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ブラックボックス14

最終更新:2016年12月13日 21:50

jelly

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第14章「Against with the Mindarium(精神体の弱点)」



「あ、危なかったぁ」
 ゲーヒルンの市場の駐車場。その一番隅のほうにガイストのトレーラーは停まった。
 コンテナからゲンダーたちが降りてくる。周囲では何台かの輸送車が荷物の積み下ろしをしていたので、特別目立って注目される心配はない。
「まったく自動運転なんて怖いことやってくれるよな! しかもメイヴ本人は外が見えてないんダぜ」
『スヴェンが開発した優れた技術をもとにしています。それに私が運転しているのではなく自動運転機能が…』
「はいはい。それで次におまえは『スヴェンを信じてください』って言うんダろ。ガイストも無茶しやがって」
「まさか検問を張ってるなんてな。そういえば戦時中だった。まあいいじゃないか、無事抜けられたんだし」
「それに見ろよ、グメーを! あまりに中が寒かったんで、冷凍マグロみたいになっちまった」
 足元には凍ったグメーシスがごろんと転がっている。ゲンダーがそれをつつくと、冷凍グメーは滑ってくるくると回った。どうやら凍っている状態では触れても危険はないらしい。
「精神体だから大丈夫だと思ってたんだ。まさか凍ってしまうなんて……それは謝る。しかし精神体は厳密には生命体じゃないから、凍死したりするようなことはない。そのうちまた元気に動き出すさ」
「それはそうかもしれないが、グメーがかわいそうじゃないか! これダから科学者ってやつは」
 アームを格納して代わりに取り出したドライヤーで冷凍グメーを暖めながらメイヴが訊いた。
『それでここからはどうしますか。タワーまではまだ少し距離があるようですが』
 駐車場の向こうには中枢タワーが見えている。直線距離ではそれほど遠くないが、その間には林が広がっているので、道なりに行くなら遠回りをしなければならない。もちろん、そのルートを通る場合は街中を堂々と通っていくことになるのだが。
「さすがに正面から行くわけにはいかない。人通りも多いし、軍の関連施設もいくつかある。この林を抜けよう」
「妥当ダな。最短距離になるし、人目につかない。しかしずいぶん都合のいいところに林があったもんダ」
『ご都合主義……じゃなくて、データベースによると、なんでも中枢タワーを中心としたゲーヒルンの景観作りの一環として、意図的に人の手を加えない自然環境を残しているそうです。首都としての威厳と環境との調和による繁栄の象徴がなんとかかんとか。ぶっちゃけ非合理的でくだらねぇです。もっとこう、自然環境も伸ばし放題にしておくのではなく、ちゃんと管理してこそ完璧な景観に加えて衛生面、治安面ともに……』
「ぶっちゃけどうでもいい。まあ、たしかに治安面では問題アリか。こうしてオレたちが潜入に使うんダから」
『そしてそれがありがたい、ってね。さあ、グメーシスがとけたら出発しますよ』


