった以上はおまえをここから帰すわけにはいかねぇなぁ!!」
「く…ッ! き、貴様……やはり何か隠しているな! ここで何を研究しているんだ! 本当のことを言え!!」
「おいおい、お嬢さん。自分の置かれた状況をもっとよく考えるべきだぜぇ? 将軍サマだかなんだか知らねぇがなぁ! 世の中には知らないほうが幸せなことなんて、掃いて捨てるほどにあるんだぜぇぇえええ!? 余計な好奇心は身を滅ぼす……覚えときな!!」
形勢逆転、こんどはアマンダに逃げ場なし。そのまま、後ずさり壁に追い詰められてしまった。
「おまえは知るべきじゃないことを知ってしまったのさ。その罪は重いぜぇ…? くっくっく……」
「ふん。銃の持ち方がなってないな、素人め…。撃てるものか」
「そいつはどうだろうなぁ? 私は実験でもう何人殺っちまったか覚えてないなぁ…っひゃはははははァ! 躊躇? 迷い? そんなもの期待したって無駄だぜ、お嬢さん。私はなぁ! 他人なんかどうだっていいんだよォ! いいか、世の中生き残るためには勝ち続けるしかないんだよ。他人なんて蹴落として当然のただの駒に過ぎねぇんだよォ! 邪魔ものは排除する。邪魔になりそうな芽は早いうちに摘み取ってしまうに限る。秘密を知られた可能性がある以上、生かしちゃおけねぇんだよォォォ!!」
「くっ……外道め」
「なんとでも言え。ほら、死んじまえよォ!」
エイドは何のためらいもなく引き金を引……
『グォォォオオオオォォオオオォォオオォォオオオ………ッッッ!!!』
どこかから聞こえてくる咆哮。思わずエイドの身がすくんだ。
その一瞬の隙をアマンダは見逃さない。
腹に拳を一撃、もう一発、そして膝で蹴り上げる。
「ぐ…ッ、うぐぅ…!?」
「おしゃべりが過ぎたな」
形勢再逆転。
アマンダは銃を奪い返して、うずくまるエイドの頭に銃口を向ける。
「あの声、まだ他にいるというのか。……まぁいい。秘密だって? それは面白そうだな。さぁ、こんどこそ吐いてもらおうか。それから、その荷物は預からせてもらう」
「う、ううっ…。わ、私はただ、上層部に言われてやっただけなんだ…! 私は何も知らない。私も何も知らされていないんだよォ! それでも撃つのか? この哀れな科学者を撃とうと言…」
銃声。
弾はエイドの頬をかすめて床にめり込んだ。血が一筋垂れて床に落ちる。
「話せ。次は命中させるぞ」
「チッ…。血も涙もねぇ女だな。いいだろう、教えてやる……」
エイドはスーツケースから一枚の紙切れを取り出すと、それをアマンダに手渡した。
「これは…?」
注意がその紙切れに移った隙を狙ってエイドが殴りかかる。
「うっひゃはははァ! ばかめ!!」
しかし、アマンダはその一撃をひらりとかわすと、体勢の崩れたエイドの後頭部を銃で打ちつける。
エイドは気を失って倒れた。
「……ばかはおまえだ」
スーツケースの中に入っていた医療用のものと思われるゴムチューブでエイドの両手を拘束すると、アマンダは何か使えるものはないかとスーツケースを漁った。
ジェームスに押し付けられた資料は、汚れていて読めない部分があった。もしかしたら、完全な形の資料がここにあるかもしれない。
「そういえば、あの資料には軍の司令部が絡んでいると書かれていたな…。ふん、そんなことあるものか。どうせ責任を押し付けて逃れるつもりに違いない。あるいは、軍司令を語って研究者たちを強制的に働かせていたのか?」
スーツケースには何枚もの紙資料や医療道具、鍵や小物、畳んだ白衣などがしまわれていた。
資料は別の国の言語で書かれているものや、何かの表や図形、あるいは写真が貼り付けられているものもある。
アマンダはその中から、自分の読めるものだけをかき集めた。
「クロロがどうだの、トキシンがどうだの、薬品のことはよくわからないが、これは私にも理解できそうだ。これは、この建物の見取り図か? ふむ。それからこれは……見覚えがあるぞ」
完全な資料だ。ジェームスに渡されたものとほとんど同じものがそこにあった。こんどは汚れはなくしっかりと最後まで読むことができる。
「…………なに? まさか、本当に軍が関わっているというのか!? それに……そんなところまで!? ば、馬鹿げている! こんな愚かな…とても信じられない…。でも、地下で見たあれは、そう考えるとたしかに納得がいく…。そ、それじゃあ、私が撃ったのはまさか……!!」
資料にはすべてが書かれていた。そして、これからのことも。
「そんなことのために、病院の患者たちを実験台にしていたというのか!? なんて酷い…。これは神への冒涜だ!! こんなこと、すぐにでも止めさせなければならない! 私が……この手で!」
だが、いくらすべてが記された資料にも、彼女の身にこの先起こり得る未来までは書かれていなかった。
アマンダが決意を示して手をぐっと握りしめる。すると、その拳の上に赤い滴が落ちた。これは……血液?
