Chapter23「俺の決意は揺るがない」
ケツァル正規軍はムスペに到着、ムスペ火竜軍との合流を果たしていた。
ムスペの外雲、噴煙の立ち上る入り口を囲むように、外部の雲の上には兵たちが立ち並んでいる。
武器を磨く者、素振りする者、精神を集中させる者。
各々の兵たちがそれぞれの方法で戦いの準備を進めている。
どこまでも続いて見える青空の中にありながら、辺りには緊張した空気が漂っていた。
その中にはリクたちの姿もあった。
ナープたちは三度目にこのムスペの雲を踏むことになる。
「まさかこんな展開になるなんてな」
ガルフがナープ向かって言った。
「僕も驚いたよ。最初は父さんが見つかったとき、次に兄さんたちと戦わなくちゃならないかもしれないと思ったとき、そして今も。またこのムスペでね」
「よかったじゃねぇか。ナープたちと戦わずに済んで。セルには感謝しないとな。しかしゼロのやつ…。まさかあいつがなぁ」
そう言うのはナープ兄弟の父親フロウだ。
ラルガの作戦で、ムスペ勢はゼロがケツァル王国を乗っ取ろうとしているという噂を信じ込んでいた。
それはフロウも同様だ。
「こんなことを知ったらオーシャンは何て言っただろうな…」
空の向こうを見つめるフロウ。
ゼロと同様にフロウもオーシャンの側近であった。そして夫だった。
喧嘩ばかりだったが、家族のように過ごしていたゼロの暴走にフロウは心を痛めていた。
「お母さんが前の天竜だったんだよね」
サーフが確認した。
「ああ。そういや、ガルフ以外はまだ生まれてなかったから顔も知らねぇんだよな…。俺はオーシャンが死んでからアレだったし、家のことは全部ガルフに任せちまってたな。寂しい思いをさせちまってただろう、すまなかったな」
「平気だよ。物心ついたときからそうだったから、そういうものだと思ってた」
「そうそう、むしろもう死んじゃってるんじゃないかと思ってたぐらいだしね」
リヴァーとマリンがそう言って笑う。
「おいおい、勝手に殺すなよ。こう見えても俺はまだまだ現役のつもりだぜ」
「白髪は増えたがな」
「ガルフまで。ちっ、言うようになったじゃねぇか」
そう言うフロウは少し嬉しそうだった。
久々に家族が顔を揃えた。そして久々に心が一つになったのだ。
「じゃあ、ボクはティルを捜しに行ってくるよ。クリアと一緒にね」
「サーフじゃ心配だ。僕も行くよ。姉さん、あまりみんなを困らせるなよ」
「なによ。あんたに言われたくなんかないわよ! 安心しなさい、愛の戦士は不死身なんだから」
サーフ、クリアに加えてリヴァーもティルの捜索に向かうことを申し出てくれた。
一方でマリンは血気盛んにも戦うことを選んだ。
「愛は世界を救うってことをこの私が教えてやるわ。滅んでた国のヘナチョコ兵なんかに愛の力は破れないんだからね!」
「マリンは親父よりも強いんだから心配はいらんな」
「あったりまえじゃないの! 愛の終わった年寄りに私が劣るわけないじゃない」
ガルフがさりげなく皮肉を言うが、額面通りの意味に受け取ったマリンは機嫌良さそうに答えた。
「サーフ、リヴァー、それからクリアちゃんも。魔竜は危険な魔法を操るんだ。無茶せずに何かあったらムスペの兵士に頼るんだぞ。飯はちゃんと食えよ。あと夜は寝ろよ。それからハンカチとティッシュ忘れんなよ。それから…」
「もう! 子ども扱いしないでよ。行こう、クリア」
「あ、あはは…。行ってきます」
「大丈夫だよ、父さん。こう見えても僕らはたくましく生きてきたからね」
心配する父親に見送られながらサーフたちは一足先に、魔竜捜索部隊の兵たちと共に出発していった。
(ティルは危険なんかじゃない…)