 林を分け入って中枢タワーへの最短距離をとる。
 このルートで注意すべきことはひとつだけ。ヴェルスタンド軍第壱基地が林に隣接していることだ。
 このまま進めば林は中枢タワーの背後を扇状に広がっているので、うまく裏口から侵入できるかもしれない。
 しかしそれは敵としても当然として把握していること。無防備のまま放っておくとは思えない。何か警戒線が張られているとみて間違いないだろう。
 ゲンダーたちが足を踏み入れると、空間が蜃気楼のように歪んで紫の霧が発生し始めた。
「さっそくお出ましダぞ」
 霧の中からは光の柱がいくつも伸びて、そこから例の赤と青の球体が湧いて出る。精神兵器のG-レティスとG-ブロウティスだ。
「これは! 大統領め。ドームの護衛用に僕が作ったシステムだぞ。断りもなく勝手に配備するなんて、許せない」
『しかし恐れるに足りません。すでにこいつらとは交戦済み。データもばっちり把握しています』
「霧を吹き飛ばせばイチコロってわけダな」
 メイヴが大型プロペラを用意していると、しかしそれには及ばないとガイストが止めた。
「あれを作ったのは僕なんだ。扱い方は誰よりも心得てる。もちろん弱点も含めてね」
 そう言ってガイストは大きく両手を広げると、そのまま勢いよく手を打った。
 パァンと手拍子があたりに響き渡ると、精神兵器たちは一瞬ひるんだような隙を見せた。
「今のは!?」
「精神体は特定のパルス波に弱い。とくにレティスとブロウティスは、それぞれの個体が単一の命令を互いに同期し合って動いている。だからパルス波を受けると同期信号が乱れてラグを生じるといった具合さ」
「なるほど、わからん。そもそもパルス波がわからん」
「一定の範囲内で急激な変化を見せる波動のことだ。矩形波や三角波などがある。つまりわかりやすく言うと、一定の周期性を持つ波動パターンのうち、周波数と最大振幅が……」
「待て待て待て! 全然わかりやすくなってない。しかも新たに波動とか出てきてるし。つまり具体的には何ダ」
「そうだなぁ。電気信号に心臓の脈動。それから音の波形も一種のパルス波……と言ってもいいのかな?」
「音か。やつら音に弱いのか!!」
「まあ音だったらなんでもいいってわけじゃないけど」
「よーし、わかった。あとはオレに任せとけ」
 理解できたと思って喜び勇んだゲンダーは、一人で前に飛び出して球体たちに向かってなにやら叫び始めた。
 しかし、効果がなかった。
 ゲンダーはさわいでいる。
 レティスの一体はレーザーを発射した。
 ゲンダーは攻撃をかわした。メイヴは電磁シールドを展開して攻撃を跳ね返した。
 跳ね返ったレーザーはゲンダーに命中した。ゲンダーは怒っている。ゲンダーはさらにさわぎ始めた。
『やれやれ、あれは明らかにわかってませんね。ところでガイスト。パルス波がさっきの理由で有効ということならば、EMPも効果があると見ていいのでしょうか』
「当然だ。しかし、それだと君たちにも影響が出るんじゃないか?」
『ヘイヴの設計によれば私にはブラックボックスの保護のために対策がなされているようです。後発のゲンダーにも同様の技術が用いられているんじゃないかと思うのですが……どれ、ちょっと実験してみますか』
 メイヴの胴体の側面が開くと、中からはメイヴに似た筒状の爆弾が転がり出てきた。
『小型のEMP爆弾です。衝撃を与えると破裂して電磁パルスを有効範囲内に展開します。おひとつどうぞ』
「これはどうもご丁寧に。ではお言葉に甘えて……いけっ」
 ひとつ受け取ったガイストがEMP爆弾を精神兵器の群れの中心目掛けて投げ込む。
 するとバチッと電気の弾ける音がすると同時に、浮遊する球体たちは制御を失い地面に落ちて霧消してしまった。一方ゲンダーはというと、痺れて動けなくなっていた。
「すげえ、一網打尽じゃないか。しかし何をしたんダ? なんかオレまで動けなくなっちまってるんダが……」
『EMP爆弾です。電磁パルスが有効かどうかテストしてみました。効果はばつぐんですね。ゲンダーも含めて』
「なんダEMPって。E、イー……エ、ム、プ……あっ、エンプティ? エネルギーを奪う爆弾か何かか!」
『ゲンダーには耐性がないのか、それとも……ともかく扱いには気をつけたほうがよさそうですね』
「なあ、ところでオレは? 直るよな、これ」
「これさえあればレティスとブロウティスは敵じゃないな。行こう、メイヴ。大統領を止めるぞ!」
「なあおい、二人とも聞いてる?」
 次々と湧き出る精神兵器をEMP爆弾で一掃しつつ、麻痺したゲンダーを引きずりながら林の奥先、ヴェルスタンド中枢タワーを目指す。