「な…しまっ……!!」
気付いた時には既に遅かった。
あまりにも資料に集中しすぎて、周囲の警戒を怠っていた。
アマンダの背後には例の人狼が立っていた。頭を撃ち抜かれたはずにも関わらず、それは死んではいなかったのだ。
しかし、もうアマンダにはそれを見ることも適わない。
振り返るよりも先に、人狼はアマンダの頭を噛み潰してしまったからだ。もう、どこが目でどこが鼻でどこが口なのかもわからない。血を勢いよく撒き散らす首から上のない肉の身体がそこにあるに過ぎなかった。
最期の瞬間、彼女は一体何を思っただろう。一体何を見たのだろう。目も頭も失ってしまった今になっては、それももうわからない。もう、なにもわからない。
人狼はそんな彼女の亡骸をめちゃくちゃに引き裂いてしまうと、ひと際大きな雄叫びを上げた。それは、どこか悲しいようでもあり、何かを酷く恐れているようにも聞こえた。果たして、それを聞くことができた者がまだいたかどうかもわからないが。
アマンダの銃が虚しく主の手を離れて床に転がる。
そこには一枚の血に塗れた資料が遺されるのみだった。
二人は扉の陰に隠れて様子を窺ったが、どうやら危険はないらしい。研究所内は不気味なほどに静まり返っていた。
「くそっ、ひどい有様だな。さすがにもう、ここで研究を続けるのは難しいか…。おい、おまえ。何をすればいいかは、ちゃんとわかっているな?」
「はい」
「だったら、さっさと行け! おまえがそうであるように……いや、それ以上にまだ私にはやることがあるんだ!」
エイドが怒鳴りつけると、研究員は慌てて駈け出して行った。
研究内容が内容だけに、この計画ではあらゆる危険が想定される。そんな事態に際して、この研究所では非常事態マニュアルが用意されている。エイドもまた、そのマニュアルに沿って行動を開始する。
ひとつは、重要な資料を確保して脱出すること。
ひとつは、研究の痕跡をひとつ残らず抹消すること。
ひとつは、上層部の安全を確保することだ。
「上層部の安全……ねぇ、クソが。上のやつらは自分の身のことしか考えちゃいねぇ。大方、非常事態だと聞いてものんびり上で紅茶でもすすってやがるんだろう。ああ、腹立たしいぜ。いつかのし上がって、絶対にこの手で変えてやる! 私が頂点に立つのだ! 今まで私を扱き使ってきたやつらを逆にボロ雑巾のように扱ってやる!!」
この廃病棟、もとい研究所は地上三階、地下二階の五階構成だ。
二階が研究フロア、地上一階と地下一階は実験フロア、そして地下二階は隔離フロア。
東西に階段とエレベータを備え、今エイドたちが昇ってきたのは西側。アマンダは東側から地下一階に下りて、西側へと歩いていったその先でジェームスと遭遇したのだろう。
そして上層部は三階の管理区画で優雅にティータイムだ。
「ああクソ、くっそくそくそくそォ! 私がこんな目に遭っているというの上のやつらときたら……。それに八神だ! あいつはどこで何をしてやがるんだ! これはあいつの失態だ。あいつの被検体が暴れて逃げ出したからこんなことになったんだ。あいつが責任をとって全部一人で尻拭いをすればいいんだ…」
エイドは不機嫌そうに一階の自分の研究室に向かった。
八神とエイドは実験班の主任博士だ。
実験班は、二階の研究班の成果を被検体に投与して経過を観察する実務執行と、それら被検体の管理を行っている。
研究班は、《研究》の目的、すなわち……
第一目的:野生生物に匹敵する強靭な肉体を持つ強化軍隊を得る。
第二目的:完全獣化させて敵の目を欺く野生部隊を得る。
これらのことを実現するための薬品の開発研究を執り行っている。
それとは別に確保班と管理班が存在する。