ナープはそう心の中で呟いた。
しかし、口に出しては言わない。ここで父親と言い争っても仕方がない。
ティルのことはリヴァーたちに任せよう。今は前だけを見るんだ。
ナープ、ガルフ、マリン、そしてフロウは本隊と共にバルハラへ向かう。
戦いはこれからなんだ。気を引き締めなければ。
ムスペの外雲、噴煙の立ち上る入り口を囲むように、外部の雲の上には兵たちが立ち並んでいる。
武器を磨く者、素振りする者、精神を集中させる者。
各々の兵たちがそれぞれの方法で戦いの準備を進めている。
どこまでも続いて見える青空の中にありながら、辺りには緊張した空気が漂っていた。
その中にはリクたちの姿もあった。
ナープたちは三度目にこのムスペの雲を踏むことになる。
「まさかこんな展開になるなんてな」
ガルフがナープ向かって言った。
「僕も驚いたよ。最初は父さんが見つかったとき、次に兄さんたちと戦わなくちゃならないかもしれないと思ったとき、そして今も。またこのムスペでね」
「よかったじゃねぇか。ナープたちと戦わずに済んで。セルには感謝しないとな。しかしゼロのやつ…。まさかあいつがなぁ」
そう言うのはナープ兄弟の父親フロウだ。
ラルガの作戦で、ムスペ勢はゼロがケツァル王国を乗っ取ろうとしているという噂を信じ込んでいた。
それはフロウも同様だ。
「こんなことを知ったらオーシャンは何て言っただろうな…」
空の向こうを見つめるフロウ。
ゼロと同様にフロウもオーシャンの側近であった。そして夫だった。
喧嘩ばかりだったが、家族のように過ごしていたゼロの暴走にフロウは心を痛めていた。
「お母さんが前の天竜だったんだよね」
サーフが確認した。
「ああ。そういや、ガルフ以外はまだ生まれてなかったから顔も知らねぇんだよな…。俺はオーシャンが死んでからアレだったし、家のことは全部ガルフに任せちまってたな。寂しい思いをさせちまってただろう、すまなかったな」
「平気だよ。物心ついたときからそうだったから、そういうものだと思ってた」
「そうそう、むしろもう死んじゃってるんじゃないかと思ってたぐらいだしね」
リヴァーとマリンがそう言って笑う。
「おいおい、勝手に殺すなよ。こう見えても俺はまだまだ現役のつもりだぜ」
「白髪は増えたがな」
「ガルフまで。ちっ、言うようになったじゃねぇか」
そう言うフロウは少し嬉しそうだった。
久々に家族が顔を揃えた。そして久々に心が一つになったのだ。
「じゃあ、ボクはティルを捜しに行ってくるよ。クリアと一緒にね」
「サーフじゃ心配だ。僕も行くよ。姉さん、あまりみんなを困らせるなよ」
「なによ。あんたに言われたくなんかないわよ! 安心しなさい、愛の戦士は不死身なんだから」
サーフ、クリアに加えてリヴァーもティルの捜索に向かうことを申し出てくれた。
一方でマリンは血気盛んにも戦うことを選んだ。
「愛は世界を救うってことをこの私が教えてやるわ。滅んでた国のヘナチョコ兵なんかに愛の力は破れないんだからね!」
「マリンは親父よりも強いんだから心配はいらんな」
「あったりまえじゃないの! 愛の終わった年寄りに私が劣るわけないじゃない」
ガルフがさりげなく皮肉を言うが、額面通りの意味に受け取ったマリンは機嫌良さそうに答えた。
「サーフ、リヴァー、それからクリアちゃんも。魔竜は危険な魔法を操るんだ。無茶せずに何かあったらムスペの兵士に頼るんだぞ。飯はちゃんと食えよ。あと夜は寝ろよ。それからハンカチとティッシュ忘れんなよ。それから…」
「もう! 子ども扱いしないでよ。行こう、クリア」
「あ、あはは…。行ってきます」