 一方そのころ、林に隣接するヴェルスタンド軍第壱基地のレーダーが異常を検知していた。
「隊長! レーダーが……」
 異常に気付いた兵士が上官に報告する。
「どうした。何か捉えたか」
「いえ、何も捉えていません」
「なんだそりゃ。そんなことでいちいち呼ぶんじゃない」
「違うんです、隊長。全く何も捉えません。見てください、この部分。レーダーが機能していません」
「なんだと。故障か? ちょっと見せてみろ」
 基地には複数の用途のレーダーが設置されている。
 ひとつは広範囲を探知するためのもの。未知の飛行物体やミサイル攻撃などを検知するものだ。
 ひとつは精神波を観測するためのもの。対象の位置を把握するのに使われ、範囲は大陸全体に及ぶ。
 また別のひとつは衛星を経由して特定の地点をピンポイントで観測する望遠レーダー。
 他にも天候を観測するもの、宇宙を観測するもの、敵国を監視するものなど様々なレーダーがある。
 一方、異常を検知したこのレーダーは中枢タワー付近の安全のために用いられる動体センサーを兼ねたものだ。
 基本的にレーダーは精度を調節して、不必要なものにまで反応してしまわないように設定されているが、このレーダーはあえて精度を高めて、タワーの周囲で動くものほとんど全てを監視している。
 鳥や小動物など関係ないものを感知することがほとんどなので、あまり重要視はされておらず、あくまで不自然な動きを見せる対象を発見する程度の活躍しか期待されていないものではあったが、その高い精度が今は意外な活躍を見せていた。
 通常この林においては、動物や風に揺らぐ木々の動きなどの何らかの「不必要な反応」を常に感知してしまう。
 しかし今は違う。林の一部分にだけ、その「不要な反応」が全くない部分が生じている。
 その無反応地帯は放射状に広がっては消えて、また現れては消えて、しかも少しずつ移動している。
「こんな反応はみたことがない。やはり故障なんじゃないか」
 隊長が首を傾げていると「何事かね」と騒ぎを聞きつけて一人の男が歩み寄った。
「これはヘルマン大佐。いえ、レーダーの調子が少しおかしいようでして」
「どれ。見せてみなさい」
 レーダーの奇妙な反応を見たヘルマンは目の色を変えた。そしてすぐにその正体を理解した。
「総員戦闘準備! 敵の妨害工作を受けている」
「な、なんですって!?」
「わからんのか、馬鹿もの! 何も反応がないのはジャミングかステルスによるものだ。近くに敵がいるぞ」
 妨害工作とは言うまでもなくメイヴの用意したEMP爆弾のことだ。
 電磁パルスがレーダー波の反射を遮ることで、無反応地帯を生じさせてしまった。結果として、自分たちの位置を相手に知らせてしまったことになる。そしてその失敗にメイヴたちはまだ気付いていない。
「大佐! レティスとブロウティスが作動しています」
「今ごろ遅い! なぜそれを早く報告しないのだ。とにかく、まずはアレを投入して時間を稼げ。その間に総員配置に着け。もたもたするな!」
「「サー、イエッサー!!」」