確保班は表の病院から実験に適性のある患者を見つけて実験班に報告したり、外部から適性のある者を被検体として研究所へ連れてくる。
そして、管理班とは上層部のことである。
「私のやるべきことはこれで全部だな。端末の情報もすべて消去した。あとは迎えが来るのを待って、こんなところはさっさとおさらばだ。あまり居心地のいい環境じゃなかったぜ。次の研究所はもう少しマシなところがいい」
ひとつのスーツケースを片手にエイドが彼の研究室から再び姿を現した。
そのスーツケースの中には《研究》の資料や、彼の私物などが詰められている。
「私の部下たちはみんなやられちまったか…。おかげで、あいつらの分も私が処理をすることになった。それもこれも、八神のせいだ。いや、あんな被検体を報告してきやがった確保班のせいか? いやいや、どうせ上からの指示なんだ。全部、上層部が悪いに決まってる!」
誰もいないのをいいことに、エイドは次々と愚痴を漏らした。
「ああ、そうさ。上のやつらなんて、口だけで技術もなにもないに決まってる! まだ研究班のほうがまともな仕事をしてるぜ。上からの無茶な要求をいくつも適えてきたんだからな。その点に関してだけは、私も評価してやる。だが、確保班。てめぇらはだめだ!」
エイドが日々の恨み辛みを呟いていると、静寂の研究所に一人の足音が響く。
「さっきの研究員か? おい、おまえまだこんなところをうろついているのか。それとも迎えの奴らが来たか!」
コツコツと音を響かせながらその足音の主は近付いてくる。靴の鳴らす音だ。
少なくとも、あの失敗作ではない。そして、ジェームスは生き残れていないだろうと確信している。それは、間違いなく人間の足音。
「おい、どうした。何か言ったらどうだ。え?」
足音はすぐそこの廊下の角から聞こえてくる。相手の姿はまだ見えない。しかし、声は届いているはずだ。
「こら、無視すんじゃねぇよ! 誰だ、おまえは!」
機嫌を損ねてエイドは不用心にも角から飛び出してしまった。
ゴツリ、と硬く冷たいものの感触を額に感じる……。
「それはこちらの台詞だ。おまえは何者だ……言え!」
エイドの額には銃が押し付けられていた。
「げ、げっ…!?」
相手は引き金に手を添えている。いつでも撃てる状態だ。
「わ、私は……ここで働いてる者だ。お、おまえこそ何だ? 同僚には見えないなぁ…」
相手は銃を押し付けたまま静かに答えた。
「私は国軍准将のアマンダだ。ここで怪しい悲鳴を聞いた。そしてこの有様を目の当たりにした。ここで何があった? 正直に話してもらおうか」
(ぐ、軍隊だと…! なぜそんなものがここに…。患者服……表の病院の患者か! くそっ、これはまずい相手に来られちまった)
「あ、ああ。うちの患者さまでしたか。これは失礼しました。ここは立ち入り禁止だと、そう書いてあったはずですが?」
「それは承知の上だ。これは一体どういうことだ? 話せ!」
「い、いやぁ。これはですねぇ、その。ちょっと研究にトラブルがありまして…。そう、事故! 事故なんですよ。危ないので部外者は立ち寄らないでいただけませんかねぇ」
エイドは普段の様子からは似ても似つかないへつらった様子で、不気味な愛想笑いを浮かべながら答えた。
「研究……だと?」
アマンダは眉を吊り上げる。
「ここは使われていない病棟のはずだが? それがなぜこんなところで研究をしている。その持っているケースは何だ。中を見せてもらおうか」
「い、いや、これは…。その、ここではちょっと……危険な研究をしているんですよ。患者さまにその危険が及ばないように、表向きには閉鎖しているということしているというか…。そう、危険なんです。ウイルスや菌を扱う研究をしているので。その……新薬の」