「大丈夫だよ、父さん。こう見えても僕らはたくましく生きてきたからね」
心配する父親に見送られながらサーフたちは一足先に、魔竜捜索部隊の兵たちと共に出発していった。
(ティルは危険なんかじゃない…)
ナープはそう心の中で呟いた。
しかし、口に出しては言わない。ここで父親と言い争っても仕方がない。
ティルのことはリヴァーたちに任せよう。今は前だけを見るんだ。
ナープ、ガルフ、マリン、そしてフロウは本隊と共にバルハラへ向かう。
戦いはこれからなんだ。気を引き締めなければ。
「ウィルオン殿。ご武運を祈りますぞ」
部隊の中心では火竜王セルシウスとケツァル王ウィルオンが顔を合わせていた。
老齢のセルシウスは前線に立って戦うことはできない。セルシウスはムスペに残って後方支援の指揮を行うことになっていた。
「う、うむ。此度のご協力感謝致します。俺は……じゃない。私のほうでも今後何か協力できることがあればいつでも申して……あれ、仰って?」
「くっくっく。がんばってください、ウィルオン様」
「わ、笑うな!」
そこに統帥であるヴァイルが報告する。
「兵たちの準備は完了した。いつでも出撃できる状態だ」
「そうか、わかった。リク、おまえたちは準備はいいか?」
ウィルオンが問う。
「僕はいつでもいける。父さんたちも準備はできてるって」
「いつでもどうぞ。ボクの本気の魔法を見せてあげるよ」
「アットロー君絶好調なのだ。私がこの戦いの主役なのだ」
「ぼくの頭も絶好調なのですー。例えるならまるで頭が春です」
「オ、オ、オレもおっけーだ。大丈夫大丈夫怖くない怖くない」
仲間たちはそれぞれの返答をする。
その中でリクだけが少し時間が欲しいと答えた。
「……少しだけ。ムスペの王様と話をさせてくれないか」
「ふむ。リク殿、でしたかな。私に話とは?」
セルシウスはその言葉でもって話を聞くことを承諾した。
火竜王の前に片膝をつき一度頭を下げ、協力を感謝する意を述べるとリクは話し始めた。
「どうしても……ティルは封印しなくちゃならないのか」
「リムリプスのことか。やつは魔竜だからな。それは避けられぬ運命だ」
「ティルは危険な存在なんかじゃない。必要とあればこの俺がそれを証明してみせる。それでも……封印するのか」
「それがケツァル殿との約束だったのでな。初代ケツァル王には借りがあるのだ。どうかわかってくれ」
「今はこの戦いに勝つことが大事だ。俺だっていつまでも駄々をこねたりはしない。だが……この戦いが終わったら俺はティルを助けるつもりだ。次に会うときは敵同士かもしれないぞ」
火竜王は眉根をぴくりと動かす。
そして静かに返した。
「ほぅ、それは面白い。そのときは我が軍が全力でお相手させていただこう…………と言ってもか?」
火竜王の両眼がリクをじっと睨みつける。
それでもリクは決して怯まずに言い返した。
「俺の決意は揺るがない」
しばらく火竜王とリクが睨み合う。
しかし、不意にセルシウスはふっと笑ってみせるとこう返した。
「なるほどな。おぬしの心はよくわかった。考えておこう。では話は以上でよろしいかな」
「ああ…」
再びウィルオンが問う。
「準備はいいか?」
「すまん、待たせた。……行ってくれ」
「ああ、わかった。ではセルシウス殿」
「うむ」
ウィルオンが合図を送ると火竜王は立ち上がり号令をかけた。
「ゆくぞ、者共! ケツァル王国は我が友が国。我が友との約束に懸けて、バルハラの王宮を反逆者ゼロから取り戻すぞ! 今こそムスペ火竜軍、日々の鍛錬の成果を見せるとき。皆、心して挑め! そして皆、必ずや生きて戻れ! ムスペの誇りを胸に、その誓いを忘れるな! 全軍出撃!!」