 メイヴたちはレティスとブロウティスを蹴散らしながら林を進んでいく。
 ホログローブに動体センサーと立体地図機能を再インストールし、タワーまでの距離を確認しながら進んでいると、地図上に黄色い点がひとつ表示された。
「おっ、これはなんか見たことがある光景ダな」
『レティスやブロウティスは位置座標が虚数存在として観測されるのでこのセンサーには反応しません。つまり……気をつけてください。何か、いますよ!』
 黄色い点はひとつ、またひとつと増えていき、瞬く間にゲンダーたちを包囲してしまった。
「パターンイエロー。敵襲ダ!」
 まだ敵の姿は見えないが、自分たちの位置を示す赤い4つの点を黄色い点が無数に取り囲んでいる。
 一体どれだけ敵がいるのだろうか。そしてどうやってこんなにもいきなり現れたというのか。
 その答えは、そしてその正体はすぐに明らかになる。
 正面の木の陰から何かが飛び出した。まだ見ぬ敵を警戒して身構えると、その正体はなんとグメーシスだった。
「あれっ、グメー? おまえ、いつの間にそっちに…」
 振り返ると、いままで着いてきていたグメーはたしかにゲンダーの後ろにいる。
「グメーが……二匹ダと」
「ゲンダー、あれは別個体のグメーシスだ! 厄介なやつに捕まったようだぞ」
 赤と青の球体とは別の精神兵器、G-メイシス。触れたものを消滅させてしまう難敵だ。
「しかし精神体は精神体ダろ。エンプティをくらえ!」
 空っぽ爆弾、もといEMP(電磁パルス)爆弾を投げつける。
 火花が弾けてゲンダーは一瞬の目眩を感じた。少し離れていてもこの威力。直撃した敵グメーシスはひとたまりもあるまい。と、目を開けて敵の姿を捜すと、
「グメェ!!」
 グメーシスがこちらに向かって突進してきた。
「うわっ、危ねえ! なにすんダ、グメー!? いや、敵のほうか。くッそぉ、ややこしい」
『どうやらグメーシスにはEMPは効果がないようです。さっきからグメーも平気そうにしてましたからね』
「苦しいのはオレダけかよ。触れない相手じゃ手が出せない。どうするんダ」
『とりあえず電磁シールド展開! ……あれ。どうやら今のEMPの影響でしばらく出ませんね。出ないものは仕方がありません。ひとまず今は頑張って気合で避けてください。何か考えます』
「そりゃないダろ!」
 続けて体当たりしてくるグメーシスをかわしながら対策を講じる。
 今は一体だけなのでなんとかなる。しかし、ホログローブには黄色い点が数え切れないほどあるのだ。もし敵グメーシスが集まってきたらひとたまりもない。
「精神体がパルス波を苦手とすることに違いはない。電磁パルスだからだめなのか? G-メイシスとレティス、ブロウティスとは何か異なるのか。いや、しかし個体間で命令を互いに共有し合うという基本的な構造は同じはずだから……」
「おいガイスト! 何ぼーっとしてんダ! 危ないぞ」
 考えを巡らせるガイストに向かって、敵グメーシスが突撃する。
「グメぇ~っ!!」
 しかし、グメーが身体を張って敵グメーシスを弾き返した。
「む。グメーシス同士は互いに触れても消滅することはないのか。まだまだこいつには知らないことが多いな」
「関心してる場合か! 早くなんとかしないと、オレたちおしまいダぞ」
「うるさいな、今考えてる! 少し黙っててくれ」
 そんな間にも敵グメーシスは休むことなく攻撃をしかけてくる。
 思案を巡らせて対策を練るメイヴとガイストを、グメーとゲンダーが必死に守る。
 気休めに汁千本を放ってみたが、これも効果はなかった。汁千本の衝撃波も波動の一種ではあるが、どうもグメーシスとは相性が合わないらしい。
「期待はしてなかったが、ちょっと悔しい。それより二人とも、もう少し避ける努力ぐらいしてくれてもいいダろ」
「グメメぇ~っ」
「ここはひとつ、スヴェンのところで暇つぶしに考えた新技を試してみるか? いや、でもあれは汁千本の応用に過ぎないからダメか。せめてなんとかあいつの動きダけでも止められれば……」
 ゲンダーは考えた。触れられない敵の動きを止めるには、どうすればいいだろうかと。
 縄でふん縛るわけにもいかないし、そんな縄なんてない。そもそも触れたものが消滅してしまうのだから、罠のようなもので捕えることはできない。
 それなら何かを囮にして敵の気を引くことができないだろうか。
 例えば金属片をばら撒けば、誘導性ミサイルの電波を誤認させて攻撃を逸らすことができる。熱探知型のものであれば、別の熱源を用意してやればいい。では精神兵器のグメーシスの場合は?
「そもそもあいつら、どうやって敵を認識してるのかわかんねえ。くッそぉ、どうすれば。なぁグメー、一体どうしたらいいと思う」
「グメぇ。グメメ~メ、グメぇ」
「なるほど、わかんねえ。メイヴ、グメー語翻訳機も用意してくれぇ!」
『グメー翻訳機ですか。たしかにあると便利そうですねぇ。しかし、データベースにないものは如何ともし難いですね。あ、そうだ。でしたら今からグメーを分析してみましょうか。グメー翻訳機もできるかもしれませんし、グメーの特徴がわかれば敵グメーシスへの対策も見つかるかもしれません』
「それダ! さっそく始めてくれ。ところで、それってどれぐらいかかるんダ」
『直接触れられないので時間がかかりますが、一週間以内には終わる計算です』
「全然間に合わねえ!」