「ほう、新薬だと? 壁が抉られているのを見たが、薬の研究であんな惨状を招くのか。それは大層危険なお仕事だな」
迂闊、つい口を滑らせて余計なことを言ってしまった。しかし、もう後のまつりだ。
「あ…いや……薬とは関係ないんですよ。そうそう、熊が出たんですよ。それでこんなことに…。もう始末しましたから、兵隊さんは安心してお帰りください。もう安全ですから」
「熊だと? わざわざ、こんな海沿いまで降りてくるとは悠長な熊だな。私はさっき、その”熊”に会ってきたばかりだがな」
「え、えっ!? 会われたんですか。そ、それは大変でしたね……もし、怪我などされたのなら、表の病院で診てもらってください。それじゃあ、私は行かなければならないので失礼……」
「いい加減に本当のこと言ったらどうだ!!」
我慢の限界を迎えて、アマンダはエイドを壁に押し付けた。銃は額に突き付けられたままだ。
逃げ場はない。もはや言い逃れもできない。
「くっ……。その”熊”に会ったと言ったな。おまえ、どこまで知っている……?」
「何も。私はまだこの目を疑っている。地下で狼を見た。…いや、あれは本当に狼だったのか? とにかく、そいつは一人の老人を襲っていた。だから、私はその狼を撃った」
「そ、そうか! 始末してくれたのか! それは助かった。我々の仕事がひとつ減ったぞ。感謝するぜ、くっくっく…」
「その襲われていた老人は私の目の前で死んだ」
「そうか、それはお気の毒になぁ」
エイドはそれがすぐにジェームスのことだとわかった。心の中では大声でジェームスを笑い罵りながらも、それが表情に出ないように隠して、あたかも同情するかのように答えるのだった。
「だが……。ああ、私は一体何を見たんだ!? 信じられない。何と説明したらいいのかわからない…。だが、その老人は確かに私の目の前で……変死した!! 急に苦しみ始めたと思ったら、血が……肉が……う、うぷっ」
剛毛を所々に生やした肉団子が、血やら内容物やら得体の知れない液体をまき散らしながらどろどろごろごろと転がり、アマンダを押し潰さんと差し迫ってくる想像が頭をよぎってしまう。
アマンダはあの光景を思い出して、再び嘔吐感に襲われた。
その隙をエイドは見逃さない。
アマンダからライフルを奪い取ると、彼女が自分したようにそれを額に突き付けてやる。
「な…っ!! どういうつもりだ!?」
「へ……へへっ。ざァんねんでしたぁ! まだ何もォ? へーぇ、そうかい。そのことば、どこまで信じていいものやら。まぁ、それが本当だったとしても、見られてしまった以上はおまえをここから帰すわけにはいかねぇなぁ!!」
「く…ッ! き、貴様……やはり何か隠しているな! ここで何を研究しているんだ! 本当のことを言え!!」
「おいおい、お嬢さん。自分の置かれた状況をもっとよく考えるべきだぜぇ? 将軍サマだかなんだか知らねぇがなぁ! 世の中には知らないほうが幸せなことなんて、掃いて捨てるほどにあるんだぜぇぇえええ!? 余計な好奇心は身を滅ぼす……覚えときな!!」
形勢逆転、こんどはアマンダに逃げ場なし。そのまま、後ずさり壁に追い詰められてしまった。
「おまえは知るべきじゃないことを知ってしまったのさ。その罪は重いぜぇ…? くっくっく……」
「ふん。銃の持ち方がなってないな、素人め…。撃てるものか」
「そいつはどうだろうなぁ? 私は実験でもう何人殺っちまったか覚えてないなぁ…っひゃはははははァ! 躊躇? 迷い? そんなもの期待したって無駄だぜ、お嬢さん。私はなぁ! 他人なんかどうだっていいんだよォ! いいか、世の中生き残るためには勝ち続けるしかないんだよ。他人なんて蹴落として当然のただの駒に過ぎねぇんだよォ! 邪魔ものは排除する。邪魔になりそうな芽は早いうちに摘み取ってしまうに限る。秘密を知られた可能性がある以上、生かしちゃおけねぇんだよォォォ!!」