火竜王の咆哮が響きわたる。
それに呼応するように兵たちが声を上げる。
ケツァル、ムスペ連合軍はバルハラへ向けて進軍を開始した。
部隊の中心では火竜王セルシウスとケツァル王ウィルオンが顔を合わせていた。
老齢のセルシウスは前線に立って戦うことはできない。セルシウスはムスペに残って後方支援の指揮を行うことになっていた。
「う、うむ。此度のご協力感謝致します。俺は……じゃない。私のほうでも今後何か協力できることがあればいつでも申して……あれ、仰って?」
「くっくっく。がんばってください、ウィルオン様」
「わ、笑うな!」
そこに統帥であるヴァイルが報告する。
「兵たちの準備は完了した。いつでも出撃できる状態だ」
「そうか、わかった。リク、おまえたちは準備はいいか?」
ウィルオンが問う。
「僕はいつでもいける。父さんたちも準備はできてるって」
「いつでもどうぞ。ボクの本気の魔法を見せてあげるよ」
「アットロー君絶好調なのだ。私がこの戦いの主役なのだ」
「ぼくの頭も絶好調なのですー。例えるならまるで頭が春です」
「オ、オ、オレもおっけーだ。大丈夫大丈夫怖くない怖くない」
仲間たちはそれぞれの返答をする。
その中でリクだけが少し時間が欲しいと答えた。
「……少しだけ。ムスペの王様と話をさせてくれないか」
「ふむ。リク殿、でしたかな。私に話とは?」
セルシウスはその言葉でもって話を聞くことを承諾した。
火竜王の前に片膝をつき一度頭を下げ、協力を感謝する意を述べるとリクは話し始めた。
「どうしても……ティルは封印しなくちゃならないのか」
「リムリプスのことか。やつは魔竜だからな。それは避けられぬ運命だ」
「ティルは危険な存在なんかじゃない。必要とあればこの俺がそれを証明してみせる。それでも……封印するのか」
「それがケツァル殿との約束だったのでな。初代ケツァル王には借りがあるのだ。どうかわかってくれ」
「今はこの戦いに勝つことが大事だ。俺だっていつまでも駄々をこねたりはしない。だが……この戦いが終わったら俺はティルを助けるつもりだ。次に会うときは敵同士かもしれないぞ」
火竜王は眉根をぴくりと動かす。
そして静かに返した。
「ほぅ、それは面白い。そのときは我が軍が全力でお相手させていただこう…………と言ってもか?」
火竜王の両眼がリクをじっと睨みつける。
それでもリクは決して怯まずに言い返した。
「俺の決意は揺るがない」
しばらく火竜王とリクが睨み合う。
しかし、不意にセルシウスはふっと笑ってみせるとこう返した。
「なるほどな。おぬしの心はよくわかった。考えておこう。では話は以上でよろしいかな」
「ああ…」
再びウィルオンが問う。
「準備はいいか?」
「すまん、待たせた。……行ってくれ」
「ああ、わかった。ではセルシウス殿」
「うむ」
ウィルオンが合図を送ると火竜王は立ち上がり号令をかけた。
「ゆくぞ、者共! ケツァル王国は我が友が国。我が友との約束に懸けて、バルハラの王宮を反逆者ゼロから取り戻すぞ! 今こそムスペ火竜軍、日々の鍛錬の成果を見せるとき。皆、心して挑め! そして皆、必ずや生きて戻れ! ムスペの誇りを胸に、その誓いを忘れるな! 全軍出撃!!」
火竜王の咆哮が響きわたる。
それに呼応するように兵たちが声を上げる。
ケツァル、ムスペ連合軍はバルハラへ向けて進軍を開始した。
出撃の知らせは伝令によってすぐにバルハラ王宮へと知らされた。そしてそれをもって宣戦布告とされた。
バルハラ兵が慌ててその知らせをゼロに伝える。
「なに!? ムスペ兵が向かってくるだと!? どういうことだ、やつら協定を忘れたのか! ケツァル王国はムスペと同盟を結んでいたはずだろう!!」