 たとえ一時間でできると言われても苦しい。今は敵グメーシスが一体だけだが、それでもゲンダーとグメーが応戦して自分たちの身を守り切るのがやっとだ。しかも触れれば即時消滅してしまうので、一撃たりとも受けるわけにはいかない。ホログローブは依然として敵に包囲されていることを示している。一匹でも敵が増えれば無事でいられるかどうかわからない。
「グメぇ!!」
 それならばいっそ、やられる前にやってやる。
 そう言わんばかりにグメーが一転して攻勢に出た。
「グメェ!?」
「グメぇっ!」
 二匹のグメーシスが空中でぶつかり合う。
 追って、追われて、追い返して。
 突撃突進。身を翻して反撃の体当たり。
 ところでどっちがどっちのグメーシスだっただろうか。
「ああもう、どっちかわかんなくなっちまったよ」
『グメぇと言ってるほうが私たちのグメーです』
「どっちも同じじゃないか!」
『グメェじゃなくてグメぇです。よく見てください』
「音は目に見えないんダよ!」
 もう頭が混乱してきた。グメぇがグメーでグメェがグメーシスで、もうなにやらわけがわからない。
 わけがわからないついでに、敵グメーシスはこれではキリがないと見るや、声高に「グメェェェェッ」と鳴いた。
 すると四方からグメーシスたちが集まり始めた。グメーシスは仲間を呼んだのだ。
「ますますどれがグメーかわからなくなった。じゃなくて、これはまずいダろ! 最悪の事態ダ」
『バンジー急須です。こいつぁやべぇです。マジにどうしましょう』
 木々の陰から次々とグメーシスが姿を現す。グメーシスたちはじっとこちらを見つめて攻撃の機会をうかがっている様子。数がそろい次第、一斉に攻撃をしかけて確実に仕留めるつもりらしい。
 もはやこれまでか、と諦めかけたそのとき、沈黙を守っていたガイストがようやく口を開いた。
「グメーシスを倒す方法はまだわからないが、動きを止める方法だったらなくはない」
「何か閃いたのか! しかし触れないんダぞ。どうやって」
「思い出してみろ。冷凍コンテナの中でグメーは凍っていたじゃないか。つまりグメーシスは凍結できる」
「なるほど名案ダ! ってそんなことできるのか!? しかもこの数を一度に凍らせるなんて……」
『先に言っておきますが、冷凍ビームなんてものはありませんよ。ファンタジーの世界じゃないんですから』
「冷凍ビームはない。しかし、理論上は似たようなものを科学的に再現することができる。レーザー冷却だ!」
 ガイストが言うには、レーザーで光の周波数や運動量を制御することで原子の重心運動を操作し、それによってランダムに動く分子の速度を抑制、遅くする。その結果、原子の熱振動が抑えられて急速に温度が下がり、絶対零度付近にまでもっていくことが可能になるという。
 相変わらずゲンダーには理解できなかったが、メイヴにはその意図が通じたらしい。
『言いたいことはわかります。しかし、レーザーの制御に精密性を必要としますし、かなりのエネルギーが必要になります。果たしてそううまくいくかどうか……』
「僕はメイヴを信じている。機械の制御で君の右に出る者はいない。エネルギーのことならブラックボックスがある。それに『できるかどうかじゃない、”やる”んだ』と、そう言ったのは君自身だろう?」
『ふむ。これは一本取られましたね。そうまで言うなら”やり”ましょう! やってやりますよ!』
 アームを格納すると、メイヴはレーザー砲を取り出した。
 出力調整。拡散範囲を広域化。ブラックボックスを経由してエネルギーを充填していく。
 レーザー砲の先端にエネルギーが集中し、眩い光がほとばしる。
「メイヴ、まダか!? 来るぞ!」
 危険を察知したグメーシスたちが今まさに突撃を開始した。
 四方八方から絶対に受けられない攻撃が迫る。
『エネルギー充填完了。お待たせしました、一か八かですよ。拡散レーザー冷却砲、発射!!』
 天に向かってレーザーを放つ。
 光の奔流が溢れ出し、周囲を包み込んだ。
 眩しさにゲンダーは思わず目をつむる。
 そして次の瞬間には静寂が訪れた。
 恐る恐る目を開けると……
『やりました。成功です!』
 辺り一面に凍りついたグメーシスがいくつも転がっていた。
「や、やった……。すごいぞ、メイヴ! 聞いただけで実際にやり遂げてしまうなんて、さすがはメイヴだ」
『ガイストの助言があってこそです。レーザー冷却は実用化されていないのでデータベースには記載がありませんでした。私では絶対に思いつかなかった方法ですよ』
「おおっ、よくわからんがやったんダな! レーザー撃ったら燃えずに凍るなんて奇妙な感じダけど、なんとか切り抜けたな」
『エネルギー保存則ですよ。熱の代わりに強力な光が放出されたんです。足りない分のエネルギーを奪ってきて光に変換するので、熱が奪われる場合と同様に温度が下がったというわけです』
「やっぱりわからん。まあ、勝ったからよしとしとこう」
 しかしグメーシスを倒したわけではない。あくまで一時的に動きを止めただけに過ぎない。
 グメーの例があるように、とければグメーシスたちは何事も無かったかのように活動を再開してしまう。
 ぐずぐずはしていられない。今のうちに一気に中枢タワーまで進んでしまわなければ。
 気を引き締めなおして一歩踏み出そうとすると、去ったそばからまた一難。
 多数の人影が駆け集まり、銃を構えて警告した。
「止まれ! 貴様らは包囲されている。直ちに武装解除して投降せよ」
「な、なんダと!?」
 待ち伏せだ。今度は武装した兵士の一部隊のお出ましだった。


第14章 了

ブラックボックス15
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