「くっ……外道め」
「なんとでも言え。ほら、死んじまえよォ!」
エイドは何のためらいもなく引き金を引……
『グォォォオオオオォォオオオォォオオォォオオオ………ッッッ!!!』
どこかから聞こえてくる咆哮。思わずエイドの身がすくんだ。
その一瞬の隙をアマンダは見逃さない。
腹に拳を一撃、もう一発、そして膝で蹴り上げる。
「ぐ…ッ、うぐぅ…!?」
「おしゃべりが過ぎたな」
形勢再逆転。
アマンダは銃を奪い返して、うずくまるエイドの頭に銃口を向ける。
「あの声、まだ他にいるというのか。……まぁいい。秘密だって? それは面白そうだな。さぁ、こんどこそ吐いてもらおうか。それから、その荷物は預からせてもらう」
「う、ううっ…。わ、私はただ、上層部に言われてやっただけなんだ…! 私は何も知らない。私も何も知らされていないんだよォ! それでも撃つのか? この哀れな科学者を撃とうと言…」
銃声。
弾はエイドの頬をかすめて床にめり込んだ。血が一筋垂れて床に落ちる。
「話せ。次は命中させるぞ」
「チッ…。血も涙もねぇ女だな。いいだろう、教えてやる……」
エイドはスーツケースから一枚の紙切れを取り出すと、それをアマンダに手渡した。
「これは…?」
注意がその紙切れに移った隙を狙ってエイドが殴りかかる。
「うっひゃはははァ! ばかめ!!」
しかし、アマンダはその一撃をひらりとかわすと、体勢の崩れたエイドの後頭部を銃で打ちつける。
エイドは気を失って倒れた。
「……ばかはおまえだ」
スーツケースの中に入っていた医療用のものと思われるゴムチューブでエイドの両手を拘束すると、アマンダは何か使えるものはないかとスーツケースを漁った。
ジェームスに押し付けられた資料は、汚れていて読めない部分があった。もしかしたら、完全な形の資料がここにあるかもしれない。
「そういえば、あの資料には軍の司令部が絡んでいると書かれていたな…。ふん、そんなことあるものか。どうせ責任を押し付けて逃れるつもりに違いない。あるいは、軍司令を語って研究者たちを強制的に働かせていたのか?」
スーツケースには何枚もの紙資料や医療道具、鍵や小物、畳んだ白衣などがしまわれていた。
資料は別の国の言語で書かれているものや、何かの表や図形、あるいは写真が貼り付けられているものもある。
アマンダはその中から、自分の読めるものだけをかき集めた。
「クロロがどうだの、トキシンがどうだの、薬品のことはよくわからないが、これは私にも理解できそうだ。これは、この建物の見取り図か? ふむ。それからこれは……見覚えがあるぞ」
完全な資料だ。ジェームスに渡されたものとほとんど同じものがそこにあった。こんどは汚れはなくしっかりと最後まで読むことができる。
「…………なに? まさか、本当に軍が関わっているというのか!? それに……そんなところまで!? ば、馬鹿げている! こんな愚かな…とても信じられない…。でも、地下で見たあれは、そう考えるとたしかに納得がいく…。そ、それじゃあ、私が撃ったのはまさか……!!」
資料にはすべてが書かれていた。そして、これからのことも。
「そんなことのために、病院の患者たちを実験台にしていたというのか!? なんて酷い…。これは神への冒涜だ!! こんなこと、すぐにでも止めさせなければならない! 私が……この手で!」
だが、いくらすべてが記された資料にも、彼女の身にこの先起こり得る未来までは書かれていなかった。
アマンダが決意を示して手をぐっと握りしめる。すると、その拳の上に赤い滴が落ちた。これは……血液?