「そ、それが…。3代目ケツァル様が火竜王に協力を要請したようでして…。3代目様を筆頭に少数の兵たちとケツァル正規軍を名乗り、ムスペ軍と合流してこちらへ向かって来ています」
「何を言うか! 我々はバルハラ王宮にいるのだぞ! こちらが正規軍ではないか!! あの若造め、ナメたマネをしやがって…」
怒りに燃えるゼロが拳を固く震わせる。
「い、いかがいたしましょう」
「かまわん! 迎え討て!!」
「で、ですが相手は当代国王です! ここは素直に降伏するべきでは…」
「ならん! 断固、撃破せよ! そもそも突然現れて国王の子孫でした? 本当かどうかも怪しいものだ。そうだ、きっと王の子孫を騙っているだけに違いない。この際だ、兵士諸とも始末してやる…」
「ゼ、ゼロ様……?」
「伝令を送れ! その戦い受けて立つとな!!」
ゼロの気迫に押されて兵士は慌てて駆けて行った。
少しして、交戦の意志がウィルオンたちに伝えられた。
ゼロは王宮にいる全ての兵と、魔竜捜索に出ていた兵たちや、シレスティアルからは天竜親衛隊たちを呼び寄せて配置した。
バルハラの王宮や城下街の廃墟を砦に、ムスペ方面を正面にして左右に飛竜兵たちが展開。
親衛隊の頭である火砕竜、土石竜、離岸竜、乱気竜をそれぞれ筆頭に、親衛隊たちを四隊に分けて王宮の前に散開。
サクレを筆頭に近衛部隊を自身の周辺に配置し、ゼロは王宮内で守りを固めて待ち受けるという布陣だ。
「どうせあの新王は偽物に違いない。だったら俺がこの国を継いでやる。オーシャン様の遺志は俺が継ぐ!!!」
しばらくしてケツァル、ムスペ連合軍が到着。
戦いの火蓋が今、ついに切られる。
バルハラ兵が慌ててその知らせをゼロに伝える。
「なに!? ムスペ兵が向かってくるだと!? どういうことだ、やつら協定を忘れたのか! ケツァル王国はムスペと同盟を結んでいたはずだろう!!」
「そ、それが…。3代目ケツァル様が火竜王に協力を要請したようでして…。3代目様を筆頭に少数の兵たちとケツァル正規軍を名乗り、ムスペ軍と合流してこちらへ向かって来ています」
「何を言うか! 我々はバルハラ王宮にいるのだぞ! こちらが正規軍ではないか!! あの若造め、ナメたマネをしやがって…」
怒りに燃えるゼロが拳を固く震わせる。
「い、いかがいたしましょう」
「かまわん! 迎え討て!!」
「で、ですが相手は当代国王です! ここは素直に降伏するべきでは…」
「ならん! 断固、撃破せよ! そもそも突然現れて国王の子孫でした? 本当かどうかも怪しいものだ。そうだ、きっと王の子孫を騙っているだけに違いない。この際だ、兵士諸とも始末してやる…」
「ゼ、ゼロ様……?」
「伝令を送れ! その戦い受けて立つとな!!」
ゼロの気迫に押されて兵士は慌てて駆けて行った。
少しして、交戦の意志がウィルオンたちに伝えられた。
ゼロは王宮にいる全ての兵と、魔竜捜索に出ていた兵たちや、シレスティアルからは天竜親衛隊たちを呼び寄せて配置した。
バルハラの王宮や城下街の廃墟を砦に、ムスペ方面を正面にして左右に飛竜兵たちが展開。
親衛隊の頭である火砕竜、土石竜、離岸竜、乱気竜をそれぞれ筆頭に、親衛隊たちを四隊に分けて王宮の前に散開。
サクレを筆頭に近衛部隊を自身の周辺に配置し、ゼロは王宮内で守りを固めて待ち受けるという布陣だ。
「どうせあの新王は偽物に違いない。だったら俺がこの国を継いでやる。オーシャン様の遺志は俺が継ぐ!!!」
しばらくしてケツァル、ムスペ連合軍が到着。
戦いの火蓋が今、ついに切られる。