「な…しまっ……!!」
気付いた時には既に遅かった。
あまりにも資料に集中しすぎて、周囲の警戒を怠っていた。
アマンダの背後には例の人狼が立っていた。頭を撃ち抜かれたはずにも関わらず、それは死んではいなかったのだ。
しかし、もうアマンダにはそれを見ることも適わない。
振り返るよりも先に、人狼はアマンダの頭を噛み潰してしまったからだ。もう、どこが目でどこが鼻でどこが口なのかもわからない。血を勢いよく撒き散らす首から上のない肉の身体がそこにあるに過ぎなかった。
最期の瞬間、彼女は一体何を思っただろう。一体何を見たのだろう。目も頭も失ってしまった今になっては、それももうわからない。もう、なにもわからない。
人狼はそんな彼女の亡骸をめちゃくちゃに引き裂いてしまうと、ひと際大きな雄叫びを上げた。それは、どこか悲しいようでもあり、何かを酷く恐れているようにも聞こえた。果たして、それを聞くことができた者がまだいたかどうかもわからないが。
アマンダの銃が虚しく主の手を離れて床に転がる。
そこには一枚の血に塗れた資料が遺されるのみだった。
――強 隊計画
概要 弱い。とても撃たれ弱い。銃弾のたった一発が致命 さ り得る。
部は野生生物のその強靭な肉体のタフさに着目し の能力 人に適用 と計画した。
々はその計画の一旦を担う。こ は我々の能力を れた上での依頼 て研究に励むように。
ま 、依頼主は軍司令部 で を忘れない 。
部は野生生物のその強靭な肉体のタフさに着目し の能力 人に適用 と計画した。
々はその計画の一旦を担う。こ は我々の能力を れた上での依頼 て研究に励むように。
ま 、依頼主は軍司令部 で を忘れない 。
第 生生 に匹 る強靭
第二 的:完全
第三目的:不
第二 的:完全
第三目的:不
現段階での研究経
経過1:精神の錯 ョック死。適性 い者は 死亡する。
経 2:外見の変化、 乱及び暴走→処分
:中途半端な獣化、精神が不安定で目的1を達成す 時期尚早。
一方で、必要以上の変化を見せる個体が現れる→目的2の研究に利用可能
4:獣人化、目的1の達成(ただし適応者のみ)。引き続き、研究を進め
経 完 化を目指す。精神 乱、暴走の再問題
経過 自我を失っ うになった 失敗である
経 完 成( 。一部に”絶 死 い”副作用発 た目はゾ
は経 、自我を失って暴走。 了につき 体は隔離。第三
経過8:無 化成功。 的の試験的軍事利用
経過9:副作 のみ取り出 究を開始。 はそのま を得る目的
変化させずに、不 用のみ すことを目的とするが
また経 経過2の状態に逆戻
経過10:今後 期待する。不 後の研究課題(難航中)
経過1:精神の錯 ョック死。適性 い者は 死亡する。
経 2:外見の変化、 乱及び暴走→処分
:中途半端な獣化、精神が不安定で目的1を達成す 時期尚早。
一方で、必要以上の変化を見せる個体が現れる→目的2の研究に利用可能
4:獣人化、目的1の達成(ただし適応者のみ)。引き続き、研究を進め
経 完 化を目指す。精神 乱、暴走の再問題
経過 自我を失っ うになった 失敗である
経 完 成( 。一部に”絶 死 い”副作用発 た目はゾ
は経 、自我を失って暴走。 了につき 体は隔離。第三
経過8:無 化成功。 的の試験的軍事利用
経過9:副作 のみ取り出 究を開始。 はそのま を得る目的
変化させずに、不 用のみ すことを目的とするが
また経 経過2の状態に逆戻
経過10:今後 期待する。不 後の研究課題(難航中)